2019年04月21日

ご愛読ありがとうございます!記事が3,000を超えました。

気づけば数日前に、こちらのブログ記事が3,000を超えておりました。

とはいっても、毎日更新するようになる前にはぽつぽつ更新でしたし、記事もしょうもない?ものも少なからずありますので、お役に立つ記事が3,000、というわけではありません。ですが、とりあえず一つの節目ですので、心の中でお祝いをしておきました。といいますか、3,000記事当日は自分でも気づかぬままに過ぎておりました…。昨日もなんだかんだで更新できておりませんし。

1,000、とか2,000の時は、もう少し感慨というか、盛り上がる気持ちがあったのですが、3,000になると、もはや通過点でございます。おかげさまでいろいろとありがたいお話を頂いておりますが、このブログ以外にやるべきこと(で、このブログに書けないこと)の割合が増えてきていて、なかなか皆様にご報告が出来ていないのも心苦しいことではあります…。

よろしければこれからも粛々と、ブログは更新して参りますので、ご覧いただければ幸いです。
大学では何の力もない私に出来ることは限られていますが、自分の担当の授業、臨床実習に革命を起こすべく「今やるべきこと」を続けて参ります。

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posted by 長尾大志 at 16:49 | Comment(0) | 日記

2019年04月19日

第59回日本呼吸器学会学術講演会見聞録3

もう少し、「次世代につなぐ呼吸機能と形態の連関」シンポジウムについて。

続きましては、公益社団財団法人神経研究所研究部睡眠学研究室の對木悟先生によります「覚醒中と睡眠中における上気道の機能と形態」というお話。

こちらも呼吸器畑のご出身ではない先生のお話で、新鮮に興味深く拝聴致しました。例えば上気道の構造として、嚥下をするためには柔らかく虚脱する性質を持っていて、筋肉で覆われていて収縮するという性質が重要である一方で、呼吸のためには、なるべく構造物は固く閉塞する要素が少ない方が良い、という相反する性質を持っている必要があって、それゆえの不都合が色々あるというお話は目から鱗でした。

また元横綱○○関の○○親方が重症のOSAで、CPAPを持って巡業に参加されていたという話も、生々しくて引き込まれました。

オトガイ舌筋(GG)の筋活動が上気道開存のキーになる、すなわち、オトガイ舌筋は舌の位置を保持するという役割があって、息を吸うときに活動するそうです。覚醒している時はオトガイ舌筋がアクティブにしっかり収縮しているために気道が閉塞せず、睡眠中はそれが弛緩してしまって閉塞すると。

ですから治療は、下顎を前方に動かすようなマウスピースを使うわけです。そういうマウスピースを使うと、オトガイ舌筋自体の活動も(負担・仕事量が減るので)減るわけですね。

顎の大きさ、これを箱に例えて、舌の大きさはお肉に例えて、この箱と肉とのバランスが悪いとOSAになるという喩えもわかりやすかったです。舌、つまり肉が大きい人はOSAになりやすいですし、逆に顎が小さい(小顎症の)人もOSAになりやすい、とのことでした。非常に明快なお話で大変興味深く拝聴いたしました。

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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月18日

第59回日本呼吸器学会学術講演会見聞録2

「次世代につなぐ呼吸機能と形態の連関」というシンポジウムも、大変興味深く拝聴しました。

まず、京都大学呼吸器内科学 平井豊博先生によります「画像による気道形態の評価と呼吸機能の解釈」。これはこれまで、平井先生や当院の中野先生をはじめとする京都大学一派?の先生方による、これまでのお仕事紹介が主なところで、さすが私もによくよく存じ上げていた内容が多かったです。

続く公立学校共済組合関東中央病院病理科から現在複十字病院に遷られた岡輝明先生による「COPD における気道形態の評価と呼吸機能の関連―形態学が果たすべき役割は?ー」というタイトルのお話、大変興味深く拝聴いたしました。

やはり病理の先生の見方は、我々臨床家とは違う方向から見られているのだなあと思う場面が多く、興味深かったです。COPDにおいて気道が閉塞するメカニズムとして、これまで私は肺胞内の弾性線維という支持組織がなくなることによる、気道の虚脱を主なメカニズムとして考えておりましたが、肺の過膨張による気道の圧迫であるとか肺の過膨張によって細気管支が長軸方向に進展することによるふん伸ばされてその分内腔が狭くなるという考え方も、いわれてみれば確かに論理的ですね。

小葉中心性気腫、といっても、必ずしも小葉のどまんなかではなく、少しズレている、というお話であったり、一口に「弾性線維」といっても、肺の立体構造という3次元の文脈で考えるのと、2次元で考えるのとでは話がずいぶん違う、というお話であったり、COPDは肺の老化、といわれるが、病理組織的に「気腫」は老人肺とは違うものである、というお話であったり、興味の尽きないお話が続いて、思わずのめり込んで拝聴しました。

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posted by 長尾大志 at 19:18 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月17日

第59回日本呼吸器学会学術講演会見聞録1

というわけで、今回は会場に長々といましたので、色々と興味深い講演・セミナーなどを拝聴することができました。いくつか備忘のためメモをさらっておきたいと思います。

まずは「血痰・喀血の治療戦略と血管内治療のUp to Date」と題しまして二つの演題をまとめて拝聴。一つは「呼吸器内科医の考える喀血診療のベストプラクティスとは〜呼吸器外科医・IVR医や他施設との連携を含めて〜」というタイトルで、国立病院機構東京病院呼吸器センターの川島正裕先生のお話でした。喀血診療の基本的なお話が中心でしたが、喀血の量なのですがやはり少量・中等量・大量の明確な定義というのはなかなかない、とのことで少しホッとしました。ハリソン第4版によると200mLから600mL以上のものを大量というとなっていますが、いささか幅がありますね。ACR 2014年のガイドラインによると、24時間以内に30mLまでを少量、300mLまでを中等量、そして300mL以上を大量とする、とのことでした。再喀血の頻度は重症度によらず20%程度で、当初少量でも油断はできず再喀血時には大量になることも少なくない、とのことで注意が必要です。

喀血時にはやはりCTアンギオグラフィーをやって、フィーダーの確認が必要という方針を再確認しました。BAEに関して、アスペルギルスや非結核性抗酸菌症が原因疾患であるとやはり原疾患の制御が難しいからか、30%が再喀血するそうです。原疾患を投薬等で制御できれば、再喀血のリスクは減るようです。

それに対して、特発性の出血というのは少なからずあるのですが、微細な気管支動脈の破綻であるとかそういった機序であるようで、そちらの方は制御が良好とのことです。金属コイルによる喀血制御率は2、3年のうちは80%ほどあるようです。

続いて、東海大学専門診療学系画像診断学/付属八王子病院画像診断科の松本知博先生によります「難治性血痰・喀血に対する血管塞栓術―適応と実際―」というお話を承りました。

我々の施設でも通常BAEをやるのは大量・緊急的な場面が多いわけですが、松田先生のご施設では少量・待機的なBAEをされていて、うまくいっている症例を蓄積されているというお話でした。

これはランチョンセミナーでしたので、後半は電気離脱式の(スポンサーに関わる)コイルに絡めた(コイルだけに)お話でした。自分ではBAEをやりませんが、色々なデバイスがあって凄いなあとただただ感心していました。最後はしょうもない感想ですみません…。

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posted by 長尾大志 at 19:45 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年04月16日

『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』を読んで

今回の出張では、東京都立両国高等学校・附属中学校主幹教諭の山本崇雄先生による『なぜ「教えない」授業が学力を伸ばすのか』という本を拝読しました。

非常に耳の痛いことがたくさん書いてあって、読み進めるのにかなり時間を要しましたが、読了した今となってはこれからやっていくべきことが見えてきたように思います。

クラス単位での運営が出来、年単位で子供たちの観察が出来る中学生、高校生と、100人単位で、数コマの授業しか接点がない、という大学生とでは事情が異なりますが、それでも出来ることはあるはず、という観点で読んでいきました。

山本先生も私同様、以前は「教えることに自信があった」、でも、子供たちの自立を促すために、あえて「教えない」ことに舵を切った、といいます。「教えるのが好きだから教える」というのは、教師側の自己満足に過ぎない、と。私も教えることに関しては自信があるわけですが、今の医学生に身につけてもらわないといけないことは、「自分で学び続ける力」です。

そのために山本先生はテストも工夫されています。具体的なことは書かれていませんでしたが、予めテスト範囲を示すことと、授業でやったことを理解していないと解けない問題を出す、ということは、よく練ったテスト問題を毎回作るということです。

これは、過去問を蒐集する試験対策委員と問題を回収する教員との不毛な争い、とは次元の違う、レベルの高い話になります。私は既に過去問を公開してそれが解けるように課題を与える感じにしておりますが、テスト問題の質を上げる(と周知する)ことで、勉強を促す効果はありそうです。

「他人に教える」「『問い』を考える」ことは大変大きな学びになります。グループワークなどに中で、そういう活動が出来るよう導ければ、勉強のコツがわかってきて、勉強が楽しくなるかもしれません。

失敗を許し何度でも挑戦させることは、自立を促すことになります。失敗を恐れていては自立できませんから、授業中「Enjoy making mistakes」というルールを徹底して、どんどん間違えてもらいます。以前適々斎塾で習った「No blaming culture」と同じ精神だと思います。

まだまだいろいろと勉強になりましたが、この本で学んだことは、早速昨日授業スライドを改善させ、反映しております。3年生の皆さんは、秋を楽しみにしましょう。

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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | 日記

2019年04月15日

レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室[ベストティーチャーに教わる全29章]改訂第3版

学会場で先行発売でしたが、いよいよ『レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室[ベストティーチャーに教わる全29章]改訂第3版』が上梓されます。

今回、割と間際に、どうしても加筆・訂正したいところが出てきまして、かなり日本医事新報社様に無理を申しましたが、なんとか呼吸器学会に間に合わせて頂きました。いつも無理を聞いていただき、本当に大感謝です。

昨日の写真で、並べてみてお分かりのように、だいぶページが増えました。それでいてお値段は100円アップに止めていただき、こちらもまた大変な企業努力の賜物と感謝いたします。以前とある方に「ウチではその値段では無理です!」といわれました…。

章も27→29章と二つ増えましたし、主なガイドラインの改訂も盛り込みましたし、例えば COPD 患者さんで何で気管が短く見えるかといったうんちく話も細々と追加しております。電子版も附属するようになり、これが研修医の先生にはどえらく好評です。

医学生さん、研修医の皆さん、非専門医の先生方、呼吸器が苦手な先生方、コメディカルスタッフの皆さん、若手指導にお悩みの先生方、きっと皆さまのお役にたてると思います。是非ご活用ください。

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posted by 長尾大志 at 15:55 | Comment(0) | 活動報告

2019年04月14日

学会最終日

というわけで、近年になく、学会の最初から最終日までおりました。今年はよく勉強しました。しかし、相変わらず学会の方針が「撮影禁止」ですので、写真は何もございません。

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こおんなに分厚くなったのですよ〜、という写真。

昨日は昨日で、とある集まりがあり、懐かしい人たちと再会したりしました。が、詳細は伏せておきます。

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下の写真は、別の日のディナーです。

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posted by 長尾大志 at 22:26 | Comment(0) | 日記

2019年04月13日

『Lesson! 胸部画像の読みかた』が出版されました!!

昨日の記事の写真の中に、「間違い」が何カ所かありますが、気づかれた方はおられるでしょうか…?

特に正解されたからといって何もありませんが、お暇でしたら挑戦してみて下さい。

さて、こちらでの紹介が遅くなりましたが、先日沖縄県立中部病院呼吸器内科の喜舎場 朝雄先生の編集によります『Lesson! 胸部画像の読みかた』が出版されました!!

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これはこれまでの「画像診断本」とは切り口を変えた、新感覚の本で、『レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室 第2版』のような既存の?画像診断本を読み終えた方が、さらなる高みを目指すのに適した本ではないかと思います。

私は<肺血管や骨、しっかり追えていますか?>という項を担当させて頂いておりますが、書きながら大変勉強になりました。

無気肺って、高吸収のところを見るもの、だと思っている方は、是非今日、明日、学会場で手にとっ(て、買っ)て頂ければ、とっても勉強になると思います。新刊コーナーにこんな感じでおいてありますよ〜。

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posted by 長尾大志 at 09:18 | Comment(0) | 活動報告

2019年04月12日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション、無事に終了いたしました〜

今朝、第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッションがございまして、無事に?終了いたしました。

時間厳守、を1st priorityにしておりましたので、ぶつ切りになったことがあったようななかったような…その節は大変失礼致しました。

同じく座長の労をお執り頂きました、防衛医科大学校内科学講座2 小林英夫先生、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げますとともに、御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

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学会風景…?笑

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posted by 長尾大志 at 23:50 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年04月11日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習5

■ びまん性肺疾患における気管支肺胞洗浄後の急性増悪の予後因子の検討

【概要】

増悪群では非増悪群に比し、検査前の体温やCRPが多核、安静時・労作時低酸素が多かった。画像所見では、浸潤影、すりガラス影の範囲が広い症例が増悪を起こしていた。また、BAL細胞濃度(数?)、好酸球数の高値も増悪と関連していた。

【所感】

このように増悪を予想する因子を抽出できれば、より検査のリスクを低減させられると思います。



■ ICUで実施した緊急BALとその有用性について

【概要】

BALは20例全例で安全に施行でき、BALを施行することで、起炎菌の検索、ステロイド過量の反応性推測に役立った。

【所感】

急性呼吸不全やARDS症例などにおいてBALを施行することは有用ですが、様々な事情から「出来ない」という声をよく伺います。こうした報告を積み重ねることで、有用性をお伝えしていきましょう。


ということで今日は駆け足で、東京に向かいます。明日のポスターセッションに参加される皆さま、よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 14:00 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年04月10日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習4

■ 気管支鏡検査を受ける患者の抑うつ不安の状態と薬物介入の効果

【目的】

肺がんの疑いで気管支鏡検査を受ける患者の抑うつ・不安を評価し、抗うつ薬(ミルタザピン)投与による心理状態とQOLの変化を明らかにする。

【対象および方法】

気管支鏡検査入院をした患者を対象に検査入院時と初回外来時に質問票による調査を行った。抑うつ・不安は日本語版HADS、QOLはFACT-Lにて評価した。HADS得点11点以上で希望者に抗うつ薬を処方した。

【結果】

検査時46.5%に抑うつ・不安が見られ、この群のHADS得点には咳や胸の締め付け感が影響していた。抗うつ薬服用群は非服用群に比べ抑うつ得点より不安得点が高かった。QOLの総合得点は服用群が被服用群より低い傾向が見られた。初回外来でのHADS得点変化量及び QOL 変化量は服用群の改善が大きかったが、服用の有無による群間の有意な差は見られなかった。

【考察】

気管支鏡検査の身体侵襲の大きさが不安を高めたと考えられる。薬物服用により抑うつ・不安得点の改善が見られたため、検査入院時の心理状態の評価と早期介入によりQOL維持の可能性がある。

所感

気管支鏡前の抑うつや不安に対してミルタザピン投与で改善した、という報告。1回こっきり(のことが多い)検査前の不安に対して、投薬が必要なものか、議論が必要かもしれません。



■ 末梢孤立性病変に対するガイドシース併用気管支腔内超音波断層方法(EBUS-GS)後の感染症のリスク因子の検討

【背景】

気管支鏡検査後の感染症は重大な合併症であり、その適切な予防は重要な課題である。

【目的と方法】

当院で腫瘍性病変の診断目的でEBUS-GS法を行い、検査後に感染症を起こした症例のリスク因子を明らかにする目的で、多変量解析を行った。

【結果】

年齢中央値72歳、性別、年齢、検査前白血球、CRP値は検査後感染に有意な関連はなかった。一方、CT所見での内部壊死を疑う低吸収域、腫瘍内空洞、気管支鏡下での病変責任気管支の狭窄所見が感染群に有意に多い所見として抽出された。また全症例のうち102例で予防的抗菌薬投与がなされており、傾向スコアを用いたマッチング法では明らかな予防的抗菌薬投与の効果は認められなかった。

【結語】

感染のリスク因子として腫瘍内部壊死、腫瘍内空洞や責任気管支狭窄などが抽出されたが、検査後の抗菌薬投与のみでは感染を予防できない可能性もあり別の対策が必要である。

所感

BF後の抗菌薬投与は効果がない、というのは以前に研究結果がありましたが、感染リスク因子を抽出されたのが新しいですね。

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posted by 長尾大志 at 18:45 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年04月09日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習3

■ 気管支鏡検査におけるPtcCO2モニターの有用性についての検討

【背景・目的】
気管支鏡検査中の苦痛緩和のため鎮静を行うことが推奨されている。一方、深鎮静による呼吸抑制のリスクがあるがその評価方法は確立していない。気管支鏡検査中に経皮的二酸化炭素分圧(PtcCO2)のモニタリングを行い、その有用性について検討した。

【方法】

気管支鏡検査のうち、ミダゾラム、フェンタニルを使用した40例について安全性の評価を行った。開始時のPtCO2とPaCO2の乖離が5Torr未満の35例について、PtcCO2の開始時から最大値までの変動が12未満(L群)12以上(H群)の2群に分けてさらに解析した。

【結果】

鎮静・鎮痛に起因する検査中止や周術期の心血管・脳血管イベントは認めなかった。Henderson-Hasselbalchの式で推定した最低pHはL群で7.229、H群で7.101であった。開始時のPaCO2、A-aDO2と推定最低pHとは有意な関連がなかった。低酸素イベント(5L/分以上の酸素投与)はL群で2例、H群で8例と後者で優位に多く発生した。

【結語】
気管支鏡検査中のpH低下予測や低酸素状態回避にはPtcCO2モニターが有用である。


所感

経皮的二酸化炭素分圧モニターは少し前に当院でもデモ機があって、何に使おうかな〜となっていたのですが、このように使われたのですね。CO2の変化が大きい方が低換気となり低酸素になる、考えてみればその通りですが、低酸素の回避にどのように活かすかが問題かもしれません。



■ 肉眼ではわからない植物組織で生じた気道狭窄により繰り返された閉塞性肺炎

植物組織による炎症で長期間気道狭窄を生じ、閉塞性肺炎を繰り返す症例を経験した。
糖尿病で経口血糖降下薬を服用している高齢女性。咳嗽症状から約2か月の経過で左上葉無気肺が完成し、閉塞性肺炎も合併した。CTで肺門部に腫瘍性病変は認めなかった。抗菌薬治療にて速やかに無気肺は解除され肺炎も軽快した。その後数ヶ月おきに左上葉無気肺と閉塞性肺炎を2回発症したが、いずれも抗菌薬の投与で軽快した。
気管支鏡で確認したところ、舌区の入口部が狭窄し炎症性滲出物で閉塞していた。粘膜組織を生検したが非特異的炎症所見のみで悪性所見はなかった。肉眼では確認できないが植物組織を鏡検で認め、食物残渣と思われた。植物組織は閉塞性肺炎の発症時に複数回検出された。したがって、この植物組織は1年近く気道内に残存し、気道狭窄の原因になった可能性がある。
気道異物は乳幼児や高齢者、もしくは精神障害などの基礎疾患がある場合に認めることが多い。症例は認知機能に問題はなく、異物誤嚥のエピソードもなかった。
気道内に明らかな異物を認めなくても、食物誤嚥による気道狭窄を生じうる。病変は数ヶ月間残存し、閉塞性肺炎を繰り返すことがある。

所感

ちょっとわかりにくいのですが、生検組織は非特異的炎症所見+植物組織を認めた、ということですかね?でも複数回検出された→喀痰の鏡検、ということかも。「肉眼ではわからない」が売りなのか、果たして…?

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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年04月08日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習2

■ クライオバイオプシーの安全性有用性に関する多施設共同前向き研究

背景

クライオバイオプシー(TBLC)はびまん性肺疾患や肺がんの診断に有用であるが本邦における安全性、有用性は未だ明らかではないため、多施設共同にて前向きにTBLCの安全性、有用性を検討した。

方法

対象症例はTBLCが必要な全ての呼吸器疾患とした。主要評価項目は重度又は重篤な有害事象(出血、気胸、肺炎、呼吸不全、間質性肺炎急性増悪)発生割合とし、期待値を10%、閾値を20%、有意水準を両側5%、検出力を80%とした場合の必要症例数を110例とした。

結果

症例は17例、年齢72歳であり、全例で安静時の呼吸不全は認められず、止血用バルーンは全例で施行した。検査時間は34分、生検回数は3回、TBLC検体サイズは17.5平方mmであった。重度または重篤な出血は認められず、気胸は一例のみであり他の有害事象は認められていない。

結論

これまでの結果では許容範囲内の安全性プロファイルであり、症例集積が終了した時点で最終解析を行う。

所感

良好な結果で、最終解析が楽しみですね。



■ 当院における免疫不全患者に対する気管支鏡検査の有用性の検討

【背景・目的】

免疫不全患者に新たに出現した陰影に対する気管支鏡検査(BF)の確定診断への寄与度や検査の合併症は報告により様々であり、その適応基準は施設ごとに異なる。

【対象・方法】

免疫不全患者へのBF(肺がん診断目的を除外した69例)を後ろ向きに解析した。活動性の悪性腫瘍、自己免疫疾患、ステロイド5 mg/日以上、維持透析中、免疫抑制剤投与中の患者を免疫不全患者とした。

【結果】

背景疾患の内訳は悪性腫瘍23例、自己免疫疾患42例、その他4例であった。BALを49例、生検を19例、擦過洗浄のみを10例に施行した。50例は感染の除外を含め最終診断に寄与した。最終的に感染と臨床診断された24例のうち14例は起因菌を同定できなかった。検査後合併症は5例に認め重篤な呼吸不全1例、発熱3例、血痰1例であった。全例で速やかに回復した。

【結論】

免疫不全患者においてもBFは安全に施行でき診断への寄与は大きいが、起因菌の検出率は高くない。


所感

免疫不全患者においてBFどうしようかな…と躊躇われることも少なくありません。この報告は後押しをしてくれるでしょうが、確かに起因菌検出にはなかなか至りませんね。



■ 睡眠時無呼吸症候群と気管支鏡中の酸素飽和度低下に関する前向き観察研究

【背景・目的】

気管支鏡検査中の静脈麻酔が広まる一方、酸素投与を必要とする危険因子は明らかでない。
睡眠時無呼吸症候群を危険因子と仮定し、前向き観察研究を行った。

【方法】

気管支鏡中の最大酸素投与量を記録した。また同日にアプノモニターを行った。アプノモニターの解析者は酸素投与量に対して盲検され呼吸障害指数(RDI)を求めた。RDI値5回/時間以上の患者をSAS群とし、酸素投与量とSAS群の単回帰解析を行った。交絡因子として性別、年齢、鎮静薬使用量、マランパチー分類を含め多重回帰解析した。

【結果】

解析対象者は70人で女性は33人、SAS群は29人だった。単回帰分析でSAS群は有意に酸素投与量が増加した。多重回帰分析でもSAS群で有意に酸素投与量が増えた。その他女性で有意に酸素が多く投与された。

【結論】

気管支鏡中の酸素飽和度低下の危険因子として、SASと女性が挙げられた。


所感

この研究を始めるにあたっての背景をもう少し知りたいですね。SASが危険因子であるとして、それがわかったことで酸素投与量が多くなると予想され、それで…。

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posted by 長尾大志 at 17:41 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月07日

束の間の春休みが終わりました〜

ウチの5年生の皆さんは4月から臨床実習が始まるのですが、これが教授×2週間となっておりまして、最近立て続けに教授が新設されたためにどんどん夏休みなどの長期休暇が減らされまして、もはや長期休暇は2週間ずつとかになっております。ということは、私たちの長期休暇?学生さんが来ないので腰を据えていろいろ物事を考えたり、授業の組み立てを考えたり出来る期間もそれだけ短縮されています。

で、この春休みも2週間だったのですが、この春から循環器と呼吸器で2週間、というカリキュラムを、循環器と呼吸器、完全に分けるという試みを始めました。

ということで、循環器さんは先週から実習開始となりましたが、呼吸器は明日月曜日からの開始です。

全く新しい試みがいろいろと始まるので、大変緊張しております。

まあでも、学生さん次第、そして症例次第なところがありますから、どうなっていくでしょうか…??

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posted by 長尾大志 at 22:19 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月06日

入学式

今日は娘の入学式です。

私が学生の頃…いつの話やって感じですが、中学とか高校の入学式に、父親の姿はほとんどなかったように思います。それが今では…隔世の感がありますね。

そんなわけであまりこれまで入学式(卒業式も)って行ったことがなかったのですが、まあしかし、時代の流れですから、今日は土曜日でもあり、参加して参りました。

隣の父兄が休憩のたびに一服され、めっちゃたばこ臭くて、気分が悪くて倒れそうになりましたが、何とか2時間持ちこたえました。

桜がちょうど満開になっていました。人が写っている写真はややこしそうなのでやめておきまして、帰りの草津川のところで見事な風景を、車の後部座席から撮ってみました。

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posted by 長尾大志 at 22:24 | Comment(0) | 子育て日記

2019年04月05日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習1

ふと気がついてみれば、来週末には日本呼吸器学会学術講演会ですね。

今回私はポスター発表「内視鏡1」セッションの座長になりましたので、例によって予習をして参りたいと思います。

いつもは座長を仰せつかっている日の日帰りが多いのですが、今回はポスターの日程が金曜日の午前中、そして土曜日の夜に別件があるため、木曜日の夜から日曜日まで東京にステイするという、なかなか珍しい日程となっております。

こうなったら普段あまり勉強できない学会場での勉強を、この機会ですのでしっかり頑張ろうと思います。

さて今回は内視鏡のセッションです。なかなか興味深い演題が見られますね…。


■ 大口径ブロンコガイドシースを用いたEBUS-GS Cryobiopsy

背景

2.2mmのシースではクライオプローブが通過困難であるが、大口径のブロンコガイドシースは2.7mm口径であり、GS-TBLCが可能となる。

目的

当院で施行したGS-TBLCについて検討する。

対象と方法

末梢肺病変に対しGS-TBLCを施行した例を検討した。

結果

13症例で施行し、採取回数中央値2回、施術時間中央値30.5分、重篤な合併症は認めなかった。EBUS所見がwithinであった症例とadjacent toであった症例は100%の診断に至った。

所感

大口径のブロンコガイドシースを用いてクライオプローブによるクライオバイオプシーを施行された記録です。

クライオバイオプシー…皆さんのご施設ではいかがでしょうか。まだまだウチでも…でもどんどんされているところはされている。この報告では腫瘤に対してですね。

症例数が13例ですのでなかなか統計的にものは言えないかもしれませんが、少なくともEBUSの所見がwithinであった症例とadjacent toであった症例は100%の診断に至ったということで、やっぱり大きな組織を採った方がいいよね〜、という話にはなると思います。

個人的には、TBLBではなかなか診断に至らない、間質性肺炎もそうですがリンパ増殖性疾患なんかが診断出来るといいなあ、と思っております。

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posted by 長尾大志 at 19:23 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月04日

気管支喘息/COPD安定期の対応4

・増悪の予防

増悪の原因として、呼吸器感染症(細菌感染・ウイルス感染・非定型病原体による感染など)、大気汚染などが大きな割合を占めていると考えられています。そのため増悪の予防としては手洗いなどの感染予防が重要であることは論を待たないわけですが、それ以外には以下のようなものが勧められています。

・禁煙
・肺炎球菌ワクチン
・インフルエンザワクチン
・リハビリテーション
・長時間作用性気管支拡張薬


・禁煙

喫煙者では線毛機能が障害されたりして感染のリスクが高く、禁煙者に比べて増悪頻度が高いものです。禁煙によって増悪頻度が1/3程度に減少するとされています。


・ワクチン

気道感染の予防策として、手洗いとともにワクチン接種が有効です

@肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンにはPPSV23(ニューモバックスレジスタードマーク)と、PCV13(プレベナーレジスタードマーク)の2種類があります。日本では65歳以上のすべてのCOPD患者に肺炎球菌ワクチン接種が推奨され、65歳未満でも重症のCOPD患者にはPPSV23の投与が推奨されています。

Aインフルエンザワクチン
あらゆるCOPD患者にインフルエンザワクチン接種が推奨されています。


・リハビリテーション

身体活動性の低下は誤嚥などにつながり、増悪が増加し生命予後も不良になるため、身体活動性を維持するよう努めることが重要です。


・長時間作用性気管支拡張薬

メタ解析の成績ではLAMA、LABA、ICSいずれもCOPDの増悪頻度を減少させることが分かっています。しかし一方で、ICSは肺炎のリスクが増加することが示されており、ICS の使用に関してはまだまだ議論があるところです。

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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月03日

気管支喘息/COPD安定期の対応3

■ COPDの安定期治療

COPDは「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺疾患であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与し起こる。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示すが、これらの症状に乏しいこともある」(COPD診断と治療のためのガイドライン第5版2018、日本呼吸器学会)と定義されています。

安定期の管理目標は、現状の改善と将来のリスクの低減を目指すものです。

COPDは、肺胞の破壊という不可逆的な病変を伴いますので、禁煙以外に進行を止める手立てはないのが現状です。したがって、可逆性のある気道病変に対する薬物療法も重要ではありますが、それ以外の、非薬物療法(運動療法とか、栄養療法とか、教育とか)の占めるウエイトが大きいのが特徴です。

ガイドラインにある、「安定期COPDの重症度に応じた管理の図」をみると、重症度もハッキリ区切られておらず、薬物療法、非薬物療法とも区切りが何とも漠然としているのに気づかれるでしょう。

以前は肺機能(予測値に対する%1秒量)をある程度重症度の目安にしていたのですが、昨今では自覚症状がどの程度あるか、増悪の頻度がどの程度か、ということがらの方が予後やQOL、ADLに大きく関わってくるということが明らかになってきました。

そのため、例えば症状が強い人は薬物を追加するとか、リハビリテーションを追加するとか、症状を見ながらやっていきましょうという感じになっています。どちらかというと薬物の管理アルゴリズムを見た方がいいかもしれません。

薬物療法は比較的シンプルな考え方で、症状が強ければ薬剤を追加していきます。また増悪の回数が多い場合にも薬剤を追加した方がいいようです。

まずは必要に応じてSABA→LAMAまたはLABA→LAMA+LABA、さらにテオフィリンや喀痰調整薬の追加、という感じで、それほど複雑ではありません。

症状がどの程度であるか、という目安にはmMRC(modified Medical Research Council:修正MRC)質問票(息切れの評価)とCAT(COPD assessment test)質問票(症状やQOLの評価)という2つの指標がよく使われます。

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posted by 長尾大志 at 19:18 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月02日

気管支喘息/COPD安定期の対応2

・薬剤介入における注意点

特に吸入薬は内服薬よりも「面倒くさい」ので、服薬アドヒアランスを確認することがが大切です。

@残薬が多くないかを確認し、実際に吸入しているかの確認を行う。
喘息あるある
→症状が良くなっているからと吸入薬を自己中断や減薬、吸入忘れ
面倒なのでコントローラーを使用せずリリーバーだけ使う

A吸入手技を確認する。
薬剤開始後1度は実際に患者さんに目の前でやってもらって確認しましょう。


・薬剤を変更するタイミング
@コントロール不良の場合のステップアップ
季節性の花粉症薬の追加など、季節に応じた対応も大切です。

Aコントロール良好の場合のステップダウン
コントロール良好な状態が3〜6ヵ月維持されたら、治療のステップダウンを試みます。

B副作用への対応
吸入ステロイドの副作用は口腔・咽頭カンジダ症と嗄声といった局所の副作用が多いものです。対応としては吸入後のうがいや水分摂取がありますが、比較的コントロールが良好であれば吸入回数を減らすことも考慮します。
また、製剤タイプでは加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)が粒子径が小さく、局所の副作用を起こしにくいといわれていますが、ドライパウダー吸入器(DPI)でも、ブデソニドは粒子径が小さいといわれていますので、それらに変更することもあります。pMDIであれば吸入にスペーサー(吸入補助具)を用いる方法もあります。

高齢者の方で吸入手技が難しいとの理由で、ホクナリンテープ貼付だけが処方されている症例(喘息にLABA単独使用は禁止です!)や、内服のステロイド製剤が長期に処方されている症例を見かけることもごくまれにあります。内服ステロイドには副作用も多くみられます(6日目、ステロイドの章を参照)。吸入デバイスを変更したり、家族の協力を得たり、スペーサーを用いたり、などなど工夫してなんとか吸入ステロイドを使ってみましょう。

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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(2) | 呼吸器研修ノート

2019年04月01日

spring vacation

というわけで、お休みを頂き、家族サービスに勤めて参りました。

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例によって、食べ物の写真多し。家族そろって食べるの大好き。

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こんなのも面白かったですね。

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そして乃木坂の聖地(らしい)にも巡礼。

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そしてまた食べ物。

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〆はマンゴースムージー。集合時間ぎりぎりで、急いで戴きました。

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行く前はいろいろ危惧するところもありましたが、何とか無事に帰って参りました。明日からまた復活です〜。

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posted by 長尾大志 at 14:48 | Comment(0) | 日記

2019年03月26日

気管支喘息/COPD安定期の対応1

気管支喘息と診断したら、どの程度の重症度かを評価し、それに基づいて安定期の治療を組み立てます。未治療で始めて診断されたときの重症度は、主に喘息症状の頻度、強度、夜間症状とPEFやFEV1を参考に評価します。

で、症状によって、治療ステップを決め、そのステップに基づいてコントローラーを適宜組み合わせて治療をします。

実臨床では、よほどの重症でなくてステップ3くらいまでなら、ICS/LABA合剤の標準量を開始してみる、という感じで治療を進めることが多いように思います。

で、治療中の症例においては、コントロールが出来ているかどうかを評価し、コントロール不良であれば治療ステップを上げる(=薬剤を増やす、追加する)、コントロール良好であれば治療ステップを下げる(=薬剤を減らす)、という感じになります。

現在のコントロール状況を把握する

現在のコントロール状況を把握する項目として、咳、呼吸苦、喘鳴、睡眠障害、活動制限や増悪の頻度などを確認します。

また、ピークフローをモニタリングし、日内/週内の変動をみるのも参考になります。



…ちょっと諸事情で、これ以降しばらく更新がストップいたします。3,000記事目も間近で、楽しみにお待ち頂いている方には申し訳ございませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです。

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posted by 長尾大志 at 17:37 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月25日

気管支喘息/COPD急性期の対応4

急性期を乗り越えて安定したら、診断を確定して安定期治療に移行します。

ただし、気管支喘息か、COPDか、はたまた合併例(ACO:Asthma and COPD Overlap)かの鑑別はしばしば難しいものです。

初学者の方には、わかったようなわからないような『喘息予防・管理ガイドライン2018』の診断基準よりも『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap:ACO)診断と治療の手引き2018』に挙げられている基準の方が明快でわかりやすいと思いますので、そちらを参照されることをお勧めします。



■ COPD と診断がついている症例の急性期診療(COPDの増悪)

COPDの増悪とは、「息切れの増加、咳や痰の増加、胸部不快感・違和感の出現あるいは増強を認め、安定期の治療の変更が必要となる状態をいう。ただし、他疾患(心不全、気胸、肺血栓塞栓症など)の先行の場合を除く。症状の発現は急激のみならず緩徐の場合もある。」と定義されます。(『COPD診断と治療のためのガイドライン第5版2018』より引用)原因としては感染などが契機になる事が多く経験されます。

治療の基本はABC+呼吸管理です。

A(antibiotics)抗菌薬
B(bronchodilators)気管支拡張薬
C(corticosteroids)ステロイド

喘息発作のときと似た薬剤を使いますが、COPDとわかっていると進め方がいささか異なります。そもそも喘息発作は治療に速やかに反応することが多いですが、COPD症例の回復には時間がかかります。ですから喘息症例は「治療への反応」をみて入院の判断をしますが、COPD症例では重症度、現在の状態などから判断することが多いと思います。


・COPD増悪を疑ったときに必要な検査

動脈血液ガス分析
胸部単純X線写真
血液検査
心電図
また、必要に応じて胸部CTや、感染を疑った際には喀痰検査も行います。心不全との鑑別が必要な際は血清BNP測定や、心臓超音波検査を行います。


・入院適応の判断
総合的な評価が必要ですが、目安として以下のような項目を参考にして判断します。

低酸素血症の悪化・呼吸不全
錯乱、傾眠などの症状
初期治療に反応がない
入院が必要なレベルの感染症が原因の場合(点滴抗菌薬が必要)
独居や高齢者など、在宅サポートが乏しい


外来での投薬
@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入 繰り返し吸入も可能

Aステロイド
 経口プレドニンレジスタードマーク0.5mg/kg 5〜7日間処方

BCOPD増悪時には発熱、膿性痰などを認めることが多く、抗菌薬を投与することが多いでしょう。
COPDの気道感染原因菌はH.influenzae、肺炎球菌、M.catarrhalisなどの頻度が高いとされているので、アモキシシリン+クラブラン酸やレスピラトリーキノロンなどがよく使われます。


入院での投薬
@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入 1日3〜4回

Aステロイド点滴静注
 ソルメドロールレジスタードマーク40〜125mg+生食50〜100mLを点滴投与 1日数回

B低酸素であれば、(血ガスで二酸化炭素貯留の有無を確認し)酸素投与
COPD症例では増悪時にCO2ナルコーシスをきたす危険性があり、二酸化炭素貯留の有無を必ず確認しておくべきです。二酸化炭素貯留がありアシデミアになっていればNPPVを導入します。

C抗菌薬
 スルバクタム・アンピシリン
 セフトリアキソンなどが使われます。

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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

送別会写真

先日、この春で新天地に旅立たれる先生方の送別会が執り行われました。

若い先生方は期待に満ちあふれ、新たな世界での飛躍を念願しております。毎年自分を顧みては、1年間で何も成長してないなーと実感するばかりです。

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安田良さんのお肉は変わらず素晴らしい。こちらは変わらないことの値打ちを実感いたします。

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posted by 長尾大志 at 12:22 | Comment(0) | 日記

2019年03月23日

謎の荷物たち

ドカドカと、大荷物が…

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やって参りました。これは一体…?

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posted by 長尾大志 at 23:49 | Comment(0) | 日記

2019年03月22日

気管支喘息/COPD急性期の対応3

既に喘息と診断がついている症例でも、ほぼ同じ治療になりますが、A点滴静注のタイミングで、ステロイドに加えてネオフィリンを投与することがあります。私世代の先生方までは馴染みがあるのではないでしょうか。

A’ アミノフィリン点滴静注
ネオフィリンレジスタードマーク125mg〜250mg+ソリタT3号200mL/5%ブドウ糖液250mLを点滴投与

メタ解析などでは有効性がなかった、と分が悪いのですが、効果の立ち上がりが遅いステロイドに併用することで、患者さんの症状改善が早い…と症例報告/経験的にいわれています。

ただし、ネオフィリンは体内でテオフィリンに変化するため、テオフィリン経口薬を常用している症例では血中濃度が上がりすぎて中毒症状(動悸や頻脈、悪心・嘔吐など)が生じる恐れがあるため、経口薬を常用しているかどうかで話がだいぶ違います。

具体的にはアミノフィリン250mgを1時間で点滴静注投与すると、血中濃度が約8μg/mL上昇するとされています。テオフィリン徐放製剤を1日400mg内服している場合、血中濃度は10μg/mL程度になっているといわれていますので、そこにアミノフィリン250mgをどどっと点滴すると、中毒域の15μg/mLを越してしまうので具合が悪い、ということになります。

そこでテオフィリン内服中の症例では、125mgをもう少しゆっくり投与する、など工夫されていましたが、そういうことを考えるのが面倒だ、とばかりに最近はすっかり廃れている印象ですね。なおテオフィリンを内服していない症例では、250mg程度のアミノフィリンを使用することは問題ないのではないかと考えられています。


D最重症例には0.1%アドレナリン(ボスミンレジスタードマーク)0.3mg皮下注


■アスピリン喘息、NSAIDs過敏喘息、AERD(aspirin-excerbated respiratory disease)とは?

シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害作用を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の投与で、鼻閉・鼻汁・喘息発作などの気道症状が出る、非アレルギー性の過敏症(不耐症)です。

名前に「アスピリン」と入っていますが、決して「アスピリンだけに対してのアレルギー」ではありません。日常的に、アスピリンに限らず、NSAIDsの内服、座薬、貼付薬、塗布薬などすべての使用を避ける必要がありますので、最近ではアスピリン喘息という名前を使われなくなってきています。

特に気をつけたいのが発作時のステロイド投与で、コハク酸エステル型ステロイド製剤を急速静注すると発作が悪化しときに致死的な増悪を来すことがありますので注意が必要です。

その場合、内服ステロイドか、リン酸エステル型ステロイド製剤の点滴静注で対応します。

安全に施行できるとされる投与例:
リンデロンレジスタードマーク4mg+生食100mLを点滴静注

それでももし過敏症状が出てしまったら・・・!?
迷わず0.1%アドレナリン(ボスミンレジスタードマーク)0.3mg皮下注投与を行います。

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posted by 長尾大志 at 17:18 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月21日

『主要症状からマスターするすぐに動ける!急変対応のキホン』ご献本頂きました!

ただ今ノリにノっている、坂本壮先生によります主要症状からマスターするすぐに動ける!急変対応のキホンをご献本いただきました。

これはナース向けの本です。特に、院内での急変対応にテーマを絞った、極めて実践的、かつわかりやすい構成になっています。

急変時の主要症状といえば何でしょう…?

まずは心停止、それから意識障害、意識消失、そしてアナフィラキシーと発熱、この五つなんですね。この五つの状況で、何を考え、どう振る舞うべきか。大事なことを漏らさず、しっかりとわかりやすく記載されています。

一流の救急医である坂本先生が、おそらく周りの看護師さんに求めているであろうこと、つまり「一流の対応とは、その場面で何を考え、どう動くのか」ということについて簡潔に述べられていますので、これを読んだらすぐに動ける、すぐに現場で使える知識を学ぶことができるというのがポイントです。

薄くて読みやすい、写真やイラストも多く、分かりやすい本になっています。これまでの坂本先生の本は、分厚くて盛りだくさんで、確かに素晴らしいのですが、看護師の方にはいささか、気軽に手に取れる…という感じではなかったかもしれません。そんな救急領域の看護師さんに、お待たせしました、待ってました、って感じすね!

それにしても、坂本壮先生が毎年毎年新しい書籍を出していかれる勢いは、ものすごいですね−。

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posted by 長尾大志 at 21:27 | Comment(0) | 日記

2019年03月20日

気管支喘息/COPD急性期の対応2

喘息とCOPDは合併例も多く、しばしば除外鑑別が困難です。また、喘息の発作(急性期)とCOPDの増悪期は、治療法がよく似ています。初診の患者さんで喘息かCOPDか判然としない、という場合に、無理に診断を決めてしまう必要がない、というのもまた一つの見解であります。

これまでに喘息、あるいはCOPDという確定診断がなされていない「喘鳴と呼吸困難を訴えた症例」では、まず少なくとも身体所見や胸部X線写真から、上気道疾患、心不全や他の呼吸器疾患を除外します。それができたら喘息発作および/またはCOPD増悪と考えて、以下のような治療を開始します。

@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入

Aステロイド点滴静注
 ソルメドロールレジスタードマーク40〜125mg+生食50〜100mLを点滴投与

B低酸素であれば、(血ガスで二酸化炭素貯留の有無を確認し)酸素投与
二酸化炭素貯留があればNPPV

C発熱、膿性痰など、感染を疑う要素があれば抗菌薬投与

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posted by 長尾大志 at 18:36 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月19日

気管支喘息/COPD急性期の対応1

救急の現場で、喘鳴や呼吸困難のある症例を診ることはしばしばあると思います。喘鳴や呼吸困難があって救急受診するような疾患、鑑別診断はまず喘息が頭に浮かぶかもしれませんが、緊急事態という意味では上気道の疾患を鑑別に入れておく必要があるでしょう。

有名なのは急性喉頭蓋炎、それからしばしばあるのがアナフィラキシーです。急性喉頭蓋炎は咽頭痛(喉の痛み)という特徴的な訴えがあるので、想起することは可能かと思われます。アナフィラキシーはやはりきっかけが大事ですし、加えて蕁麻疹などの皮膚症状それから ショックなどの徴候が見られるでしょう。

上気道を除外しても、特に高齢者の場合、COPDと心不全の可能性を常に考えておく必要があります。

またそれら以外にも喘鳴をきたす疾患はたくさんあり、除外が必要ですが多くのものは胸部 X 線写真を撮影することで除外診断が可能です。

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posted by 長尾大志 at 17:25 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月18日

第4回腫瘍センター講演会見聞録2

『がん治療の歴史を変えた免疫チェックポイント阻害剤』ご講演の振り返り、続けます。

偽増大と別に、Hyper Progressionという現象もあります。ICI を投与した後、急に腫瘍が大きくなるような現象であり、頻度的には十数パーセントと、決して無視できないことから、今後はHyper Progression を防ぐためにICIを抗がん剤と併用する方向になるだろうと考えておられました。

リチャレンジ、つまり再投与についても、症例が豊富なご施設だからこそ多くのご経験があり、ある程度効果があることも経験されているとのことです。特に1回目の投与で効いていなかった症例が再投与で効いた、という例を見せて頂くと、希望が出てきます。

それからステロイド内服症例でのICIの効果について触れられましたが、これはICIが免疫を賦活する薬剤であることを考えると、誰しも疑問に思われるかと思います。どうやらベースラインのステロイドの量によって効果は異なっていて、10mg/日以上服用している症例ではどうやら効果が薄そうだ、というエビデンスが出ています。

ただこの結果の解釈として、10mg/日以上ステロイドが必要、ということはそれなりのPSであるということを考慮すべきとも言われていて、そもそもICIがPS不良例に効果が低いことを考えると、ステロイドそのものがどの程度効果を低めるのかについてはまだ結論が出ていない、ということです。

また抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体で効果などに差があるか、というお話もありましたが、これはこの度のスポンサー、COIなどを考えると、ここで触れない方が良いかなと思います。

副作用についてはこれまでにも多くの報告があり、まあとにかく多彩であるということが分かってはいます。一点、間質性肺炎に関して言っておられたのは、いわゆるTKIなどによる間質性肺炎(発症すると大変予後が不良)に比較すると、ICIによる間質性肺炎はステロイドの効果が期待でき、予後は良い方であるということです。逆にICIで間質性肺炎を起こす症例では奏効例が多いということも言われています。

もちろん間質性肺炎がある例にICIを積極的に使いましょう、ということではありません。ただGrade1であれば再投与しても再燃は少なく、Grade2や3の症例では再投与で2/3が再燃していますので、Grade1であれば再投与もOKかもしれません。

これらのエビデンスを基に、ご施設の方針として患者さんが希望されれば間質性肺炎様の陰影があっても、よくよく話し合い説明のうえ投与することはある、とのことでした。

TKIとの併用・連用では間質性肺炎のリスクがさらに上がるため危険である、特にICIが先でTKIが後ということになると、ICIは半減期が長いのでTKIと併用することになってしまう、これは具合が悪いと言われました。

それ以外の副作用としては、甲状腺炎を起こした症例は予後が良い、などなどいろいろなお話がありました。副作用に関してはたくさんの病名があるわけですが、患者さんにたくさんの病名をお話ししても混乱されることが多いため、どちらかというと症状を患者さんに説明しておくことで、早めの発見対処を可能にできるというお話もありました。


たくさんの症例経験から実際の現場で役立つお話をして頂きました。倉田宝保先生、本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 17:55 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月16日

今年度のクリニカル・クラークシップ終了

昨日で今年度のクリニカル・クラークシップが終了し、春休み期間に入りました。

最近は臨床実習の期間が増えに増え、長期休暇がめちゃくちゃ短い、学生さんも大変ですが、こちらも大変です…。

振り返ってみると、今年は移行期、といいますか、循環器内科と合わせて2週間、学生さんがあっち行ってこっち行って、という中、学習効果を出来るだけ高めるためにどうすればいいか、試行錯誤の年でした。

ようやく来年度(4月)から呼吸器だけの期間を頂くことが出来、患者さんの担当をしっかりやってもらう実習をスタートさせることが出来ます。

学生さんの心に響く瞬間は、やはり、患者さんを診ている、そのときなのだ、ということはこの1年で痛感しました。机上の理論は5年生の実習現場では不要。病棟担当の先生方の力も借りて、学生さん、そして屋根瓦の上方、1年目、2年目研修医の皆さんにも、医学、呼吸器内科学の奥深さ、興味深さを是非知ってほしい、と画策しております。

これまでやってきた経験を活かし、学生さんはじめ、多くの先生方に教えて頂いたアイデアやヒントを取り入れ、「日本で最高の呼吸器実習」となるよう頑張っていきたいと思います。まあ、実習レベルは、学生さん次第のところも多々あったりしますけれども…。

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posted by 長尾大志 at 23:37 | Comment(0) | 日記