2012年05月19日

胸部レントゲン道場9・縦隔陰影に注目する5・気管分岐部の角度変化を認識する

気管分岐部が教えてくれる大きな情報は、その分岐角度と曲がり具合です。


XP (33).jpg


分岐角度が開く、ということには2つの意味があります。

1つは、気管分岐部の下に腫瘍、リンパ節腫大などが生じ、それが分岐している主気管支を押すことで角度が開く、ということ。


2つめは、右なり左なり(あるいは両方)の主気管支が(主に上方に)引っ張られ、その結果角度が開く、というもの。


同じように角度としては開きますが、曲がり具合が違いますね
(健常者では通常、「人」の形で、下向きに凸の分岐となっています)。


XP (38).jpg


気管分岐部の下にリンパ節腫大が生じ、それが分岐している主気管支を押すことで角度が開く場合は、こんな感じです。



上に引っ張られている例では、先日お示しした、こちら。


XP (25).JPG


先日書いたように、気管の左側への偏位と左横隔膜挙上があります。
実はそれだけではありません。

左の主気管支に注目しましょう。


XP (39).jpg


引っ張り上げられています。
これはどういうことか。


横隔膜も気管も、左胸腔に引っ張り込まれている。左肺のvolume(容量、大きさ)が低下していて、しかも左主気管支が引っ張り上げられている…。



実は、左上葉切除術後、なのです。
ナゼそうなるか、よーく考えてみてください。


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posted by 長尾大志 at 22:47 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月18日

胸部レントゲン道場8・縦隔陰影に注目する4・気管分岐部を認識する・ナゼ誤嚥性肺炎は右に多いのか。

あるものを「認識」する、次は気管に続く、気管分岐部です。
気管分岐部が教えてくれる大きな情報は、その分岐角度と曲がり具合です。


X3.jpg


ここです。


XP (33).jpg


通常、分岐の角度は(幅はありますが)、70°程度と覚えます。
右が25°、左が45°です。


XP (34).jpg


ちなみに図の通り、右の主気管支は左の主気管支よりも短い(というか、ほとんど無い)です。

で、この分岐角度の違いで、誤嚥したら右に入りやすい、と、よく説明されるのですが…。角度がいくら大きくても、こんな感じであれば、左に入るでしょう。


XP (35).jpg


実際は、ほぼ径は同じ(少〜し右が大きいですが)で、角度によって上から見たときの投影面積が右の方が大きくなるため、右に入る割合が大きい、と説明されます。


XP (36).jpg


XP (37).jpg


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posted by 長尾大志 at 12:46 | Comment(1) | 胸部レントゲン道場

2012年05月17日

胸部レントゲン道場7・縦隔陰影に注目する3・傍気管線(気管傍線)・奇静脈を認識する

あるものを「認識」する、気管で注目すべきは、傍気管線です。


傍気管線といいますのは、気管(の右端の壁)が右肺と接する部分が、線となって認識されるところです。実態は気管の壁(+胸膜2枚分)が見えているわけで、せいぜい1〜2mmの太さの線として認識できます。


XP (31).jpg


図の赤線あたりで認識される線です。

CTで見ると、気管と肺が接して(黄色線が接線として)、作っていることになります。


どのように使うか。



縦隔リンパ節の存在を見る2・傍気管線に良い例があります。


リンク記事のCTを見ていただくと、良くおわかり頂けると思いますが、気管の横にリンパ節があると、傍気管線を形成している「気管の壁+胸膜2枚」とリンパ節が一体化し、「傍気管線の消失」が起こるのです。



傍気管線に引き続いて、奇静脈弓を認識しましょう。


XP (32).jpg


図内の赤線が奇静脈なのですが、ちょうど気管分岐部の少し上でループ(=弓)を作っていて、その短軸方向での切り口がぷっくりふくらんで見えます(図の赤丸)。まあ、丸というよりは、紡錘形というか涙滴状というか、そんな感じの形です。


心不全、うっ血で拡張します。正常は径(厚み)5〜7mm以内です。


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posted by 長尾大志 at 14:39 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月16日

胸部レントゲン道場6・縦隔陰影に注目する2・気管を認識する

縦隔の見るべきポイントはいくつかありますが、まずはあるものを「認識」することから始めましょう。


まずは気管。
ここにある、空気の棒?みたいな、黒い帯です。


XP (29).JPG


通常は、声帯狭窄部から気管分岐部まで、すーっと追えるはず。


X3.jpg


すーっと追えましたか?
気管のあたりで見てほしいのは、


  • 走行(左右の偏位)

  • 狭窄の有無

  • 傍気管腺

  • 縦隔気腫



あたりでしょうか。
それでは、いくつか、サンプルを提示しましょう。


まずは先日お示しした、こちら。


XP (25).JPG


先日書いたように、左横隔膜挙上があります。
それだけではありません。




XP (30).jpg


気管がshiftしていますね。


横隔膜も気管も、左胸腔に引っ張り込まれています。
すなわち、左肺のvolume(容量、大きさ)が低下しているのです。


横隔神経麻痺との違いはここにあります。

横隔神経麻痺は、ただ麻痺しているだけなので、横隔膜が高位になるだけなのです。



これ以外のサンプルは、すでに結構記事としてブログ内に埋もれております。


http://tnagao.sblo.jp/article/43143243.html

とか、

http://tnagao.sblo.jp/article/44535949.html

を見ておきましょう。


さらに、

http://tnagao.sblo.jp/article/43281159.html

も、縦隔の所見として見逃されがちですので、注意しましょう。


いやー、それにしても、既にたくさんの記事がありますねー(自画自賛)。


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posted by 長尾大志 at 16:13 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月15日

胸部レントゲン道場5・縦隔陰影に注目する1・縦隔の動き

骨・軟部陰影を一通り見渡せましたか?


最初に書いたとおり、読影の順番は好きなようにして頂いて良いのですが、次にいろいろと見落とされがちなのは縦隔でしょう。


縦隔を見るときに、まず見てほしいのは

「ちゃんと正中に位置しているか」

ということ。


縦隔、というのは、中を管(血管や気管、食道)が通っている、ただの空間(パイプスペース)のことですから、臓器でも、構造物でもありません。押されたり、引っ張られたりすると、容易に動きます。



下のリンクを、まだご覧でない方は参照してください。

縦隔は思っている以上にやわやわ・健側へのshift1

縦隔は思っている以上にやわやわ・健側へのshift2

縦隔は思っている以上にやわやわ・患側へのshift1

縦隔は思っている以上にやわやわ・患側へのshift2


これらを参考にして、まずは、縦隔の偏位があるかどうか、を確認しましょう。


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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月14日

胸部レントゲン道場4・骨・軟部陰影に注目する3・肺の大きさを評価する

胸部レントゲン写真の、CTに対するアドバンテージの一つに、肺・あるいは胸郭の大きさが一目で評価できる、というものがあります。


CTでは肺の大きさがなかなか(特に一目では)、わかりにくい。


肺の大きさがわかりますと、肺に起こっている出来事が瞬時にわかります。


  • COPD・肺気腫の過膨張(大きくなる)

