2017年11月21日

肺の解剖と呼吸生理の基礎知識2

検査との関係

肺胞壁、肺胞上皮は薄い構造物で、肺の9割は空気です。組織(水と同じ密度)は1割しかありません。したがってX線写真やCTでは、正常の肺野濃度は真っ黒(≒空気)よりも若干(1割分)白く見えます。


主に肺胞領域の病変で、(肺胞内の)空気が水に置き換わると、X線写真やCTで白くなります。多くの場合、白くなっているということは換気血流ミスマッチが起きているということを表し、低酸素になる可能性があります。その場合、酸素投与が必要なことが多いです。


それ以外に、肺胞が破壊されるCOPD(X線写真やCTで黒くなる)でも、進行すると低酸素になります。


異常な呼吸音が聴こえるのは主として気道が狭窄しているとき、気道に痰などがあるときと、線維化があるときです。X線写真での異常とはあまり相関しませんが、気道が狭窄しているときは肺機能上閉塞性障害を来すことが多いです。


wheezesが聴取されたら細気管支の狭窄が示唆されます。肺機能ができれば閉塞性障害の有無、スパイロメトリーで下に凸の曲線を確認し、DPBのような粒状影が胸部写真で見られないか確認しましょう。


rhonchi が聴取されたら、肺機能ができる状態であれば閉塞性障害の有無、スパイロメトリーでは下に凸の曲線や頭打ち曲線を確認します。胸部X線写真では中枢気道の狭窄がないかを確認しましょう。


fine cracklesが聴取されるときは線維化が見られ、拘束性障害や拡散障害を来している可能性がありますから確認します。また、胸部X線写真では網状影や蜂巣肺所見を探します。初期の段階では見にくいものですが、横隔膜付近をよ〜くみると、横隔膜のボケなど微妙な所見が見つかるかもしれません。


胸部X線写真で陰影に左右差があったら、診察所見にも左右差があるはず。もう一度診察をやり直してみましょう。


動脈血ガスで呼吸性アシドーシスやアルカローシスをみたら、呼吸数を確認して整合性をみる習慣を付けましょう。


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posted by 長尾大志 at 20:09 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月20日

肺の解剖と呼吸生理の基礎知識1(箇条書き)

呼吸とは、外界の酸素を体内に取り込んで生命活動に資し、結果出来た二酸化炭素を体外に排出する一連の手順のことです。


外界から酸素の多い空気を取り込んで肺胞でガス交換を行うところを外呼吸、酸素を運搬してきた動脈血が組織でガス交換し静脈血になるところを内呼吸といいます。


通常、肺疾患では外呼吸のところが損なわれるので、ここでも主に外呼吸をしている場である肺胞を取り上げます。


肺胞は直径が0.2〜0.3mm程度の小さな(肉眼ではほぼ見えない)袋で、左右合わせて3億個程度あるといわれています。その表面積は100m2程度であり、半分程度が毛細血管に接触しています。


毛細血管と肺胞の間は血管内皮と肺胞上皮で境(血液空気関門)されていて、その厚みは0.3μmと、極薄にできています。そのため酸素は容易に通り抜けて拡散するのです。


通常、肺胞と周囲の血管は釣り合うように分布していますが、何らかの病的な状態になるとそのバランスが崩れ(換気血流ミスマッチとなり)、酸素取り込みが障害されて低酸素血症となります。
例:炎症が起こると血管透過性が亢進し、極薄の血液空気関門を超えて水が肺胞内にあふれ出し、肺胞内の空気が水に入れ替わる。そういう箇所ではガス交換が行われず、低酸素血症となる。
⇒レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室、やさしイイ血ガス・呼吸管理参照


低酸素の原因としては、肺胞がへってミスマッチになる機序が最も多いですが、その他に血流が減るミスマッチ(肺血栓塞栓症)、拡散障害(間質性肺炎、肺水腫など)、肺胞低換気(神経筋疾患、中枢神経障害など)が挙げられます。


低酸素になると、通常は呼吸中枢が刺激され、呼吸数が増加します。呼吸数が増加して換気量が増えると、二酸化炭素は効率よく排出されて蓄積しませんので、通常の肺疾患では低酸素血症のみが生じます。呼吸数は一般的に肺疾患の重症度を表します。


肺疾患以外に、換気量が低下する病態でも(肺胞低換気)低酸素になります。低換気の原因で多いのは神経や筋肉などの障害で、呼吸運動が損なわれた結果、呼吸数・換気量が減少し二酸化炭素の上昇がみられます。


肺疾患で低換気が生じるのは、CO2ナルコーシスや喘息のように、気道の病変が多いです。肺胞の障害は低換気となることは少ないです。



肺胞の問題による低酸素(多くがミスマッチ)の治療はFIO2を上げ、肺胞内の酸素量を増やすことです。


低換気による低酸素(+高二酸化炭素)の治療は、人工呼吸で換気量を増やすことになります。



診察

気道に問題が生じると、異常呼吸音が聴かれるようになります。例えば呼吸音気道が狭くなると、連続性ラ音が聴取されます。


太い気道の狭窄(多くは貯留した喀痰、腫瘍による圧迫など)では、rhonchi(ロンカイ:低音性連続性ラ音)が聴取されます。


細い気道の狭窄(喘息発作やCOPDの増悪、心不全など)では、wheezes(ウイーズ:高音性連続性ラ音)が聴取されます。


気道内に痰や分泌物が貯留すると、空気が通るときにはじけることでパチパチというcoarse crackles(コースクラックル:粗い断続性ラ音、水泡音)が聴取されます。


間質性肺炎や肺線維症などで、末梢気道が硬化し閉塞した部分が吸気後半ではじけることで細かいパチパチfine crackles(ファインクラックル:細かい断続性ラ音、捻髪音)が聴取されます。


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posted by 長尾大志 at 16:01 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月19日

日本集中治療医学会関西支部看護部部門主催「ナースにやさしイイ『呼吸・人工呼吸教室』」

昨日はそういうわけで、日本集中治療医学会 関西支部 看護部部門さんの主催であります、第10回看護教育セミナー2017で「ナースにやさしイイ『呼吸・人工呼吸教室』」というタイトルでお話をさせて頂きました。


午後1時から4時半まで、3時間半にわたって、人工呼吸の設定を基礎から、すなわち呼吸の基礎から、人工呼吸とはどういうことをしていて、どういうことが起こりえて、どういうことに気をつけてどう考えるか、そういう風なことをお話しました。


また後日頂けるというアンケートを拝見しないと、参加された皆さんにご満足頂けたかどうかはわかりませんが、200名以上参加されていたので、まずは成功であったようです。


