2018年04月24日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習12

■ 当院呼吸器疾患患者の亜鉛欠乏症の検討

背景

亜鉛欠乏症は、2016年に診療指針が発表され、呼吸器疾患との関連が報告されている。2017年に酢酸亜鉛水和物に低亜鉛血症が効能追加された。

目的

呼吸器疾患患者での亜鉛欠乏症を検討する。

対象

2007年1月から2017年8月に10日で血清亜鉛値を測定した94人(72.4±12.3、平均±SD)歳、男54人、入院76人)。

方法

診療内容を retrospective に調査した。

結果

2007〜10年9人、11〜14年28人、15〜17年57人で測定され、肺癌28人、肺炎20人、結核17人、間質性肺炎6人、COPD5人。測定理由は、味覚障害31人、食欲低下・嚥下障害21人、口内炎など19人、褥瘡7人。亜鉛欠乏症(Zn<60μg/dL)59人、潜在性亜鉛欠乏(60≦Zn<80μg/dL)23人、正常12人で、年齢73.3±11.2、73.5±10.7 、65.7±18.3歳、BMI 18.4±4.2、19.9±3.9、16.4±3.9kg/m2、アルブミン2.6±0.7、2.9±0.7、3.3±1.0g/dL、Hb10.4±1.9、11.2±2.1、11.0±2.0g/dL、ALP 低値なし、投薬28.5、5人。正常で投薬された人の BMI 14.2±3.1kg/m2。(原文ママ)

結論

Zn測定は増加傾向で Znはアルブミンと相関傾向があった BMI 低値での測定が多く BMI超低値の場合は Znが正常でも投薬されることがあった。

所感

やはりZn欠乏とその意味、そして治療(薬剤)が周知されてきている、ということなのでしょうね。投薬の傾向に加えて、治療効果などについて調査されると今後の展開が期待できるかと思います。

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posted by 長尾大志 at 19:07 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月23日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習11

■ ステロイド内服中の呼吸器疾患患者におけるデノスマブの有効性の検討

背景

ステロイド内服開始から数ヶ月の経過にて急速に骨密度が低下することが報告されており、その割合は年間に2〜4%ほどである。呼吸器疾患にてステロイド内服中の患者を対象としたステロイド性骨粗鬆症の治療法としてデノスマブの有効性はエビデンスが不十分である。

方法

2014年10月から2015年1月までの間に、松阪市民病院にてステロイドを内服された患者を対象として、同意取得後からデノスマブを投与し腰椎と大腿骨の骨密度を6ヶ月ごとに前向きにモニタリングを行った。

結果

36名中、平均年齢は73.1歳(範囲51-89)、男性は15名(41.7%)、腰椎骨密度は0.775g/cm、大腿骨密度は0.542g/cm、呼吸器基礎疾患は間質性肺炎が31名、 COPD が5名であった。腰椎骨密度は12ヶ月後、28ヶ月後では有差に上昇が認められたが(p =0.0026、p<0.001)、大腿骨密度の変化は12ヶ月後に有意差は認めないが、28ヶ月後には有意差が認められた(p=0.0259)。

考察

呼吸器疾患にてステロイド内服中の患者群では長期経過にわたりデノスマブにより腰椎骨密度と大腿骨密度はともに上昇傾向を認めた。(原文ママ)

所感

ステロイドを長期投与せざるを得ない疾患は多く、それに伴う合併症(消化性潰瘍、感染症、耐糖能異常、そして骨粗鬆症などなど)対策には頭を悩ませられるところです。骨粗鬆症についてはビスフォスフォネートを使われることが多いかと思いますが、長期的作用についてはなかなか難しいところもあり、デノスマブにも期待したいところですね。

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posted by 長尾大志 at 20:42 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月22日

各種お知らせ

今日は久々の、何もない週末です。

2月から、しばらくの間、「目の前の締め切り仕事をただひたすらこなす」日々を過ごしておりました。まだお仕事が残っては居ますが、次の締め切りは5月下旬。ちょっと一息、という感じです。

この間、書籍(単著)3冊、雑誌特集(単著)1つ、雑誌特集共著2つ、医師国家試験解説作成、看護師国家試験解説作成、病気が見える(呼吸器)監修、あとは試験問題と解説、「作問のねらい」の作成、などなど、公に出来ないもの含め、たくさんのアウトプットを致しました。

ちょっと自分の処理能力を超える作業量で、この間の記憶がほとんどありません。でも次々と形になっていくのをみて、楽しくまた充実していた日々でした。特に書籍の刊行は、やはりテンションが上がるものです。

いよいよ今週末は呼吸器学会@大阪です。ということで、書籍コーナーに並ぶ、最近発売になる(なった)拙著のご紹介をさせて頂きます。

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検査ができない!?専門医がいない!?現場で役立つ呼吸器診療レシピは、リンク先をご覧頂くと、「タイトルで対象がわからない」と酷評されていますが(汗)、検査ができないセッティングの開業医の先生方、専門医が不在で、総合内科の先生や一般内科の先生や消化器内科の先生や循環器の先生が呼吸器疾患症例を診ておられる、そういう現場が世の中にはたくさんありますが、そこの先生方、がまずは対象です。しかしながら、呼吸器専門医でも、検査ができないセッティング、というのは実はよくありまして、そういうところにおられる若手の先生にも好評を頂いています。自分ではわかりやすいタイトル、と思っていたのですが…やはり客観的にご覧になっている方のご意見は貴重です。

内容としては、ある程度勉強しているんだけど、この辺のニュアンスがわからない、というお話をよく伺う、「咳の鑑別」「非結核性抗酸菌症」「間質性肺炎」を中心に、ご質問をよく頂くところ、誤解されているケースをよく見かけるところを多く書いています。なので、かなり内容に偏りが(汗)。学会場で見かけたら、ちょっと立ち読みしてみられることをオススメします。


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つづいては、おなじみのやさしイイ胸部画像教室、いよいよ第2版がでました。以前にも書いたかもしれませんが、40ページ増、写真の入れ替え&追加が100枚以上でありながら、価格はわずか100円のupで抑えて頂いております。日本医事新報さん、ありがたやでございます。初版の内容が変わったわけではありませんので、初版をお持ちの方も、これからも安心して使い続けて頂けます。


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Dr.長尾プロデュース 呼吸器腹落ちカンファレンス 呼吸の果てまでカンファQ!という本が、まさに呼吸器学会にギリギリ、印刷が間に合うのか?合わないのか??というタイミングで、ただいま絶賛製作中であります。もし学会場でお見かけになりましたら、出版社さんがんばったな!と思って頂ければと思います。こちらはこれから呼吸器を回る、学生さんや研修医の先生が対象です。対象は絞られています(笑)。指導医・上級医がカンファレンスで尋ねてこられるであろう事柄=呼吸器を学ぶ上で大事なことを、紙上カンファにぎゅうぎゅう詰め込んでいます。これから呼吸器を回るんだけど、カンファをどうサバイバルするんだ…??と頭を抱えている皆さん、毎週、毎月、毎年、若い子が回ってくるけど、どう教えりゃいいんだ…???と頭を抱えている上級医の皆さん、もし学会場で見かけたら、まずは立ち読みしてみてください。

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posted by 長尾大志 at 15:26 | Comment(0) | 活動報告

2018年04月21日

Lung cancer seminar for EGFR-TKI in KYOTO

今日は京都で表記の会がありましたので、参加して参りました。

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なんといっても目的は、筑波大学医学医療系 診断病理学研究室 教授の野口雅之先生のお話。そう、あの、「野口分類」の生みの親である野口先生その方であります。

肺癌、とくに初期腺癌の病理分類は、WHO分類が変わって、私のような門外漢の臨床医にとって大変わかりにくいモノになっています。放射線科医との相違のみならず、病理医の間での意見の相違であるとか、他臓器の癌との違いであるとか、興味深いお話をたくさん拝聴できました。

そして次には、肺癌化学療法、日本の大規模臨床試験の重鎮である福岡正博先生による、肺癌化学療法の歴史総ざらえ講演。こちらも興味深い歴史的エピソードが満載でした。

あとは、久しぶりにお目にかかった旧知の先生に、叱咤激励をいただき、今の立場ではやはりいろいろダメだなと痛感しました。環境が変わらないと人間ダメになるってことです。

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posted by 長尾大志 at 22:25 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月20日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習10

■ 女性内科医師の勤務実態と意識調査から見える、離職防止のための対策について

背景

我が国は深刻な医師不足に直面しており、医学部の定員が増加をしているにもかかわらず、解決の兆しが見えていない。その原因の一つとして、女性医師の増加と病院からの離職がある。

目的

どうすれば女性内科医師の労働人口が維持できるのか、調査検討を行う。

方法

2017年9月から10月にかけて、大阪府下の20歳台から50歳台の家庭のある女性内科勤務医10人にアンケート調査を行い、全員から同意、回答を得た。

結果

常勤9名、非常勤1名。70%は現場に概ね満足していると答え、今後希望する勤務形態ではフルタイム常勤が50%、時短の常勤が30%と、引き続き常勤を希望する割合が多かった。また80%が休職したことがあると答え、主な理由は出産であった。勤務状況の改善のために必要なこととして、60%が医療側勤務体制の見直しを一番に挙げ、その内容として日当直と時間外勤務等の時間的な免除を多くの女性医師が望んでいることが分かった。

考察

多くの女性内科勤務医が常勤を続けたいと希望しているが、フルタイム希望は半数に止まっており、時短や日当直・時間外免除医師の増加対策が急務と考えられた。

所感

大変重要な課題を取り上げられた、意欲的な研究です。背景では女性医師の離職が問題である、ということですが、今回の研究では現職の勤務医を調査されていて、必ずしも離職されている方にアプローチされていないようです。今後離職されている方に、離職の理由、きっかけ、などを伺えると、対策の立てようも出てくるかなと感じました。

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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月19日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習9

■ POLSTを用いた呼吸器疾患終末期への取り組み−2終末期医療に患者の意思は叶えられたか

目的

当院では、終末期生命維持治療に関する医師指示書(Physician Orders for Life Sustaining Treatment:POLST)を用いて、「終末期の意思指示書」として運用している。今回、終末期医療に患者の意思が反映されたかを検証した。

方法

POLST後、終末期の医師指示書として運用後、当院入院・外来(訪問診療)で死亡された39名の終末期医療を調査した。

結果

A心肺蘇生:急変時CPR施行を希望の8名中5名にCPRを実施。DNAR希望の31例は全員DNARだった。
B心肺停止前の措置(呼吸管理):挿管希望の3例中2例に挿管。NPPV または酸素のみ希望患者は全員希望に添えた。
C抗生剤使用:希望しなかった2名中1名は感染併発時に患者の同意後、使用した。
D経管栄養:希望8名中5名で実施。希望しなかった21例中1例で患者、1例は家族のみの希望で実施した。当初積極的治療・措置を希望も、終末期に患者又は家族の希望や医学的適応がないため中止した例は認められたが、患者の意思に反する延命措置は経管栄養を行った1例のみであった。

結語

POLSTを用いることで終末期医療に患者の意思を反映することができた。(原文ママ)

所感

昨日と同じく、単なる導入体験記で終わらせないためには、例えばPOLSTを運用開始して、それ以前と比較して患者の意思が反映されやすくなった、とか、意思通りにいかなかった例では何が問題となったかとか、何らかの考察が欲しいところですね。ポスターをしっかり確認いたしましょう。

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posted by 長尾大志 at 18:44 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月18日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習8

■ POLSTを用いた呼吸器疾患終末期への取り組み一肺癌と非癌で差はあるか

目的

当院では、終末期生命維持治療に関する医師指示書(Physician Orders for Life Sustaining Treatment:POLST)を用いて、終末期に患者自身の意思希望が反映されるように取り組んだので報告する。

方法

2016年7月から2017年3月に呼吸器病棟に入院した肺癌または75歳以上の呼吸器疾患患者を対象とした。POLSTを用いて、終末期医療について4者(医師、看護師、患者、家族)で話し合い、4者の署名後、「医師指示書」として運用した。

結果

129例(肺癌34例、非癌95例)で運用した。肺癌、非癌で
A心肺蘇生は (CPR 29.23% 、DNAR 71.77% 、NPPV 管理を追加した)
B 心肺停止前の措置は、増悪時挿管施行3.5%、NPPVが最終26.36%、緩和目的NPPV56.38%、酸素のみ15.21%
C 抗生剤使用希望91.85%、感染時のみ9.13%、使用しない0.2%
D 経管栄養使用12.19%、使用しない56.57%、期間限定使用32.24%であった。肺癌、非癌で大きな差は認めなかった。家族は肝臓より延命治療を希望するも話し合いの結果患者自身の希望に合わせることが多かった。(原文ママ)

結語

終末期希望されない処置は、経腸栄養が最も多く、肺癌・非癌で大きな差はなかった。

所感

POLSTを導入した、導入体験記で終わらないためには、解析した結果、群間の差をみることでなにが言えるのか、というビジョンがなくてはなりません。ちょっと結果のところの文を含めてそのあたりのことがよくわからないので、ポスターをしっかり確認いたします。

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posted by 長尾大志 at 20:48 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月17日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習7

■ 医学部学生5年生に対する吸入薬の吸入実習

背景・目的

吸入療法は気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患にとって重要な治療法である。また吸入薬の十分な効果を得るためには薬剤師、医師、看護師などによる吸入指導が重要であるが、吸入薬を処方する医師は吸入薬について理解しておく必要がある。そこで今回我々は医学部学生を対象に吸入器を用いた実習を行った。

方法

平成28年9月から平成29年9月の期間、鳥取大学医学部附属病院で臨床実習を行った医学部5年生112名を対象とした。気管支喘息とCOPDの講義を行った後、環境再生保全機構が作成した『ぜん息・COPD 正しい吸入方法を身につけよう』の動画を参考にしながら、各種DPI、pMDIの吸入練習機、製剤見本を用いた実習を行った。また吸入実習後に自由に感想を記載してもらった。

結果

吸入実習後の感想としては、「吸入指導の大切さが分かった」36.6%、「吸入薬の種類が多いことが分かった」27.6%、「実際に使用して吸入方法が分かってよかった」25.0%、などであった。

考察

医学部学生に対する吸入実習は、吸入指導の大切さや吸入薬の使用法、有用性を理解するうえで有用であると考えられた。

所感

これも教育に関する発表です。吸入薬の吸入指導実習ですか…やはり学生にもこういう指導も大切なのですね。感想の記載だけでは実習報告になってしまいますので、習得の効率や、5年生で吸入実習を行う必要性についてなど、考察をして頂くとよろしいかと思います。

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posted by 長尾大志 at 19:39 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月16日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習6

■ 疑似電子カルテを用いた咳嗽初診ロールプレイの行動解析

咳嗽初診患者は多いが、初期研修医に外来初診を教育する機会は少ない。

目的

外来初診ロールプレイ受講者の診療行動を検討し教育方法の改善を図る。

方法

ファイルメーカーで作成した疑似電子カルテを用いた外来初診ロールプレイ講習会を開催した。同一症例のカルテ記録を検討した。

結果

遷延性咳嗽症例の医学生1名および初期臨床研修医9名の診療記録を参照した。肝・腎機能、電解質、血算が80%以上選択されていた。IgEが8名に選択された。全例で胸部 X 線で肺癌や肺炎の除外は検討されたが、スパイロメトリーは8名にのみ選択された。気管支喘息、咳喘息はほぼ全例で鑑別に挙げられていたが、アトピー咳嗽は2名のみであった。治療まで言及できたのは5名であった。検査項目として、直接入力できなかった喀痰培養、喀痰細胞診は評価が不十分であった。

結語

初学者に対する咳嗽診療には呼吸機能検査の重要性とアトピー咳嗽を鑑別に挙げるよう指導することが重要と考えられた

所感

おお、これは!ちょっと発表の数分では語り尽くせない内容ではありませんか?遷延性咳嗽症例を外来初診で診るためのトレーニングをどのように展開していくか、は呼吸器教育のキモともいうべきところです。

その教育に使われているロールプレイ講習会で、受講者の行動をフィードバックした結果、ということですね。まず最初の教育をどのように行われているか、大変興味がありますし、このようなフィードバックがあると、次には教育する上でどこに力点を置いてカイゼンすべきか、ということが見えて参ります。是非今後も継続して、教育技法のブラッシュアップにつなげて頂きたいと思います。

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posted by 長尾大志 at 18:21 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月15日

内科学会ことはじめ

内科学会ではあまり講演とかに魅力を感じることはなく、もっぱら学生さんや研修医の先生方の「ことはじめ」を見て回っておりましたが…やはり…研究発表大事だなと!!自分たちがやっていないと、学生さんに発表させることもできないしね!

魅力的な講座にはやはり力のある若い人が集まってくる、もっともっとがんばろう、と、なんかいろいろ見て回って、思いました。手短ですがこれにて見聞録はおしまいです。

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posted by 長尾大志 at 23:06 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月14日

第115回日本内科学会講演会@京都に参加してきました。

昨日から京都で第115回日本内科学会講演会が開かれており、参加して参りました。今日は土曜日ですし、天気もまだ大丈夫であったためか、多くの方がいらっしゃっていましたね。そもそもこの時期の京都、観光客も多く、道も混雑していました。シャトルバスも大混雑。

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で、いつものごとく書店巡りです。内科学会は、いつも出版社ごとにブースがあるんですよね。著者別にして頂きたい、といつも思うのですが…。

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『検査ができない!?専門医がいない!?現場で役立つ呼吸器診療レシピ』は、南江堂さんですので、『スッキリまとめました』シリーズの横に置いて頂いております。

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『やさしイイ胸部画像教室 第2版』。あいかわらず『やさしイイ』シリーズは、いいところに置いて頂いております。

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今や一大勢力となった、『ただいま診断中!』ファミリーに入れてもらっています!『呼吸器内科 ただいま診断中!』、実は『ただいま診断中!』シリーズの第1弾なのです。

ということで、明日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 20:38 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月13日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習5

昨日は第45回神戸市北区呼吸器疾患勉強会で、胸部X線写真のお話をさせて頂きました。座長を頂いた深堀先生はじめ、お話しさせて頂いた先生方、ご参加頂いた先生方、本当にありがとうございました。よろしければ、昨日お話ししたとおり、やさしイイ胸部画像教室 第2版、および検査ができない!?専門医がいない!?現場で役立つ呼吸器診療レシピもよろしくご参照頂ければ幸いです(笑)。

さて、4月27日の第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター「教育・終末期医療他」セッション予習、まだまだ続きます。お付き合いいただけると幸いです。


■ IOS プログラミングによる酸塩基平衡解析アプリケーションの作成

近年タブレット端末が医療現場にも普及し、日常の診療業務でも薬や論文その他の医療情報の迅速な検索に利用できるようになった。

しかし市販のアプリケーションでは数冊の教科書を電子化しただけのものも多く、操作も煩雑で必要な情報へアクセスするには時間と労力を要する。

また自分流にカスタマイズができる、いわゆる『かゆいところに手が届く』使用感の物は少ないのが現状である。

そこで業務の効率化ができ、さらに病態の理解につながるようなアプリがあれば有用ではないかと考えた。

マッキントッシュ PC 上で iOS アプリケーションプログラミングソフトであるX-code を用い、特別なプログラミングスキルを必要とせず無料で作成が可能であって、特に臨床現場で煩雑な処理が必要とされる酸塩基平衡解析をアルゴリズム化した iPad アプリケーションを作成したので発表する。

所感

これはもう、現物を拝見しないとなんともかんとも…。これだけスマホ(携帯端末)の機能が優れていれば、あとは使う人のアイデア次第、というところでしょうか。

アプリでもって各種計算や診断ができるとなると、酸塩基平衡は計算できなくても、医者をやっていける、極論、知識がなくても医者をやっていける…ということになるのか、未来の医師像は果たして。

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posted by 長尾大志 at 16:57 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月12日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習4・第45回神戸市北区呼吸器疾患勉強会

4月27日の第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター「教育・終末期医療他」セッション予習にお付き合いいただけると幸いです。


■ 術前の呼吸器内科紹介例における周術期呼吸器合併症のリスク評価の検討

概要

術後呼吸器合併症(PPC)は術後一週間以内の死亡原因のおよそ2割を占め、周術期死亡の主な原因であるという報告もあるが不明な点も多い。

2年半の間に術前リスク評価目的で紹介受診した230名を対象に PPC 発症のリスクについて後方視的に検証した。

結果

PPC発生率は9.1%であった。PPC群と非PPC群との比較では男性の割合(81% vs 44%)、喫煙率(80% vs 46%)、BMI中央値(20.4 vs23.0)、手術部位(頭頂部・胸部・腹部)(95% vs40%)、手術時間中央値(4.12時間 vs3.08時間)に有意差を認めた。

呼吸機能検査においてはPPC群の方が%FVC、%VC、%FEV1、FEV1%が低い傾向にあったが有意差は認めなかった。

結語

男性、喫煙、るいそう、手術部位、手術時間がPPC発症のリスク因子であり、特に予防策を講じる必要がある症例群であることが示唆された。

所感

これはまさに臨床の現場で生じるクリニカルクエスチョンに答えてくれるような研究であるといえるでしょう。手術前に「○○(呼吸器疾患)があるのですが、手術していいっすか?」みたいなご照会が多々あり、対応に苦慮しているところで、何か客観的な指標を示して頂けると助かります。

そもそもこの施設では、術前リスク評価目的で紹介受診される基準がどのようなものかは知りたいですね。そして基礎疾患によってどうなのか、たとえばCOPD他の肺病変があるか、このあたりは興味があります。今後知見を重ねられて、新しい基準を作って頂けることを期待します。


ということで、本日はこれから神戸に出張です。第45回神戸市北区呼吸器疾患勉強会にお招き頂き、最近アツい胸部X線写真のお話をさせて頂きます。神戸市北区の先生方、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 15:57 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月11日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習3

4月27日の第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター「教育・終末期医療他」セッション予習にお付き合いいただけると幸いです。


■ 呼吸困難を主訴に救急外来を受診した症例の臨床的検討

概要

1年間に大学病院救急外来総合診療センターを受診した患者9283例のうち、呼吸困難を訴えた症例を対象とし、臨床的特徴につき調査した。

症例は男性223人、女性261人、平均年齢61.4歳であった。

結果

救急車で搬送された患者はウォークインで受診した患者に比べSpO2が低く(93.8%vs95.8%)呼吸回数が多かった(24.3回vs22.8回)。

呼吸困難の原因が呼吸器疾患であった割合は全体の40%で、ついで循環器疾患が17%を占めた。呼吸器以外の悪性疾患、重症感染症、消化管・慢性肝疾患、代謝障害などが1〜数%の割合で認められた。

呼吸器疾患が原因の患者は他が原因の患者に比べ SpO2が低く(93.3%vs95.7%)呼吸回数が多い傾向にあった(24.1回vs23.2回)。

結論

救急搬送される患者や呼吸器疾患が原因の呼吸困難は、その他に比べて重症度に関連するパラメーターが悪い。呼吸器、循環器疾患以外にも、様々な疾患病態で呼吸困難を呈することを考慮し救急診療を行う必要がある。

所感

これだけだとそりゃそうでしょ、という感じですが、いろいろ考えてみると様々な展開が考えられます。例えば心拍数との関係はどうだったか。その関係から、呼吸器疾患と他疾患の鑑別が可能であるか、とか。また、層別で救急車搬送群の中で、呼吸器疾患と他疾患との違いとか、ウォークインならどうかとか、低酸素があったかどうかで群分けするとか、大変興味深いですね。

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2018年04月10日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習2

4月27日の第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表にて、「教育・終末期医療他」セッションの座長を務めることとなりました。よろしければ予習にお付き合いいただけると幸いです。


■ 呼吸器疾患患者における呼吸困難の評価

概要

呼吸器疾患患者45例に、 NRS、mMRC、Cancer Dyspnea Scale(CDS)を用いて呼吸困難を評価し、症状の質や評価法による相違を検討した。

年齢中央値は67歳、男性が76%、基礎疾患は悪性腫瘍が51%、間質性肺炎が33%で、7%に呼吸不全が見られた。呼吸困難は67%に認められ、安静時 NRS では症状のない30例のうち、mMRCでは3.3%、CDSでは55.6%が呼吸困難を示した。

疾患別では明らかな特徴は見られなかった。CDS の内訳は、呼吸努力感29%、呼吸不快感4%、呼吸努力感と不快感46%、呼吸努力感と不安感7%、呼吸努力感と不快感と不安感 14%と、患者ごとに呼吸困難の質は多様であった。

呼吸困難を有する症例で、症状に対して治療が行われたのは27%のみであった。

呼吸困難は多様であり、複数の評価を用いることで多くの有症状患者をスクリーニングすることができる。一方、症状に対する治療介入は少なく、呼吸困難の質に応じた適切な治療法を含めて検討の余地があると考えられる。

所感

評価法によって、異なる項目をみているため、当然、ずいぶんと結果が異なるものになります。そもそも評価法の目的とする疾患が異なりますし、量的評価か質的評価かも異なるものを比較することにどのような意味があるのか、考察に注目です。単一の疾患でまとめられる方がわかりやすかったかもしれません。

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2018年04月09日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習1

4月27日に開かれる第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表にて、「教育・終末期医療他」セッションの座長を務めることとなりました。

今回は何となく自分の居所といいますか、自分の持っているものにマッチしたセッションではないかと喜んでおります。

また恒例?により予習をしていきたいと思います。よろしければお付き合いいただけると幸いです。


■ 市中呼吸器内科外来を受診する咳嗽患者の臨床像

概要

呼吸器内科クリニックの患者を対象に診療データを集積した。咳を主訴として初診受診した257例のうち、湿性咳嗽193例、乾性咳嗽が64例、急性咳嗽が159例、遷延性咳嗽が59例、慢性咳嗽は34例であった。

咳の原因と考えられた病態は「感冒や急性上気道炎」109例、後鼻漏109例、気管支喘息53例(うち咳喘息21例)、アレルギー性鼻炎45例、「アトピー咳嗽、咽頭アレルギー」34例、感染後咳嗽30例、急性気管支炎16例、慢性副鼻腔炎8例、「COPD、慢性気管支炎」4例、肺炎3例、肺癌2例、誤嚥1例であった。再診時に咳の評価ができた126例の改善度は70%と概ね良好であった

所感

多くの症例を診ておられるクリニックならではの研究ですね。共同演者で大学病院や大きな病院の先生方もおられるので、比較したデータや分析があると興味深そうです。また、こういう研究で気になるのが、定義のところと診断のところですが、それはポスターで確認したいと思います。

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posted by 長尾大志 at 20:24 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月08日

21世紀適々斎塾にて、呼吸器疾患セミナー!

というわけで、昨日と今日、21世紀適々斎塾におじゃまし、呼吸器疾患セミナー『胸部X線写真の読影について』お話をさせて頂きました。

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ご覧の通り、(私をのぞいて…)近畿の呼吸器診療の重鎮の先生方による、重厚な講義の数々。私も昨日から参加し勉強させて頂きました。個人的には、滋賀医大の同窓?、羽白先生とご一緒できたのが胸熱でした。

今日のトリでお話をさせて頂いたのですが、昨日の段階で思っていたよりもずいぶん学生さんや研修医の先生方(しかも適々斎塾は初めて、という)が多かったので、急遽胸部X線写真の読影、基礎編を組み込んでのお話となりました。それでも、いささか自己紹介とTake home messageが多かったかもしれませんが、まあまあ筋の通ったお話はできたかなあと思っております。

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今日は午前中、息子の高校入学式がありまして、午前中の講義には参加できず、残念でしたが、思いがけずお祝いまで頂き、感謝しております。おいしく頂きました。

塾長の中西先生、板金先生、松村先生はじめ適々斎塾の先生方、講師の先生方、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 23:56 | Comment(0) | 日記

2018年04月06日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて30・死腔とは3・ネーザルハイフローについて、その他いわれていること

ネーザルハイフローのメリット、として挙げられていることがいくつかあります。

もちろんFIO2の、特に高流量のところを、キッチリ決めることが出来る、着けたまま会話や飲食が可能、それは当然のことですが、それ以外に以下のようなことがらがあります。

  • 加温・加湿によって喀痰除去を助ける

  • PEEPがかかる

  • 死腔を減らし換気効率を上げる


PEEPについては、メーカーも「軽くPEEPがかかる」みたいな謳い方をしていて、大してかからないことは認識されていそうです。高流量の混合気を流すので、ちょっと圧がかかりますが、その圧は2cmH2Oからせいぜい4cmH2O程度、といわれていて、それほどでもありません。

ですので、真面目に?PEEPをかけたいときは、NPPV(non-invasive positive pressure ventilation:非侵襲的陽圧換気)やIPPV(invasive positive pressure ventilation:侵襲的陽圧換気)等、人工呼吸のシステムを使います。


それと死腔を減らす件ですが、やはり高流量の混合気が流れるので、呼気の洗い出し効果が期待される…とよく書いてありますが、おわかりでしょうか。

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呼気時には、ガス交換の済んだ(汚れた=酸素が少なく二酸化炭素が多い)空気が肺胞から出てきますよね。

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で、次に息を吸うときには、体外の呼気は一瞬で拡散して、きれいな大気になっているわけで…

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体外(外界)の空気350mLと、気道内(死腔)の空気150mLを吸い込むことになります。

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ネーザルハイフローを使っている場合、息を吐いてから次に吸うまでの、ホンの一瞬で…

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鼻腔から上気道あたりの空間に酸素が充満します。なんせ高流量なもので。

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従って、死腔の一部が酸素に置き換わり、ガス交換したのと同じ効果が得られます。これを「洗い出し効果」と呼んでいます。

ナースのための呼吸器道場

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posted by 長尾大志 at 18:52 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月05日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて29・死腔とは2・死腔の意味

細かい絵を描くとごちゃごちゃするのでシンプルに気道と肺胞、それから呼吸で出入りする大気の関係を表す絵を描きます。

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これで呼吸をさせてみましょう。吸気時には肺胞(呼吸領域)が膨らみ、空気が入ります。だいたい1回換気量は500mLくらいと考えますと、500mL分、肺胞が膨らむことになります。そこでガス交換をします。

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で、呼気時には、ガス交換の済んだ(汚れた=酸素が少なく二酸化炭素が多い)空気が肺胞から出てきます。

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外界に出た呼気は、すぐに拡散してきれいな空気(酸素の多い、大気)になります。で、次に息を吸うわけですが…。

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その際、死腔にある空気150mLも吸気500mLに含まれることにご注意ください。

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まあ、こんな面倒くさいことを言わなくても、気道内の空気150mLが吸気呼気で行ったり来たりする、だから1回換気量は死腔分150mLを差し引いて考える、そのくらいの考え方でも間違いではありません。

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posted by 長尾大志 at 18:55 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月04日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて28・死腔とは1

死腔とは何か、どういうものなのか、よく質問を頂きます。ちょっと難しいですね。

肺を思い出してください。

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吸入気は、口や鼻から入ります。で、咽喉頭で合流し、気管に入ります。気管は1本ですが、気管分岐部(1個目の分岐)で右と左、2本の主気管支に分かれます。その後もどんどん分岐していき、16回目ぐらいの分岐のところから、気管支の横に肺胞がくっつきます。そうすると、その領域では気管支内にある空気もガス交換に関与する、ということになりますから、それ以降の領域を呼吸領域、といいます。

それ以前、15回目の分岐の気管支(終末細気管支)あたりまでに存在する空気はガス交換に寄与しません。気管から終末細気管支までを、ただ空気が通過するだけの領域、という意味で伝導気管支と呼びます。

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その、伝導気管支分の容積はだいたい150mL程度で、呼吸に関与しない腔、という意味で「死腔」と呼ばれています。

最終的には気管支は23回ぐらい分岐して最終の肺胞のカタマリ(肺胞嚢)に到達します。

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posted by 長尾大志 at 21:44 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月03日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて27・酸素の投与法7・ネーザルハイフローについて

インスピロンは「FIO2を上げるために使う」ものではなくて、「気道の加温加湿をしっかりと行うためのシステム」という位置づけが正しいのです。例えば術後、排痰を促したいときとか、気切症例で(鼻を経由しないので)気道が乾燥しがち、とか。まあ後者では昨今は人工鼻が使われることが多いでしょうか。


一方、ベンチュリーマスクやインスピロンに比べると、ネーザルハイフローに代表される、新世代のハイフローセラピーシステムは、考え方としてはとても簡単です。

流量を調節するところの改良によって、これまでのように15L/分まで、といったチンケな量でなく、最初から堂々と30L/分以上流せるようになっているのです。ですから、流量(30l/分以上)とFIO2を決めれば、その決めたFIO2が流されている、と見なすことが出来るのです。

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鼻に直接高流量を送り込むと、乾燥して痛みや不快感、鼻出血の原因になるのですが、ネーザルハイフローでは加温加湿をしっかりと行うことによって、そういういうことがないよう工夫されています。

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posted by 長尾大志 at 19:41 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月02日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて26・酸素の投与法6・インスピロンについて2

インスピロンだと、目盛りに「100%」なんて書いてある。それで、つい、FIO2は今100%なんだ、てな勘違いをしてしまう。

考えてみれば、元々せいぜい15L/分までしか流れてこない酸素システムで、どうやってFIO2を100%に出来るのか。これは無理な話なんです。

確かに目盛りは100%と書いてありますが、これを100%にすると、空気孔から空気が入らなくなり、流れてきた酸素がそのまま100%で、蛇管内を流れていくことになるのです。

ということは…その使い方だと、ローフローシステムになってしまっているのですね。

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ローフロー、ということは、吸気時には蛇管を流れてくる酸素だけではまかなえず、周囲の空気を吸い込んでしまい、FIO2は思っているよりも低下してしまう、ということです。

それでは正しくハイフローとして使うにはどうするか。実はO2の流量と、目盛の%とを組み合わせれば、実際に蛇管を流れる混合気の流量が計算できまして、ちゃんと表になっています。
https://www.j-mednext.co.jp/library/inspiron_faq_safe_ans.html
日本メディカルネクスト株式会社HPインスピロンQ&A「より安全にお使い頂くために」

その表で、30L/分以上になるように(つまりハイフローが成立するように)、O2流量と%を組み合わせて使う、というのが、インスピロンの正しい使い方なのです。

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posted by 長尾大志 at 22:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月01日

昨日は堀江教授の退任記念祝賀会でした

そういうわけで昨日は、堀江教授の退任記念祝賀会でした。

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素晴らしい快晴、サクラも満開で、堀江先生の有終にふさわしい景色が、琵琶湖ホテルから一望できました。

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私が滋賀医大にやってきたのが2005年。呼吸循環器内科(旧第一内科)教授としての堀江先生とは、学生のときに授業でお目にかかった、位の面識しかありませんでした。お話しするとお人柄が素晴らしく、当初わずかな人数でがんばっていた呼吸器内科の面々に大変よくしてくださいました。当時は数人で病棟を回し、研修医の教育、臨床実習に授業、研究、各種調査までやってましたから、本当に大変でした…。

呼吸循環器内科、という形で、教授が循環器の方ですと、呼吸器内科は完全に属国扱いとなってもよさそうなところ、早い段階から独立した政治・経済を認めて頂いていたようなもので、なにかと政治に口を出す、ということをなさいませんでした。

それでいて、初期にいろいろと困ることがあって相談を持ちかけても、その都度しっかり時間を取ってくださって、私なぞのしょうもない相談にも答えてくださいました。今こうして私が大学勤めを続けていられるのも、ひとえに堀江先生のおかげなのです。

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祝賀会でも堀江先生のお人柄に触れた祝辞が多く、終始和やかな会となりました。

堀江先生、このたびは誠におめでとうございます。本当に長い間、ありがとうございました。


そして、いよいよ呼吸器内科が独立!たぶん。新教授はどうなるのか、循環器内科の次期教授選にも注目が集まります!激動なのか、そうでもないのか、ドキドキですね…。

あ、そういえば、今日は4月1日ですが、特にエイプリルフール的なことは今年はありませんです。はい。

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posted by 長尾大志 at 21:58 | Comment(0) | 日記

2018年03月31日

今日は堀江教授の退任記念祝賀会でした

しかし遅くなってしまったので詳細は明日(今日)に回します!

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posted by 長尾大志 at 23:59 | Comment(0) | 日記

2018年03月30日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて25・酸素の投与法5・インスピロンについて

インスピロンも古くからあるハイフローシステムですが、今でも誤解されて使われているケースをよく見かけます。

基本的にはベンチュリーマスクと同じで、「流れてきた酸素に一定の割合の空気を混ぜることでハイフローを作る」システムです。

ベンチュリーマスクもそうですが、元々、昔ながらのローフローシステムからやってくる、せいぜい12L/分とかの流量である酸素を、ジェット化して空気を混ぜてハイフローにするシステムなのです。

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なので、ハイフローで流れてくる混合気のFIO2は、せいぜい50%にしかならない、というところに注意が必要です。ベンチュリーマスクではアタッチメントに(O2 ○L、FIO2 ○%)と書いてあって、最大でも50%までのものしかありません。ですから間違えることはないと思うのですが…。

インスピロンだと、目盛りに「100%」なんて書いてあるんですよね…。

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posted by 長尾大志 at 19:19 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月29日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて24・酸素の投与法4・ベンチュリーマスク詳しく

もうちょっと詳しく書きますと…酸素が流れてきて、アタッチメントを通過するときに、経路が急に狭くなります。経路が狭くなると流れが速くなりますので、勢いよくプシューっと酸素が口から飛び出し、流速が上がります。

そこへ、横の開口部から空気が入ってきます。ジェットみたいな速い流れがあると、周りの空気はそこに吸い寄せられる性質があるのです。その性質で、周りの空気を引っぱりこむわけですね。

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この、酸素の出てくる孔の径と、横の開口部の大きさが決まっていて、流す酸素の流量も決めると、酸素と周りの空気の混じる割合も決まり、混じった混合気の流量も決まってしまうのです。つまり30L/分以上の流量になり、FIO2も決まる、ということになります。ですからアタッチメントごとにちゃ〜んと決められた酸素流量を守らなくてはなりません。

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posted by 長尾大志 at 19:28 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月28日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて23・酸素の投与法3・ハイフローシステム・ベンチュリーマスク

ハイフローシステムには、昔から使われているベンチュリーマスク、インスピロン、それから最近使われるようになったネーザルハイフローシステム、などがあります。

ベンチュリーマスクは簡単な仕組みですが、FIO2をきっちり決めることができます。

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図のアタッチメントを交換することで、酸素と空気の混ざる割合が変わり、FIO2を変えることができます。

アタッチメントより患者側では、30L/分以上のハイフローで流れますから、吸気の流量を流れてくる混合気でまかなうことができます。ですからそこを流れてくる酸素の割合が、吸気のFIO2になるのです。

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posted by 長尾大志 at 21:23 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月27日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて22・酸素の投与法2・ローフローシステム

酸素投与といえば、すぐに思いつくのが経鼻カニューレだと思います。経鼻カニューレは鼻につけたチューブから酸素を1分間に1Lとか2Lとか流すものですが、それ以外にシンプルマスク(鼻と口を覆うようなマスク)から酸素を流す方法もあります。

もっとたくさん酸素を流したい場合にはリザーバーマスク(マスクの手前に袋のような酸素を貯める場所がくっついたシステム)を使うことが多いでしょう。リザーバーマスクの場合は、1分間に10Lとか12 L とか結構たくさんの酸素を流しますよね。

例えば1分間に1L酸素を流すと、1秒間には1L÷60秒=16.7mLの酸素が流れてくることになります。

ところで人の一回換気量(安静換気で1回息を吸うときに吸い込む空気の量)とはどのくらいでしょうか。だいたい体重✕10(mL)、体重が50 kg の人であれば500mL程度といわれています。

安静時の吸気に要する時間が大体1秒程度とすると、人はこの500mLを1秒間で吸いこむことになります。

つまり人の吸気は秒速500mL 、先ほど申し上げた通り1分間に1Lの酸素というのは1秒間あたり16.7mLになります。これは一回換気量500mLのうち極めて少量で、残りは鼻や口の周りの空気を吸い込んでいるのです。

例え1分間に12 Lの酸素をシューシュー流したとしても1秒間に換算すると12÷60で200mLにしかなりません。ということは後の300mLは周りの空気を吸い込んでいることになります。

これまでのシステムでは壁の配管から流れてくる酸素の流量計は最高でも1分間に15L、1秒間にすると250mLしか流れませんでした。この流量では人間の1回吸気量の半分程度しかまかなえません。こういう、1回吸気量に満たない量しか供給できないシステムをローフローシステムと呼んでいます。

1秒間に500mL以上流そうとすると、1分間に換算すると30L以上となります。これ以上の流量を流すと、1回吸気量がまかなえますので、そういうシステムをハイフローシステム、といいます。

ローフローシステムでは、FIO2はこちらの意図した通りにはなりません。というのは息を吸い込むときに、流れてきた酸素と周りの空気とがどのくらいの割合で混合されるかが決まっていないからです。

例えば呼吸回数が少なくなると、息を吐いてから次に吸い込むまでの間に、解剖学的リザーバーと呼ばれる鼻腔(50mL程度の容量あり)に酸素がたまります。次の吸気でその酸素を一緒に吸い込みますので、FIO2は少し上昇します。

逆に頻呼吸の場合、息を吐いてから次に吸い込むまでにほとんど時間がありませんから、FIO2は低下します。通常は酸素が欲しい時ほど頻呼吸になりますが、皮肉なことに頻呼吸になるほどFIO2が低下するのです。

逆にCO2ナルコーシスの時のように、酸素が多くなりすぎるとやばいですよ、という時ほど呼吸がゆっくりになってFIO2が上昇してしまいますので、注意が必要です。

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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月26日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて20・低酸素のアセスメント法4・低酸素の度合いはいかほどか?P/F比

低酸素だ!大変だ!で、どのくらい大変なの??SaO2は?PaO2は?ところでSaO2の見かた、PaO2との関係は?

SaO2は酸素飽和度ですから0%から100%の間をとり、100%が満点です。静脈血でもある程度はヘモグロビンが酸素とくっついてますので、SaO2が60〜70%程度あるわけです。

PaO2とSaO2の間にはちゃんと決まった関係があって、それを表したグラフが酸素解離曲線と呼ばれています。ご覧になったことがある方も多いと思いますが、ちょっとクセのある形をしています。

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これ自体を覚えるのは大変なんで大体の代表的な SP O2とPaO2の対照表というのがあってこんな感じです
PaO2 Torr 80 60 55 50 40
SaO2 %  95 90 88 80 75

正常ではSaO2 95%(PaO2 80Torr以上)は保たれているものです。SaO2 90%(PaO2 60Torr)を下回ると、組織に十分酸素が行きわたらず生命の危険を生じるので呼吸不全と呼ばれます。

この解離曲線にも合理的な理由があって、酸素のたくさんある(つまりPaO2の高いところ)、それは肺ですね。肺では酸素が飽和しやすい、つまりくっつきやすい。酸素を積み込みやすいわけです。で、多少肺が傷んでPaO2が低下しても酸素のくっつきやすさというのがそう変わらない、大勢に影響がないということになります。

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一方、末梢の組織ではヘモグロビンからO2が外れやすい方がいい。酸素が少ない環境ではヘモグロビンと酸素はくっつきにくい方がいいってことですね。酸素解離曲線が急降下しているので、ちょっと酸素の分圧が減ってもヘモグロビンからじゃんじゃん酸素が離れて組織に移行するということになります。


ついでに酸素解離曲線の右方シフトについて簡単に説明します。これはボーア(Bohr)効果とも言われています。この曲線自体が右に動くということは、同じPaO2でもSaO2が低い、ヘモグロビンがより酸素を離しやすいということを意味します。水素イオン濃度や PaCO2、温度、それから赤血球内の2.3-DPG の濃度が何れも上昇すると右方シフトするのです。

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これは何れも、末梢の組織(筋肉など)において、ヘモグロビンがより酸素を離しやすいようなメカニズムになっています。

筋肉では、より多くの二酸化炭素が産生されていますし、その結果pHはより低い(酸性=水素イオン濃度が多い)、それから筋肉ではより体温・温度が高いわけです。2.3-DPG の赤血球内濃度は慢性の低酸素状態で上昇しますのでこれもまた同じメカニズムということになります。


さて、SaO2やPaO2を見ることで、その時の「酸素飽和度」「酸素分圧」はわかりますが、果たしてそれだけで正味の評価になるのでしょうか?

例えば、救急車に乗ったり医療機関に到着したりすると、低酸素血症の患者さんには当然酸素投与がなされます。O2を吸っていない、室内気の患者さんと、O2を12L、リザーバーマスクで吸っている患者さんと、挿管下人工呼吸で、FIO2が100%の患者さんとは、同じSaO2であっても話がずいぶん違います。

酸素をたくさん吸入すればSaO2やPaO2は当然上昇するわけで、今実際どの程度の酸素吸入をしているかということを勘定に入れて SaO2やPaO2を評価する指標が必要になります。そのためにP/F 比を計算するのです。

これは簡単な計算で、PaO2をFIO2で割ったものになります。

P/F 比=PaO2÷FIO2

ただし、この計算をするためにはFIO2が正確である必要があります。つまり酸素流量の少ないローフローシステムだと、FIO2は正確でないので P/F比は計算できません。

通常は挿管人工呼吸管理、またはネーザルハイフローなどのハイフローシステムによって酸素が供給されているときに限ります。

例えばFIO2が50%でPaO2が100Torrのとき、PF 比は100÷50で200になります。ここでFIO2を70%に上げてPaO2を測定したら140でした。さて、肺はよくなっているでしょうか…??

PaO2だけ見ると、一見よくなったように見えますが、P/F比を確認してみましょう。

P/F比=140÷70=200

…同じですね。

このように、P/F比を計算すれば「本質的には」状態は変わっていない、ということがわかるわけです。

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posted by 長尾大志 at 19:56 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月25日

M君ご結婚おめでとう

高校の同級生M君とは、部活が同じで旅行にも行った仲。高校卒業以来、あちらは文系、東京、こちらは理系、京都、ということで接点がなかったわけですが、Facebookという文明の利器、それに他の同級生のおかげで、このたび32年?ぶりの再会となりました。

いつも仕事で来るときはシブヤには来ないので、今回初シブヤ。たぶん。新鮮でした〜。

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あまりこちらには詳しいことはのせませんが、同級生が他にも数名。皆さん偉くなっておられる!

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いわゆる「業界」の方も多数参加され、いろいろなお話を伺っていると、滋賀の田舎者の私なんぞは気後れしてしまいます。いやあ東京は刺激的だあ。

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帰路には、お久しぶりの富士山が、お姿を見せてくださいました。ありがたやでございます。

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とにもかくにもM君、ご結婚おめでとう!このような機会を与えてもらって感謝です。また、声かけをしてくれたO君、いやO教授、本当にありがとう!今後ともよろしく!

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posted by 長尾大志 at 19:29 | Comment(0) | 日記