  • 緊張性気胸(大きくなる)

  • 無気肺(小さくなる=縮む)

  • 線維化(小さくなる=縮む)

  • 肺切除術後(小さくなる)




大きくなっているかどうかは、肋骨の何番目が横隔膜と交差しているかで判断可能です。

右でいえば、横隔膜と第10肋骨がちょうど真ん中へんで交差しているのが、正常の高さです。だいたい半肋間分ぐらいの上下は許容範囲としますので、第9肋間〜第10肋間に横隔膜が入っていれば正常範囲です。



それより横隔膜が上がっている場合、肺は小さくなっている、下がっている場合は大きくなっていると判断します。


それ以外には、横隔神経麻痺(片側性に横隔膜上昇)、腹部臓器、脂肪による横隔膜挙上なども鑑別に入ります。



それでは、いくつか、サンプルを提示します。


XP (23).JPG



パッと見でもおわかりかと。肋骨を数えてみると…。


XP (24).JPG


すっかり過膨張。
COPDの方です。

もう1枚。


XP (25).JPG


左の方が高いですね。右はギリギリセーフかと。


XP (26).JPG


左上葉切除後です。
左横隔神経麻痺との鑑別は…気管を見ればわかります。また、後日取り上げましょう。


もう1枚(2枚?)、経時変化を見ましょう。
ちなみに、胸部レントゲン、比較のコツも記事にしていますので、ご参考まで。


XP (27).JPG


2年間で随分横隔膜が挙上しています≒肺が縮んでいます。


XP (28).JPG


両側すりガラス影+肺が縮んでいる=線維化病変と考えられます。

こんなふうに、肺の大きさを評価する練習をしてみましょう。
まずは正常肺の肋骨を数えて、大きさを確認すると良いでしょう。


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posted by 長尾大志 at 15:35 | Comment(2) | 胸部レントゲン道場

2012年05月13日

胸部レントゲン道場3・骨・軟部陰影に注目する2・胸部レントゲンにおける肋骨の数え方

肋骨の所見を見るに当たっては、第○肋骨の溶骨性変化、などと言えなくてはなりません。
胸部レントゲンで肋骨を数えましょう。


ちなみに、胸部CTにおける肋骨の数え方は以前記事にしました。


まずはCT同様、鎖骨を見つけます。これはわかりやすいでしょう。横に長く伸びているやつ。


X14.JPG


X15.JPG


鎖骨が前胸部で、胸骨にくっついているところ、そのすぐ下にくっついているのが、第1肋骨です。結構丸いのですが、おわかりいただけるでしょうか。


X16.JPG


ちなみに、肋骨は椎骨にくっついているところ(後端)の方が、胸骨にくっついているところ(前端)よりだいぶ上なのですね。


X17.JPG


鎖骨と第1肋骨とは、こういう位置関係です。
この第1肋骨を、まず認識する練習をしましょう。


X18.JPG


第1肋骨がわかったら、次は第2肋骨。
第2肋骨は、第1肋骨の少し下、少し外側にあります。丸い形も少し大きい。


X19.JPG


同様に第3肋骨は、第2肋骨の少し下、少し外側にあります。丸い形もさらに少し大きい。


X20.JPG


このあたりまで来ると、肋骨の後ろ側が数えやすくなってきます。
肋骨は後ろ(上方)から前(下方)に、こんな風に走っています。


X21.jpg


前は厚みが薄くなるのと、肋軟骨に移行するため見にくく、後ろが見やすいです。
数えていくのも、後ろを数えます。

特に第4肋骨以降は、後ろが数えやすい。
ということで、こんな風に数えていきましょう。


X22.JPG


(第2、第3、第4肋骨は、前に行くところにも番号をつけてあります)


肋骨を数えるついでに、明日は肺の大きさも見ておきましょう。


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posted by 長尾大志 at 12:47 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月12日

胸部レントゲン道場2・骨・軟部陰影に注目する1

まずは、大きく眺めてみましょう。
できるだけ、肺野を見ないように(見てもいいけど)。


X5.JPG


肺の外には骨や軟部組織があります。骨・軟部影といわれる陰影に注目しましょう。

ここで、よく見かける所見としては、


  • 皮下気腫・縦隔気腫

  • 軟部組織内の腫瘤

  • 体幹の浮腫

  • 溶骨性・造骨性変化

  • 胃泡や腸管ガスの異常



など。
いくつか、サンプルを提示します。


X6.JPG


広〜く見渡しましょう。





そう、上腕骨です(丸印)。
ついでに、肺内にも結節(矢印)。


X7.JPG


上腕骨の溶骨所見が見られます。


X8.JPG


肺内の結節は左上葉の腺癌でした。
もう1枚いきましょう。


X9.JPG


右の写真は処置前です。処置後、何が起こったでしょうか。


X10.JPG


皮下に空気のかたまり(気腫)=皮下気腫ですね。
もう1枚。


X11.JPG




右上がおかしいですね。


X12.JPG


肋骨、Webでは見にくいかもですが、溶けています。


X13.JPG


赤い矢印先端、左には見られる肋骨が右では溶けています。
(だいたい、肋骨は左右対称にあります)



腸管ガス・腹腔の異常も、記事がありましたね。


今日はここまで。

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posted by 長尾大志 at 22:47 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月11日

胸部レントゲン道場1・まずは、眺めてみましょう

最初に、このレクチャーのベースになっているスライドは、元々Tよろづ相談所病院のH先生とF先生が使っておられたものをお借りして作成しておりますので、両先生に感謝の意を述べさせて頂きたいと思います。
H先生、F先生、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。




さて、まずは正常像を知らなくては、お話になりません。
正常像と正常構造です。


正常構造については、ちらちらと成書を眺めましょう。


とはいえ、話の都合もありますので、とりあえず書いてみました。
およそ正常と思われる方の胸部レントゲン写真と並べてみましょう。


X3.jpg


何となく眺めていても、「何となく」しかわかりませんので、まずはどこに着目して見ていくか、順番をご自分の中で定めましょう。


うちのカンファでは、だいたい有名な佐藤雅史先生の小三J法に近いやり方で読んでいますが、別にどういう順番で読んでも、差し支えはありません。

小三J法については、既に佐藤先生の特許みたいなコトになっていますので、ここでは取り上げません。知りたい方は書籍かDVDを購入しましょう。



読む順番のポイントは、「見逃しそうなところから読む、あるいは、見逃しそうなところをあえてしっかり読む」ということに尽きると思います。


順番を定めておけば、必ず一度は全てのポイントに目を配ることになるため、見逃しを減らすことができます。


だいたい、見逃しそうなところというのは決まっていて、


  • 何か(心臓・横隔膜)の裏、影

  • 骨や大きな血管とかと重なっているところ

  • 肺の外



です。肺野の黒いところに結節があるのを見逃す人はほとんどおられませんが、影になっているとこれが紛らわしいものです。


X4.jpg


また、胸部レントゲンを「肺のレントゲン」と思っていると、肺の外を見逃しがちであります。肺の外にも多くの情報が隠されているものです。


胸部レントゲン写真に含まれている多くの情報を、できる限り多く拾い上げる、もったいない精神が読影には不可欠なのです。


もっとも、胸部レントゲン写真のみならず、研修においては全てにおいて貪欲に、何でも身につけていこうという姿勢が望まれることはいうまでもありません。


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posted by 長尾大志 at 15:18 | Comment(2) | 胸部レントゲン道場

2012年05月10日

胸部レントゲン道場を開講しましょう

前回のポリクリ班諸君からいただいた貴重なご意見を元に、GWを利用して大幅にポリクリカリキュラムを変更しました。


特に胸部レントゲンに関しては、やはりある程度読めるようになった方がいい、という観点から、集中講義を行うことになりました。


スライドも整いましたので、こちらでも一度胸部レントゲン写真の見方を、ごくかいつまんで紹介したいと思います。


ただし、以前から書いていることではありますが、胸部レントゲンの見方を学ぶ上では、肺・縦隔・血管構造などをきちんと知ることが必須であります。ですから、本来は解剖図譜を横目で見ながらふむふむと読んで頂きたいところ。


しかしブログ上では、著作権の問題もあり、それはかないません。
その他にも、肖像権や諸々の問題があり、講義をブログ上に再現するのは困難であるがゆえ、これまでに記事にはしてこなかったのですが、それでも、胸部レントゲン写真を読影する

「コツ」

みたいなものは少しぐらいはお伝えできるのではないか、と思うに至りまして、ひとつ、思い切って、シリーズを開始しようかと思います。


あくまで、教科書を補完する「副読本」的にお使い頂ければ幸いです。ただ、きちんとレントゲンが読影したければ、一冊は「教科書」を買いましょう。「図表」なしでは理解できないところも多々ありますので。



このCT全盛時代に、あえて胸部レントゲン写真を極めてみる。
3Dだ、地デジだ?、という時代に、あえて白黒


決してそれは、ノスタルジーではなく、胸部レントゲン写真でなければわからないこともあるのです。また、若い皆さんが思っている以上に、胸部レントゲン写真には情報がたくさんあるのです。


講義を再現するのは無理でも、講義の「熱気」を読み取って頂ければ、幸いです。


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posted by 長尾大志 at 12:12 | Comment(0) | 胸部レントゲン道場

2012年05月09日

選択の科学The Art of Choosingすげー7

昨日で終わろうかとも思ったのですが、ちょっと付け足し。
本の中では、こんなことも述べられていました。


私たち一人一人は、一生の間に(昨日の記事と)同様の苦渋に満ちた決断を迫られる可能性が高いのです。アルツハイマー病患者は全米で450万人いると言われていますし、毎年6万人が新しくパーキンソン病と診断されています。また、男性の2人に1人、女性の3人に1人は浸潤性の癌を発症するといいます。


医療の質が向上し、寿命が延び、高齢化が進むことで、いつか親や愛するもの達、ひいては自分自身について、難しい選択を迫られる可能性が増す、という事態が生じやすくなってきているのです。


「たとえば、事故を起こしたりする用心のために母の車のキーを隠すべきだろうか。それともできるだけ自立した生活を送りたいという母の望みを聞き入れて、キーを渡すべきだろうか。…(中略)父が自力でものを食べられなくなったら、常時介護が受けられる介護施設に入れたほうがいいのか、それともヘルパーを頼むなどして、住み慣れた環境で、ある程度自分の意志で生活できるように暮らさせてあげるべきだろうか?」


どんな高齢であっても、病人であっても、人は自分に残されたわずかな自由を守ろうとして、他人の助けを拒絶することがあります。愛するものの選択を「取り上げる」ことを決定するのも、家族にとってはつらいプロセスでしょう。


そこで、医師が「○○さん、もう危ないから、運転はやめときましょうよ。」と一言申し上げれば、家族が祖母の運転免許証を返還するかどうかの葛藤を断ち切るきっかけとなり、無用の事故が1つ、減ることにつながるのかもしれません。


私たちは介護者になることで、選択にまつわる精神的負担を、他人の分まで引き受けることになります。

教授の同僚の経験、「治療をどうするか、介護をどうするかで何年も悩んでいたある日、突然はっと気づいたのは、母が、私が何をやってもやらなくても、いつかは亡くなるってこと。自分が母を治せないこと、母に自主性を戻してあげられないことを理解することは、私にとって本当に大切なことだった。そのおかげで、一緒に暮らした最後の数年間は、質の高い生活を2人で送ることだけを考えることができたの。完璧な介護者であろうとしていた時は、(却ってイライラしたり、母を怒ったりすることが多く)とてもそんなことはできなかった。」



長々と書いてきましたが、本の内容はとてつもなく広大で、様々なデータが引用されており、ここに記したのはホンのさわり、病状説明に関するところのごく一部に過ぎません。まだまだ「使える」データ、奥深い考察が満載なのです。

GWは終わりましたが、1人でも多くの方が、「選択の科学」をじっくり読まれて、より深い理解をされんことを念願するものであります。

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posted by 長尾大志 at 13:40 | Comment(0) | 病状説明の心得

2012年05月08日

選択の科学The Art of Choosingすげー6

医学的に厳しい状態におかれた患者さんがいるとしましょう。たとえば、人工呼吸器でかろうじて生命維持はできているものの、回復の見込みはなく、人工呼吸器を停止されてしまえば生命反応停止を意味する。


日本ではそういう場合、人工呼吸器の停止をする、という選択肢は現実問題としては「ない」のですが、米国では、尊厳死という言葉もあり、「ある」と考えてください。


医師はそれぞれの選択肢がどのような結果をもたらすかについて詳しく説明し、どんな質問にも答えました。その上で、延命中止の決定を下すのが医師である場合と、近親者である場合とで、残された人々が感じていた苦悩に違いはあったのでしょうか。


前者の場合、「ああするしかなかった」という確信を口にされることが多く、より患者さんが亡くなったことを受けいれやすいように見えました。

「確かに○○(名前)を失ったけれども、○○は私たちに大切なことを教えてくれた。」「あれは運命だった」という台詞が聞かれたそうです。

一方後者の場合、「あの選択でよかったのか」という苦悩、ストレスを残された人が負うことが見受けられました。



また、別の調査では、情報のある非選択者(前者に相当)、情報のある選択者(後者に相当)、情報のない非選択者(一昔前のように、説明を受けずに医師が治療法を選択する)を比較すると、「情報のある非選択者」が持っていた否定的感情は、「情報のある選択者」「情報のない非選択者」ほど強くなかったのです。


つまり、最終判断を下すのが仮に医師であっても、治療の「選択肢」を提示することで、状況のもたらす悪影響を和らげられることが明らかとなった、とされています。


また、「選択者」は、「非選択者」に比べて、判断に対する確信は強いものの、正しいと確信していたにもかかわらず、つらい気持ちも感じていたということです。


さらに、結果的に医師たちが延命治療を継続した、という場合でも、選択者の方が否定的な感情を多く持っていたとのことです。
すなわち、否定的な感情の大きさを決定する要因は、結果というよりも、自分がその結果をもたらした、という認識にあるように思われました。


加えて、医師が一方の選択肢を「医学的にみて望ましい」選択肢であると表明することによって、選択者と非選択者の感情に違いが見られなくなったのです。


アイエンガー教授は、これらの結果から、医師が望ましい選択肢をはっきり示すことで、困難な決定を担う人たちの負担を軽減できる可能性がある、ということ、そして、難しい選択の全責任、あるいは主要な責任を担わされる人たちの心にのしかかる重圧が、どれだけ大きいかが明らかになった、としています。


インフォームド・コンセントなどが一般的になって、患者さんやご家族に医療行為の選択をゆだねる、という場面も多くなっているかと思います。昨今ではインターネットである程度「医学的知識」も収集できるようになってきています。

ただ、そうはいっても医学知識、他の患者さんでどのようになったか、など、選択するために必要な情報は、当然医師の方が多く有しており、「妥当な」選択を下しやすい立場ではあるわけです。


というようなことを、病状説明にあたっては参考にして頂けるのではないか、と思い、ちょっと長々と、記事にしてみました。

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posted by 長尾大志 at 18:11 | Comment(2) | 病状説明の心得

2012年05月07日

選択の科学The Art of Choosingすげー5

次の章では、実際の「流行」はどうやって作られるか、また、同じメーカーで異なるブランドを展開している企業の事例など、興味深く読めましたが、さすがに本筋から外れますので、省略します。


そして、アイエンガー教授の有名なジャム研究。


要するに、選択肢は多い方がいいんじゃないか、と何となく思われていたのですが、そうでもない、せいぜい○個ぐらいが適当、という話です。


多すぎると、人はどれを選んだらいいかわからなくなって、結局買わない、ということらしいです。


これは様々な調査から同様の知見が得られていて、そういうときにどうするか、というと、最終的にはやはり専門家の助けを借りる、ということで「妥当な」「納得のいく」選択が可能になる、とされています。


たとえば、(アメリカの例で言うと)年金プランは星の数ほどありますが、専門家の助言を得た人々は、きっちりとリターンを得ていたのに対し、そうでなかった人々はあまり適切なプランを選択しなかったり、そもそも年金加入をしなかったりで、大幅にリターンが少なかった、という事例が挙がっていました。


永らく、関係なさそうな話が続きましたが…お待たせしました。


明日はいよいよ、医学的に厳しい状態におかれた患者さんの家族の選択と、その結果、そしてその選択を下したことについて、あとでその家族がどのように振り返っていたか、その調査結果と、その結果を踏まえて、病状説明で気をつける点について考察していきたいと思います。

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posted by 長尾大志 at 12:31 | Comment(0) | 病状説明の心得

2012年05月06日

選択の科学The Art of Choosingすげー4

昨日の続きです。シーナ・アイエンガー教授著「選択の科学」、かいつまんだ内容を紹介させて頂いております。もうGWは1日しかありません!思い立った方は書店へGO!



経験則と呼ばれるものがあります。選択を左右するバイアス、みたいなことです。


たとえば、想起しやすさ。

あの人の印象を決めているのは、あの時のあの赤い服、であったとします。普段はもっと地味な服を着ていても、印象に残っている赤い服を想起しやすい場合、「あの人は赤い服が好みなのだ」と思われがちと言います。


口コミとかもそうで、友人の一言が、インターネットの推薦コメントよりも店の印象を左右したりすることもあるでしょう。



たとえば、提示される方法。

これは広告やなんかで統計を見せられるときによく経験します。少しの差を大きく見せたり、ジャンルの違うものと比べたり、ということですね。



たとえば、関連づけ。

古くは星座もそうですし、バブル経済の時に「このまま上がり続ける」と何となく人々が信じた、パターン認識にも見ることができます。



たとえば、確認バイアス。

私たちはすでに何らかの「思い込み」を持っている場合に、それを裏付けるような情報を優先的に採用しがちだそうです。それだけでなく、その誤りを証明しかねない情報を、退けることすらするというのです。これ、結構身につまされます…。



ともかく、このような様々なバイアスによって、「正しい」選択が揺らぐ中、どうすれば「妥当な」選択をすることができるか。その1つの回答が、「専門的知識を持つ」ということ。


しかしながら実際、様々な分野において専門的知識を持つことは不可能であるため、専門家の助言を得るということがそれに置き換わるものとして活用されている、ということです。



他にも自動システムと熟慮システムの葛藤、就職活動に関する研究、たとえば恐怖心と好意のような強い感情を脳が混同する、など、面白いところもありますが、先を急ぎましょう。

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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | 病状説明の心得

2012年05月05日

選択の科学The Art of Choosingすげー3

昨日の続きです。シーナ・アイエンガー教授著「選択の科学」、非常に示唆に富む内容でありますので、特に時間のある学生さんには是非読んで頂きたいのですが、多忙な研修医・レジデントの皆さんのために、かいつまんだ内容を紹介させて頂きます。


占いとか、予言者とか、ありますよね。


そういうことを信じている方は、今回は読まれないようにお願いします。
反論をいただいても、私では対応困難ですので。


まあ、これは米国で育った著者の考え、ということを前提に読んでいただければと思います。


人は誰でも、自分は個性的である、「その他大勢」とは少し違うと思っているのですが、実際のところ、人は自分が思うほどには他人と違っていないのです。そして、人(誰でも)がもつ自己イメージや理想像は、だいたい同じようなものなのです。


ですから、占いとかをやっている人は、この前提をもって、あとはお客さん?の反応、表情を見ながら、占いを組み立てていく、こうすれば、多くのお客さんは「当たった!だって私は、他の人とは違うのだもの」となるのです。


多くの人は、自分はその他大勢とは少し違っていて、それでいてあまりにも違いすぎず、という場所が居心地がいいようです。自分自身のことは隅から隅まで知っている、でも他人のことは、ほんの一部しか知らない。自分が考えて出した結論は、その思考過程が(いろいろ考えたことが)つぶさにわかるが、他人の結論は結論しか見えず、「安易に、他人と同じ」結論を出したかのように見える、というのが一つの理由だそうです。




イソップ物語の「すっぱいブドウ」の話は、ご存じの方が多いと思います。キツネがブドウをとろうとするのですが、どうしてもとれない。あきらめて立ち去るときに「どうせあのブドウはすっぱいさ」と言う、という話です。


このキツネの行動は、私たちが自分の信念と行動の不一致(これを不協和といいます)に気づいたときに、これを軽減するために本能的に取る方法の典型例であるそうです。


自分の行動が信念に矛盾していることに気づいても、行動を取りやめることができないため、信念の方を行動にあわせて変更することで、矛盾を解消するわけです。


たとえばこのキツネが、実際にブドウを食べてみて、それがすっぱかったなら、「すっぱいブドウもいいもんだ」と言ったかもしれません。


同様に、私たちがいったん自己像を作り上げると、それを裏付けるような選択をすることで、不協和を事前に回避しようとします。この例も豊富にあるのですが省略。


また、私たちは、自分の「人となり」を他人にできる限り正確に見せるように、ライフスタイルを組み立てていく傾向にあるそうです。衣服や食べ物の好みに始まり、行動や仕事面での選択もそうなのですね。


日々の選択を行う際に、自分の人となりや目標に対してどのような選択が合致しているか、ということのみならず、その選択が他人に対してどう写るか、どう受け止められるか、ということも計算して選択をしている、というのです…。


その他、自己イメージと他人による認識のギャップ、など、興味深い考察はたくさんあるのですが、少し飛ばしまして、明日は選択を左右するバイアスについて考察しましょう。

う〜ん、ますます医療から離れてきた…。いや、でも、このくだりは今後の展開に大切なので、もう少しおつきあいください。

そしてどうやら、GW中には終わりそうにないですね…。

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posted by 長尾大志 at 12:12 | Comment(0) | 病状説明の心得

2012年05月04日

選択の科学The Art of Choosingすげー2

昨日の続きです。シーナ・アイエンガー教授著「選択の科学」、非常に示唆に富む内容でありますので、特に時間のある学生さんには是非読んで頂きたいのですが、多忙な研修医・レジデントの皆さんのために、かいつまんだ内容を紹介させて頂きます。


GW中は続くかもしれません…。まあ、見ている方も少ないと思うので、たまにはいいでしょう(最後には、ちゃんと医療の話になりますので)。


個人の選択を行う際に、その人が個人主義的な文化に属しているか、集団主義的な文化に属しているかが、大きく影響します。


個人主義的文化と集団主義との違いは、たとえば取り決め婚(集団主義的な社会における)と恋愛結婚(個人主義的な社会での)はどちらが幸せか、とか、かなり興味深い考察があるのですが、本筋から外れますので省略。


いくつかの実験から言えることは、個人主義文化で育った人は、選択を「自分で」決定することに重きを置き、自分で選択できる選択肢が多い方が、たとえば仕事面でのモチベーションが上がったり、学業の成績が上がったりする一方で、集団主義文化で育った人は、たとえば「母親が課題を選択した」方が子供の成績が良かったり、最初からマニュアルのような、選択の余地がないものが多い方が仕事面でのモチベーションが高かったりするそうです。


1989年にベルリンの壁が壊された後、元々東ドイツであった東ベルリン市民はあふれんばかりの自由(と選択肢)を享受したのですが、時間が経つにつれ、それに対する戸惑いや不満が増しているという調査もあり、かれらが元々持っていたものの考え方に環境が合わない場合、それがどうやらストレスになるようだ、ということがわかってきました。


すなわち、アメリカのような個人主義社会では、人はより「自己決定権」が多いことを重要視し、集団主義社会では、「周囲との調和」「公平であること」などを重んじるようです。


このような背景を理解することが、「異文化」の理解にも役立つのではないでしょうか。

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posted by 長尾大志 at 18:07 | Comment(0) | 病状説明の心得

2012年05月03日

選択の科学The Art of Choosingすげー1

以前にも触れましたシーナ・アイエンガー教授著「選択の科学」、ようやく読了しました。
途中までも「なるほど〜」の連続でしたが、圧巻は第7講。


医学的に厳しい状態におかれた患者さんの家族の選択と、その結果、そしてその選択を下したことについて、あとでその家族がどのように振り返っていたか、きっちりと裏付けをとった研究デザインがくまれていました。



非常に示唆に富む内容でありますので、特に時間のある学生さんには是非読んで頂きたいのですが、多忙な研修医・レジデントの皆さんのために、かいつまんだ内容を紹介させて頂こうと思います(でも興味がわいた方は、是非通して読まれることをお勧めします!GWですし)。




まず、そもそも動物には「選択したい」という欲求があります。これはラットの実験でも明らかになっていて、かなり根源的な欲求のようです。


自分の置かれている状況が、ほとんど何も選択の余地がない、選択できない立場の生き物、たとえば動物園の動物は野生の動物よりも寿命が随分短い。
あるいは、ストレスの多そうな、贅沢をしていてメタボそうな社長の寿命の方が、従業員の平均寿命よりも長い、ということがわかっています。


では、選択の幅は、多い方がいいのか。

もっと言えば、自由であればあるほど、人は幸せなのか。


これについては、皆さんもいろいろなお考えがおありでしょう。


ある調査によると、何もかもが決められているような、いわゆる原理主義的な宗教の信徒は(たとえば私たち日本人からすると、食べ物もあれはダメ、これもダメ、どこに行っても1日何回かのお祈り、果ては結婚相手も自由に選べない…)、他の人々に比べて、宗教により大きな希望を求め、逆境により楽観的に向きあい、鬱病にかかっている割合が低かったそうです。


逆に悲観主義と落ち込みの度合いが最も激しかったのは、無神論者や自由の多い宗教に属する人々でした。


制約は必ずしも自己決定権を損なわず、思考や行動の自由が必ずしも自己決定「感」を高めるわけではない、ということだそうです。


「自分の人生を自分でコントロールできている」という感覚は、その人がコントロールというものをどのように理解しているかによります。

その人がそもそも「個人の選択を通じてこそ、環境はコントロールできる」と信じているのか、「世界を支配するのは神であり、神の御旨を理解し、忠実に従ってこそ、人生に喜びを見いだせる」と信じているのか。おそらくそれは、どこで、どんな親の元で生まれたかによるので、コトはそう単純ではありません。

選択に対する考え方は、国によって、分化によって異なるのであります。


明日に続きます。

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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(2) | 病状説明の心得

2012年05月02日

なぜポリクリにおいて、こんなカタチのフローボリューム曲線が散見されるのか

ウチではポリクリで回ってきた学生さんに、必ず肺機能検査をやってもらっています。本だけの知識ではなく、実際にやってもらうことで、より深く理解してもらうためです。


肺機能は努力、あるいはやり方にある程度依存するところがあるので、本来患者さんで肺機能を測定する場合は、何度かやってコツを掴んでいただいて、最良の値をとるのが常。


といって、4〜6人いる学生さん、全員に何度もやっていただくわけにもいかず。
1人1回ずつとさせていただいております。


ということで、ぶっつけ本番となってしまい、うまく吹けない症例?も散見されます。


スライド83.jpg


これは…?


フローが上下していますね。


患者さんでこれであれば、


「咳き込んだ」


可能性を考えます。


しかし、ポリクリの場では…




特にフローボリューム曲線のように、努力にかなり依存するものは、曲線の解釈が重要であります。


1秒率などの「数字」だけをみて70%を下回っていても、きちんと吹けていない結果の数字であれば、それは「病気である」ことを意味しません。


しっかり吹けたのかどうかは、曲線を見ればすぐにわかります。もちろんウチでもそうですが、しっかりした検査技師さんのおられるところであれば、患者さんが変な吹き方をすればやり直し!となります。

でもそうでない場合、自分でやる場合などもあります。
フローボリューム曲線を見て、きちんと解釈できるようになっておきたいものですね。


長くなりましたが、このシリーズはいったん終わります。


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posted by 長尾大志 at 19:17 | Comment(2) | フローボリューム曲線のすべて

2012年05月01日

なぜ男子学生諸君のフローボリューム曲線は、こんなカタチが多いのか

ウチではポリクリで回ってきた学生さんに、必ず肺機能をやってもらっています。


肺機能は努力、あるいはやり方にある程度依存するところがあるので、本来患者さんで肺機能を測定する場合は、何度かやってコツを掴んでいただいて、最良の値をとります。


とはいえ、4〜6人いる学生さん、全員に何度もやっていただくわけにもいかず。
1人1回ずつとさせていただいております。


ということで、ぶっつけ本番となってしまい、うまく吹けない症例?も散見されます。
多いのが…


スライド80.jpg


のような曲線。
どうして、このようなカタチになるのでしょうか。


これはもう、最初の一瞬でドン!とフローが立ち上がる、そのときの思い切りが足りないから。


きちんと吹ければ


スライド82.JPG


のように、最初の一瞬でウーッ!とフローが立ち上がるわけですが、なんとなく、

ーッ

みたいな感じで吹かれると、ピークが立ち上がらず、てっぺんが丸っこくなってしまうのです。

ポリクリでは、「優柔不断型曲線」と呼ばれています…。


スライド81.jpg

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posted by 長尾大志 at 19:16 | Comment(0) | フローボリューム曲線のすべて

2012年04月30日

黄砂とアレルギー疾患

ここ数日はここ滋賀では好天に恵まれ、うちでもようやく布団を干したり、シーツ類の洗濯をしたりできました。
また、室内が多かった反動からか、子供たちがずっと公園で遊びます。それにつきあっていると、黄砂を感じることが多く…。



先日メーカーMRさんから、「黄砂のアレルギー疾患への影響」というパンフレットをいただきました。


「黄砂とは中国の内陸部やモンゴルの砂漠地帯、黄土地帯から強風により大気中に舞い上がった砂塵のことで、偏西風によって朝鮮半島や日本、さらに北米まで運ばれます。日本では春に観測されることが多くなっていますが、秋に観測される場合もあります。」(「「黄砂のアレルギー疾患への影響」小野薬品工業株式会社より)


黄砂はもちろん砂ですが、中国上空を通る間に様々な大気汚染成分や枯草菌、真菌などが付着することで、そうした物質が砂とともに体内に入り、アレルギー疾患を引き起こすとされています。


砂といっても、当然いろいろな大きさの粒子を含みます。風に乗って運ばれる際、大きな粒子は割とすぐに落下しますが、小さい粒子ほど遠くまで飛ばされます。

そんなわけで、日本まで飛んでくる粒子は、中国や韓国で落下する粒子と比べて小さな粒子で、眼や鼻の粘膜のみならず細気管支にも入り込み、眼症状、鼻症状とともに喘息症状を引き起こすのです。


そこで、小野薬品さんは「それらの症状はロイコトリエンが関与しており…」みたいなことを書いておられます。


それもそうですが、個人的には、砂であるが故か、マスクの効果は絶大と思います。まあ、「個人的な感想」ですが、マスクをすればほぼ症状は出ずに済みます。

むき出しの眼については、洗うのが一番と思います。曝露後すぐに洗うと、ほとんど後腐れがないようです。
もちろん、個人差はあるかと思いますが、砂だけに花粉そのものよりも、洗い流しやすい印象があります。


皆さんも個人的にいろいろとお考えはあるかと思いますが、患者さんに説明される際に、一つの参考になれば幸いです。

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2012年04月29日

いかに失敗から学ぶか、それが問題

以前にも引用させていただいた、大谷大の鷲田清一教授の寄稿が4月21日付の京都新聞に載っていました。
今回のテーマは、「失敗というチャンス」。


以下、大意を引用させていただきます。

科学の実験や技術開発では、何万回と果てしなく実験を繰り返す中で、ごくたまにあっと驚く結果が出て、それが新しい発明や発見の種になる。

失敗の経験こそがいろいろな意味での成長につながるのであるが、今私たち大人は若者たちに、本人が納得するまで失敗させてあげる、そんな機会をちゃんと与えているだろうか。

失敗を極端なまでに恐れる役所、失敗ということを想定せずに組み立てられてきた事業…そんななかで人々は、責任の追及と責任の回避にばかり頭を使っている。

(引用ここまで)


医学教育でも同じことがいえます。もちろん、患者さんの命を預かる現場で、「失敗の奨励」はありえません。
しかし、たとえば「想定した経過とは異なる結果」になった場合、その患者さんから学ぶべきことは多いわけです。同じ肺炎症例を診ても、型どおりに抗菌薬を投与して、よくなった、というのと、抗菌薬を投与してもよくならない、どうしてだ…となるケースでは、後者の方が圧倒的に勉強されるし、身にもつくわけですね。


その意味では、「いわゆる失敗」というチャンスから何を学ぶか、これが肝であります。失敗して凹んでいる場合ではない。
私たちも、失敗した、うまくいかなかった、という点を責めるのではなく、そこから何を学ぶか、というところを教えなくてはなりません。

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posted by 長尾大志 at 22:52 | Comment(0) | 教育理念・メッセージ

2012年04月28日

昨日の記事に補足

昨日の記事に対して、珍しくご意見をいただきました。
時間もなく、言葉足らずであったように思いましたので、少々補足したいと思います。


まず、

「とにかく、早くいろいろな手技をしたい」

  とか、

「とにかく、救急症例をいっぱいみたい」

という、若い先生方の気持ちを否定するものではない、ということ。


若いときにガツガツ、いろいろやらなくてどうしますか。
どんどんやるべきでしょう。


ただし、それだけではない、ということを言っておきたいのです。


たとえば、以前に書いたような、医療過疎地域に必要とされている「プライマリ・ケアができる家庭医」であれば、手技はあくまで必要条件であり、正しい診断過程であったり、丹念に患者さんやご家族とお話をしたり、地域のことや財政、はたまた周囲の細菌環境などなど、多くのことを考えに入れて、診療を行える「実力」を身につけていきたい。


そういうことは、その地域で「続ける」ことで、はじめて身についてくるものかもしれない。


たとえば外科系であれば、「1日メスを持たなければ感覚が狂う」。これも「続ける」ことが重要なのかと思います。


何度も書いていることですが、若いうちは、できるだけいろいろな体験をしてほしい。
そして、自分の居場所で、力一杯頑張る。そうしていると、だんだん、自分の「なすべきこと」が見えてきて、それに向かって突き進んでいく…


続けることができる人は、強いです。
子供たちにも、そうなってほしいなーと思っていたりします。

そして、若い先生方にも。

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posted by 長尾大志 at 23:25 | Comment(0) | 日記

2012年04月27日

早期教育は、その子の将来に何もメリットがない

今日は、呼吸循環器内科合同?の、新人歓迎会。
先ほど終わりました。


今日は時間配分を間違えたため、フローボリューム曲線の話の続きはまた今度にして、
先ほどの会でK先生と話していたことを書きたいと思います。


要は、「継続は、力なり」ということ。
某受験通信教育講座で使い古されているフレーズですが、受験、という場にとどまらず、
もう少し深い意味合いがあるかと思います。


というのは、たとえば医師の世界でも、10年、20年としっかり研鑽を積んでいくことが、
本当は大事であるのに、今の若い先生方の中には、

「とにかく、早くいろいろな手技をしたい」

  とか、

「とにかく、救急症例をいっぱいみたい」

という強迫観念みたいなものが見え隠れしたりするのです。


それは、あたかも若いママさんが、子供の早期教育に熱心になっているがごとし。

幼稚園から塾。

お受験。

中学受験。

そして子供はそのあたりで疲れ切り、不登校…というのは極端な例ですが、
最近言われている、早期教育がその子の将来にメリットがない、というのは、
そのようなリスクも含めてみるとあながち的外れな考えでもないように思います。


それよりも大事なことは、熱中する力や、好奇心を持ち続けること。
これも各方面で言われ始めています。


そう、人生において大事なことは、「続ける」力ではないかなと思うのです。

最初のスタートダッシュで焦らなくても、研鑽を続ければ、最初の(たいしたことのない)
手技の差、救急経験の差なんて、5年後にはすっかり埋まっています。


逆に、途中で「継続をやめて」しまえば、スタートダッシュなんて、すぐに追いつかれてしまうのです。

若いうちは、なかなかそういうことに、目が向かず、派手な方へ、格好いい方へ目が向くんですよね〜。


日が変わりそうなので、この辺で。

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2012年04月26日

なぜ肺線維症患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか

肺線維症。
肺が、線維化によって硬くなります。そのため、主に伸びにくくなるのです。
あー、肺線維症の機序っつーかメカニズム、やってませんね−。Figureがなかなか難しいんですね…(汗)。


ともかく、線維症の肺は…


  • 周り(胸膜直下)が硬くなる

  • そのため、肺の伸び縮み(特に「伸び」)が妨げられる

  • つまり、肺活量は低下する

  • 肺胞領域の線維化のため、細気管支が拡張し、末梢気道の抵抗が減る



最後のところ、また近々解説いたしますが、とりあえず今は、そういうもんだと思ってください。「肺活量の低下」と、「末梢気道の抵抗が減る」ところが、肺線維症のフローボリューム曲線のカタチを特徴付けます。


スライド59.JPG


通常の肺よりも、線維症の肺は小さい。


スライド70.JPG


そこで、肺活量は通常、こんな感じですが…


スライド71.JPG


少なくなります。


スライド72.JPG


肺活量が小さくなる、ということは、最初の一瞬で出てくる空気量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークフローは、健常者よりも下がります。


スライド73.JPG


スライド74.JPG


それ以降、末梢の空気が出てくる相のフローで、気道抵抗が健常者と同じであれば、そこから描かれる曲線はまっすぐ、図の点線のようになるはずです。


いつものように、50%息を吐いた状態を考えますと…。


スライド75.JPG


フローも本来、ピークの50%になるはず。


スライド76.JPG


しかし、最初に書いたとおり、末梢気道は拡張しており、抵抗は減るのです。すると、フローはピークの50%まで落ちない、ということになります。


スライド77.JPG


そしてその後は、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ですから、この場合のフローボリューム曲線は、上向きに凸の曲線になります…。


スライド78.JPG


最終的には、こんなカタチの曲線になるのですね。


スライド79.JPG


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posted by 長尾大志 at 20:36 | Comment(0) | フローボリューム曲線のすべて

2012年04月25日

なぜ気管〜上気道狭窄のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか

しばしば国試などで問われる、気管〜上気道狭窄。
これについて考えましょう。


普通の肺との違いは…


スライド59.JPG


スライド60.JPG


上の方の気道のどこかに、狭い部分があるわけです。
狭くなっているため、その部分を通れる空気の速度には、上限(「ある速度」)があるのです。


スライド61.JPG


こういう例でのフローボリューム曲線、まず、最初の一瞬で出てくる空気からして、「ある速度」以上は出ません。そのため、ピークフローがまず頭打ちになります。


スライド63.JPG


その後も、本来であれば描かれるであろう、「ある速度」以上の領域の本来のフローボリューム曲線(図の点線)の間中、フローは「ある速度」を超えることはありません。


スライド64.JPG


スライド65.JPG


そして、本来のフローボリューム曲線が「ある速度」と交わるあたりまで息を吐きますと、それ以降は本来のフローボリューム曲線の通りに描かれていくわけです。


スライド66.JPG


最終的には、このような曲線になります。


スライド67.JPG


ちょっとあっさりしてますか?
今日はポリクリなどが長引いたので、この辺で。

キーワードは「お腹いっぱい」

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posted by 長尾大志 at 19:25 | Comment(0) | フローボリューム曲線のすべて

2012年04月24日

ではなぜCOPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2

前回の話では、まだ50点。
まあ、フローボリューム曲線のカタチとしては、それでいいのですが。


肺活量、残気量、というものを考えなくてはなりません。


フローボリューム曲線のグラフ上では、おおよそここに当たります。


スライド52.JPG


残気量というのは、息をいっぱいに吐いたときに、なお肺の中に残っている空気でした。
COPDになると、息を吐いたときに、吐ききれない空気=残気量が増えてきます。


その分、肺に空気の固まりができている、と考えるとわかりやすいでしょうか(実際は少し違いますが…)。


スライド53.JPG


ともかくその分、残気量が増加する(その分、最大呼気位は左にずれます)。
そして肺活量(図の赤矢印=最大吸気位と最大呼気位の差)も減少します。


スライド54.JPG


肺活量が小さくなる、ということは、最初の一瞬で出てくる空気量も減るわけです。それに最初の一瞬で肺に陽圧をかけても、ぐにゃぐにゃの肺はすぐには縮みません。かけた陽圧は、中にしっかり伝わりません。


スライド42.JPG


そんなわけで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークは、健常者よりも下がります。


スライド55.JPG


つまり、ピークフローが低下するのです。


次の瞬間、末梢の空気が出てくる相のフローを考えましょう。


スライド43.JPG


肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失し、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです。結果、呼気時に気道抵抗が生じます。


スライド44.JPG


なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2で考えたように、呼気抵抗がありますと、次の瞬間、フローボリューム曲線はガクンと、急峻に低下しますね。


たとえば25%の空気を呼出した段階では、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。


スライド56.JPG


そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ここでも、下向きに凸の曲線になります…


スライド57.JPG


…というわけで、COPD患者さんのフローボリューム曲線は、健常者のフローボリューム曲線より小さく、下に凸で、全体的に左よりのカタチになるのです。


スライド58.JPG


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posted by 長尾大志 at 18:56 | Comment(2) | フローボリューム曲線のすべて

2012年04月23日

ではなぜCOPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか1

フローボリューム曲線のお話に戻ります。
COPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチでしたね。


スライド39.JPG


なぜ、こうなるか、メカニズムを考えてみましょう。


COPD(肺気腫)患者さんの肺は、こんなふうに肺の中に穴が開いています。


スライド40.JPG


見方を変えると、肺の中に空気の固まり?が入っているようですね。これを見て、(顕微鏡とかのなかった)昔の人は、の中に空の固まり(瘍)ができる病気じゃ〜!といい出しまして、肺気腫、という言葉ができたわけです。


肺気腫になりますと、肺が穴だらけになるわけで、肺がグニャグニャ、ふにゃふにゃになります。すると肺は弾力がなくなり、伸びやすく、縮みにくくなります。こういう状態を肺のコンプライアンス増加、といいます。


この状態の肺で、例によって思いっきり息を吐きます。そのときには、肺に思いっきり胸壁、横隔膜から陽圧がかかるのですが、


スライド41.JPG


最初の一瞬で肺に陽圧をかけても、ぐにゃぐにゃの肺はすぐには縮みません。かけた陽圧は、中にしっかり伝わりません。


スライド42.JPG


そんなわけで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークは、健常者よりも下がります。


スライド45.JPG


つまり、ピークフローが低下するのです。


スライド46.JPG


ということで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)が健常者よりも少なくなりました。
その後スムーズに息を吐き続ければ、そのまままっすぐストンと行くはずですが…。


スライド47.JPG


次の瞬間のフローを考えましょう。
次の瞬間とは、末梢の空気が出てくる相です。


スライド43.JPG


肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失し、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです。結果、呼気時に気道抵抗が生じます。


スライド44.JPG


なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2で考えたように、呼気抵抗がありますと、次の瞬間、フローボリューム曲線はガクンと、急峻に低下しますね。


たとえば25%の空気を呼出した段階では…


スライド48.JPG


25%減のスピード、つまり、ピークの3/4のフローにには…


スライド49.JPG


なりません。気道抵抗があると、フローはその抵抗によって、ガクンと低下しますから、25%の空気を呼出した段階で、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。


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そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ここでも、下向きに凸の曲線になります…


スライド51.JPG


ん?

これでいいですか?


ちょっと待ったー(古い、てか前にもやりましたね…)!


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posted by 長尾大志 at 16:38 | Comment(0) | フローボリューム曲線のすべて

2012年04月22日

日本呼吸器学会総会ガイドラインセッション「薬剤性肺障害の手引きについて」見聞録

引き続き、日本呼吸器学会総会のご報告。
ガイドラインセッション「薬剤性肺障害の手引きについて」見聞録です。


最近やはり当院でも薬剤性肺障害が多く、講演、質疑とも大変興味深く承りました。
超満員、立ち見多数でしたが、本講演が終わって質疑応答の時間になったとたん、
ぞろぞろと出て行く人が多く、最初の谷口先生の大変重要なご質問が聞き取りにくかったのが残念です。

出て行かれた方々は、もったいないことでした。



備忘のため、メモをoutputしておきます。
うちのスタッフ、誰にも会いませんでしたが、誰かいたかな〜?
追加事項があったら教えてください。


  • MTXとニューモシスチス肺炎は、臨床像(画像、BAL、組織)に差はなく、鑑別はしばしば困難。
    喀痰でのニューモシスチスPCRは常在との鑑別の問題あり、論議があるところ。
    βDグルカンも当初陰性例あり、治療開始をやめる根拠にはならない。

  • そもそもニューモシスチス肺炎自体、病原体による直接傷害というより、免疫機序による傷害であるので、ある程度の呼吸状態悪化あれば、ステロイド使用は必須である。

  • 逆にMTX肺炎の診断で、LSTは(特に外注では)手法の標準化ができておらず、信頼性が薄い。
    特に、漢方薬・MTX・TS1他、会社によってばらつきやすく、そこが問題である。健康コントロールが本来必要であることから、BALによるLSTは結局評価できないことになる。

  • 結局、PSLを0.5〜1mg/kg使用して改善なければ、STを使用してみる、というのが現実的。

  • 薬剤性肺障害は血液によって来る薬剤による反応なので、健康肺優位になることも有り。

  • ペメトレキセドによる間質性肺炎はあるデータでは0.5%程度報告されており、時に致死的。

  • インフリキシマブとエタネルセプトでは、市販後調査でも間質性肺炎の新規発症はほとんど報告されていないが、既存病変の悪化はあり、使用前のスクリーニングが重要である。

  • エルロチニブによる間質性肺炎は、HRCTにてすりガラス影を呈していても、組織的にDADであることが知られている。

  • エルロチニブは今後、膵臓癌に対してゲムシタビンとの併用療法を予定されており、ゲムシタビンにも間質性肺炎のリスクがあることから、気をつけておかなければならない。

  • ALK阻害薬に関しては、相当よい効果も得られているようだが、間質性肺炎についてはまだ1例のみの報告で、これからの評価が必要。

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posted by 長尾大志 at 12:17 | Comment(5) | 間質性肺疾患シリーズ

2012年04月21日

日本呼吸器学会総会に行ってきました。

この時期、毎週のように総会があるのですが、今年は京都、神戸と関西でやっていただき、助かっています。


今日は神戸にて。

先週に引き続き、とんぼ返りとなりましたが…。


薬剤性肺障害の手引きに関してのガイドラインセッションを聴講。それに、最近症例が多く、気になっていた肺胞出血のコーナーを中心に、急ぎ足でポスターを見て回りました。


まあ、何というか…診断・治療などについて、うちのカンファレンスをくぐり抜けた先生は、結構自信を持っていいと思います。



帰りにケーキ屋さんの前を通りがかり…
おいしそう!!


2012-04-21chinami 005.JPG


思わずお買いあげ。んまい!
やっぱり神戸はいいな〜。


「○○しとう〜」という懐かしいフレーズも耳に心地よく、
しばらく住んでみたいな〜とか、ちょっと思いましたね。

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posted by 長尾大志 at 22:59 | Comment(2) | 日記

2012年04月20日

なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2

健常な方であれば、思いっきり息を吹きますと、フローは一瞬でピークに達した後、残存している空気に量に比例して、徐々に低下していきます。


たとえば25%の空気を呼出した段階では、25%減のスピード、つまり、ピークの3/4のフローになります。


スライド35.JPG


ところが、気道抵抗があると、フローはその抵抗によって、ガクンと低下しますから…。
25%の空気を呼出した段階で、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。


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そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。


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そういうわけで、呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチ…


スライド38.JPG


下向きに凸の曲線、になるのです。


このようになる原因ですが、最も良くあるのは、痰が絡んだ場合。
たとえば、重喫煙者で、COPDにまで至っていない方でも、こんなカタチになります。

あと、喘息で、慢性的に末梢気道狭窄があるような方でもこんな感じになります。


それでは、気になるのは、COPDの患者さんだとどうなのか。

それは…(続く)


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posted by 長尾大志 at 11:13 | Comment(0) | フローボリューム曲線のすべて