今回ニプロさんのご厚意で、南草津の医療研修施設、ニプロiMEPをお借りしてのセミナーでしたが、昨年も呼吸療法セミナーで立たせて頂きましたが、とってもすてきな会場です。交通の便もいいですしね。個人的にはこちらでもっとやらせて頂きたいところですが…まあいろいろな都合で、あまり機会がないのが残念です。

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posted by 長尾大志 at 20:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月18日

1年で最も?忙しい2週間

この2週間は、第3学年への講義週間でした。昨日で最終講義が無事に終わりまして、ホッと一息です。


個人的に、1年で最も忙しい期間、というものがありまして、1つが6月中旬〜7月末の臨床実習アドバンスコースの時期。これは第5学年と第6学年が同時にやってくるという、正気の沙汰とは思えないカリキュラムです。ここはいまだに、どのようにうまく進めるか、自分的にも課題であります。


そしてもう一つが11月上旬の講義週間。第5学年がいつも通り実習に回ってくる中で、第3学年に90分✕8コマの授業です。


これが旧態依然とした階段+固定机と椅子の講義室で、グループワークをやるのには不向き。ではありますが、クリッカーを使わせて頂いたり、グループワークを取り入れたりで、まあそこそこ「参加型」になってきているように思います。


正直、ことがらをただ伝えるだけの「講義」は、やっている方としてもかなり苦痛になってきておりまして、今年は今後を見据えて「講義」パートの幾ばくかを収録致しました。2年前には全く使い物にならなかったeラーニングのシステムが、ずいぶん使えるものになっていたことがわかり、早速動画を作成して復習用にupしています。


これがもう少しコンテンツが増え、環境が整えば、動画+スマホの半自動化授業システムが構築出来そう。こうなると当方の負担やストレスがかなり減るでしょう。


とはいえ、今年もそうでしたが、講義をやる、しゃべっていると、頭の中でいろいろな「ことがら」が連携し、新しい「教え方」や「たとえ話」が誕生する、という面があることも紛れもない事実なのですね。昨日もそうでした。バ○バ○ンやフ○○ナーのたとえ(講義を聴いていた人だけの特典)なんて、机の前に座っていたのでは絶対に出てこない。講義の現場、しゃべり場、というのは、新しい発想のためには必要なのです。


ですから最終的には、動画+本などで予習をしてきてもらった学生さんとインタラクティブにしゃべり倒す、という形が自分の中での理想型です。


講義週間の最後には、学生さんによる「授業評価」があります。5段階評価はまあどうでもいい(実態を反映していない)のですが、学生さんがかなり好き放題「自由意見」を書かれる。毎年それを見るのは本当に怖く、また楽しみでもあります。特にアクティブ・ラーニングを取り入れてからは批判的ご意見はずいぶん減りまして、ありがたやな感じとなっておりますのは以前にも書きましたとおりです。今回は果たしてどんな感じでしょうか…ちょっと今年は好き放題いろいろと申し上げたので、否定的な意見が増えているかも…。

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posted by 長尾大志 at 19:45 | Comment(0) | 日記

2017年11月17日

肺の解剖と呼吸生理の基礎知識

さてさて、そろそろBRONCHOも書籍1冊分くらいの分量になったでしょうか…。これから手直しを経て、春ぐらいに書籍になるといいなあ、という感じですね。


その手直しをしている間に、こちらでは次の書籍仕事に取りかかりましょう。BRONCHOも、学生実習や初期研修のローテートで、カンファレンスに直面して「一体何を質問されるのか」「何を勉強すればいいのか…」と途方に暮れている皆さんのお役に立つこと間違いナシなのですが、この次の書籍は研修に際して必要な知識をコンパクトにまとめていこう、というものになる予定です。


まずは、肺の解剖と呼吸生理の基礎知識について、ザーッとおさらいをしておきたいと思います。というのも、実際に実習、研修をしているときに、肺の構造やその役割を知っておくことで、理解が大変深まることは間違いないのですが、いざその期間に入って、そういう基礎的なことがらを勉強し直す時間がないのですね。


それで理解が中途半端なまま次に進んでいかれる。これはモッタイナイ。


そこで、ローテートの直前(の週末?)に、できるだけコンパクトに、解剖生理についておさらいできるようまとめておきます。といっても、ただ並べるだけではございません。診察所見や検査所見と対照出来るような形で、呼吸について総括してみたいと思います。これは今回第3学年に講義をしている中で、つながった、ひらめいたものが多いです。来週をお楽しみに。




ところですっかり告知を忘れておりましたが、明日は日本集中治療医学会関西支部看護部部門さん主催の ナースにやさしイイ「呼吸・人工呼吸教室」でしたね。


13時〜16時半、場所はニプロ株式会社iMEP(滋賀県草津市野路町3023)
*京都から新快速で15分の南草津駅下車徒歩3分 駅近く♪


ポスター.jpg


にて、開催されます。どうやら200名以上の方が参加されるようで、さすが皆さんお目が高い。会場でお目にかかりましょう!


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posted by 長尾大志 at 17:36 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月16日

症例検討会BRONCHO23−5

慢性の肺疾患を診ていく上で、問題になるのは@酸素をどうするかAステロイドその他薬剤の副作用、止めどき、そしてB他疾患・病態の管理というところでしょう。


酸素化の状態についてはroom airでSpO2 93%程度で、労作時には80%台に低下しますが、自覚症状に乏しいことと、ご本人、家人がHOT導入を強く拒否されています。これはしばしばあることですが、折角導入しても吸入して頂けないということでは困りますので、よく納得頂けるよう説明、話し合いが必要でしょう。


ステロイドを長期間使用するときにはいろいろな副作用や合併症に注意する必要があります。大量⇒長期間使用すると

  • 易感染性

  • 耐糖能異常〜糖尿病

  • 消化性潰瘍

  • 骨粗鬆症

  • 中心性肥満〜高脂血症・高血圧

  • 副腎機能低下・副腎不全

  • 筋力が低下・ミオパチー

  • ステロイド精神病


など、いろいろと心配です。予防的にあらかじめST合剤、PPIやビスホスホネートなどを使われることが多いと思いますが、血糖やコレステロールなど、モニタリングして異常があれば対処、ということもあるでしょう。


本症例でもパルス後食後血糖値の増加を認めたため、入院中はノボリンRでのスケール打ちを行い、退院決定後内服に切り替えました。また、家族含め退院前に栄養指導を受けて頂きました。

 シュアポスト(3.0)分3、毎食直前
 ボグリボース(0.6)分3、毎食直前

また経過中口腔カンジダを確認したためフルコナゾール100mg/日使用し改善しました。


さらに経過中血小板減少が見られました。副作用の頻度も鑑みて、ステロイド投与後開始したバクタによる可能性を考え、バクタを中止したところ血小板は速やかに回復しました。その後はバクタを3回/週で再開し、以降血小板値は保たれています。


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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月15日

症例検討会BRONCHO23−4

胸部X線写真は、今回ポータブルですからなかなか評価困難です。広範囲の浸潤影なんかはなさそうです…元々の写真をみると、嚢胞性変化もありそうですし、線維化っぽい網状影もありそう。重喫煙者でもあり、CPFE(COPD+線維化)みたいなモノかもしれません。


…やっぱりCTがほしいところですが、入院時のCT所見も正直微妙ですから、以前のCTと比較したいところです。全力で以前のものを探しましょう。


スライド102.JPG


スライド103.JPG


ということで、見つけました。これが以前のCTです。うん、やはり、下葉中心に大きめの嚢胞+周囲の濃度上昇あり、CPFEのような感じですね。


で、以前と今回のCTを同一スライスで比較すると…両側すりガラス影が出現しています。診察所見や心エコーで心臓の問題は否定的、ということで、感染を契機としたCOPDないし肺線維症の急性増悪and/or肺炎、と考えて治療します。


同日よりCTRX、ステロイドパルスを開始し、開始翌日には解熱、呼吸状態の改善がみられました。3日間パルスののち、PSL1mg/kg(60mg)内服治療に切り替え。以降も経過良好でしたので、CTRXは1週間で終了し、PSLは30mgまで1週間ごとに減量としました。



なおその後、以前施行されていた肺機能検査も入手出来ました。前医ではLABA/LAMA吸入を使われていて、肺機能は若干改善していました。


<肺機能> LABA/LAMA開始時 約8ヶ月後
VC 2.19 2.36
%VC 76.3% 82.7%
FVC 2.13 2.31
%FVC 74.4% 80.8%
FEV1.0 1.42 1.81
%FEV1.0 110.4% 111.5%
FEV1.0% 66.51% 78.24%

DLCO 6.49
%DLCO 58.3%
DLCO/VA   2.28



CPFEは肺機能上、拘束性障害、閉塞性障害いずれも起こりうる病態です。縮む病態と伸びる病態。で、なんか打ち消し合って?意外にどちらも悪くない、ということはよく経験されます。しかし肺胞は破壊されているので拡散障害が起こり、労作時に低酸素血症となりやすいことも知られています。



Q:今後治療で気をつけることは?


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posted by 長尾大志 at 20:35 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月14日

症例検討会BRONCHO23−3

状況としては、基礎にある肺疾患の増悪や、心疾患の増悪、合併などが想定されます。とすると感染の関与も考えなくてはなりません。あてになるかどうかはわかりませんが、一般的な血液検査に加えて胸部CTは必要でしょう。酸素化の状況によって、酸素流量を上げる必要がありますが、重喫煙歴あり、COPDがあるとCO2ナルコーシスの危険性もありますから、動脈血ガスもすぐに確認したいですね。その上で酸素投与の検討です。


肺炎の可能性が高いとなりましたら喀痰グラム染色はほしいところですし、血培も採る必要がある。尿中抗原、シーズンであればインフルエンザ抗原も確認しましょう。検査結果を逐次確認しながら、やるべきことを考えていきます。本症例では、以前のデータが入手出来ましたので、異常値を適宜比較しています。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HB (g/dl ) 12.2 L
WBC (1000 ) 7.6
PLTS (1000 ) 151

FIBG (mg/dl ) 500 H
PT-INR ( ) 1.16
APTTP (秒 ) 31.5
Dダイマ- (μg/ml ) 4.9 H

TP (g/dl ) 6.7
ALB (g/dl ) 3.4 L
AST (U/l ) 16
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 227
ALP (U/l ) 410 H
G-GTP (U/l ) 30
CHE (U/l ) 209 L
T-BIL (mg/dl ) 0.94

NA (mmol/l) 137 L
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 1.52 H (直近1年では横ばい)
eGFR ( ) 34.1
CA (mg/dl ) 8.2 L
P (mg/dl ) 1.7 L
CPK (U/l ) 161

CRP (mg/dl ) 3.53 H (直近2年程度は基準値以下)

BNP (pg/ml ) 212.44 H  (直近2年程度は70-90程度で推移)

GLU (mg/dl ) 140 H


<動脈血液ガス>マスク4L
pH7.481
pO2 59.5
pCO2 30.4
SaO2 90.9
BE -0.6


<感染迅速>
インフルエンザA/B 陰性
肺炎球菌尿中抗原 陰性
レジオネラT尿中抗原 陰性


<心電図>
111 bpm sinus rhythm
QRS 92 ms
V1 rSR'
→不完全右脚ブロック 2015年5月には認めず


<心エコー>
Dd/Ds 47/26 EF 70%でhyper
TRPG 33でPHなし
IVC 10前後で虚脱
弁にはいずれも明らかな異常無し



<胸部Xp>


スライド100.JPG


<胸部CT>


スライド101.JPG



Q:胸部X線写真、CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:16 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月13日

症例検討会BRONCHO23−2

比較的急速に高熱、呼吸困難、倦怠感が出現し、低酸素血症も著しいので、急性に発症する呼吸器疾患、循環器疾患などが想定されます。確認したいことはやはり既存の「多薬服薬中」の疾患について、もう少し詳細な情報が欲しいですね。呼吸器疾患なのか心疾患なのか、両方あるのか、過去のX線写真なんかも手に入れば確認したいところです。


クラリシッドが処方されているあたり、慢性呼吸器疾患があったようにも思われますね。で、以前のX線写真が参照出来ました。


スライド99.JPG


肺野が汚い…ですね。やはり基礎に肺疾患はありそう。それと大動脈瘤術後であり、心機能の問題も考えておく必要があるでしょう。



<入院時現症>
JCS  T-0
Vital signs(救急受診時):BT 39.1 ℃, BP 129/63 mmHg, HR 118 bpm, RR 32/min, SpO2 92%(シンプルマスク O2 5l/min) 体動で80%前後まで低下

診察時mMRC3 普段も3程度
上気道症状なし、喀痰なし、咳嗽なし


<身体所見>
頭頸部:眼球結膜黄染/眼瞼結膜蒼白なし
明らかな咽頭発赤なし
頸部リンパ節触れず
坐位にて頚静脈怒張は明らかにはなし

胸部:肺音 両側吸気時にfine crackles+
心音 整 明らかな心雑音なし
腹部:軽度膨隆、軟、蠕動音→、圧痛点なし
四肢:上下肢とも浮腫なし
    右下腿に外傷後瘢痕 熱感/発赤/疼痛なし
    両下肢径左右差なし、下腿把握痛なし
    膠原病を示唆する明らかな皮膚所見なし

朝のこわばり/関節痛/明らかな筋力低下なし



Q:次のステップとして、どうしますか?検査は何をしますか?


