2017年06月23日

症例検討会BRONCHO10−6

レジオネラ肺炎の特徴は、一言で言うと「変な肺炎」です。


普通の細菌性肺炎ですと、肺以外の症状が出ることはあまりありません。敗血症やショックなどかなり重症の肺炎で意識障害を来すとか、そんな感じではないでしょうか。


でもレジオネラ肺炎では肺炎以外の症状が前面に立つことも多いものです。

  • 意識障害、頭痛:細菌性肺炎ではよっぽどの重症例。

  • 消化器症状:下痢、嘔気・嘔吐、腹痛など。

  • 高熱(比較的徐脈を伴う)

  • 関節痛



逆に咳や膿性痰といった、いかにも肺炎、な症状はあまりみられません。


ウチみたいな呼吸器科ですと「肺炎、だけど変」みたいな見つかり方をすることが多いのですが、救急の現場でしたら「意識障害、だけど肺にも所見」「下痢、消化器症状、だけど肺にも所見」みたいな見つかり方をすることも少なくありません。


そういうときに参考になる検査所見。もちろん尿中抗原検査は特異的で、頼りになりますが、血清群が1のものしか陽性にならず、感度の低さが問題とされています。以下のような検査値異常があると、レジオネラを考えるきっかけになると思います。


  • 肝酵素上昇:肝機能障害=消化器症状を意味します。

  • 高CK血症:一般的には特異度の高い所見といえるでしょう。まあ細菌性肺炎でも、激しい悪寒戦慄があったり、筋肉注射を受けたりすると高値にはなりますが、本症例のように4ケタぐらいになることも珍しくありません。

  • 低Na血症:結構特異度が高く、鑑別に役立ちます。

  • 低P血症:こちらも結構特異度が高いとされています。





明日6月24日(土)はメディカ出版セミナー『急性期・術後の呼吸器ケア』東京会場@損保会館です。これから東京に向かいます。明日参加予定の皆さん、よろしくお願い申し上げます!

http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:55 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月22日

症例検討会BRONCHO10−5

肺関連の症状とデータ、画像的には肺炎の存在が考えられますが、発熱と同時に軟便、という違和感、さらにデータ上低Na、低P、高CPK、オマケに?比較的徐脈もあるとくれば、診断はレジオネラ肺炎となるでしょう。尿中抗原陽性で確認出来たかと思います。


治療はキノロン系抗菌薬投与になります。本症例でもLVFX使用し、経過は…


スライド20.JPG


いかにも、の比較的徐脈ですね。治療後経過は良好で、入院5日目には解熱し無事に退院されました。



Q:レジオネラ肺炎の特徴を挙げて下さい。


Q:比較的徐脈の鑑別は?


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月21日

症例検討会BRONCHO10−4

昨日はあえて選択肢を書きませんでしたが、おわかりでしたでしょうか。


胸部X線写真では一見異常所見がわかりにくいと思いますが、cracklesを聴取したのと同じ左下肺野をよ〜く見てみると…濃度上昇が見られますね。


スライド18.JPG


下行大動脈のシルエットサイン陽性であり、下葉の濃度上昇があるとわかります。CTを見ますと…


スライド19.JPG


確かに左下葉、下行大動脈に接してコンソリデーションが見られます。


血液検査データを見てみると、目立つのが


WBC 17.4 H
CRP 26.26 HH
プロカルシトニン3.87 H
PLTS 138 L
FIBG 815 H
Dダイマ- 1.5 H
LDH 263 H
UN 31.4 H
CRE 1.27 H
NA 129 L
CL 95 L
P 2.1 L
CPK 2096 HH
GLU 512 HH


といったところですね。炎症反応が強く、フィブリノゲンやLDHの増加は炎症反応と臓器障害を想起しますし、高血糖は糖尿病症例のシックデイであまり特異的ではありませんが、低Na、低P、高CPK、これはいかがでしょうか。ここに先の『違和感』を解くカギがあるのではないでしょうか。


その他の検査結果を見てみましょう。



【静脈血ガス】
pH7.417 PvO2 26.9, PvCO2:43.2, BE2.8, HCO3 27.3, Na128, K4.8, Cl97, AG9.0, 282.6Osm, Glu473, Lac 23

【尿検査】
WBC-, 蛋白2+, pH6.0、潜血3+、比重1.010、ケトン1+、糖5+

肺炎球菌抗原(-)
レジオネラ抗原(+)

【腹部エコー】
腎盂拡大なし、尿閉なし、IVC 4/16mm

【ECG】
HR 77bpm、V1でrsR'、V1-3で陰性T波→右脚ブロック



Q:診断は何でしょうか?治療はどうしましょうか?


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:47 | Comment(2) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月20日

症例検討会BRONCHO10−3

診察上、腹部症状に乏しく、あまり胃腸系疾患を想起する感じではありませんでした×。むしろ低酸素血症と呼吸促迫、診察上左下肺に限局したcourse cracklesを聴取したということで肺に何かありそう○、でも肺炎にしては肺外症状が多く、なんか変だ◎、そんな感じになります。尿路感染はハッキリした所見に乏しい○ですが、否定するには尿検査が必要でしょう。



<入院時検査所見>
【血液検査】
HB 13.1
WBC 17.4 H
CRP 26.26 HH
プロカルシトニン3.87 H
PLTS 138 L
FIBG 815 H
PT-INR 1.24 H
APTTP 36.6
APTTC 29.0
Dダイマ- 1.5 H
ALB 2.8 L
AST 68 H
ALT 23
LDH 263 H
UN 31.4 H
CRE 1.27 H
eGFR 43.9
NA 129 L
CL 95 L
K 4.9
CA 8.4 L
P 2.1 L
CPK 2096 HH
GLU 512 HH
KL-6 180.1


胸部X線写真は…


スライド17.JPG


Q:所見を述べてください。他にほしい検査は?


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:55 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月19日

症例検討会BRONCHO10−2

病歴聴取の段階ではいろいろな可能性が考えられると思います。急性発症の発熱と軟便(下痢)、であればまずは急性胃腸炎≒感染症○でしょうが、高齢者の発熱といえば尿路感染症や誤嚥性肺炎△、という連想もあるかもしれません。ただ、いずれも軟便が生じるのは典型的ではありませんね。感染というとHIV始めSTD関連もあるかもしれませんので、そういう生活歴もいずれ聴取する必要はあるかもしれません○。


発熱と軟便といえば炎症性腸疾患もそうなのですが、もう少し若年で、発見動機がもう少し慢性という感じでしょう△。急性に生じた膠原病や血管炎の可能性もありますから、他の症状が知りたい◎ところです。それから提示された以外の薬剤摂取についても要確認ですね。



ちなみに来院時の症状は発熱と軟便のみでした。パーキンソン病の重症度はYahr U度で、日常生活はほぼ可能、誤嚥も明らかなものはなかった模様です。提示された以外の薬剤摂取はありませんでした。



<入院時身体所見>
身長159.4cm 体重60.9kg(BMI 24)、BT 39.3℃、HR 82/分、BP 131/72mmHg
SpO2 93%(room air)→99%(マスク5L)、呼吸やや促迫
意識:JCS I-1,GCS E3V5M6 見当識障害ないが受け答えはゆっくり


口腔内:乾燥なし
頸部リンパ節腫脹なし
心音:整、雑音なし
肺音:左下肺にcourse crackles聴取
腹部:平坦、軟、圧痛なし、腸蠕動音亢進低下なし
CVA叩打痛なし
四肢:末梢冷感なし、下腿浮腫なし、明らかな筋力低下なし
強剛:両肘・膝関節の強剛なし


さて情報が増え、少し方向性が見えてきたでしょうか。



Q:この時点での鑑別診断は?

やはり急性胃腸炎だ
肺炎がありそう
肺炎にしては変だ
尿路感染はハッキリしない


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:42 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月18日

最後の自転車乗り

子育ても1人目の時は何かと世話を焼き、映像もたくさん残っているものですが、4人目となりますと、成長の過程で特にしっかり介入せず、いちいち適当でもなんとかなる、ということがわかっているからか、あまり熱心にそういう介入ごとをしてこなかった節があります。


ただ、三女の自転車乗りについて、ちょっとつまずきが見られる、とのことで、今日少し介入してみました…と思ったら、今日いきなりできるようになっていました。ちょうど本日誕生日のお祝いパーティーでしたので、いいタイミングでしたね。


1497761376677 (2).jpg


以前にも書いたことですが、上達の過程では決して直線や曲線的にスキルが上がっていくものではなく、階段状に、いきなりスキルが上達することが多い。懸命に練習していてもなかなかうまくいかなかったものが、あるとき、いともあっさりと、できてしまうということがしばしば経験されます。


ちょうど4月から働き始めた初期研修医諸君は、いくつか「うまくいかない」手技を経験しているかもしれません。しかし、初期研修医の間にやるような手技は、必ずやできるようになる手技ばかりです。1回2回の失敗で落ち込むことなく、1回2回の成功でおごることなく、地道に研鑽を積み重ねていって欲しいものです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 21:48 | Comment(0) | 子育て日記

2017年06月17日

岡崎市医師会学術講演会『胸部X線ルネッサンス〜』

昨日は、岡崎市医師会にて胸部X線写真の「異常陰影のとらえ方」と、肺炎の最新の話題を、なんと1時間に詰めこんでお話致しました。


どちらも本来でしたら90分ぐらい頂く話題でしたので、かなりテーマを絞り、なんとか合わせて65分ほどで無事に終わりました。岡崎市医師会の田那村先生、お招き頂きありがとうございました。


IMG_20170616_195654.jpg


特に抗菌薬の使い方のところでは、この4月に新しい肺炎ガイドラインが発表されたこと、そして厚生労働省が抗菌薬の使い方に関して『抗微生物薬適正使用の手引き』を公表したこともあり、これまで申し上げていたことをさらにしっかりとお伝えする必要性を感じておりましたので、後援頂いた第一三共さんには配慮しつつも『ガイドライン』『手引き』の骨子をしっかりと解説させていただきました。第一三共さんはさすが、懐が深いですね。こういう講演で演者の好きなようにやらせていただけるのはありがたいことです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月16日

症例検討会BRONCHO10−1

症例 70歳代男性


<主訴>
発熱 全身倦怠感

<現病歴>
一昨日から家人が見るに少し歩きづらそうにしていた。昨日より40℃の発熱と倦怠感あり、発熱と同時に便が軟便となっていた。自宅で一晩様子を見ていたが解熱せず、本日朝当院救急外来を受診した。


<内服>
メネシット100mg 3錠分3
ミラペックス1.5mg 1錠分1
ミラペックス0.375mg 2錠分2
グリメピリド1mg 3錠分3
メトグルコ500mg 2錠分2
エクア50mg 2錠分2
アクトス15mg 0.5錠分1
オルメテック20mg 1錠分1
アムロジピン2.5mg 1錠分1
プラバスタチン10mg 1錠分1


<既往歴>
2型糖尿病
パーキンソン病

<家族歴>
母:パーキンソン病

<生活歴>
飲酒・喫煙:経験なし

<アレルギー>
食物:なし
薬剤:なし



Q:病歴から考えることは?

急性発症の発熱であり感染症を考えたい
誤嚥性肺炎の可能性もあるが軟便が不自然
尿路感染症があやしい
炎症性腸疾患がまず考えられる



Q:病歴で他にほしい情報は?

発熱と軟便以外に症状はあるのか
元々パーキンソンがあるがADLはいかほどか
嚥下はスムースか、誤嚥はないか
最近の活動範囲、訪問したところ


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:01 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月15日

症例検討会BRONCHO9−8

…で、スルッと終わろうかとも思いましたが、やっぱり感受性検査の見かたも、ごく簡単に説明しておきましょう。


昨日の表をご覧下さい。MICというのは、最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration)といい、その抗菌薬がどのくらいの濃さになったら菌が生えてこないかを表すものです。当然、数字が小さい方が、薬がよく効くということですが、菌と薬によって臨床的に「効く」かどうかを判定するMIC(=ブレイクポイント)が異なっています。


いちいちこちらでMIC値から判断するのも大変ですから、S:susceptible=感受性あり、I:intermediate=中間、R:resistant=耐性、 と表記してくれているのです。まあ、Sだったら効く、Rだったら効かない、Iだとケースバイケース、基本はSを選択する、みたいな感じで考えておかれるといいでしょう。


表ではABPC、ABPC/SBT、AMPC/CVA、CCLがRで、その他はSです。Sだったらどれも同じ、ということはなくて、やはり少ない量で効く=MICの小さなものが効果が高い、と考えていいでしょう。もちろん投与量にもよってくるのですが…。


というわけで、表内でS、中でもMIC値の少ない(1未満の)ものから選ぶと、CTRX(セフトリアキソン)やCTX(セフォタキシム)、それにペネムやキノロンとなるので、その中ではなるべく狭域のセフェムで、みたいなことになるわけです。


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:00 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月14日

症例検討会BRONCHO9−7

なぜか関西弁丸出しになってしまいましたが、カンファレンスではこんな感じだったりしますので、まあ臨場感があると思って頂ければ、


さて治療経過です。治療というものはある意味開始してからが勝負で、想定通りにことが進んでいるか、期待した効果が得られていないか、はたまた合併症・副作用が生じていないか、ということを考えながら経過を見るわけです。


肺炎だったら、そもそもの症状、すなわち発熱や呼吸状態がどのように変化しているかを見なくてはなりません。発熱はシンプルですが、呼吸状態だったらまず呼吸数。ハアハアしていたのが安らかな呼吸になっていたら、それは効果ありでしょう。


SpO2だって大事ですが、いつの間にか投与されている酸素流量が変わっていたりすることがあるのでご注意を。SpO2も血ガスも、同じ酸素の条件で比較しないと単純には評価できません。もちろん状態がずいぶん変わっているのに、無理やり同じ条件を維持する必要もありませんし、明らかに必要酸素流量が減っていればそれはめでたいことです。



で、本症例の経過ですが、3日目なのに解熱していません。うまくいっている×とはいいがたい。やっぱり経過がちょっと地味だし、グラム染色で見えた菌がGNRなので、H.influenzae⇒BLNARかなあ○。と考えるわけです。じゃあ、治療替えなアカンやろ○。


でも、PCsが効かない、イコール、ひょっとしたらレジオネラなんでしょうか×、とはならないでしょう。やっぱりレジオネラって、それなりの、それっぽい特徴(肺炎だけど肺だけじゃない)があって疑われるものであって、PCsが効かない、というキーワードだけで診断されるべきではないと考えます。


ということで、抗菌薬ABPC/SBTは効いていないのではないか、となったタイミングで、最近検査室から培養(H.influenzae)、および薬剤感受性結果がもたらされました。結果はこちら。


スライド15.JPG


Q:で、どうしますか?

男は黙ってそのまま継続!
CTRXに変更
治りが悪いのでMEPMを使っておこう
何にでも効くLVFXにしておこう



…これも、もういいですね。Qにするほどでもありませんでした。CTRXに変更です。MEPMやLVFXをこんなところで無駄遣いする意味がわかりません…。変更後はこういう経過でした。解熱してからは食事摂取も改善し、元気になられて退院となりました。


スライド16.JPG


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:36 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月13日

症例検討会BRONCHO9−6

肺炎といえば、もちろんグラム染色を見たい◎わけですが、尿中抗原については、過去の感染でも陽性になったりしますから、そこまで強く思うわけではありません。でもあれば参考にはなりますし、気軽ですから、まあ取っておきましょう○。


本症例で使うべき抗菌薬については、いささか難しくて、まずはペニシリンでいけばいい○、ってなものですが、ちょっと経過が長くて地味な症状が若干気になるのです。喀痰の確認と、ペニシリンできちんとよくなるかどうか、確認が必要です。


ただまあ、キノロンでいく△、という発想にはならないように思います。効くとは思いますが…。理由はさんざん書いていますので、改めて書くまでもないと思います。


ちなみに、塗抹でこんな感じの菌が見えました(本症例ではありませんが…汗)。どうしますか?


スライド13.JPG


こちらではABPC/SBTが開始されました。入院3日目までの経過表はこんな感じ。


スライド14.JPG



Q:評価はいかがですか

うまくいっている。このままでいきましょう。
どこがやねん!治療替えなアカンやろ。
やっぱり菌が○○○なので、○○○○○かなあ。
PCsが効かない、ひょっとしたら○○○○○なんでしょうか。


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:07 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月12日

症例検討会BRONCHO9−5

胸部X線写真の所見は、左下肺野のコンソリデーション◎ですね。左横隔膜が多少ぼやけているようでもあり、肋横角も若干鈍かもしれませんが、胸水の存在はハッキリしません△。


コンソリデーションのシルエットサインは、どの線とも陽性ではありません。まず心陰影と陰性なので下葉の陰影だろうと思われます。そういうわけで左上葉には特に異常はないと考えます。また、容量減少所見も認めないことから、この濃度上昇は無気肺ではない×とも考えます。



CTでは…


スライド11.JPG


スライド12.JPG


確かに左下葉のコンソリデーションでした。胸水はありません。というわけで、肺炎の診断でよいと思います。


<A-DROP>
年齢-
BUN上昇-
呼吸不全±呼吸数24回で軽度増加あり
意識障害-
血圧低下なし
→1-2点


一過性意識低下のエピソードがあり、頭部CTを撮影されていますが、脳に器質的な病変はなく、ECGも確認しましたが不整脈も認めませんでした。意識は来院時にはすっかり回復していました。



Q:さて肺炎、抗菌薬治療はどうしましょうか。できたら根拠も考えて頂きますようお願いします…。

グラム染色を見たい
まずはペニシリンで
ここはキノロンで
尿中抗原が見たい!どうしても!


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 20:41 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月11日

メディカ出版さんのeラーニングに参加

昨日のセミナーの後、打ち合わせが1件ありました。


メディカ出版さんが看護師さんやコメディカルスタッフさん向けの、eラーニングをやっておられるのですが、そこで流す動画を撮りませんか?というお話で、まだ先のことではありますが、参加させていただくことになったものです。


もう世の中、自施設スタッフの教育もアウトソーシングの流れなのですね。まあ確かに、なにかと当てにならない?医師とかに任せるよりも、標準的レベルの教育ができる方がいい、ということなのでしょうか。


しかもシステム化することで、各人の学び具合まで把握することができると。これはスゴイ。というか、某元看護師さんによれば「そんなところまで見られるのはかなわん」。確かに。


うちも大学としては、甚だチープなeラーニングしかありませんけど、大学教育もアウトソーシングされていくのかなあ、という感想を持ちました。そのぐらい、よくできているシステムなのですね。その気になればすぐに導入できそう。その場合、教員(私を含む)の仕事がなくなりそうではあります。いずれにしても、近い将来、大学教員の存在価値が問われるであろう、という危機感を念頭に、自分ならではの大学に、学生さんに貢献できることがらを追求していかなければなりません。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 11:44 | Comment(0) | 活動報告

2017年06月10日

メディカ出版セミナー『急性期・術後の呼吸器ケア』無事終わりました

つい先日告知いたしましたが、先ほど神戸にて、メディカ出版セミナー『急性期・術後の呼吸器ケア』を終えました。


昨年までと内容を入れ替えたところもあり、うまく皆さんにフィットするか、少々心配でしたが…終了直後にご質問にいらした方々の反応・感想は上々であったようです。「低酸素血症の機序、これまであちこちで聞いてきたどのセミナーよりもわかりやすかったです!」と言って頂きました。またアンケートを拝見するのが楽しみです〜。


なお、同一内容の東京会場は6月24日(土)@損保会館です。

http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131


会場の写真はありませんが、多くの皆さんに聞いていただきました。替わりに神戸と言えば…のお写真を。おいしかったです〜。


cake.jpg

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:01 | Comment(0) | 活動報告

2017年06月09日

症例検討会BRONCHO9−4

ここまでで、だいぶ肺炎はカタいのではないでしょうか。早く確認したいところですね。


検査として、胸部X線写真は必須ですが◎、それでハッキリすればCTは必須とは言えないでしょう△。喀痰培養、尿培養、血液培養は必須ですね◎。プロカルシトニン測定△は必須とは言えませんし、広域抗菌薬投与は×でしょう。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HT 33.9 L
HB 11.1 L
RBC 3.74
WBC 11.9 H
SEG/NEUT 87.3 H
PLTS 314
SEG/NEUT 87.3% H
EOSIN 0.2
BASO 0.1
LYMPH 5.1 L
MCV 91
MCHC 32.7
MCH 29.7
TP 5.3 L
CRP 17.48 H
ALB 2.8 L
AST 12 L
ALT 11
LDH 161
ALP 250
G-GTP 22
T-BIL 0.62
A/G 1.12
NA 141
CL 107
K 3.6
UN 7.6 L
CRE 0.35 L
eGFR 135.3


左下肺にcoarse cracklesを聴取したことから、胸部X線写真では、左下に陰影がありそうですよね。実際に見てみましょう。


スライド10.JPG


Q:所見を述べてください。

左胸水
左上葉に空洞病変
左下肺野に無気肺
左下葉にコンソリデーション
両側過膨張


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

メディカ出版セミナー『急性期・術後の呼吸器ケア』

すっかり告知を忘れておりましたが、今週末(明日!!)に迫りました。神戸に来られる皆さん、よろしくお願い申し上げます。なお、東京会場は6月24日(土)です。

http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131


今回は『急性期・術後の呼吸器ケア』編ですが、これまでにやってきたセミナーではやはり[実際の現場でどう考えるか」というところで悩んでおられる方がずいぶん多いことがわかりましたので、よくある場面で「こんな時、どうする?」を一緒に考えてみる時間を設けました。


呼吸器内科医が身近にいない、聞くことができない、という方は日ごろの疑問を解決する絶好のチャンスです。例えば…


血ガスの数字をどう読み取る?
人工呼吸のアラームが鳴りやまない! なぜ?
ハイフローシステムのこともっと知りたい!
経鼻カニュラとマスクでは適正なO2流量が違うの?
NPPVの適応は?
チェストドレーンバックの観察ポイントって?


2017年06月10日(土) 神戸クリスタルタワー 3階クリスタルホール
2017年06月24日(土) 損保会館 2階大会議室


神戸会場もわずかですがお席に余裕があるようですので、お知らせしておきます。
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131

トップページへ

posted by 長尾大志 at 09:38 | Comment(0) | 活動報告

2017年06月08日

症例検討会BRONCHO9−3

SpO2低下、呼吸数増加、呼吸音などから、肺に問題があるであろうことはわかります◎。しかし敗血症にまでなっているかどうかは確証がありません△。悪寒戦慄もないですし。


意識低下は、来院時意識清明であったことから一過性であったと考えられます◎。アナフィラキシーとするには、皮膚症状や消化器症状など、他の症状が少なすぎるように思います×。早く検査が見たいところですが、もう少し待ちましょう。



Q:やるべきことは?

胸部X線写真、CT
喀痰培養、尿培養、血液培養
プロカルシトニン測定
広域抗菌薬投与


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:24 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月07日

症例検討会BRONCHO9−2

2週間前から発熱、咳嗽、喀痰があって一旦軽快したあとに、高めの(38度の)発熱、緑色喀痰、咳嗽、食欲低下が生じた。この経過は上気道炎〜二次感染としての肺炎発症に典型的な経過です◎。


既往歴にM.avium排菌陽性(非結核性抗酸菌症)がありますが、通常悪化するにしても経過はゆっくりであることが多く、こういう経過になることは少ないと思います△。


直接の来院契機は一過性の意識消失で、過去の薬剤アレルギー歴もありますから、薬剤摂取を契機に生じたepisodeの可能性もあります○。薬剤性の失神に加えて、アナフィラキシーの可能性を想定する場合、その他の症状、徴候を確認することも大切です。


それ以外にも意識消失については、一過性で済んでいるのか、現在きちんと戻っているのか、原因は、など、きちんと詰めておかないと気持ち悪いですね◎。



そこで病歴で他にほしい情報として、1つは発熱、咳・痰、食欲低下に関するものと、もう一つは意識消失によるものがあるでしょう。


前者は肺炎にまつわる、最近のADL◎、誤嚥の有無など、最近温泉に行ったか△は、レジオネラにまつわるものですが、本症例では強く疑う感じではありませんね。


後者でしたら失神の原因として糖尿病の有無◎、不整脈の有無◎、意識障害が遷延していればAIUEOTIPSも要チェックですが、取り急ぎバイタルと身体所見をチェックしましょう。



<入院時身体所見>
BT 39.2℃、HR 106整、BP 143/85、SpO2 92-95%(Room Air)、呼吸数20、JCS 0、意識清明


眼瞼結膜貧血なし
頸部リンパ節腫脹なし
甲状腺腫大なし、圧痛なし
口腔内乾燥軽度

心音:整、雑音なし
肺音:左下肺にcoarse crackles聴取

腹部:腸蠕動音ノーマル、圧痛自発痛なし、平坦やや張っている
四肢:冷感なし、浮腫なし、ツルゴール軽度低下、皮膚乾燥なし、両足背動脈触知良好
CVA叩打痛なし、左肋骨下部に咳嗽時の疼痛あり、圧痛軽度あり



Q:この時点での鑑別診断は?

肺炎はありそう
敗血症が疑わしい
アナフィラキシーが疑わしい
やはり意識消失は一過性であった


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月06日

症例検討会BRONCHO9−1

症例 60歳代男性


<主訴>
発熱、咳嗽、喀痰

<現病歴>
2週間前から発熱、咳嗽、喀痰あり、一度症状は軽快したが、1週間ほど前より、38度の発熱、緑色喀痰、咳嗽、食欲低下が生じた。
本日昼食後に解熱剤と胃薬を内服。2時間後にトイレで倒れており、声かけに反応しない患者を家族が発見し救急要請。家族、救急隊の呼びかけで意識は清明に戻ったが、SpO2 92%と低下あり。トイレに立った前後の記憶はないとのこと。

<既往歴>
2009年よりM.avium排菌陽性にて当科かかりつけ。画像フォローのみ、内服治療歴なし。

<アレルギー>
抗生剤で蕁麻疹(詳細不明、若い頃は多かったが、最近はあまりないと)

<生活歴>
喫煙:経験なし
飲酒:機会飲酒
職業:パート勤務



Q:病歴からの第一印象は?

肺炎はありそう
M.aviumの関与を疑う
昼食後服用した薬がクサイ
意識消失の原因が気持ち悪い



Q:病歴で他にほしい情報は?

最近のADL
糖尿病の有無
不整脈の有無
最近温泉に行ったか


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:52 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月05日

非専門の一般内科医のための抗がん剤、化学療法の考え方3

これまで主に肺がんの1次治療に関して、治療の選択肢をどう考えるかご紹介しました。


1次治療が有効であればあるほど、それが使えない、とか無効になった、というときの選択肢である2次治療も、生命予後を改善するためには大切になってきます。しかしながら、2次治療に関してはなかなかしっかりしたエビデンスがない、というのが現実です。


というのも、2次治療に関するエビデンスを出そうとすると、症例の属性・1次治療を揃えた上で、2次治療に関するRCTを組まなくてはならない。ところが現状、新薬が次々と出る中で、1次治療からしてどんどん新しい研究が進んでいて方針が変わり、なかなか属性が揃うほどの症例数が揃わないのでは?という印象です。


ですからガイドラインでも2次治療としての推奨される選択肢がいくつかある場合、特に優劣が示されていないことが多いのです。


ハッキリしたエビデンスが示されているのは、EGFR変異があって、EGFR-TKIを使って効かなくなった、という場合、再生検をしてT790Mという耐性遺伝子が見いだされれば、オシメルチニブを使う。


それから、EGFR遺伝子変異が陽性であるものの1次治療でTKIが使われていないケースでは、2次治療にTKIを使う。


1次治療にTKIを使われて効果がなくなった場合、2次治療にも(世代の新しい)TKI、ということが以前はよく見受けられましたが、今ではT790Mのオシメルチニブ以外には推奨されません。それだけ世代間の効果に(今のところ)差が少ないことがわかった、ということなのでしょう。


一方、ALK転座陽性例ですと、1次治療にクリゾチニブ(旧世代ALK-TKI)を使って効果が無くなった症例では、2次治療にアレクチニブ、セリチニブ(新世代ALK-TKI)OK、なんですね。こちらは世代間の効果に差があるということです。



まとめメッセージ・喫煙者の肺がん

喫煙者の肺がん、先に書いたようにdriver mutationが存在せず、TKIの適応にならないことが多い上に、間質性肺炎が併存して多くの抗がん剤が使えない、という現状です。喫煙者かつ間質性肺炎あり、の症例については、ここ最近進歩はありません。とにもかくにもタバコはダメなのです!と最後に申し添えたいと思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2017年06月04日

長尾先生による胸部X線レクチャー第2回in音羽病院

昨日は表記の会、音羽病院さんにお招き頂くのも2回目でした。


otowa1.jpg


タイミング的に研修医1年目の先生や看護師さん、PTさんの新人さんのお役に立つよう、テーマを「救急外来で役立つ胸部レントゲンの読み方」とご指定頂きましたので、呼吸器救急で遭遇するあの疾患とあの所見を中心にお話しいたしました。


otowa2.jpg


小倉土産争奪クイズ大会〜。多少は盛り上がりましたでしょうか〜。


otowa3.jpg


生ブロンコ体操〜やっぱり生がイイ!(意味不明)


今回もお声がけ頂きました音羽病院呼吸器内科の土谷先生、森川先生はじめ医局の皆さん、研修医の皆さんはじめご参加の皆さん、本当にありがとうございました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:49 | Comment(0) | 活動報告

2017年06月03日

6月1日、産業医大呼吸器セミナー

木曜日は、産業医大呼吸器疾患セミナーに呼んで頂きました。


syuugou.jpg


産業医大呼吸器内科の矢寺新教授にお声がけ頂き、呼吸器スタッフの先生方に加えて若い先生や学生さん、ナースの方々に、胸部写真を楽しく読む読み方、みたいなお話をさせていただきました。


IMG_20170601_173201.jpg


湖月堂本店のマロンパフェ。雰囲気もよく、味のハーモニーが絶品でした。


IMG_20170601_213254.jpg


千草ホテルのケーキ。こちらもおいしくて、ついつい進んでしまいました…。


IMG_20170602_204927.jpg


IMG_20170602_211102.jpg


マキマキ屋のロールケーキ。こちらもおいしく家族で頂きました。小倉の思い出がほぼスイーツの想い出になっておりますのは個人情報の問題もございますが、やはりおいしく印象的であったのです。


矢寺先生はじめ関係の先生方、本当にありがとうございました

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:58 | Comment(0) | 活動報告

2017年06月02日

非専門の一般内科医のための抗がん剤、化学療法の考え方2

高齢の基準とは75歳で、75歳以上では主にカルボプラチンを使います。シスプラチンをどうしても使いたければ分割投与しますが、無理するほどのメリットはないようにも思われます。


PSはperformance status、要するに「元気ですか?」というもので、以下の目安があります。

  • 0:無症状で社会活動ができ,制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる.

  • 1:軽度の症状があり,肉体労働は制限を受けるが,歩行,軽い家事,事務などはできる.

  • 2:歩行や身の周りのことはできるが,時に少し介助がいることもある.軽労働はできないが,日中の50%以上は起居している.

  • 3:身の回りのある程度のことはできるが,しばしば介助がいり,日中の50%以上は就床している.

  • 4:身の回りのこともできず,常に介助がいり,終日就床を必要としている.



通常固形がんの化学療法では、このPSが3以上の「ほぼ寝たきり」状態だと抗癌剤投与の対象にならない(「耐えられない」と判断する)ことが多いのですが、小細胞肺がんのように効果が高く、全身状態も改善することが期待出来るような状況ではPS3でも化学療法が勧められるのです。


あと、問題になるのは間質性肺炎の存在です。喫煙者の肺がんって、結構間質性肺炎が存在していることが多くて、抗癌剤の選択に制限がかかってしまうのです。


添付文書に「副作用:間質性肺炎」とか、「慎重投与:間質性肺炎」とか記載があるもの(しかも大多数の薬剤!がそうなのです)は、HRCTで間質影がみられる症例には投与しない方向になってきているのですね。


しばしばあるパターンで、他のところで薬を使ったら間質性肺炎になった!と紹介されて、開始前のCTを見ると、しっかり間質影が見えていた…ということがあり、是非ご注意頂きたいと思うのです。


添付文書上「イリノテカンは間質性肺炎または肺線維症の患者に『禁忌』」ですので、当然使いません。他の薬剤でも『禁忌』とされている症例に投与されているのを見かけることが…お気をつけ下さい。



4.非小細胞肺がん、かつ非扁平上皮がん

こちらが今や百花繚乱のやつであります。ただし大前提条件として、化学療法の対象になるのはPSが2よりもいい症例に限られます。唯一、PS3-4 でも抜群に効果を発揮することでPSの改善が期待出来る、EGFR変異(中でもEx19欠失・L858R変異)症例にゲフィチニブを使う、これのみ推奨されています。


2017年5月時点で知られていて、阻害薬が適用出来るdriver mutationは…

  • EGFR変異遺伝子:ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ

  • ALK融合遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ

  • ROS1融合遺伝子:クリゾチニブ



これにハマれば、まずは上にある阻害薬を使うということでよろしい。EGFR-TKIの中で使い分けとしては、まあ好き好きでいいですが、オシメルチニブだけは特殊で、T790Mという耐性遺伝子を検出した症例でないと使えません。


それと、ここにあるものは間質性肺炎があると「慎重投与」になります。ゲフィチニブ(イレッサレジスタードマーク)が有名ですが、他でも然り。ひとたび発症、または増悪すると清明に関わることになりますから、正直、非専門の先生方は投与されないのが無難かと思います。というかウチでも基本、投与はしない方向です。万が一投与される場合、十分なリスクの説明は必須です。ご注意下さい。


driver mutationがない場合、次に予後延長効果を期待出来るのが免疫チェックポイント阻害薬。こちらは薬価がバカ高くいろいろ物議を醸しましたが、結局PD-L1の発現を見ることで効果予測因子としたペムブロリズマブ(キイトルーダレジスタードマーク)がガイドラインを制した形になりました。


PD-L1の発現が50%以上であればペムブロリズマブを使う。
PD-L1の発現が50%未満であれば、さらに組織型によって決める。


非扁平上皮がんであれば、プラチナ併用療法(昔ながらの)、ということになってきますが、75歳以上だとカルボプラチンを使います。併用療法の中でも次に予後延長効果を期待出来る薬剤として、ベバシズマブ(アバスチンレジスタードマーク)、ペメトレキセド(アリムタレジスタードマーク)を使うかどうかを検討します。


ベバシズマブは血管新生阻害薬で、他剤との併用で効果が高まりますが、血管の修復がなされないということから出血などの副作用があります。したがって、出血のリスクがあるケースでは投与出来ませんし、中枢の太い血管にがん組織が食い込むような場面や扁平上皮癌では使えません。75歳以上においてもリスクの問題から勧められません。


ペメトレキセドは比較的副作用も少なく、維持療法がハマる症例では長くSDを続けられたりしますが、扁平上皮がんには効果が乏しく適応はありません。


それでは扁平上皮がんだとどうなるか。



5.非小細胞肺がんで扁平上皮がん

PD-L1の発現が50%以上であればペムブロリズマブを使う。
PD-L1の発現が50%未満であれば、プラチナ併用療法(75歳以上だとカルボプラチン)〜昔ながらの化学療法。


という感じになります。


トピックとして、ベバシズマブと似た系統の血管新生阻害薬であるラムシルマブレジスタードマークが、肺がん2次治療においてドセタキセルとの併用で生存期間の上乗せが得られた、ということで、こちらは扁平上皮がんにも使用可能。治療選択肢がまだまだ少ない扁平上皮がんですが、こちらは効果が期待出来ます。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2017年06月01日

今日は九州

今日は午前中びわこ闘魂外来をやって、午後から九州へ行きます。


かねてより告知していた、産業医科大学 呼吸器臨床セミナーへご招待頂きました。

6月1日(木)19時〜20時30分 千草ホテル別館2F[ルミネスタ]
(産業医科大学からの送迎があるようです)


最初の30分は若手の先生方が感染症や閉塞性肺疾患のお話をされます。


私の担当するところでは、聴きに来られるのが学生さんや若い研修医の先生方が多い、とのことで、呼吸器を楽しく、興味を持って勉強してもらえるようなお話ができればと思います。


このたびは産業医科大学医学部 呼吸器内科学教授の矢寺和博先生にお招き頂きました。矢寺先生にはバンクーバー時代から何かとお世話になりました。このたびもありがとうございます。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 08:22 | Comment(0) | 活動報告

2017年05月31日

非専門の一般内科医のための抗がん剤、化学療法の考え方1

まあ、これは肺がんに限ったことではなく、悪性新生物すべてに共通する考え方ではあると思いますが…。


がんが体内に存在すると、徐々にではありますが細胞分裂を繰り返し、増殖していきます。倍々で増えていきますから、2倍⇒4倍⇒8倍⇒16倍⇒…10回細胞分裂すると1024倍になります。1回細胞分裂するのに数ヶ月かかることが多いのですが、1回細胞分裂しても細胞数≒体積が倍になるわけです。どんどん大きくなっていきます。


その場で大きくなるだけであれば、手術などで除去すればいいのですが、問題はその場を通る血管やリンパ管を流れる液体に乗って、がん細胞が遠くへ運ばれていくことです。遠くへ運ばれたがん細胞は血行性転移やリンパ節転移巣として発育し、できた臓器の機能を損なったり、数自体が増えることで栄養やエネルギーを奪って悪液質にしたりします。


ひとたび血行性転移が成立している、ということは、原発巣から血流内にがん細胞が流れ込んでいる、ということですから、通常転移は1箇所だけでなく、あちこちに生じ、予想も出来ないということになります。そうなると化学療法、体内全域に行き渡る抗がん剤によって、転移巣ごと細胞分裂を止める、あるいは免疫細胞に作用するなどの治療を行うことになります。


肺がんは他臓器の癌よりも予後が悪いとして知られていますが、その理由としては血行性転移が多いことが挙げられます。肺は元々酸素を目一杯効率よく体内に取り込むために、血管が豊富で、肺胞内と血液の間には薄い薄い上皮+内皮しかありません。ですからひとたびそこにがんができてしまうと、血行に乗るハードルが低いのですね。それで、固形癌だったらまず考えたい、手術で除去する、という選択肢が採れないことが多い、それが予後の悪さにつながっています。


以前でしたら手術不能=予後はせいぜい1年、というのが肺がん業界の常識でしたが、2000年以降の分子標的治療、免疫治療の画期的な進歩によって、いくつかのブレイクスルーがもたらされ、手術不能、あるいは再発例であっても「がんと共生」し、それまで考えられなかった長期生存が期待出来るようになりました。


これまであった「5年生存率」、肺がん業界では、「治癒」とイコールの意味でした。手術でがん組織を取りきって、治癒してしまえば5年間、いやそれ以上生きられる。でも取り切れなければ早晩転移や再発巣がぐんぐん大きくなってきて、3〜5回程度の細胞分裂(≒がん組織の体積が8〜32倍になる)を起こす1年程度の経過で生命を維持出来なくなる、そんな感じであったわけです。


でもこれが、細胞分裂をストップ出来たり、少なくとも細胞が増えるのと減るのが同じくらいである状態に維持出来たりすれば、(つまり進行がなければ、)患者さんは生き続けることができるわけで、そのあたりのことが、特にここ数年でぐぐっ、と進歩してきた感がありますね。担癌状態でも5年生存される症例が、決して珍しくはなくなってきています。
(もちろん、一方で、なかなかそういった恩恵を受けられないケースもまだまだあることも紛れもない現実であります。特に喫煙者の肺がんは、後で述べる間質性肺炎の合併などあるため大変厄介です。)


という前置きをふまえまして…肺がん診療の基本的考え方を。


肺がんに限らず、がん化学療法は昨今日進月歩であり、どんどん新しい薬剤が登場して、毎年のようにガイドラインや取り扱い規約が書き換えられています。ですから、ここでは現時点での最新のガイドラインをフォローする、というよりは、現在のガイドラインに通底する基本的な考え方を解説し、今後も長く応用して頂けるようにしたいと思います。



1.とにかく手術出来るものは手術を

とはいえ、その確実性において、手術に勝る治療はありません。手術で取り切れる可能性が高ければ手術する、これは大原則です。予後をグンと伸ばすために検討すべき第一の方策ですね。


手術をして取り切れる、と見込まれるのは、少なくとも画像上、原発巣と同側のリンパ節転移しか病変が見えない、ということです。原発巣も、手術が無理なところ(心筋とか)に食い込んでいるとダメ。リンパ節転移って、種となるがん細胞が流れてきて、大きくなるにはけっこう時間がかかりますから、数が増えているということはそれだけ微少な(=見えないけど後で出てくる)転移が既に成立している可能性が高まる≒再発の可能性が高まるわけです。


なので、リンパ節転移が拡がっているもの中心に、化学療法とか化学放射線療法を加えて再発率を低下させる試みが行われているわけなのです。


手術できない、しない症例に関しては、次に予後を伸ばせる因子を検索します。



2.組織型を確認する

次に予後がグンと伸びるのは、driver mutationが明らかで、それを薬でブロックするとメッチャ効果があるものです。遺伝子の突然変異によって、細胞分裂が無軌道に行われるスイッチが入る、そのスイッチを切る薬がある、と言い換えてもいいでしょう。


基本的には1ポイントの変異でして、喫煙者は少ない。喫煙によって発がんする場合、もっとあちこちに傷がついて(変異して)1ポイントでは済まないのでしょうか。タバコがんである小細胞肺がんや扁平上皮がんでは見られない現象で、非小細胞肺がん・非扁平上皮がんのときに見られます。


ですから肺がん、と診断がついたら、まずは小細胞肺がんと非小細胞肺がんを分け、続いて非小細胞がんの中で扁平上皮がんと非扁平上皮がんを分けます。



3.小細胞肺がん

小細胞肺がんはさらなるブレイクスルーがない限り、昔ながらのPI(シスプラチン+イリノテカン)、PE(シスプラチン+エトポシド)、CE(カルボプラチン+エトポシド)です。


病変が限局していて、胸部放射線照射と併用する場合はエトポシドを、高齢とか、心機能、腎機能に心配がある場合もエトポシドを使います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2017年05月30日

症例検討会BRONCHO8−9

MJ分類P3、Geckler分類5、についてはしっかりした炎症の現場から採取された、よい痰だということですね。

喀痰塗抹検査はGram陽性球菌1+(双球菌貪食像あり)、血液培養検査でもGram陽性双球菌がしっかり見え、尿中肺炎球菌抗原+もあわせて肺炎球菌肺炎+菌血症であると確認しました。



Q:治療薬は?


適切な治療薬投与により、経過は順調で、入院4日目以降は解熱し、軽快退院されました。


スライド9改.jpg


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 14:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年05月29日

症例検討会BRONCHO8−8

肺炎から敗血症を疑っているわけですから、喀痰塗抹培養と血培は必須。尿中抗原もグラム染色ができない場面、グラム染色とあわせて、いずれも有用ですから、やっておきたい検査でしょう。


インフルエンザ、マイコプラズマに関しては、臨床的に強く疑うかどうかです。インフルエンザを強く疑うかどうかは、時期的なものと周囲の流行がポイントになります。ただ本症例では、症状が始まってから日数が結構経っていますので、この段階でインフルエンザの確認をしても治療介入への影響は少ないと考えられ、積極的に勧められるものではない×でしょう。


臨床情報からはマイコプラズマはじめ非定型肺炎による肺炎の要素(表引用)はなさそうですし、マイコプラズマによる敗血症もあまり経験されません。積極的にほしい検査とは言えないでしょう×。



〈喀痰塗抹検査〉
MJ分類P3、Geckler分類5 好中球3+急性炎症所見あり
ヒメネス染色 陰性
Gram染色


スライド7.JPG


血液培養検査:2セット中2本陽性


スライド8.JPG


〈感染迅速検査〉
尿中肺炎球菌抗原+、レジオネラI抗原−
インフルエンザA,B − (汗)


Q:喀痰塗抹/血液培養の結果は?


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年05月28日

新人たちの

4月から呼吸器内科に入局となった、I先生とK先生、そして2年目ながらずっと呼吸器を選択してくれているY先生、3人とも、真面目にしっかり患者さんに向き合い、知識の吸収も大変よく、将来が楽しみでなりません。


いつもここでは言っていることですが、呼吸器内科は気管支鏡にまつわる手技たち、胸腔ドレーンや局麻下胸腔鏡など、手技はそれなりにありますし、キッチリできるのは前提条件なのですが、必ずしも手技一辺倒ではなく、しっかりと患者さんに向き合い総合的に診療した上で、強みである専門性を発揮するところにやりがいがあるのです。カンファレンス他でそのあたりの機微も伝わっているとうれしいです。


最近隙があれば、彼らと外来初診症例の問診から検査、処方まで「闘魂外来」方式で一緒にやっているのですが、やっぱりこの方式の教育効果は高い!と実感します。3年目でもそこまでするの?と思われるかもしれませんが、するのです。特に患者さんへの説明は、よりよい医師ー患者関係を構築するための腕の見せ所。見てもらうことで微妙なニュアンスを実感してもらうことができると信じています。


「書籍プレゼントキャンペーン」もまだまだ行っておりますが、ウチに来る先生方は既に持っている、というケースが多く、せっかくのキャンペーンも活かされていなかったりします。まあそもそも、「レジデントのための」本が多いので、1年目に読む人が多そう。


今多く書いている初級者向けの本よりも、プレゼントのためにはもう少し上級者向けの本を書くべきなのかもしれませんが…それは私の出番ではなさそう。上級者向けの本を書くべきなのは、もっと格調高い先生方にお任せしようと思います。まだまだ、研修医の先生方や非専門医の先生方に向けた活動を続けていくのが私の仕事かなあと思っております。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:22 | Comment(2) | 日記

2017年05月27日

5月が終わりました。

臨床実習、初期研修とも、数グループが過ぎ、新しい制度が過ぎていっておりますが…。やはりまだ、新しい取り決め、特に評価については馴染めていないのが実際のところです。とにかく思うのが、学生さんの不均一性。ヤバイ班、ありますよね−。でも、どう評価、フィードバックするかは難しい。クリニカル・クラークシップワーキングもなかなか前途多難な感じでありますし…。


臨床実習入門という、シミュレーターを使った模擬身体診察練習も始まりましたが、これまたモチベーションをどうやって上げていくのか、完全に教員に丸投げられていて、カリキュラムを作る側の工夫が微塵も感じられません。私もいろいろと試行錯誤し、ようやく軌道に乗ってきて、楽しくできるようになってきましたが…他の先生方、どうされてるんでしょう??以上、心の声でした、。


以前の告知に加えて、メディア仕事のお声がけを複数頂いています。一つはあの先生とのコラボ、教育効果の高そうな試みに参加できるのがめっちゃ楽しみです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:29 | Comment(0) | 日記

2017年05月26日

症例検討会BRONCHO8−7

全部気になるワイ、といわれたらその通りなのですが、問いたかったこととしては、肺炎〜敗血症としたときに評価すべき項目でした。


敗血症のSOFAスコアでは、

  • 呼吸状態

  • 凝固能

  • 肝の予備能

  • 循環状態

  • 中枢神経への影響


を確認することになっています。そういう意味では肝胆道系酵素○、腎機能≒循環動態○が気になる、と答えて頂きたかった。


CKもWBCもCRPもプロカルシトニンも、もちろん気になるでしょうし気にして頂くのですが、予後因子、治療方針の変更までには至らない△ということですね。


Q:あと、ほしい検査は?

喀痰塗抹培養
血液培養
尿中抗原(肺炎球菌・レジオネラ)
インフルエンザ抗原
マイコプラズマ迅速


あ、血培は必須でしたね。


症例検討会BRONCHO

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:18 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO