2016年08月29日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器漢方基礎知識2・麦門冬湯

・麦門冬湯


ちょっと変わったお名前のこのお薬ですが、「間違って使われている漢方薬ランキング」ではおそらくトップクラスに位置するのではないかと思います。


多くの非専門医(呼吸器ではなく、漢方の…)の先生方にとって、麦門冬湯のイメージって、


「(単なる)咳止め」


ではありませんか?あるいは、「単なる咳止めの上に足す咳止め薬」みたいな。


麦門冬湯が有名になったのは、『咳嗽に関するガイドライン 第2版』、感染後咳嗽の治療薬の項目で取り上げられて以降かなあと思うのですが、そのおかげで「とりあえずしつこい咳に、デキストロメトルファン(メジコンレジスタードマーク)に加えて処方する薬」と扱われている現場を大変よく見かけるのですが。


その使い方では、残念ながらハズレも多いのではないかと思います。


麦門冬湯本来の使い方は、「乾性咳嗽・空咳」に使う。湿性咳嗽に使っても効きません。


いや、添付文書の効能効果には「痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく」と書いてあるじゃないか!どういうことだ!とお叱りの声もあるかと思いますが、効かないものは効かないのです。


痰の切れにくい咳、ということは、気道が乾燥していて、痰の粘調度が上がり、切れにくくなった、ということで、「まず、乾燥ありき」なのですね。


どちらかというと、喉とか上気道が乾燥してイガイガして、それで咳が出る、そういう状況に適した薬です。間違っても痰がよく出る咳に使ってはいけません。


例えばシェーグレン症候群の口腔乾燥や咽頭のつかえ感、に麦門冬湯を使う、と聞けば、何となく方向性がイメージ出来るのではないでしょうか。


咳喘息でも麦門冬湯がうまくいった、麦門冬湯で十分、みたいなことをいわれることもありましたが、個人的には、ホンマモンの咳喘息には長期的に考えてICSを使うべきだ、と思っていて、麦門冬湯で十分だった、というのは、多分に感染後咳嗽症例が含まれていた症例群であったか、長期予後までは観察されていないのでは、と推察します。


逆に、感染後咳嗽のような、感染も治まって痰もなくなった、でも空咳が続く、そういう状態にはぴったりフィットするのではないかと思います。


そんなわけで、麦門冬湯を、痰を伴う咳に使うのは止めましょう。



それにしても昨今では「漢方薬の西洋医学的エビデンス」がたくさん蓄積されています。それはそれで結構なことですが、それを強調する余りに「証(=向き不向き)」を無視することになっては本末転倒ではないか、とも思います。


先生方におかれましては、「○○に漢方の△△が効いた」という言葉だけに惑わされず、少しばかり「向き不向き」も知っておいて頂けましたら幸いです。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年08月28日

告知と予告・これからの講演

夏休み期間を利用して、10月以降にある系統講義と、9月以降にある講演などの準備が整いました。いずれもなかなか楽しみな出来となりましたので、少し内容をお知らせしましょう。


9月8日(木) 第5回 野洲感染対策学術講演会「滋賀の肺炎と抗菌薬」

滋賀県における抗菌薬の使われ方、肺炎診療の実態を、参加される皆さん同士でも語っていただくのが主目的です。1時間しかありませんが、感冒から上気道炎、そして肺炎へと進め、抗菌薬正しい使い方、これはホンのワンポイントのことですので、しっかり身につけていただきます。この日以降、この地域での抗菌薬処方がごっそり変わることを期待しています。



9月15日(木) 第192回 胸部X線勉強会 学術講演会

琉球大学の藤田先生にせっかくの機会を頂きましたので、自分でも「おお〜」と思った?発見のあった症例たちを持参して参ります。でもよく勉強されている先生方にとっては、物足りないかもしれません…。((((;゚Д゚)))))))



9月28日(水) がん薬物療法認定薬剤師研修「肺がんの化学療法」

薬剤師の方の研修です。肺癌に関する考え方、基本事項をご紹介するのと、後半は昨今次々と発売される薬剤たちをまとめて自分の勉強も兼ねています。勉強になりました。



11月6日(日) 第14回滋賀県呼吸療法セミナー「3学会合同呼吸療法認定士試験対策セミナー」

3学会合同呼吸療法認定士試験対策セミナーです。これまでに看護師さんセミナーとかで好評を頂いている、呼吸の基礎を徹底的に理解していただくというところと、想定問題のウラまで解説をする、というところでお送りします。たぶん呼吸の考え方が根本的に変わるのでは?



11月18日(金) 第3回みやこ呼吸器カンファランス

前回7月に続いてお声がけいただけたのは本当にありがたいことです。お招きいただいた高山教授はじめ府立医大の先生方、及び関連病院の先生方、今後ともよろしくお願い申し上げます。今回は肺の大きさ、動きに関してしっかりと意識していただこうと思います。



11月19日(土) 呼吸器スキルアップセミナー in OSAKA 2016

学会主催、呼吸器学会近畿支部の主立った先生方と仲良くなれるこちらの会。今年のテーマは「気管支鏡」。私は最初のイントロを担当します。できるだけ多くの方に、今や気管支鏡で(内科的に)ここまでやっている!ということを体験してもらいます。EBUS-TBNA、EWS、サーモプラスティ…などなど。



11月22日(火) 徳島県板野郡医師会 学術講演会

こちらも昨年に引き続きお声がけいただきました。誠にありがとうございます。今年は昨年の基礎編を少し復習しつつ、「検査前感度を上げる」テクニックをご紹介します。



11月25日(金) 本庄第一病院 講演会

まだブログ本編で触れられていませんが…(汗)間質性肺炎とCTについて、ここまでやっていただければ、というところをご紹介します。多くのご施設でお困りのところだと思いますので、お呼びいただければどちらにでも馳せ参じます!

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2016年08月27日

Dr.長尾の症候から学ぶ呼吸器教室 第6回

すっかり告知を失念しておりましたが、ケアネットさんでやらせていただいている症例問題の連載、第5回、第6回が公開されておりますのでご紹介します。


全6回、お送りして参りましたが、そろそろコモンディジーズのネタが尽きてきたので(本当は当初から全6回の予定でして…)、連載はこれにて終えることになります。かなり多くの先生方にご覧頂き、またお答えいただきました。多くのコメントも励みになりました。ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。あ、まだまだご参加いただけますので、ご覧になっていない先生方は是非どうぞ。


Dr.長尾の症候から学ぶ呼吸器教室 第6回
〔数日間続く、全身倦怠を訴える50代男性〕
http://medk.carenet.com/confe2/nagao006/shourei.asp


第5回
http://medk.carenet.com/confe2/nagao005/shourei.asp

(ケアネットさんのHPでログインが必要です)


ケアネットTVさんでは現在、Dr.長尾の胸部X線ルネッサンスも連載させていただいております。幸い好評頂いているようですので、よろしくお願い申し上げます。


Dr.長尾の胸部X線ルネッサンス(全10回)
http://carenetv.carenet.com/series.php?series_id=220

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2016年08月26日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器漢方基礎知識

ところで感冒、急性上気道炎のときに、漢方薬を使われる方も少なくないようですから、この機会に、漢方薬についてちょっと触れたいと思います。


漢方薬を使っておられるのを見ていると、まだまだ「病名に対して漢方薬」「症状に対して漢方薬」という使い方が多いのですね。風邪に葛根湯、咳に麦門冬湯、鼻汁に小青竜湯、胃炎に六君子湯、みたいな。


どうしても私たちは西洋風の医学を学んできていますから、「病名に対しての薬」「症状に対しての薬」に慣れています。でも漢方薬というのは、本来はそういう使い方はマッチしないことが多いもの。証という、身体所見を手がかりに処方を考えていく、というのが筋です。


でも漢方初心者にとって、証を診る、というのはハードルが高いもの。私も何度かセミナーに参加しましたが、正直マスターするのはなかなか難しいように思いました。


それでも漢方薬は、使いようによっては西洋薬よりも有用であることも。ハマるとスゴく喜んで頂けますので、こちらもハマります。ですから全く眼中に入れない、というのももったいないと思うのです。


じゃあやっぱり、西洋風に割り切って、「病名に対しての薬」「症状に対しての薬」という使い方でいいじゃないか、としてしまうと、やはり「はずれ」も結構起こってしまう。一度「はずれ」ると、ドクターも患者さんも「やっぱり漢方はそんなに効かないんだ」と漢方嫌いになってしまうんですねー。これはモッタイナイ。


そういうわけで、「ちゃんと証を診るのはハードルが高いけれど、出来たら大ハズレを避けたい」というワガママな方(私のことです…)向けに、最低、この漢方薬のクセを知っておけば…というものをまとめたいと思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年08月25日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳17

市中肺炎のうち、特別扱いすべきものはやはりレジオネラ肺炎でしょう。


レジオネラ肺炎は細胞内寄生菌ですので、通常肺炎でよく使われるβラクタム系抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)が全く効かず、かつしばしば重症化して致命的な転帰となります。そのため、初期から正しく診断し、βラクタムでなく正しい抗菌薬を選択する必要があるのです。


幸いレジオネラ肺炎は一般的な細菌性肺炎とは異なる特徴が多く見られ、特別扱いしやすいので、是非特徴を覚えておきましょう。とはいっても、以前書いた非定型肺炎の特徴、というものとは少し違い、レジオネラ独特のものがあるのです。


レジオネラ肺炎の診断基準みたいなモノは、Winthrop-University Hospital Criteria(Gupta SK, et al. Chest 2001; 120:1064-1071)がありますが、結構項目が多く、点数も煩雑でいささかややこしい(その割に感度、特異度が抜群に優れているわけではない)ため、点数をつけるのも大変です。点数の高い項目を覚えておく程度でいいかと思います。


陽性所見(これがあるとレジオネラらしい)

  • 頭痛 1点

  • 混迷/脳障害 2点

  • 無気力 3点

  • 膿性痰 2点

  • 軟便/下痢 3点

  • 下痢のない腹痛 5点

  • 下痢のある腹痛 5点

  • 比較的徐脈 5点

  • βラクタム系抗菌薬が無効 5点

  • 急性腎不全 5点

  • 低Na血症 1点

  • 低P血症 4点

  • 肝酵素上昇 4点

  • ビリルビン高値 2点

  • クレアチニン上昇 1点

  • 顕微鏡的血尿 2点



陰性所見(これがあるとレジオネラらしくない)

  • 耳痛 −3点

  • 乾性咳嗽/咽頭痛 −3点

  • 嗄声 −3点

  • 軽度〜中等度の喀血 −1点

  • 胸膜痛 −2点

  • 寒冷凝集素上昇 −3点



点数の高い項目が多い方がレジオネラらしい、何となくニュアンスがおわかり頂けるでしょうか。臨床像として「肺以外の臓器に由来する症状が強い肺炎」と覚えておくと覚えやすいと思います。普通の細菌性肺炎は、肺由来の症状(咳、痰、呼吸困難、低酸素、胸膜痛など)がメインで、他の臓器に由来する症状はあまり見られないものですが、レジオネラ肺炎では例えば意識障害や消化器症状(軟便、下痢、腹痛など)、肝酵素上昇、急性腎不全など、他臓器由来の症状がよくみられます。


それから普通の肺炎だけではあまり起こらない低Naや低P、CK高値、比較的徐脈といった検査値、バイタルサインの異常も特徴的です。


レジオネラらしい、となったら、とにかくキノロン点滴を使います。1回量を最大にするのがPK/PDの観点から推奨されます。

レボフロキサシン(クラビットレジスタードマーク)500mg +生理食塩水100mL 点滴 1日1回

重症の場合、比較的新しい注射用マクロライドであるアジスロマイシンと併用されているのを時々見かけますが、決してエビデンスがあったり、ガイドラインで推奨されたりしているわけではありません。


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2016年08月24日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳16

●臨床情報からH.influenzae「ぽい」。

臨床情報、徴候として、H.influenzae「ぽい」ものは…


  • 肺炎球菌肺炎よりもやや緩徐な発症。

  • COPD患者、または喫煙者である。

  • 悪寒戦慄がない

  • 気管支肺炎のパターン



あたり。グラム陽性球菌である肺炎球菌よりも、少しばかり症状が地味というか抑えめというかそんな印象です。喫煙者は線毛機能が低下しており、H.influenzaeが定着しやすい、とも言われていますので、喫煙者の少し症状が地味な肺炎ではH.influenzaeを考えるといいかもしれません。


その場合、抗菌薬の選択はスルバクタム/アンピシリンとかセフトリアキソンになるでしょう。



●誤嚥がありそう

高齢、脳血管障害や神経筋疾患、意識障害など、誤嚥を起こしそうな状況の患者さんでは、誤嚥性肺炎の可能性を考える必要があります。


胸部X線写真やCTで肺底区の陰影であったりすると、よりそれっぽくなるでしょう。


とはいっても、誤嚥性肺炎=嫌気性菌、とコトは単純ではありません。やはり肺炎球菌が原因菌であることも多いと言われています。どうしても菌が確定していない、となるとスペクトラムは広めになってしまいますから、出来ればグラム染色は見ておきたいですね。


嫌気性菌を考えたら、抗菌薬の選択はスルバクタム/アンピシリンになるでしょう。セフトリアキソンは余り嫌気性菌には向かないと言われていますから、よくわからない肺炎は何でもセフトリアキソン、とはしない方がいいでしょう。


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2016年08月23日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳15

さてネット環境が戻って参りました。しかし今回はドエラいハプニングで、かなり焦りました。非常時にはその人の本性がわかる、とかいいますけど、まあそれに似たようなことを目の当たりにして、いろいろ考えるところはありました。まあその話はfacebookで友達に語るとして、こちらでは続きを済ませましょう。




いわゆるグラム染色によらないエンピリック治療では、@ABのセッティングとほぼ共通の選択になります。


追加の情報や検査で、〜〜ぽい、位の目星はつくかもしれません。



肺炎球菌「ぽい」。


肺炎球菌尿中抗原キット、こちらは簡便である割に感度(70〜80%)そこそこ、特異度(90%以上)良好であり、広く普及しています。


問題は小児における鼻腔保菌例と、肺炎球菌感染既往例の偽陽性ぐらいでしょう。ただそれも、保菌している、とか、既往がある、となると、それはそれで原因菌になる可能性もあるわけですが…。


臨床情報、徴候として、肺炎球菌「ぽい」ものは…

  • 急性発症

  • 鉄さび色痰

  • 悪寒戦慄が1回起こる。ブドウ球菌感染症のように何度も起こらないのが特徴、と言われていますが、起こらないことも少なからずあります。

  • 胸膜痛

  • グラム染色で双球菌を認める。

  • 大葉性肺炎のパターン

  • そして尿中抗原陽性



あたりです。ですからこのあたりのことが多く見受けられたら、肺炎球菌⇒ペニシリンを考えてみるということになります。


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2016年08月19日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳14

●グラム染色でH.influenzaeぽい

・地域のBLNAR率がそれほど高くない、あるいは全身状態に余裕がある、という場合…。

アンピシリン(ビクシリンレジスタードマーク)2g +生理食塩水100mL 点滴 1日4回

または

スルバクタム/アンピシリン(スルバシリンレジスタードマーク)3g +生理食塩水100mL点滴 1日4回


βラクタマーゼ産生菌をカバーしなくてよい(地域に少ない)ならアンピシリン単剤、βラクタマーゼ産生菌をカバーするとなるとスルバクタムをつけることになるでしょう。


・BLNARをカバーしておきたい、という場合。

セフトリアキソン2g +生理食塩水100mL 点滴 1日1回(または1gを1日2回)



●グラム染色で雑多な菌がいろいろ見える・嚥下障害や明らかな誤嚥のepisodeがある

誤嚥性肺炎が疑われるような場合、原因菌は肺炎球菌、H.influenzaeに加えて嫌気性菌となり、βラクタマーゼが産生されるので阻害剤を加えます。


スルバクタム/アンピシリン(スルバシリンレジスタードマーク)3g +生理食塩水100mL点滴 1日4回


投薬期間の目安は、まず菌血症の有無を確認、すなわち血液培養は必須になります。菌血症がなければ、解熱後3日間程度。効果判定は3日後に行いますから、そこで効果あり、となれば目安としては1週間程度の投薬、ということになるでしょう。菌血症がある肺炎球菌肺炎の投与期間は10〜14日程度です。




この週末、明日からネット環境の悪いところへ参ります(夏休み)。しばらく更新をお休みさせて頂きます。あしからずご了承ください。


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2016年08月18日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳13

C離島や遠隔地で、呼吸器科医への気軽な紹介が出来ない(一通りの検査機器はある)場合
D呼吸器内科医がいない総合病院


少なくとも正しく抗菌薬を使って行こう、ということであれば、グラム染色が出来ることは望ましいでしょう。


大体の方針決定はこれまでに述べたとおりです。これまでのセッティングであれば、入院適応⇒紹介、という形になるかと思いますが、ここではこのまま入院、あるいは点滴でしのぐ、という形になるでしょう。


入院であれば、抗菌薬の選択は注射薬で、概ねこんな感じになるのではないでしょうか。


●グラム染色で肺炎球菌ぽい

ペニシリンG 200〜400万単位 点滴 1日6回

または

アンピシリン(ビクシリンレジスタードマーク) 2g 点滴 1日4回


ペニシリンGは、旧くて薬価も安く、スペクトラムも狭いので、なかなか常備しておくには勇気が要ります。しかも半減期が短いので1日6回投与とか、スタッフからのブーイングものです。それでもスタッフに納得して頂いて投与する、ステキな先生もおられます…。


ガイドラインでは200万〜300万単位を1日4回、となっていますが、どうせPCGを使うんだったらここまでした方がよいと思います。


アンピシリンも旧くて薬価も安く、スペクトラムも狭い点で似ていますが、ペニシリンGほど振り切っていない気はします。スタッフの風当たりも考えて1日4回でよさそうです。


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2016年08月17日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳12

投薬期間の目安は、外来治療ということであれば菌血症はないでしょうから、解熱後3日間程度。効果判定は3日後に行いますから、そこで効果あり、となれば目安としては1週間程度の投薬、ということになるでしょう。なお、菌血症がある肺炎球菌肺炎の投与期間は10〜14日程度です。



BX線写真は撮れる、(グラム染色が出来る)というクリニックにて(紹介のハードルは比較的低いとして)

ここでの違いはX線写真で肺炎の診断がしやすくなる、というところです。ただし、初期であったり脱水があったりして、肺炎でもX線写真で有意な所見がみられない(見にくい)こともありますので、X線写真を撮る前に病歴や身体所見をよく吟味する必要があります。


加えて喀痰のグラム染色が出来れば、情報量はかなり増えます。貪食像があり、それっぽい菌(特に肺炎球菌)が見えれば、細菌感染症であることがわかり、治療薬まで決まってしまうわけですから。


●肺炎球菌が見えれば、治療薬はアモキシシリンのみでいいでしょうが、できればペニシリン系は大量(通常量の倍)に使いたいところです。というのも、肺炎球菌のMICが上がってきているからです。逆に、大量に使えれば、あまり耐性肺炎球菌を気にする必要はありません。


そこでややこしいのは保険診療の壁です。例えばサワシリンレジスタードマークの用量は添付文書によると「通常1回250mg(力価)を1日3〜4回経口投与する。」となっています。そこを500mg✕3回/日で1500mg/日にしようとすると倍量です。削られないか気になります。「なお、年齢、症状により適宜増減する。」と続きますので、増やすことは可能ではありますが、何らかの理由書なりを書かなくてはなりません。


H.influenzaeが見えたら、少しややこしいです。アモキシシリンでも効くもの、βラクタマーゼを産生し、アモキシシリン+βラクタマーゼ阻害薬が必要なもの、そもそもアモキシシリンは効かないもの(BLNAR:β-lactamase negative ampicillin resistant)があるからです。


アモキシシリンが効くものもまだまだ半分以上、といわれていますので、βラクタマーゼ産生菌もカバーするとなると、サワシリンレジスタードマーク+オーグメンチンレジスタードマーク、となります。BLNARまでカバーするとなればセフトリアキソン点滴か、キノロン内服ということになります。


アモキシシリン(サワシリンレジスタードマーク)(250mg)3錠 分3後
オーグメンチンレジスタードマーク(250mg)3カプセル 分3後

外来で点滴治療
セフトリアキソン2g+生理食塩水100mL 点滴 1日1回


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2016年08月16日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳11

あっちこっち行きますが、肺炎のお話に戻ります。メッチャ戻らなくては…。


@検査機器が何もないクリニックにて


が終わったところです。



A在宅診療の場合…

在宅診療の場合、設備に関しては@検査機器が何もないクリニックと同じような感じでしょう。


紹介⇒即(救急)搬送、ということになることが多く、それなりのハードルがあります。ですからそこの判断は重要です。


ただ、多くの場合、その患者さんの背景疾患などは把握されていると思われますから、喫煙歴や慢性呼吸器疾患、それに心疾患や誤嚥など、肺炎のリスクとなりそうな背景があるか。


それに問診と身体診察で、比較的急性の発症で、悪寒戦慄や寝汗、呼吸数増加・SpO2低下、片側cracklesを聴取する、となれば急性肺炎を考えます。次にはA-DROPで入院治療が必要かどうかを判断します。


A-DROPが
0点:軽症→外来治療
1-2点:中等症→外来、または入院治療
3点以上:重症→入院治療
4点以上→ICU入室の上治療


ということですから、上の項目を何も満たさなければ外来(往診)診療可能、ということになります。ここで問題は、往診している=介護が必要な高齢者、身障者、ということでNHCAPに入ってしまうこと。


NHCAPの定義

  • 長期療養病床または介護施設に入所

  • 90日以内に病院を退院した

  • 介護*を必要とする高齢者、身体障害者

  • 通院にて継続的に血管内治療*を受けている


 *介護…身の回りのことしかできず日中の50%以上をベッドで過ごす
 *血管内治療…透析・抗菌薬・化学療法・免疫抑制薬など


NHCAPガイドラインでは、外来治療は非定型をカバーすべし、とされています。高齢者の場合、特にクラミドフィラ肺炎を否定することは結構難しいので、カバーせざるを得ないということでしょう。とすると、投薬例は


アモキシシリン(サワシリンレジスタードマーク)(250mg)3錠 分3後

陰性桿菌の関与が疑われる場合、あるいは誤嚥が疑われる場合
サワシリンレジスタードマークに加えてオーグメンチンレジスタードマーク(250mg)3カプセル 分3後

外来で点滴治療を行う場合
セフトリアキソン2g+生理食塩水100mL 点滴 1日1回


のいずれかに、


アジスロマイシン(ジスロマックSRレジスタードマーク) 2g 食間 1回

または

クラリスロマイシン(200)2錠 分2 朝夕後

を加えて投与します。


個人的には、毎日往診されているなら、当初はマクロライドなしで、1〜2日で改善なければ追加、でもいいのではないかと思いますが…。


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2016年08月15日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳10

感冒のときに出てくる咳の少なからずは後鼻漏による、といわれているので、抗ヒスタミン薬がよく効くのですね。


しかもこの抗ヒスタミン薬が旧世代中の旧世代、メチレンジサリチル酸プロメタジンです。抗ヒスタミン薬は旧ければ旧いほど抗ヒスタミン効果が強い、(その代わり眠気も強い)とされているので、強力に鼻汁〜後鼻漏を止め、咳も止めるということです。


その代わり眠気が強い、この眠気については、いい点と悪い点があります。いい点としては、ぐっすり眠って回復を早める、というところ。ただしエビデンスはないようです。


一方、眠気については、クルマの運転の問題であったり、高齢者の転倒であったりなど、いろいろなデメリットがあります。したがって、それらの副作用をきちんと説明しておく必要があります。


それ以外に併用されることが多いのは、中枢性鎮咳薬です。


一般的によく使われる「咳止め」のことで、咳中枢の感度を鈍らせて咳を止めるものです。中枢を眠らせる感じになりますからこちらも眠気があるのと、咳の感度が鈍ることで誤嚥があると悪化の危険性がある、というデメリットがあります。


ですから中枢性鎮咳薬は、誤嚥の有無に注意して使うべきですし、高齢者には禁忌といってもいいでしょう。


あとは去痰薬。こちらは痰を減らすとか、切りやすくするとかして、結果的に咳を減らすものです。線毛機能改善効果や痰の粘調度を下げ、喀出しやすくする効果などがあると言われています。


こちらは誤嚥の問題もなく、少なくとも痰が絡む場合、どんどん処方していただいてOKです。COPDの急性増悪抑制効果などもあるといわれていますが、まあ、実感としてはそれほど「よく効くな〜」とまではいきません。


それからいわゆる消炎剤、というか抗炎症薬みたいな呼ばれ方をしているものたち。


この範疇の薬は、「結局効果が確認されなかった」として販売中止になったダーゼンレジスタードマークはじめ、効果が疑問視されがちですが、個人的に咽頭痛などの腫れなどには使っております。


そういうわけで、総合感冒薬を軸にした多剤併用による「対症療法」例は、以下の通りです。


PL顆粒レジスタードマーク 3g 分3後 ←鼻汁、咳、微熱、頭痛。
メジコンレジスタードマーク 3錠 分3後 ←咳に。ただし高齢者は避ける。
ムコダインレジスタードマーク(500) 3錠 分3後 ←痰があれば。
トランサミンレジスタードマーク 3錠 分3後 ←咽頭痛に。
(ムコスタ 3錠 分3後) ←「胃が弱い」という訴えに。


1つ1つの訴えに対処しようとすると、品数が増えるのが世の常。それゆえ「合剤」「総合」感冒薬が重宝されるのでしょう。OTC薬(薬局で販売されている薬)の総合感冒薬には、PL顆粒の成分以外に中枢性鎮咳薬や去痰薬、抗炎症薬なんかも含まれていたりしますから、結構処方薬の方が品数?が多くなったりしますね。そういう意味では、この業界ではOTC薬の方がドル箱ですし、毎年改良され発展しているとも言えるでしょう。


昨今ではポリファーマシーの弊害も取りざたされています。不要な薬剤の処方は出来るだけ避けたいので、投与期間は必要最小限にすること、副作用についての説明をすることと、最低限、ウイルス性上気道炎に抗菌薬を投与しないことは励行したいところです。


また、患者さんが感冒でわざわざ医療機関を受診するのは、「本当に風邪だろうか」「このまま放っておいていいのか」「抗生剤を飲まなくていいのか」「こじらせてはいないか」などなど、心配されていることもあるわけで、そのあたりのきちんとした診断、説明が大事かな、とも思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年08月14日

新章突入?

おかげさまで講演のご依頼を多く頂いておりますが、最近は『やさしイイ胸部画像教室』の評判がよいようで、ご覧頂いた先生方から、胸部X線写真に関する講演のご依頼をいただくことが増えています。


こちらに関しては、症例の蓄積も進んでおり、よりよいお話ができてきていると自負しております。最近では、学生さんや若い先生方に答えていただく道場形式で、参加された方には刺激になっているのではないかと思っています。


また、今年、特に下半期には、肺炎に関する講演依頼も頂いております。こちらも、ドクター向けの分は、現状どのようにされているかをまずは確認してから、お話ができればと思っています。



そして今回新たに頂いたテーマとしては、間質性肺炎とCTについて。


11月25日(金)秋田県の本庄第一病院でお話をさせていただくこととなりました。そちらではご多分に漏れず呼吸器内科医が不在で、一般内科の先生や外科の先生方が間質性肺炎を診療されているようです。決してこれは特殊な状況ではなく、日本の多くの病院で同じようなことになっています。


それに実のところ、最近発売になった多くの新薬で、副作用として間質性肺炎が生じることは決してまれではありません。ですから「間質性肺炎は呼吸器内科専門医が勝手に診ておけばいい」ということではなく、多くのドクターが知識として知っておくべき疾患となっているのです。


それではちょっと間質性肺炎について勉強してみようかな、と思われても、もう最初の分類のところでつまずきます。多すぎ、ややこしすぎるのです。しかも今に至るまでどんどん分類が細分化し改変され、「何だかよくわからない」という状態になっています。イヤもう、専門医を自称する私でも「何だかよくわからない」状態なのですから…。


ステロイド1つとっても、IPFではもう禁忌に近い扱いで、でも他のやつだとけっこう効いたりして、じゃあIPFの診断は、というと、これまたわかったようなわからないような…。


間質性肺炎のご専門、高名な先生方のお話を聴けば聴くほど、こんがらがってわからなくなったりされていないでしょうか。


「じゃあ、実際目の前の患者さんに、どうすればいいのか」これをご一緒に考えていきたいと思います。こちらのブログでももう少ししたら、連動企画として考えていきましょう。


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posted by 長尾大志 at 15:31 | Comment(0) | 活動報告

2016年08月13日

呼吸器ケア 2016年10月号巻頭特集、力作です。素朴なQ にカンペキA! 長尾先生のやさしイイ 気胸・胸水・胸腔ドレナージ

看護師さん向けの書籍仕事、2つ重なっていたことでなかなかしんどいスケジュールでしたが、何とかお盆休み前に作業が終了しました。どちらも9月〜10月頃に出るかと思いますので、また告知出来る日が楽しみです…。

……

……

…と思っていたら、もう既にamazonで予約可能になっていました!ビックリ!それで校正締め切りが割とタイトだったのですね…。

呼吸器ケア 2016年10月号(第14巻10号)特集:素朴なQ にカンペキA! 長尾先生のやさしイイ 気胸・胸水・胸腔ドレナージ


先だってブログで連載していた気胸・胸水・胸腔ドレナージのQ&A、あれ自体、これまでに気胸・胸水・胸腔ドレナージに関して頂いたおおよそすべてのご質問を盛り込んでいて、十分皆さまのお役に立つものと思っております。それをそのまま記事にしてもよかったのですが、折角なので、もっと知っておいて頂きたい、もっと語っておきたい、プラスαの内容を大いに盛り込んで記事にしました。


何だったらあの特集だけ独立させて小冊子として販売したいくらいです。あ…それにしても○○の価格設定にそういう秘密があったとは…結構意外でした。



もう一つ、書籍の出版があるのですが、こちらは元々「10月出版」ということでしたが、途中でいろいろあり…まだ告知出来る感じではないようです。また告知出来る日が(こちらこそ)楽しみです…。

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posted by 長尾大志 at 16:58 | Comment(0) | 活動報告

2016年08月12日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳9

それでは非専門医の先生に向けての記事に戻ります。


感冒の治療薬について触れそこなっておりましたので、そこをさらっておきます。


とはいえ、細菌感染症と異なり、「感冒・ウイルス性急性上気道炎」の「治療薬」なんて存在しません。ウイルス感染には当然、抗菌薬は効きませんし、感冒用の抗ウイルス薬もありません。


抗菌薬は使えば使うだけ、腸内細菌や環境菌の耐性を誘導しますし、副作用のことを考えますと明らかに効果が期待出来ない病態(ウイルス感染)であると考えるものに対して抗菌薬を使うことは避けるべきでしょう。


ということで「普通感冒」は自己の免疫力で治癒をはかるべきものですが、症状が強いと、そのために不眠になったり、消耗したりするため、症状緩和のために「対症療法」を行うということです。


その対症療法も、感冒の症状に対してバラバラ?に中枢性鎮咳薬、去痰薬、抗ヒスタミン薬・NSAIDsなどを使うのではなく、併用する方がより効果が高いとされています。それはおそらく感冒では主な症状である咽頭痛・鼻汁・咳・微熱・頭痛などが1つずつ生じるのではなく同時に起こってくるので、それらに対して併用する方がよい、ということなのでしょう。


そういうこともあり、古くから感冒の薬は総合感冒薬=中枢性鎮咳薬、去痰薬に抗炎症薬などに加えて抗ヒスタミン薬・NSAIDsなどを配合したものが広く使われています。


総合感冒薬だけでも、多くの「風邪の諸症状」と言われる、咳・痰・咽頭痛・鼻症状・発熱などに広く効果を現します。


例えばPL顆粒の成分は…(添付文書より)

  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)

  • サリチルアミド(解熱鎮痛薬)

  • 無水カフェイン(頭重感の緩和やシャキッとさせる)

  • メチレンジサリチル酸プロメタジン (抗ヒスタミン薬)


です。ほぼ解熱鎮痛薬と抗ヒスタミン薬です。咳止めすら入っていません。それでも「PL飲んだら、咳が楽になった〜」とおっしゃる方もおられて、それは間違いなく抗ヒスタミン薬の効果です。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年08月11日

告知・2016年下半期の講演・セミナー予定

前回の告知から、1ヶ月経ちましたが、新たにいくつか告知できることが増えましたのでご紹介させていただきます。


エキスパートナース8月号(照林社)の巻頭特集
<これ以上やさしく書けない!ナースのための血ガス講座>

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これマジで自信作です。血ガスの決定版と言っていいでしょう。この号で売り切れとなるのは惜しすぎます。そういえば1月号の巻頭特集<白黒つけます!胸部X線画像>も埋もれさすには惜しい企画でした。どうにかしたいものですね!



8月20日(土) メディカ出版セミナー
「急性期でよくみる呼吸器疾患〜病態・治療・ケアのポイント〜」

東京 損保会館にて9時30分〜16時30分
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/171

人工呼吸管理編ではなく、疾患編ですのでお間違えのないようお願いします。前回の神戸会場アンケートではすごく満足度が高かったので、東京会場でも期待していただけると思います。



9月8日(木) 第5回 野洲感染対策学術講演会
「滋賀の肺炎と抗菌薬」
滋賀県における肺炎診療の実態…野洲の実態…参加される皆さん同士でも語っていただきます。そして、滋賀の肺炎診療をぐぐっと高めたいですね。



9月15日(木) 第192回 胸部X線勉強会 学術講演会
琉球大学の藤田先生にお招き頂きました!光栄すぎますが、滋賀のいろいろな症例を持って道場開きに参ります。



11月6日(日) 第14回滋賀県呼吸療法セミナー「3学会合同呼吸療法認定士試験対策セミナー」
3学会合同呼吸療法認定士試験対策セミナーですよ!これは受験生の皆さんにお役に立てるところは結構あるはず。とにかく基礎的なところをとことん理解していただきます。



11月18日(金) 第3回みやこ呼吸器カンファランス
前回7月に続いてお声がけいただきました。フルでやると6時間??とも言われている「胸部X線写真道場」をシリーズでさせていただくことになりました。お招きいただいた高山教授はじめ府立医大の先生方、及び関連病院の先生方、今後ともよろしくお願い申し上げます。



11月19日(土) 呼吸器スキルアップセミナー in OSAKA 2016
毎年やってます、学会主催のこちらの会。今年のテーマは「気管支鏡」。皆でいじりまくりましょう…。



11月22日(火) 徳島県板野郡医師会 学術講演会
昨年に引き続きお声がけいただきました。ありがとうございます。今年は昨年の基礎編に引き続き、ちょっと上級のテクニックをご紹介します。



11月25日(金) 本庄第一病院 講演会
秋田県からのお招きは初めてです。今回大変お困りだという間質性肺炎とCTについて、丁度これからのテーマでもあり、しっかりまとめてお話しできればと思います。ブログでも取り上げて参りましょう。



11月27日(日) 平成28年度内部障害研修会「ホントは怖い肺炎の話」
理学療法士さんの勉強会です。肺炎の基本のところをお話させていただきます。滋賀医大での開催です。



12月4日(日) 闘魂祭@滋賀医
滋賀医大にも、すごく活動的な学生さんの勉強会「チーム滋賀医」があります。ついにこのたび、チーム滋賀医、というかYさんが主催されて、かの徳田安春先生が全国各地で行っておられる「闘魂祭」を滋賀医大で行われることとなりました。


大学内のいろいろな事情で呼吸器内科として主催できないのが心苦しいのですが、これはたいへんなことです!個人的に全力でバックアップしたいと思います。



12月11日(日) 東京
12月18日(日) 大阪

こちら、まだまだ某社さんHPで公開されておらず、まだ告知できません。とある出版に絡んだ、けっこう規模の大きそうなセミナーです。出版の方がいよいよ大詰めになっておりまして、併せて近日告知できるかと思います。楽しみです。

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posted by 長尾大志 at 15:36 | Comment(0) | 活動報告

2016年08月10日

呼吸器内科説明会で言い足りなかったこと3

まとまらなくなってきましたのでこのweb上説明会、ここらで無理やりまとめますと…


  • 以前から書いているように、呼吸器内科は興味をそそられる、そしてやりがいがある。

    @ 疾患として、感染症・アレルギー・免疫疾患・変性疾患・吸入物質による疾患・悪性新生物・原因不明の疾患と、取り扱う疾患はほぼ内科領域のすべてのジャンルにわたる。それゆえあらゆるジャンルの薬剤に習熟する。

    A 場面として、プライマリ・ケアの感冒・上気道炎からICUにおける血漿交換、癌の終末期ケアまで、幅広い場面、局面に対応する。結果、ナラティブメディスン、患者さんの生活に直結する病歴聴取や態度が身につく。

    B 結果、総合診療的考え方(ジェネラルマインド)を持ち、患者さんを全人的に診療する、ということが無理なく涵養出来る環境である。もちろん総合診療医という「専門」もあるが、いわゆる専門を持ちながらジェネラルマインドを持ち続けることが出来る環境はなかなか価値が高い。

    C 専門性が高く呼吸器診療は取っつきにくい、難しい、と言われがちであったが、「やさしイイ」シリーズの出版により、理解しやすい分野になった。

  • やりがいのある呼吸器内科を選択し、若いうちに仕事にのめり込むことで、仕事が楽しくなり、したがって人生も楽しくなる。

  • しかも呼吸器は奥が深いためになかなか飽きることもなく、かつさまざまなジャンルの下地が出来るのでキャリアの転向(開業、健診、研究、留学、出産、復帰などなど)も比較的ハードルが低い。

     若いうちからキャリアデザインを考えることが重要だ、とも言われていますが、今から10年先のことすら、一体どうなっているやらわからない現在ですから、今考える「キャリアデザイン」は5年後であっても陳腐化しているかもしれません。私自身、若い頃は自分の将来について何らビジョンを持っていませんでしたが、それでも人並みに何とかなるものです。

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2016年08月09日

呼吸器内科説明会で言い足りなかったこと2

まあ、そういう力を身につける近道として、大学で内科専門医を目指す、という方向性は間違っていないと思います。


大学病院でなくても、少なくとも上級医の質と量が保証されているところが望ましいです。そうであれば市中病院でも、上級医のやり方をなぞりながら上達していくことが出来るはず。そう、「真似したい上級医」がいるところがいいですね。


大学にもいろいろあり、なかなか評判がアレなところもありますが、滋賀医大の内科系教員は皆さん、教育力に定評があります。この点では大丈夫です。



ところで「新専門医制度で専門医になるのが少し遅くなる、だから内科はやめて、もっと手っ取り早く一人前になれる科を選ぼう」「早く独り立ちしたい」、みたいなことをチラチラ伺うのですが、それは完全な勘違いというものです。


まず、新専門医制度だろうが旧制度だろうが、ちゃんとした専門医になるまでの期間は変わりません。ただ、専門医というラベルがつくかどうかです。で、残念ながら滋賀県には圧倒的に呼吸器科医が不足しているので、「呼吸器科医ですよ」と言えば、専門医というラベルがあろうとなかろうと、引っ張りだこです。職場には全く困りません。たぶん、いや間違いなく全国的にそうですね。


そんな1年2年の目先のことで、一生の仕事を、充実し、やりがいのある分野を選ぶか、ルーチンワークの「作業」を選ぶか、よ〜く考えてみて下さいよ、ということです。若い人とお話をしていると、先々のことを考えているようで、情報が多すぎて却って考えられず、驚くほど目先のことしか見えていない例を見かけますので、老婆心から申し上げる次第です。

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2016年08月08日

呼吸器内科説明会で言い足りなかったこと

先週、呼吸器内科説明会、というものをやったのですが、予想外に多くの人が出席されていたので、却ってあせってしまい、言いたいことがあまり言えませんでした。


そもそも説明会のテーマとして考えていたのは、以下のようなことです。


  • 「これから」を生き抜くために必要なスキルとは

  • 「資格を持つ」「技術を身につける」ことは将来の安定につながるのか?

  • 呼吸器内科が目指している「臨床力の高いドクター」とは

  • 滋賀医大呼吸器内科医局に入局したドクターはこうなっていく



当院呼吸器内科で私が若い人に期待していることとして、手に技術をつける、ということよりも、確かな臨床的考え方、技量を身につける、というところがあるのですね。


例えばある手技が出来るようになる、これは外から見たときにとっても「わかりやすい」成長です。ですから、学生さんとか若い人はそういうものを求める人が本当に多い。


「専門医」だってそう。新専門医制度の話題が関係者の耳目を集めていますが、「専門医」をとる、それが至上命題と考える人が多いようなのです。それだってわかりやすい「身につけた属性」=自分のためになるもの、という考え方ですよね。


で、そういうことを志向する人ばかりになると、「技術の習得」「試験勉強」「学会出席点」のようなことに意識が向いてしまい、一見地味な「臨床的考え方とか技量」というものに対する志向がなくなってしまう。それでじっくり考える、とか、じっくり勉強する、とかいう姿勢が失われてきているのではないか、と危惧するのです。


そうなると地域における臨床力が低下するのではないか、と。若い人を見ていて、短絡思考が多いのはやはり気になるところです。


熱がある⇒抗菌薬、肺に陰影⇒肺炎、咳⇒咳止め、下痢⇒下痢止め…


そうではなく、一歩踏みとどまっていちいち考える、これは習慣化しているかどうかの問題ですから、大人(上級医)が意識させなくてはなりません。


患者さんの訴え、患者さんから得られる情報を、「面倒だ」と片付けるのではなく、きちんと向き合い、アセスメントが出来る、これからの時代、求められているのはそういう医師なのです。これはつまり、昨今話題の「ジェネラルマインドを持った専門医」ということになります。こういう習慣は初期〜後期研修で身につけないと、なかなか大人になってからは難しいようです。


10年先のことを予測するのは、正直なところ極めて難しいと思いますが、IT、AI、技術革新が進み、「技術を身につけている」ことの価値が相対的に低下することが予想されます。資格を持っていても、評判が悪いとすぐに広まってしまいます…。


こんな話をしようかと思っていたのですが、話そびれましたのでこちらで残しておこうと思います。

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2016年08月07日

ワークとライフのバランスについて

同門会の年報に掲載する原稿を依頼されました。「つれづれなるままに書いてよし」とのことでしたので、心に浮かぶよしなしごとを書いてみました。



最近よく耳にする言葉「ワーク・ライフ・バランス」。


ワーク(お仕事)と、ライフ(お仕事以外の生活?←合ってますか?)のバランスを取ろう、みたいな、一般的には、生活(人生)の中で、仕事の占める(主に時間的な)割合を小さくした方が幸せだよね、的なニュアンスで語られることが多いように思われます。


この前若い人としゃべっていたときに、「やはりしっかり休みはあった方がいい」とか、「ブラックな職場は無理」とか、まあそういう話になったのですね。そりゃそうだと。


ちなみに私はまあ古い世代ですからワーカホリック(働き中毒?〜死語)と思われがちですが、20ウン年前に働き始めた頃には、おそらく今の若い人と同じで「出来るだけ休みが多い方がいい」「正月や夏休みはガッツリ休みたい」「受け持ちは少ない方がいい」「当直も出来るだけ少ない方がいい」と思っておりました。ハイ。


今の私から見ると完全にダメダメ研修医であったワケですが、あるとき当時の指導医から「このままでは君はダメダメだ」ということを言われ、(まあダメダメな自覚は多少あったのでしょうか)日々の業務にしっかり向き合うようにしたのです。


すると、まあまだ若い伸び盛りですから、懸命にやるとどんどん力がついてくるのが実感されるのですね。そして仕事が面白くなる。で、ますます頑張る。伸びる。仕事が面白い…。正のスパイラルに入り、仕事にのめり込んで1日のほとんどを病院で過ごすようになりました。


そういうわけで、身体を壊して入院したこともありましたが、その後しばらくは、人生≒仕事、という時期があったのです。結婚して子どもができても、あまりその傾向は変わらず、子育ては完全に妻任せ、という時期がありました。


そして留学。留学された多くの先生方がおっしゃるとおり、いろいろな価値観が大転回したのですが、人生の過ごし方もやはり大転回しましたね。留学先スタッフの、家族との過ごし方、家族を大切にしている姿を見て、「家族なくして自分の人生はどうなるのか」みたいなことを考えたりもしました。


で、帰国したくらいのタイミングで、ちょうど日本でも「ワーク・ライフ・バランス」と言われ出したりして、医局の雰囲気も、ずいぶん変わったりして、そんな感じの研修医が増えてきたりして、という流れになってきたわけです。私自身、家族も大切にしなきゃな〜となって、早く帰るようにもなったりして、妻からも「留学に行く前とは、ずいぶん変わったわー」といわれたりしました。


ところが最近、自分の中でまた考え方が変わってきたようです。「教える」ということに関して、突き詰めて、プライドを持ってやりだしてから、仕事がどんどん面白くなり、どんどん仕事にかける時間が増えてきました。下手な趣味よりも仕事をしている方が面白くて仕方がない。というよりも、仕事≒趣味になってきた、そんな境地なのです。


こうなってくると、またまた仕事≒人生、になってしまいますが、以前との違いは、環境に流されて仕事をしているわけでなく、自分で生涯を掛けるべき仕事を見つけ、それに打ち込める環境が整った、という点。日々楽しくて仕方がない、大変ありがたい環境です。

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posted by 長尾大志 at 20:47 | Comment(0) | 日記

2016年08月06日

メディカ出版さんのセミナーでした。

今日は1日、メディカ出版さんのセミナーin神戸でした。


今回はいろいろハプニング・ただの凡ミス・うれしい出来事がありました。

@PCを忘れ、京都でとんぼ返り

Aわざわざ帰ったのに、結局カメラを忘れ、会場の様子は撮れず

Bまさかの2年連続神戸の花火とかぶり、帰路の駅、電車が超満員

C熱心な読者の方との巡り会い

Dまさかの時間配分ミスで危うく大延長


いろいろありましたが、最終的にはしっかりできたように思います。20日の東京ではミスらないよう頑張るぞ〜!

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posted by 長尾大志 at 23:39 | Comment(2) | 日記

2016年08月05日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳8

マイコプラズマの迅速診断キット、そういうわけで、ウチでも余り使われてはおりません。そもそもマイコプラズマ肺炎自体余りないからかもしれませんが…。以前とある市中の診療所に1回だけヘルプに行ったらいきなりマイコプラズマ肺炎に遭遇して「結構コモンだな…」と思いました。


ではどういう場面で使えるか考えてみますと、使い方としてはむしろ、肺炎と診断する前、胸部X線写真がすぐ撮れない、という場面で有効かもしれない、と思いました。


つまり胸部X線写真を撮る施設はないが、迅速キットはある、というところで、非定型肺炎を疑うような臨床症状や、繰り返しのない、長引く激しい咳がある、このときに「マイコプラズマ感染症である⇒マクロライド投与」を後押ししてくれるツールとして使う、という感じです。


マイコプラズマの気管支炎(≠肺炎)にマクロライドを使うかどうか、これも議論のあるところです。肺炎がなければ気管支炎に抗菌薬を使う必要はない、とされていますが、発熱期間が長い(3日以上)場合には肺炎を考えて投与する、という考え方でもいいでしょう。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年08月04日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳7

肺炎のお話に戻ります。


マイコプラズマ肺炎と細菌性肺炎の鑑別のところで、マイコプラズマの迅速診断キットについて書くのを忘れていました。


迅速診断ではこれまでにイムノカードという抗体を用いた検査がありましたが、これが感度・特異度とも満足出来るものではありませんでした。


そこで2013年に抗原を検知するリボテストレジスタードマークマイコプラズマ、プライムチェックレジスタードマークマイコプラズマ抗原が発売されました。


これらはイムノカードよりは感度、特異度共に優れていますが、それでも100%ではありません。例えば非定型肺炎の診断であれば以前挙げた「細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別ポイント」を使えばいいわけで、非定型であればマクロライド系を使いますから、マイコプラズマ肺炎を積極的に診断する場面はそれほど多くないかもしれません。


重症例では原因の確認が必要でしょうし、流行の調査にも使えるでしょうが、検査結果で治療法が変わるような、肺炎に必須の検査、とはいえないように思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年08月03日

第48回日本医学教育学会大会見聞録2・「最近のRA診療」

大阪医科大学の槇野茂樹先生によります「最近のRA診療」、備忘のため、「そうだったのか!!」と思った点をシェアしたいと思います。槇野先生のご講演はスライドの内容が盛りだくさんで、かつパッパッと送って行かれるので、メモが大体間に合いません。ですから本当に抜き書きになります。それでもありがたいお話なのです。


(ここから、講演内容を含みます)
・2000年以前と以後ではリウマチ診療が劇的に変化した。その立役者はMTX。MTXが出る前にはリウマチは不治の病で、平均寿命も短かったが、MTXでコントロールが可能になった。


・RAによる関節破壊は、以前思われていたよりも早期から着々と進行していることがわかった。すなわち、早期の診断・治療介入が必須であることが明らかになった。


・そのため、2010年のRA新分類基準は、原理主義的に「正しくRAと診断」することでなく、「MTXを使ってもいい関節炎を早く囲い込む」ことを主眼に作成された。


・「朝のこわばり」は特徴的ではあるが、他の疾患でもみられ、すごく特異的とは言えない。


・RAは滑膜の疾患である。したがって、「動く関節」がやられる。DIPには生じずPIPに生じるのはそれで理解出来る。


・OAは重みのかかる荷重関節がやられる。


・現在では、RA患者さんのおよそ60%が寛解、10−20%が低活動性と見込まれている。


・ただし、寛解になったからといって、特に生物学的製剤を止めるのかどうか、これは統一見解がなく難しい問題である。


・RAの死亡原因として、日本人はやはり肺病変が多い。欧米?人は心血管障害が多い。


・RA-UIPは怖い。RA-NSIPは怖くない。

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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2016年08月02日

第48回日本医学教育学会大会見聞録1・「漢方の効く人、効かない人!?」〜元外科医の体感話とこれからの漢方〜

第48回日本医学教育学会大会で学んだこと。1つめは漢方について。


有名なセンプククリニック 千福貞博先生がランチョンでお話しになるということで、迷うことなく参加しました。千福先生のお話は何度か伺ったことがありますが、お話し上手で面白く明快、わかりやすい。内容だけでなく構成や見せ方も大いに参考になります。


備忘のため、「そうだったのか!!」と思った点をシェアしたいと思います。


(ここから、講演内容を含みます)
・口訣(=clinical pearls)。


・漢方が即効性か遅効性か、というのは、いつの成り立ちか、と薬味の数で決まる。

 即効性のあるものはだいたい耐性(タキフィラシー)が生じる。


・ツムラの番号は売れ筋が前に来る。だから1番〜40番くらいが頻用薬で、それを覚える、というのが上達の道。

 じゃあ41番は?補中益気湯。このぐらいまで覚えるか。42番は??…


・名著、オススメは『漢方診療のレッスン』。

 そこには、「ご飯を食べて引き込まれるように眠くなる人は41番」のように具体例が書いてあって大変参考になる。


・高齢者は意外に漢方嫌いだったりする。

 その理由には、義歯に挟まる、科学万能、バシッと効く薬を希望する…などがある。
飲みやすくするには水で溶いてレンジでチン!


・99番、小建中湯は、腹診でくすぐったがる子供だったら何でも?効く。
 飲みにくいのでミロに溶かす。

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posted by 長尾大志 at 13:40 | Comment(1) | 学会・研究会見聞録

2016年08月01日

告知・メディカ出版さんのセミナー

いよいよこの週末、神戸にてメディカ出版さんのセミナーです。今回は「急性期でよくみる呼吸器疾患〜病態・治療・ケアのポイント〜」と銘打って行います。
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/171


この春にやった「呼吸の基礎〜人工呼吸編」とは趣向を変えて、今回は疾患編。急性呼吸不全、特にARDS、気胸、肺炎、COPD、喘息といった、頻度が多くお目にかかることの多い疾患の成り立ち、メカニズムを知って頂き、アセスメントに生かせる診察技法もご紹介します。


8月6日(土)  神戸 クリスタルタワー 9:30〜16:30
8月20日(土) 東京 損保会館 9:30〜16:30

メディカ出版セミナー「急性期でよくみる呼吸器疾患〜病態・治療・ケアのポイント〜」
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/171


いつも終了後のアンケートでは高い満足度を頂きますが、中でもこちらのテーマでは満足度が高い。今回も頑張ります。まだ若干お席に余裕があるようですので、ご興味のある方はリンク先をご覧頂ければと思います。

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posted by 長尾大志 at 13:16 | Comment(0) | 活動報告

2016年07月31日

欅坂46のデビュー曲にサイレントマジョリティーを与えた秋元康さんは天才

昨日の続き、というか、『学生×教員 対話セッション』のまとめです。


教員から見てサイレントマジョリティーにみえる、多くの学生さん・研修医の皆さんにどう働きかけるか、って話です。


これまでに経験したところでは、なにか心に火が点いた瞬間(これはまさに「火が点く」としかいいようのない、表情の変化として見られるのですが)から、取り組みの熱量が変わる、ということはあります。でも、「火を点ける」ことはそれほど再現性のあるものではない。でも、確かにそういう瞬間はあるのです。


でも、医学教育学会で、どなたかがおっしゃっていました。「1人のスーパー教師を作ることが目的ではなく、きちんとした『システム』を作るのが目的なのだ」と。


誰かが作った、その『システム』で、本当に学生さんの燃料に「火を点ける」ことができるのでしょうか。6回生の皆さんに答えてもらったアンケートで、学生さんから「ロールモデル、お手本となるドクターを見たい」という声が多数あったことも事実。


『祝祭空間』で踊りまくるオッさんがいて、初めて「踊ってみるのも面白そうだ」となるのではないのかなあ、と思ったりもするのです。再現性が少ない、エビデンスのない世界でどこまでできるのか、やってみた結果がこちら。


ポスター用.pdf


サイレントマジョリティーのたとえを出したときに、隣の学生さんが「いや、そんなことないっすよ!多くの学生はちゃんと考えて、やってます!教員から見えないだけで。」とおっしゃっていたのが印象的でした。


でも、どこかの国の大統領が言っていたように、「声を上げないものは賛成している」(サイレントマジョリティーより引用、一部改変)ということになってしまうわけで、今のどこかの国と同じで、「声を上げたって同じだし」とあきらめているのかもしれません。それはもったいない。


それとも、「見栄やプライドの鎖に繋がれたような つまらない大人」(サイレントマジョリティーより引用)だと思われているのかもしれません。こっちの方が可能性は高いか…。


部活であれ、学祭であれ、教員と学生さんがふれあう機会はあるわけで、もっとお互いに活かしたほうがいいでしょう。そういえば「学生の時にやっておいたほうがいいこと」として「他人と協力して新しいことを作り上げる体験」を挙げましたが、学祭も今の形のままだったらもったいないなーとは思います。うーむ…とっ散らかったままですが、あえて散らかしておきましょうか。

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posted by 長尾大志 at 21:38 | Comment(0) | 教育理念・メッセージ

2016年07月30日

今日も第48回日本医学教育学会大会に参加

というわけで、今日は第48回日本医学教育学会大会の2日目です。


午前中は、教育技法、PBL、TBLの口演に入り浸っておりました。施設によって工夫されているところが違ったり、悩みは共通であったりして、興味深く過ごしました。やはり実際どうやっている、というところを伺うことができて参考になるところ大でした。お話を聞きながら、いくつか新しい試みの試案ができました。


また、そもそも論ですが、PBLという形式を海外から日本に持ってきても、必ずしもうまくいくものではない、ということが既に各施設の先生方の共通認識である点がすごく腑に落ちました。ですからそれをわかっていらっしゃる先生方は日本の学生さんにあわせて、既にモディファイしておられる。いつまでもどこかみたいに旧態依然ではアレだなあ、と思いました。これも改革案はすぐに浮かびますが、まあそれは置いときましょう。


ランチョンセミナーは、大阪医大の槇野先生による、『最近のRA診療』。これは開催が大阪医科大学さんであったことによる僥倖、とばかりに前から3列目でかぶりついて拝聴しました。いつもながら内容がふんだんながら、整理されたお話で、大変ありがたかったです。


そして午後には、『学生×教員 対話セッション』に参加。


IMG_2961.JPG


学生さんも交えて対話が白熱し、いろいろな意見が出て頭がすごく活性化されました。特に残ったキーワードとしては『祝祭空間』と『サイレントマジョリティー』。


『祝祭空間』は日本大学の押味先生に頂いたお言葉で、以前から課題として持っていた、授業/講義の「ライブ感」をもっと適切に表現する言葉として、これから使っていきたいと思います。大学という空間にわざわざ学生さんを集めて、拘束して行う意味。それは『祝祭空間』とならなければ意味がない、ということ。それを実現するためにできることを考えていきます。


もう一つの『サイレントマジョリティー』は時間が足りず、対話を深めることはできませんでしたが、多くの『サイレントマジョリティー』である学生さんを如何にして祝祭の場へ引きずり込み、火をつけるか。これこそが教員の役目ではないかと思うのです。お、今いいこと書いた気がする。もっと練ろう。


その後日野原重明先生による名誉会長講演を拝聴。初めてご尊顔を拝しましたが、104歳にしてお元気!ご講演も素晴らしいものでした。撮影NGでしたので写真はアレですが、きっと公式HPには掲載されるのではないでしょうか。

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posted by 長尾大志 at 22:00 | Comment(0) | 活動報告

2016年07月29日

第48回日本医学教育学会大会に参加

今日は本当でしたら6回生のアドバンスポリクリ最終日…のはずでしたが…。


朝から第48回日本医学教育学会大会に参加して参りました。


DSCF7328.JPG


今回はちゃんと発表して参りましたよ。
「アクティブ・ラーニングを授業に取り入れると、学生の反応が劇的に好転する」


DSCF7330.JPG


証拠写真っす。発表しているところを撮ってもらえるほど仲のいい人がいませんでしたので、発表風景はありませんが。


DSCF7331.JPG


朝一に貼ったときにはがらんとしていましたが、発表時には盛況で…と思いましたが、発表時もそれほどの耳目を集めた感じはありませんでした(笑)。


会場では、何名かの、ブログや書籍を読んでくださっている先生方にお声をかけていただきました。ありがたいことです。今後ともよろしくお願い申し上げます。



今回けっこうガッツリ参加してあれこれ発表を聞いて回った結果、何となくこれまで医学教育学会に感じていた違和感といいますか、変な感じの正体がわかってきたような気がします。ま、ここでは書けませんけどね。


明日も1日参加して、ますます勉強してきますよ〜。

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posted by 長尾大志 at 22:49 | Comment(0) | 活動報告

2016年07月28日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・止まらない咳6

で、そこまで目星をつけたら次は治療です。つまり抗菌薬の選択。


かなりバッサリシンプルに割り切った話ですが、気道感染症の外来治療に使用する抗菌薬といえば…


  • アモキシシリン(AMPC)(+クラブラン酸/アモキシシリン(CVA/AMPC))…経口薬

  • セフトリアキソン(CTRX)…点滴薬

  • クラリスロマイシン(CAM)またはアジスロマイシン(AZM)…経口薬



…これだけ。


これだけ??
ク○ビットやメイ○クトやフロ○ックスは???


――少なくとも最初には使いません。まあ、メイ○クトやフロ○ックスはもう全国的に使わない方向と考えていいでしょう。


細菌性肺炎の疑いだったら、まずはAMPC。グラム染色で陰性桿菌が見えたり、基礎にCOPDや慢性呼吸器疾患があったりで、陰性桿菌の関与が疑われる場合にはAMPC+CVA/AMPC、またはCTRXを点滴で投与、とします。


サワシリンレジスタードマーク(250mg)3錠 分3後

陰性桿菌の関与が疑われる場合
サワシリンに加えてオーグメンチンレジスタードマーク(250mg)3カプセル 分3後

外来で点滴治療を行う場合
セフトリアキソン2g+生理食塩水100mL 点滴 1日1回


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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