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posted by 長尾大志 at 19:21 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月12日

COPDのお勉強

ということで、今日の午前中はCOPDの勉強をしに、とあるメーカーさん主催の勉強会に参加して参りました。


メーカーさんはとある薬剤を販売しておられるので、当然その薬剤を使う方向の議論が展開していくようにいろいろとプログラムを組んでおられるわけですが、もちろん来られている「地域を代表される」先生方は、さすがにご自分の考えをしっかり持っておられ、こういう会の1つや2つでフラフラするものではありません。


今回はPro&Conで業界トップの先生方によるエビデンス合戦、議論を伺って、その後グループ内で意見交換、という形は、先生方の思いなんかもうかがい知ることができて大変興味深いものです。特にここ1-2年でた論文を総ざらえ?して頂いたのはよかったです。


以前亀井道場でやらせて頂いたように、「大人にダマされない論文の読み方」をまた近々どこかでやらせて頂こうかと思っているのですが、いろいろと参考になりました。面白くできそうです。


最後に寺本先生や多賀谷先生、著名な先生方にお声を掛けて頂きビックリ。若い先生方に拙著を読んで頂いているそうで、恐縮しました。

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posted by 長尾大志 at 19:14 | Comment(0) | 日記

2017年11月11日

明日は東京でcopd のお勉強

今日の午前は長男に付き合って受験生の親らしいことをしておりました。午後には娘たちに付き合ってクリスマスの飾りつけなど。
そうこうしているうちに東京への出発時間となり、現在新幹線。今回は自分の講演ではなく勉強目的なので、PC を持たず身軽に…と思ったのですが、ブログの更新にはたいへん不便でした。ということで今日はこの辺で失礼致します。(+д+)

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posted by 長尾大志 at 19:31 | Comment(0) | 日記

2017年11月10日

症例検討会BRONCHO23−1

症例 80歳代男性


<主訴>
発熱、呼吸困難、全身倦怠感


<現病歴>
以前より近医通院中、多数服薬中であった。
本日15時頃より呼吸困難、全身倦怠感を自覚し始め、体温を測ったところ37.5℃であった。明らかなsick contact なし、上気道症状なし、悪寒軽度、戦慄なし。
自宅で様子を見ていたが、体温40℃まで上昇し、呼吸困難、倦怠感が増強するため、21時過ぎに家人にて救急要請。
救急隊接触時SpO2 55 %(room air)と著明な低酸素を認めた。
21時28分に当院救急到着時、SpO2 92 %(シンプルマスク O2 5L/min)、RR 32回/分、精査加療目的に当科即日入院となった。


<内服薬>
ラシックス錠40r 0.5 錠
フェブリク錠20mg 0.5 錠
ジャヌビア錠50mg 
タケプロンOD錠15mg 1錠
リリカカプセル75mg 2カプセル 
クラリシッド錠200mg 2錠
プロマック75mg 2錠
クレストール錠2.5mg 1錠
デパス0.25mg 1錠 分1
オパルモン5μg 3錠
他に吸入薬も処方されていたとのこと(持参なし)


<既往歴>
50歳 後縦靱帯骨化症
60歳 胆嚢炎
73歳 大動脈瘤手術
74歳 腰部脊柱管狭窄症手術

他に発症時期不明のCKD


<生活歴>
喫煙:40本/日(20-60歳)60歳以降禁煙
飲酒:機会飲酒
職業歴:元運転手
粉塵暴露歴:特記なし
鳥類接触歴:特記なし(羽毛布団使用/ダウンジャケットなし、鶏糞使用なし)
住居:築38年、木造、カビ・埃なし
最近の温泉利用:なし
近年の海外渡航:なし

その他:要介護2、杖歩行 
    bADL 自立(本人談)

同居:息子夫婦、孫と5人暮らし


<家族歴>
肺疾患の家族歴なし 


<アレルギー>
特記なし



Q:確認したいことは?現段階での鑑別診断は?


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posted by 長尾大志 at 17:39 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月09日

症例検討会BRONCHO22−8

年齢のこともあってか、聴力が低下気味ですね。特に右はだいぶ。ということでSMを使うなら、セルフチェック+まめな聴力検査は欠かせません。というかSM、使うのか?という感じですね。


それとさりげな〜く?書きましたが、QTc 491 ms。これは結構ヤバい。QT延長です。CAMによるQT延長⇒TdP(torsades de pointes)発症、というよろしくないシナリオが頭に浮かびます。


一体なぜ?QT延長で多いのは薬物と低K血症です。本症例ではK 3.2と低値であり、まずはここの是正が必要と考えられます。


内服中の薬剤では、麦門冬湯に含まれる甘草(カンゾウ)が偽アルドステロン作用で低Kとなります。またレニベース(エナラプリル)は逆に、アルドステロンを低下させ高Kとなります。この作用を計算して処方されていたのだとしたらスゴいですが、どうもそうではなかったようですので麦門冬湯は中止します。


そしてKを経口的に少しずつ補充しました。結果…


QTc491(K3.2)⇒QTc505(K3.0)⇒QTc457(K4.7)とK補正に伴い、QTは短縮しました。そこでCAMを開始。高齢女性でやせも進行していたため、600mg/日でスタートしています。もちろん定期的にECGを施行していますが、その後QT延長含め、問題は生じておりません。


その後、日をずらしてRFP、EBを開始。さらに陰影が広範であったため、リスクの説明を行ってSMも開始しました。


しかしSM開始2週間後に腎機能の悪化あり、SMを中止しました。中止後腎機能は次第に改善傾向ありましたが、聴力のこともありSMは再開せずCAM、RFP、EBの3剤で治療を続行しています。その後は聴覚障害の悪化や視覚障害はじめ副作用は見られず、治療を継続されています。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 14:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月08日

症例検討会BRONCHO22−7

ということで、投与前に一通りのリスク因子を確認しておきましょう。


まずはCAMと相互作用を来しそうな(CYP3A4が代謝に寄与している)薬剤との併用を確認。これはなさそうです。



血液検査上肝酵素や腎機能に異常はなく、血球も大丈夫でした。眼や耳については抗菌薬投与前に眼科や耳鼻科による視力、視野、眼底検査や聴力検査などを行います。


耳鼻科にて聴力検査:右81.3dB、左25dB
眼科にて視力、視野、前眼部・眼底に異常なし


それから他の検査としてECGですが、88bpm NSRで、QTc 491 msでした。



Q:治療の際に気をつけることは?


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posted by 長尾大志 at 18:26 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月07日

症例検討会BRONCHO22−6

ということで、症状経過からMACが主たる問題であるとして、本症例のMAC治療を考えましょう。


2012年の日本結核病学会・日本呼吸器学会の見解で示されている標準療法は、以下の通りです。


  • CAM 600-800mg/日(15-20mg/kg)分1または分2(800mg/日なら分2)

  • RFP 10mg/kg(最大600mg)/日 分1

  • EB 15mg/kg(最大750mgまで)/日 分1

  • 必要に応じて、SMまたはKM(各々15mg/kg以下、最大1gを週2〜3回筋肉注射)



両側に広範な空洞陰影があり、できればSMを加えた4剤で治療したいところです。MACの治療はそもそも、多剤かつ長期間(ガイドラインでは「菌陰性化後約1年間投与」との目安)の治療になりますから、副作用には注意が必要です。あらかじめ起こりうる副作用を知っておかなければなりません。


  • CAM:嘔気・嘔吐、胃痛、下痢など消化器系、QT延長、併用注意薬多数など

  • RFP:皮疹、発熱、肝障害

  • EB:視神経障害

  • SM/KM:第[脳神経障害



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posted by 長尾大志 at 18:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月06日

症例検討会BRONCHO22−5

M.intracellulareM.avium、一般細菌のP.aeuginosaが喀痰から検出された。どちらが病態のメインと考えるか、治療をどうするか…。


本症例において、例えば病変の何%がMACによるもので、何%がP.aeuginosaによるものか、それを判定する手段はありません。肺MAC症症例の喀痰からP.aeuginosaが検出される、とか、慢性下気道感染症症例の喀痰からNTM(MAC)が検出される、とか、要するに慢性感染≒気道局所の線毛機能、菌排除能力の低下が起こると慢性に複数の菌が付いてしまう、という報告はこれまでにも多くなされています。
Takahiro Tsuji, et al. Nontuberculous mycobacteria in diffuse panbronchiolitis. Respirology, Vol 20, January 2015, 80–86.


ですが、本症例では画像上、粒状影や空洞病変など、肺MAC症の特徴を有していることから、元々肺MAC症のあったところにP.aeuginosaが共感染した、と考えるのが自然でしょう。DPBやSBSの要素は、画像からは少なそうです。


そこで肺MAC症として治療をどうするか、はたまたP.aeuginosaは放っておいていいのか、というところが問題になります。


肺MAC症でも、空洞病変のあるFC型であれば診断後すぐに治療を始めるべき、とされていますので、本症例ではMACに対する治療を始めるべきでしょう。


P.aeuginosaをどうするかは、現在の疾患活動性として、「一般細菌による急性〜慢性下気道感染症」感がどの程度あるか、ということになるでしょうが、少なくとも症状からは急性感染症(つまり緑膿菌による肺炎など)の可能性は低そうです。仮に慢性感染であっても、MACの治療でCAMを使うのであれば無問題と考えていいでしょう。


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posted by 長尾大志 at 21:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月05日

市立N病院の4年目、H先生による投稿

今日は昨年当科に入局して下さって、現在市立N病院の4年目、H先生からの寄稿です。昨年の呼内部屋はH先生のおかげでずいぶん明るい雰囲気になりました。N病院でも頑張っておられるようで今後が大いに楽しみです。寄稿を以下に引用します。進路に迷っている方の参考になれば幸いです。


(引用ここから)こんにちは、呼吸器内科後期研修医のHと申します。

わたしは、滋賀医大病院で2年間初期研修を受けた後、3年目で呼吸器内科に入局し、4年目から市立N病院で後期研修をしています。

出身はG県ですが、大学入学をきっかけに滋賀県にやって参りました。在学時から漠然と内科医になりたいのかなと感じていました。呼吸器がおもしろそうだなと最初に感じたのは、長尾先生の講義でした。まずは学問として興味深い分野だなと感じたのを覚えています。ポリクリ、アドバンズポリクリで呼吸器内科をまわり、ドレーン挿入や気管支鏡検査など程よく手技がある点、かといって手技が多すぎないため患者さんとの時間も他の処置や検査が多い内科と比較すると持てる点など、体をある程度動かせておしゃべりが好きな自分にはあっているのかなと思うようになりました。

呼吸器内科は急性期から慢性期まで広く携われることもいいなと思ったポイントでした。呼吸器内科は確かに他の科と比べてお看取りの場面が多いとは思います。最期まで寄り添える科としてもやりがいがあるのではないかと思い、入局を決めました。

4年目になり、外病院に初めてでて、4月から自分が主治医として患者さんと向き合う中で日々責任の重さとどうすることが患者さんにとってよいのかを考える日々です。

肺癌だけでなく、喘息や肺炎、COPD、喀血などいろいろな呼吸器疾患の方に出会い日々勉強させていただいています。

市立N病院は呼吸器内科の先生が自分も含めて5人勤務していますが、他の病院では大きな規模の病院でも呼吸器の常勤がいない病院も多く改めて呼吸器に進む仲間が増えてほしいなと実感しています。

外病院では何科という枠でなく、いろいろな疾患を救急外来で出会うことが多いです。自分の専門でない部分でどうしよう…というときに、遅い時間などでもありがたいのが同期です。特に同じ病院の同期や若手の先生方には本当にお世話になっています。

最後になりましたが、滋賀医大呼吸器内科は先生方皆さん優しく楽しい医局です。今回市立N病院で研修させていただけるよう調整してくださった中野先生には感謝しております。

市立N病院呼吸器内科部長のN先生はじめ、各先生方、コメディカルのスタッフの方々も皆さん優しく、毎日元気に働かせて頂いています。N市の冬が心配ですが車も普通車になりましたので頑張って参りたいと思います。医師としてひとまわり大きくなって、滋賀医大に戻れるよう日々精進します。

呼吸器に少しでも興味があるなと言う方はぜひ声をかけてみてください。呼内部屋にお菓子を用意してお待ちしています。
(引用ここまで)

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posted by 長尾大志 at 20:30 | Comment(0) | 先輩研修医・学生さんの感想

2017年11月04日

長野県から呼吸器の勉強のために来滋されている、M先生による寄稿

今日は元々総合診療の盛んな施設で働いておられて、地域に呼吸器内科医がほとんど居ない状況で、呼吸器内科に興味を持たれ、しかし地域では修練の場がない、ということで昨年から滋賀医大に呼吸器科医として専門性を身につけるべく勉強をしに来られている、M先生に寄稿いただきました。以下に引用します。進路に迷っている方の参考になれば幸いです。


(引用ここから)
私は6年目まで市中病院で総合診療科に所属しており、内科全般の診療に携わっていました。当時、私の勤務していた病院では呼吸器科が非常に手薄な状態にあり、呼吸器疾患はすべて総合診療科で担当している時期もありました。専門医がいない中での診療はストレスフルでしたが、一方で興味を引かれるきっかけにもなり、呼吸器内科を志しました。

昨年から滋賀医科大学の呼吸器内科でお世話になっていますが、一日一日が新しい経験の連続です。呼吸器はまだまだエビデンスの十分でない領域が多く、担当医の臨床判断に委ねられるケースもしばしば遭遇します。そんな時、気さくに相談に乗ってくださる上級医の先生方の存在は大変心強いものです。また日々のカンファレンスでも自分では気がつかなかった診療方針のズレなどを適宜修正していただき、日々の業務が成長につながっているのを実感しています。また気管支鏡をはじめとした手技についても若手に積極的に経験させようという風土があり、技術面でも研鑽を積みやすい環境にあります。

私のように他と違った過程をたどってきた、しかも他大学出身の人間でも全く問題なく馴染むことのできる診療科ですので、一緒に働ける方が増えるのを期待しています。
(引用ここまで)

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posted by 長尾大志 at 21:34 | Comment(0) | 先輩研修医・学生さんの感想

2017年11月03日

鳥取県東部医師会肺がん医療機関検診従事者講習会でKGM 48神セブンのお話

そういうわけで、昨日は鳥取県におじゃましまして、鳥取県東部医師会肺がん医療機関検診従事者講習会でお話をさせていただきました。鳥取県東部医師会さんには数年前からお誘いいただいておりましたが、なかなかスケジュールが合わず、ようやくこのたび伺うことができたのです。


IMG_20171102_190010.jpg


今回は、肺癌検診に従事される先生方に向けてのお話、ということで、昨今力を入れている「胸部画像感想戦」で取り上げた「結節影」を取り上げました。


見えにくかった、見逃された結節影を、後から振り返って検討した(感想戦)ときに、「ああ、こういうところに注意すれば、これは見逃さずに済んだかもしれないなあ」というポイントを集めて、影を見つける(KGM)ポイント、としました。ポイントは48個もありませんが、そのうち神セブンというべき、7個の重要ポイントをピックアップして、ポイント+その実践例のお話をさせていただきました。


鳥取は小学校の修学旅行以来で、実に38年ぶり、いろいろとお話を伺うと、やはりご多分に漏れず地域に呼吸器内科が少なく、ご苦労が多いとのこと。肺がん検診もいろいろな点でご苦労されていると聞きました。今回のお話が何かのお役に立てたのであれば、幸いであったと思います。お招きいただいた鳥取県立中央病院の杉本先生、座長の労をお執り頂いた医師会理事の池田先生、お世話になりましてありがとうございました。



せっかくの鳥取、今日は少し足を伸ばして、38年ぶりに砂丘に行ってみました。まあ38年前の記憶なんてほとんどありませんが…。


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梨ソフトと私。


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駅前でも砂イベント。そういえば世の中、連休でしたね…。


往復の車内では次に出る本の校正を頑張りました。年明けあたりに出せれば、という見込みです。また近づいて参りましたら告知しますね。


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posted by 長尾大志 at 20:19 | Comment(0) | 活動報告

2017年11月02日

症例検討会BRONCHO22−4

診断としては、喀痰から2回培養陽性、菌種もハッキリした、ということで、MAC症で問題ないでしょう。M.intracellulareとM.aviumは、時に同居していることもあります。また、一般細菌のP.aeuginosaも同居しているようですね。慢性下気道感染症、というくくりで考えます。


問題はこの場合、どちらが病態のメインと考えるか、治療をどうするか…というところですが、今日はもうお時間がございません。これから鳥取へ向かわなくてはなりませんので、続きは改めて考えたいと思います。鳥取県東部医師会の先生方、よろしくお願い申し上げます。


それと1つ告知がございます。かねてよりチラチラ申しておりました、胸部X線写真を用いたクイズ番組が、CareNetケアネットさんで新番組として始まりました。こちらもよろしければお気軽にチャレンジなさってみて下さい。
ケアネットさんの新番組お試し視聴コーナーへ飛びます。たぶん。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 12:20 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月01日

症例検討会BRONCHO22−3

ね?画像を先に出してしまうと面白くないでしょう?すぐわかっちゃいますから。


特にCTを見ると、かなり特徴的な陰影が目に入ります。空洞を伴う結節影(矢印)に、粒状影(斜線部)、トラムライン(三角頭)もあります。


スライド98.JPG


これらから、抗酸菌をはじめとする慢性感染症が鑑別の筆頭に挙げられます。そうすると、絶対に必要なのは喀痰検査ですね。


ちなみに本症例では血液検査にて


T-SPOT   陰性
抗MAC抗体 陽性 (17.6)
アスペルギルス抗原 陰性
β-Dグルカン 3.0


でしたが、だからといって肺MAC症である、と短絡的に診断はできません。日本結核病学会・日本呼吸器学会による確定診断の基準(2008年)では、菌の検出が必須です。



<喀痰検査>
【抗酸菌】
1日目の喀痰から抗酸菌塗抹陽性、M.intracellulareのPCRが陽性、M.intracellulareが培養陽性
2日目の喀痰で抗酸菌塗抹陽性、M.intracellulare、M.aviumが培養陽性


【一般細菌】
P.aeuginosa 3+



Q:診断は?治療は?その際に気をつけることは?


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posted by 長尾大志 at 18:04 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月31日

症例検討会BRONCHO22−2

胸部X線写真で異常、といわれてんねんから早く見せろや!(なぜか関西弁)との声もなく?まずは病歴などから鑑別診断を考えてみましょう。


咳が出だしたのは3年前、そして半年前から咳が強くなって食思不振にもなり、半年で11kgもの体重減少があったといいます。かな〜り慢性の経過の、でも咳があり、cracklesも少し聴こえる肺の病変、ということになります。


基礎には糖尿病があり、喫煙歴は(少なくとも直接は)ない。それでも慢性経過の体重減少、というところだけをみると、肺癌の存在はあるかもしれません。


でも、肺癌でcracklesというのも…?胸水や無気肺があるんだったら、得られる所見は片側性の呼吸音減弱じゃないですかね?


とすると、fineとcoarseの違いはあれど、肺線維症とかそっち系か。はたまた、感染症であれば膿瘍とか抗酸菌とか、ゆっくり経過するものを考える必要があります。


というところで検査所見を。


<入院時検査所見>
HT (% ) 33.1 L
HB (g/dl ) 10.7 L
RBC (1000000 ) 4.18
WBC (1000 ) 7.4
PLTS (1000 ) 319

SEG/NEUT (% ) 70.2
EOSIN (% ) 1.1
BASO (% ) 0.7
LYMPH (% ) 19.1
MONO (% ) 8.9
MCV (μ3 ) 79 L
MCH (pg ) 25.6 L
MCHC (% ) 32.3

TP (g/dl ) 7.1
ALB (g/dl ) 3.0 L
AST (U/l ) 15
ALT (U/l ) 8
LDH (U/l ) 204
ALP (U/l ) 424 H
G-GTP (U/l ) 11
CHE (U/l ) 198 L
T-BIL (mg/dl ) 0.42

NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 95 L
K (mmol/l) 3.2 L
CA (mg/dl ) 8.7
P (mg/dl ) 3.3

UN (mg/dl ) 11.8
CRE (mg/dl ) 0.62
eGFR ( ) 69.5
UA (mg/dl ) 4.5

CRP (mg/dl ) 1.04 H


GLU (mg/dl ) 293 H
A1C(NGSP (% ) 8.4 H
IRI (μU/ml ) 7.5
CPR (ng/ml ) 2.26



<胸部Xp>


スライド95.JPG


<CT>


スライド96.JPG


スライド97.JPG



Q:検査所見の解釈は?鑑別診断は?次に行うべきことは?


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posted by 長尾大志 at 17:35 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月30日

症例検討会BRONCHO22−1

症例 70歳代女性


<主訴>
慢性咳嗽


<現病歴>
高血圧・糖尿病で近医に通院中。3年ほど前より咳嗽が出現し、半年前より咳嗽が悪化。咳嗽に伴い食思不振もあり、半年で11kgの体重減少を認めていたが、発熱はなく鎮咳薬で経過観察されていた。胸部X線で異常陰影を認めたため、当院紹介となる。


<内服薬>
レニベース錠5r
ジャヌビア錠50mg
ベイスンOD錠0.2r 2T
メチコバール錠500μg 3T
マイスリー錠10r 0.5T
ツムラ29麦門冬湯エキス顆粒3g 3包


<既往歴>
右難聴
左白内障手術(数年前)
高血圧
糖尿病(罹患期間:10年以上。前医によると、病識が低く、内服中断していた時期もあったとのこと)


<生活歴>
飲酒歴:なし
喫煙歴:なし  
職業:48歳-55歳まで経理事務 粉塵暴露なし
   結核曝露歴:なし
   家族構成:独居
   住居:鉄筋 築30年
   家庭菜園で土いじり
   

<家族歴>
母:糖尿病


<アレルギー>
食品:なし 
薬品:インフルエンザ予防接種で蕁麻疹と熱



<入院時身体所見>
BT: 35.6 ℃
BP:171/88mmHg  HR:80/min
BW:40.6kg   
BMI:18.69  
SpO2 97 RA

眼瞼結膜:やや蒼白   眼球結膜:黄染なし
頚部リンパ節腫脹:なし
心音:整
呼吸音:両側にcoarse crackles少し聴取
腹部:平坦 軟 腸雑音良好
下腿浮腫:なし
足背動脈:触知良好
下肢しびれ:なし



Q:現段階での鑑別診断は?


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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月29日

亀井道場で胸部画像づくしの2日間、でもそれだけではありません!

というわけで、昨日と今日、亀井道場でお話をさせていただきました。


IMG_20171029_101331.jpg


学生さんや研修医の皆さん、勉強熱心ではあるけれども、最初の時点では必ずしも胸部X線写真が読めるわけではない、というラインから、

@ まず基本事項をざっとおさらい(1.5時間)
A そして陰を見つける(KGM)神セブンの伝授、例題を皆で考えながら(1.5時間)
B そして翌日、症例をみながら演習(時々例題も挟みながら)4時間

演習は疾患の説明もどんどん挟みながらやりましたのでかなり尺が伸びてしまいましたが、画像に絞ってやればたぶん3時間ほどでいけるはず。


これで皆さん、かなり陰影が「読める」ようになってこられましたね!最後にはかなりの難症例も、複数の人が答えてくれたり、結構手応えがありました。自分でも、かなりやり方が洗練されてきた感があります。短期集中トレーニング、とかいう教材になるかもしれません(笑)。


それと今回はちょっと尺が足りませんでしたが、「悪い大人にダマされないようにするための論文講座?」も、プレゼンしてくれた学生さん達の頑張りのおかげで、なかなか面白く進めることができました。準備が大変だったと思いますが、悪い大人にダマされないためのメッセージ、皆さんに受け取っていただけたならうれしいです。


亀井先生には毎回おいしいお料理をごちそうになり、いつも本当にありがとうございます!今後ともよろしくお願い申し上げます。また幹事の大野君はじめ積極的に参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。皆さんの今後一層の飛躍を祈っています!


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posted by 長尾大志 at 21:56 | Comment(0) | 活動報告

2017年10月28日

亀井道場1日目

本日は亀井道場1日目でした。盛りだくさんで楽しい時間を過ごしていたら、気付いたら今でした。詳しくはまた明日ご報告します。

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posted by 長尾大志 at 23:53 | Comment(0) | 日記

2017年10月27日

症例検討会BRONCHO21−11

抗菌薬の反応は良好で、静脈血標本で見られるのはグラム陽性の連鎖した球菌。培養でグラム陽性連鎖状球菌(Streptococcus milleri group)と確認されたので、抗菌薬はde-escalationできると考えてMEPMをSBT/AMPC に変更しました。

その後も経過順調であり、採血上炎症反応は陰性化し、胸部X線写真上も陰影の改善が見られました。


スライド94.JPG


2型糖尿病については、入院後、セイブル・ベンクラート・ランタスは中止し、ノボリンRをスケール打ちとしました。炎症の収束に伴い、血糖コントロールは良好となり、最終的にノボリンR(8-8-8)、ランタス眠前8単位として退院となっています。退院後は近医で経過観察されていますが、再燃もなく良好な経過です。


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posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月26日

症例検討会BRONCHO21−10

悪臭を伴う、見た目にも膿性の胸水であれば、すぐに胸腔ドレナージをする方がいいでしょう。もちろんすぐに胸水のpHや糖が測定出来る施設であれば、サッと測定して、すぐにドレナージ、ということも可能です。pHや糖以外にも画像検査で多房化していたり、量が多かったり(片側の50%を超えている)、治療反応がよくない、という場合にはドレナージが勧められます。


残念ながら本症例は休日に救急で受診となった方で、pHや糖などの測定ができませんでしたが、画像上胸水量が多く、多房性でした(図参照)。


スライド92.JPG


それに胸水の悪臭と見た目から膿胸と判断し、左側胸部から胸腔ドレーンを挿入し、悪臭を伴う膿性胸水2000mL超を排液しました。生食500mlで胸腔内洗浄を行い、-10cmH2Oで持続吸引開始しました。


そして抗菌薬投与ですが、酸素状態、意識状態が悪い、ということで当初は広域のMEPM 3g/dayを開始しています。翌日には解熱し、休み明けには胸水も透明となっていました。そして入院3日目、初日に採った静脈血から以下の所見を得ました。


スライド93.JPG



Q:この経過・結果からどうしますか?


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posted by 長尾大志 at 17:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月25日

症例検討会BRONCHO21−9

1ヶ月程度の倦怠感、咳と呼吸困難、左胸痛の存在から、左胸郭内に何かできてきて、それが緩徐に進行している、という経過が考えられます。


診察上も、低酸素あり、やはり左になにやらあって、呼吸が障害されているようです。発熱、起立困難もあります。胸水か?腫瘍か?検査を急ぎましょう。



<入院時検査所見>
<来院時血液検査>
HT (% ) 33.9 L
HB (g/dl ) 11.3 L
RBC (1000000 ) 3.64 L
WBC (1000 ) 20.7 H
PLTS (1000 ) 413 H
MCV (μ3 ) 93
MCH (pg ) 31.0
MCHC (% ) 33.3
FIBG (mg/dl ) 492 H
PT-C (秒 ) 11.5
PT-P (秒 ) 15.4 H
APTTC (秒 ) 29.0
APTTP (秒 ) 30.2
PT-ACT (% ) 57
Dダイマ- (μg/ml ) 2.1 H
PT-INR ( ) 1.37 H
TP (g/dl ) 6.0 L
ALB (g/dl ) 2.0 L
AST (U/l ) 37 H
ALT (U/l ) 33 H
LDH (U/l ) 167
ALP (U/l ) 287
G-GTP (U/l ) 39
T-BIL (mg/dl ) 1.53 H
NA (mmol/l) 126 L
CL (mmol/l) 80 L
K (mmol/l) 2.9 L
UN (mg/dl ) 9.7
CRE (mg/dl ) 0.58 L
eGFR ( ) 109.9
AMY (U/l ) 18 L
CPK (U/l ) 12 L
CRP (mg/dl ) 18.08 HH
トロポニンI (ng/ml) 0.03
MYO (ng/ml) 31.7
CK−MBe (ng/ml) 0.50 ↓


<尿検査>
潜血2+、ケトン+


<胸部Xp>


スライド90.JPG


<胸部CT>


スライド91.JPG


胸部エコーで胸水を確認し、胸腔穿刺を行いました。胸水は悪臭を伴う膿性胸水でした。



Q:次に行うべきコトは?


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posted by 長尾大志 at 15:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

第7回音羽呼吸器連携会

昨日は、第7回音羽呼吸器連携会という会でお話をさせて頂きました。読んで名のごとく、音羽病院さんと周辺の開業医の先生方が顔を合わせて連携しよう、という感じの会でした。ということでこちらではあまり告知もしておりませんでしたが、多くの先生方にお越し頂き、会場はほぼいっぱいでありました。


まず音羽病院院長の二宮先生のお話から始まったのですが、ご自身のケガをちゃんと自己診断されたお話が流石のエピソード+きちんとオチも付けて終わられて、さらに流石でした。


それから音羽病院の坂口先生による肺癌のお話。


IMG_20171024_195148.jpg


で私の「咳でお困りではありませんか?」。以前から同じような話をしておりますが、今回は音羽病院の二宮先生始め、長坂先生や土谷先生も参加されていましたので、専門医の先生にも退屈でない?内容をちょいちょい挟みながらの1時間でした。長坂先生はいつも誉めて下さるんですが、ご満足頂けたのでしょうか?


長坂先生と土谷先生とは終了後にミーティング?させて頂き、2月に開催予定の、多職種連携チーム医療勉強会の企画会議をしておりました。土谷先生の企画力が冴え渡り、面白いことができそうです。こちらも近々告知しますが、とりあえずご興味のある方は来年2月3日をあけておいて頂ければ。


二宮先生、長坂先生、土谷先生、坂口先生、それに榎堀先生、お世話になり、ありがとうございました!今後ともよろしくお願い申し上げます。



そして今週末は名古屋で亀井道場です。亀井先生始め、参加される学生さん、よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 13:18 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月24日

症例検討会BRONCHO21−8

症例 50歳代男性


<主訴>
呼吸不全、全身倦怠感

<現病歴>
数年前から咳が出現、1ヶ月前から全身倦怠感があり、1週間前からは左側胸部痛が出現していた。今朝から呼吸困難が出現していたが、一人で外出し、帰宅後玄関で倒れているのを父親に発見された。意識はもうろうとし、起立困難であったために救急搬送され、入院となった。


<既往歴>
糖尿病
脂肪肝
アルコール性肝障害
高血圧


<家族歴>
父:大腸癌、高血圧
母:脳梗塞、高血圧、糖尿病
妹:子宮筋腫、乳癌


<生活歴>
smoke:heavy smoker 20本/day
alcohol:大酒家 酎ハイ1本/day?


<内服薬>
アムロジピン5mg 1T分1朝後
ミグリトール50mg 3T分3
グリベンクラミド2.5mg 3T分3
ランタスソロスターキット 1日1回 朝23単位


<アレルギー>
なし


<入院時身体所見>
BP 120/70、HR 114、BT 38.6℃
SpO2 搬送時88%(room air)、来院時99%(マスク O2 4L)
眼瞼結膜:貧血なし
眼球結膜:黄染なし
頸部血管雑音なし
呼吸音:左呼吸音聴取せず 打診上左濁音
心音:整、雑音なし
腹部:平坦・軟、圧痛・自発痛なし、腸蠕動亢進、血管雑音なし
Murphy徴候なし
四肢のしびれなし



Q:考えられる新患、鑑別診断は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO