2016年12月08日

『肺血管や骨を追う』3・血管影が途切れたら疑うもの

左肺、この辺で血管影が途切れているのは見えるでしょうか。


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よくよく見ると、(血管の存在するエリアと存在しないエリアの境界)線が見えてきます。線の内側は肺が縮んだもので、これは気胸です。


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嚢胞と気胸、どちらも空気のたまったスペースと肺との間に境界線が見えますが、その違いは、どっち向きの袋か、によります。袋というものは、中に空気が入っていると、外に向かってふくらみますから外向きに凸になります。


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嚢胞と気胸って、各々こんな風に見えるのですが…


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嚢胞っていうのは、肺内に出来た「袋」。ですから、肺側に向かって袋が凸になります。それに対して、気胸は袋としての肺が胸腔に向かって凸になりますから、嚢胞とは凸になる方向が異なってくるのです。


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posted by 長尾大志 at 17:30 | Comment(0) | 胸部X線道場

2016年12月07日

『肺血管や骨を追う』3・血管影が途切れたら

この血管影ですが、不自然に途切れることがあります。COPDの場合は先細り、というか、いつの間にか無くなっている感じなのですが、そうではなくてあるところで急になくなる。例えばこちら。


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パッと見でも両側下肺野の血管影がなくなって、黒っぽく見えます。しかも気腫と違うのは、ここら辺に肺との境界らしき線がある。


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ということで、これは肺内に出来た袋、嚢胞です。こちらは多発症例で、CTで見るとこんな感じ。


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気腫と嚢胞、違いはなんでしょうか。


気腫は、主に喫煙が原因で、肺胞壁が(いつの間にやら)溶けて?無くなってしまってできた、がらんどうの空間です。


正常肺は、無数(3億個程度)の肺胞が集まって出来ていますが…


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その肺胞がいつの間にか無くなって空気だけになってしまった、それが気腫です。


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例えばそうやって出来た気腫の縁が膠原線維などで裏打ちされ、空気のたまったスペースと肺胞の間に壁(袋)ができあがると、その袋は嚢胞と呼ばれます。嚢胞は気腫から出来るもの以外に、生まれつき存在しているもの、胸膜の一部が牽引されて出来るもの、線維化に伴って出来るものなどがあります。


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その壁が、胸部X線やCTで境界線として見えていたのですね。


それではこちらはどうでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 17:15 | Comment(0) | 胸部X線道場

2016年12月06日

『肺血管や骨を追う』2・血管影を追う

慣れていれば、ぱっと見で「肺が大きい」ことに気付くでしょう。


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横隔膜低位で肋横角も鈍、心陰影も小さめで、典型的な過膨張所見です。では所見はそれだけでしょうか…?過膨張だったら、肺野で気付くことは何があるでしょうか、ってことです。


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正常肺と比較してみましょう。過膨張、ってことはCOPD(気腫病変)があると考えられますから、そのエリアには肺が少ないはずですね…。


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両側下肺野の血管影が少ないように見えます。そのためにそのエリアが黒っぽく見えますね。


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正常像の血管影は、こんな感じになります。


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肺内の血管には血液(水の密度)が通っていますから、ほぼ空気である肺内を、肺門を中心に放射状に枝分かれして少しずつ細くなりながら拡がっていく様子が見えます。


立位正面であれば、下の肺野に行く血管の方が重力によって多く血液が流れますから、太めに見えます。上の肺野に行く血管の1.5倍〜2倍の太さになるといわれています。まあ、こんなイメージでしょうか。


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それを意識して、肺野を見ていきましょう。基本、同じ高さの血管は同じような太さだと考えて頂いて結構ですから、左右に差、違和感がないか、比較しながら追っていきます。


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COPD(気腫)があると、その部分の肺胞+血管が減り、そのエリアに行く血流自体も減りますので、中枢の血管の径も細〜くなってきます。CTで正常例と比較してみましょう。まずは正常例。


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こちらが上に挙げたCOPD症例のCTです。血管の太さが正常例と全然違いますね。


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気腫(真っ黒)の部分が多く、その間の血管もか細いですね。


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これが単純X線写真だと、上の写真のように血管影が少なく見えるのです。

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posted by 長尾大志 at 19:01 | Comment(0) | 胸部X線道場

2016年12月05日

「研修医の胸部画像診断(仮)」原稿『肺血管や骨を追う』執筆開始

さて大きなイベントも終わり、地方会の予習も出来た?ところで、懸案であった原稿執筆に取り組むとしましょう。


ともかく最近は目の前に取りかかっていない仕事がある、という状態がすごくストレスになっておりまして、目の前に何かやるべき仕事が来たら全力でそれに取りかかり、それを終わらせる、というやり方でやっております。


ですが、少し大きな、時間のかかりそうなお仕事を頂くと、それがとてつもないストレスになってしまい、一刻も早く終わらせたいのです。といいつつ、お話を頂いてから結構長期間目の前にあり、ストレスの原因となっていたこの原稿に取りかかれるのがありがたく、うれしいことなのです。



さて原稿ですが、今回は研修医の先生方が対象となるようで、執筆者の先生方は(私を除いて)有名な方々ばかり。それも研修医教育に熱心な先生方で、コンセプトはよくわかりました。


研修医の先生方が読影に困る画像所見を取り上げ、「なぜ困るのか」「困らずに(見落としなく)読影するための方法・考え方はどういうものか」を学べるようにする、すぐに役立つ一冊を目指す、ということです。


頂いたテーマは、『肺血管や骨を追う』。ちょっと組み立てというか構成が難しいんですが、こちらで書いていきたいと思います。原稿というか文章は、少し凝ったものに統一される予定、ということで、まずは、こちらで症例をピックアップし、たたき台となる原稿を作ってみましょう、ということになります。



症例は60歳代男性、


<主訴>
咳嗽、労作時呼吸困難

<現病歴>
3年前より他院通院中。肺炎に他院入院となり、低酸素血症を指摘された。

<既往歴>
25歳:虫垂炎
57歳:右耳ヘルペス,その後右難聴

<服薬歴>
ユニフィルLA錠200r 1 錠 1日1回:眠前 6 日分 (β刺激薬)
オンブレス吸入用カプセル150μg 1 Cap噴霧薬:1日1回(β2刺激薬)
スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入 1 キット 吸入薬:1日1回 1回2 吸入(長時間作用型抗コリン薬)
フルタイド200ディスカス 60ブリスター 1 個 吸入薬:1日2回 1回1 吸入(副腎皮質ステロイド薬吸入薬)

<家族歴>
母:脳卒中

<生活歴>
長女、長女の夫、孫の4人暮らし

<喫煙歴>
20歳〜60歳まで20本/日 former smoker

<飲酒癧>
焼酎1日1合

<職業>
トラック運転手(19-64歳)

<粉塵・アスベスト暴露癧>
なし

<アレルギー>
なし


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この画像を見た感想はどうでしょう。典型的な画像ですので、もう慣れている方でしたら一発かもしれません。

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posted by 長尾大志 at 18:00 | Comment(0) | 胸部X線道場

2016年12月04日

闘魂祭 in 滋賀医大

今日は、『闘魂祭 in 滋賀医大』ということで、丸1日勉強して参りました。


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ど、ど〜ん、とクラブハリエのバウムクーヘン1本買い!


まずは、闘魂祭の生みの親、地域医療機能推進機構本部(JCHO) 顧問 徳田安春先生によるグループワーク。


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その後、バウムクーヘンを囲んで記念撮影し…


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徳田先生による入刀!ののち…


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おいしく頂きました!


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お昼からは、草津総合病院 総合内科部長 島田利彦先生による、鑑別診断20+α連発!


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頭をフル回転!


続いて、星ヶ丘医療センター 呼吸器内科部長 中村孝人先生には、診断の過程と呼吸器症状の症例、それに終末期ケアも含めた盛りだくさんのお話を頂き…。


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最後には済生会滋賀県立病院 総合内科部長 松下達彦先生に、「医学生の間には考えたこともないだろうけど、働き出したときには絶対に考えないといけないこと」を考えるグループワークをして頂きました。


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内容もそうですし、GWのやり方であったり、たくさんの学びがあった1日でした。


他にも国立病院機構大阪医療センターの松本謙太郎先生、湘南藤沢徳州会病院の瀬戸雅美先生にもご参加頂き、GWも盛り上がりを見せました。


ご参加、ご協力頂いた先生方、主催のYさんはじめ学生さん、福井から来てくれたS先生、本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 21:47 | Comment(0) | 活動報告

2016年12月03日

アクティブ・ラーニング体験記と授業評価

最近ありがたいことにいろいろな活動をさせていただいておりますが、この11月は学生さんの講義8コマ(医学科)+2コマ(看護学科)に試験作成、6回生の国試対策と学内の用事に加え、外の講演も滋賀×2、京都、大阪、徳島、秋田と各地でやらせて頂きました。


自分のスケジュール管理がずさんであった点が有り、月曜日にあやうく看護学科の授業をすっぽかすところでした… _| ̄|○ 11月も終わったー!っと気が緩んだのでしょう…。また締め直します。


いろいろありましたのでいろいろな告知ができているのかいないのか、どんどん時が過ぎていきますが…先日、『医学教育』という雑誌に拙文を掲載頂きました。論文ではなく掲示板への投稿ではありますが、査読のある雑誌に共著でなく自分が書いたものが載るのはずいぶん久しぶりです。


はじめてのアクティブ・ラーニング体験記.
医学教育 47(5): 314-315, 2016.


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この寄稿は、昨年の3回生系統講義でアクティブ・ラーニングを導入した体験記です。それから1年、先日終わった3回生系統講義では、昨年頂いた学生さんの「授業評価」の結果を元にまたいろいろと修正を行いました。


で、その授業に対する今年分の「授業評価」が先週送られてきました。この評価を見たらそれに対する「自己評価」を書いて提出しなくてはなりません。正直、これまであまり真面目に書いてきませんでしたが、昨年に引き続き、自由筆記による評価にたくさんうれしい意見を頂いております。その意見に応える意味でも、また、来し方行く末を考える意味でも今年はひとつ真面目に考えてみよう、と下書きを書くことにしました。


「授業評価」に対する「自己評価」。学生さんの授業評価を受けて、教員が授業について気付いたこと、反論、改善策、その他意見を書き、それを『授業評価実施報告書』に(匿名で)掲載するのですが、こういうことってどこの大学でもやっていることなのでしょうか。何が言いたいかというと、結局、これだけのことをやっても、大学はそれをただ「報告書」にまとめて発行するだけなんですね。それでそのあと授業を良くしていく手立てがない。仏作って魂入れずというんでしょうか、ただやることやってます、ってだけで。まあ教員がそのフィードバックを受けて、自分で考えてやれってことなのかもしれませんが…。なんかもったいないナーと思います。まあともかく、下書きをご紹介してみましょう。


Q:この授業であなたが特に力を入れた点、工夫した点は何ですか。

A:滋賀医科大学に来て10年あまり、毎年授業内容を見直し、内容の取捨選択や表現の改善を続けてきました。スマホや睡眠、私語など、学生の態度が悪い、学生が休むのはけしからん、とこちらがいうのは簡単ですが、抜群に面白くてためになる授業をすれば、スマホや横を見ずに前を向くだろうし、授業に出てくるようになるのではないか、と考え、少しずつ改善、工夫を重ねてきました。

あるとき果たして学生は授業にどのようなことを求めているのか、と疑問に思い、学生全員にアンケートを取りました。すると、教員に求めていること、として挙げられていたのが、「取っつきにくい医学知識、理論をわかりやすく教えてほしい」「知識の羅列に終始する授業は不要」「医師としての心構え、ロールモデルを見せてほしい」ということでした。そこで、単に枝葉末節の知識をスライドで見せて口から発する、という時間は減らし、「授業の中で学生に理解させる」ために授業を組み立てるようにしました。

具体的には難しい呼吸生理の解説や、COPDや細菌性肺炎、間質性肺炎など複雑な病態の機序を解説することに時間を割くようにしました。また、一方通行の講義形式に限界を感じていたところに、近年普及しているアクティブ・ラーニングを勉強する機会を得ました(東大のweb講座)。昨年早速導入したところ、授業評価では、60名以上の学生が自由筆記でポジティブな評価を記入しており、授業評価実施報告書13号の「良かった点」の半数近くを占めるという、おそらく抜群の高評価を得ました。

アクティブ・ラーニングの効果を実感したことと、自分のやっている方向性は、全員ではないにしろ少なからずの学生には受け容れられているという確信を得て、今年はさらにアクティブ・ラーニングの配分を見直し、慣れていない当初はクリッカーで参加し、後にグループワークでより多くの学生に発言、思考、参加をさせる組み立てとしました。また、単なる知識の伝達のみならず、医師としての心構えを伝える、という意図をもって、数年前から最後の授業では、ある末期癌患者に関するエピソードを挿入しています。


Q:今回の授業評価から、この授業について気づいた点は何ですか。

A:昨年よりも自由記述数は減ったものの、それでも回答者67名中42名が自由記述欄に記入していました。昨年の感想は主にアクティブ・ラーニングに関するポジティブな意見が中心でしたが、今年はより授業のねらい、当方の意図をくみ取った感想が多く、「分かりやすかった」「これまで受けた授業の中で一番よかった」「内容、量が適切であった」等の意見は、まさに意図したところが好意的に受け取られているようです。

また、「学生の自主性とモチベーションを引き出す授業」「学生に対する深い信頼に感謝する」という意見があり、授業の裏テーマである「興味を持たせて自分で勉強させる」が伝わったように感じられました。もちろん睡眠中の学生、解答を記入していない学生も一定数見受けられ、全員がこのやり方でよい、ということではないのかもしれません。1対100の講義形式の限界なのか、まだまだ改善の余地があるのか、さらなる検討課題です。

それから最後の授業における末期癌患者のエピソードについては、授業の最後であり、時間が無かったためか、それに触れた意見は決して多くないのですが、「心に残った」「考えさせられた」などの言葉で、肯定的に受け止めている様子がわかりました。正直この話をするのは自分としては「しんどい」ことですが、肯定的な意見も見られるのでこれからも何らかの形で続けていきたいと思います。


Q:反論があれば記入してください。

A:改善点としてあげられていた意見の多くに「すべて長尾先生の講義でもいい」「長尾先生の講義をもっと多くしてほしい」というものがあるのですが、正直、時間的にも肉体的にも限界に近いと感じています。むしろ私が来年もここにいるような事態があれば、また1歳年をとるため、もっと講義を減らしたいというのが正直なところです。

「レジュメに記載されていない画像があったが、それも載せてほしい」という意見がありましたが、これは著作権、肖像権などなど、大人の事情が絡んでいることを理解してほしいところです。

「私語をしている人をつまみだしてほしい」という意見には、私語をするだけ授業の魅力が無いということであり、さらなる課題とします。

「もっと長尾先生の本を安くしてほしい」これは出版社の価格設定であり、私にはどうすることも出来ないのですが、直接来てくれれば何とかしたいと思います。


Q:改善策があれば記入してください。

A:「もっとグループワーク、対話の時間がほしかった」という意見をはじめ、まだ時間配分はパーフェクトではないと考えます。特に授業の前半は、ある程度説明してから参加型に切り替わるので、その説明の間に意識消失となる学生が見受けられました。もう少し前半にも参加出来るコーナーを作るべきでしょう。理想は授業前に動画を見てきて、授業はグループワーク中心で行う、というものですが、もはや根本的にカリキュラムなりを作り替える時期に来ているのではないでしょうか。


Q:その他、意見があれば記入してください。

A:上にも書きましたが、もはや世の中の趨勢からしても、本学のように一方通行型の授業ばかりをこれだけ続けるのはあまりほめられたものではないと思います。現行のフォーマット内では、練りに練って改善を繰り返しても、この程度にしかならない(睡眠者をゼロに出来ない)と感じ、毎回授業終わりには、徒労感に見舞われました。

他の先生方は一体どう感じておられるのでしょうか?教員の間で話し合いを持てないものか?と、一度A先生のお声がけで「教育を勉強する会」が開催されたのですが、集まったのはほんの数名。これが本学の現状かもしれません。教員が教育にモチベーションを持つことが出来る仕組み作りが必要だと思います。また、「授業評価実施報告書」はアンケートの項目1つ取ってみても、授業の本質を問うものが少なく、点数が授業の質を表しているとは考えにくいのですが、この報告書の意義を見直す必要もあるかもしれません。

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posted by 長尾大志 at 14:31 | Comment(0) | 教育理念・メッセージ

2016年12月02日

第88回日本呼吸器学会近畿地方会にて座長2

● Schizophyllum communeによるアレルギー性気管支肺真菌症と考えられた一例
● Schizophyllum communeによるアレルギー性気管支肺真菌症を発症した一例

同じです。イヤ違うのですが、タイトルを見ても違いが分かりませんね。どちらもSchizophyllum commune(スエヒロタケ)によるABPMです。


どちらも、胸部CTで粘液栓を認め、気管支鏡検査で得られた検体から、組織の好酸球浸潤が確認され、粘液栓からSchizophyllum communeが発育し、抗Schizophyllum commune抗体を千葉大学で調べて頂いたところ陽性であった、というところは共通しています。というか、やっぱりほぼ同じですね…。


で、特筆すべきは、どちらも割とスンナリ良くなっていること。粘液栓を除去しただけで、ICS/LABA吸入で改善している模様です。昨日のABPA症例でもスンナリ良くなっていましたが、どうもABPA、ABPMにはいくつかのsubgroupがあるように思われます。


ABPAではGreenberger-Pattersonらのグループや他のグループも、subgroupの存在を提唱していますが、まあまだしもABPAは症例の蓄積も進んでいるし、診断基準らしきものもある。困るのはアスペルギルス以外の真菌によるABPMです。今回は二例とも、おそらく「Schizophyllum communeに感作した喘息」寄りの病態であって、組織に浸潤して排除に抗真菌薬を要する病態ではないのかもしれません。中枢の気管支拡張の有無、というところがカギになるかもしれませんが…。


あと、そもそもABPMの診断基準というものは、確立されてはいないようで、ABPAの診断基準を応用して適用されていることが多いようですが、果たしてそれで妥当なのかどうか、常套文句ですが、「今後いっそうの症例を集積しまして、検討の課題とします」てなことが望まれるのではないでしょうか。

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posted by 長尾大志 at 15:08 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2016年12月01日

第88回日本呼吸器学会近畿地方会にて座長1

すっかり間質性肺炎のお話も長くなってしまいました。もうお腹いっぱいですね!まだもう少し残っていたりもしますが、一旦キリのいいところで話題を変えたいと思います。


そういえば、来週末には第88回日本呼吸器学会近畿地方会がありますね。今回も座長を仰せつかっておりますが、当初は「稀少肺疾患・その他4」という、まあ本当にアレなところだったところ、どうにも時間の都合がつかず、ウチの山口先生と交替して頂いたおかげで、「アレルギー性肺疾患1」という、ステキなところをさせて頂くこととなった次第です。



で、今回の「アレルギー性肺疾患1」なんですが、アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM)祭りとでも言うべき、ABPMまみれのセッションとなりました。ちなみに「アレルギー性肺疾患2」は好酸球祭りの模様。


  • 重症喘息として加療されていたアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の1例

  • 環境調整などが有効であった肺アスペルギルス症の1例

  • Schizophyllum communeによるアレルギー性気管支肺真菌症と考えられた一例

  • Schizophyllum communeによるアレルギー性気管支肺真菌症を発症した一例



…祭りですね。もう質疑応答も「総合討論」形式にしたいぐらい。


ABPAやABPMを論じるときに、いつも問題になるのはその診断、というかそもそもの病態だと思うのですが、いろいろ調べれば調べるほど、わかったようなわからんような気分になるのがこの疾患です。


倉原優先生の『「寄り道」呼吸器診療』にABPAの診断基準(Greenberger-Pattersonの診断基準)の変遷と病態に関する考察がなされていますので、ご興味があれば一読頂きたいのですが、この病態は、そもそもアスペルギルスを抗原とする過敏反応、Th2免疫応答がだんだん増加してくることで、やがて気道の破壊〜気管支拡張が起こってくるのでは、という考え方のようです。


UpToDateには、International Society for Human and Animal Mycology (ISHAM) のABPAワーキンググループによる診断基準が載っていて、Greenberger-Pattersonの診断基準とも異なるのですが、考え方は似ています。大事なのはAspergillusに感作されていることを証明する、というところになります…。


ということで、検討をして参りましょう。


● 重症喘息として加療されていたアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の1例

25年前に喘息と診断、5年前から当院通院開始。ICS/LABA吸入、LTRA内服にて治療を受けていたが、2年前より喘息発作の頻度が増してきた。ICS/LABA増量、LAMA追加を行ったが改善無く、胸部X線写真を撮影したところ異常影を認め、胸部CTを撮影してABPAが疑われた。PSL 0.5mg/kg/日で改善した。



*喘息の患者さんって、あまり胸部X線写真に異常がないもんですから、撮らないことも多いのかも、と考えさせられた一例でした。胸部X線写真を撮っておられた間隔がいかほどであったのかは気になるところです。



● 環境調整などが有効であった肺アスペルギルス症の1例

咳と呼吸困難、発熱のある患者。好酸球増多とIgE高値、CTでmuciod impactionあり、喀痰からアスペルギルス検出、アスペルギルスに対する特異的IgEと沈降抗体が陽性、からABPAに近い病態と考えられた。


治療はFP/FM吸入とITCZ投与で症状は軽快した。自宅の掃除とエアコンの新調を行い、有効であった。



*喘息症状がなかったということと皮膚テスト即時型反応がない点から、診断確定には至らないようですが、全身ステロイドを使わずに軽快した、という経過のようです。definiteでないから吸入ステロイドが不要なのか?元々自宅やエアコンにはアスペルギルスが棲んでいたのか?疑問は尽きませんね。

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posted by 長尾大志 at 18:23 | Comment(4) | 学会・研究会見聞録

2016年11月30日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症39・間質性肺炎の治療23・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン5

それでは、先のInconsistent UIPパターンのうち、残りの


  • 嚢胞が散在(多発、両側、蜂巣肺から離れた場所に存在)

  • びまん性のモザイクパターン/エア・トラッピング(両側、3葉以上に存在)



は、どんな疾患を想定しているのか。


嚢胞はCOPDなど嚢胞性疾患で、モザイクパターン/エア・トラッピングは閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans:BO)です。閉塞性細気管支炎(BO)は専門でない先生方にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、細気管支レベルで気管支粘膜下やその周囲組織が線維化を起こすことで、気道の狭窄・閉塞を起こす疾患です。


RAに合併したり、ウイルスなどの感染症であったり、移植後のGVHDとして発症する例が知られていますが、それ以外の背景ではあまり見かけません。ですから呼吸器専門医とそういう背景疾患をご覧になる先生方にしか馴染みがないのです。


BOは細気管支の疾患で、画像所見としては細気管支そのものの病変はCTでも描出されず、吸った空気が出にくくなることを反映して過膨張とかエア・トラッピングが見られますが、それ以外の濃度が上昇する系の陰影はあまり見られません。進行してくると細気管支よりもう少し太い気道壁の肥厚や気管支拡張などが見えてきますが、それでもすりガラス影とか蜂巣肺など、「間質性」の陰影には縁がありません。


写真はすぐには用意出来ませんでした…。


そういう意味でも間質性肺炎の範疇に入れるべきかどうかは微妙な疾患ですが、両側びまん性に病変がある、という意味で、というか、他にあまり同類の疾患がないからか、間質性肺炎に入れて論じられることが多い印象です。RAに合併するからといって間質性肺炎に含めるのも、何だかなあ、という気がしますが。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年11月29日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症38・間質性肺炎の治療22・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン4

OPパターンの典型例は、こんな感じです。


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両側下肺、胸膜直下に分布する浸潤影(コンソリデーション)。周囲にすりガラス影を伴いますが、網状影や蜂巣肺は見られません。


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OPパターンを見かけたら、こちらも特発性か原因のあるものかを確認し、OP(COP)の治療を行います。




・HPパターン

HPパターンの特徴は、先のInconsistent UIPパターンのうち、


  • 上中肺優位の分布

  • 小粒状影が多数見られる(両側、上葉優位)



を含んでいます。ここでいう小粒状影はその1つ1つがすりガラス程度の淡い粒であることが多いのですが、これをすりガラスと言ってしまうと話がややこしくなるので、粒状影で通しておきます。HPといっても、慢性型ではなく亜急性に進行してくる、炎症成分の多いやつがこういう感じになります。慢性型は網状影と蜂巣肺形成が有り、UIPパターンとしばしば鑑別が困難です。


典型的には、


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のような画像になります。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年11月28日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症37・間質性肺炎の治療21・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン3

NSIPパターンの特徴は、先のInconsistent UIPパターンのうち、


  • 気管支血管束周囲優位の分布

  • 広範囲のすりガラス陰影(範囲が網状影の範囲より大きい)



を含んでいますから、典型的にはUIPじゃない、ということは明らかなのですが、しばしばUIPと鑑別困難な例も見受けられます。




・OPパターン

OPパターンの特徴は、先のInconsistent UIPパターンのうち、


  • 気管支血管束周囲優位の分布

  • 広範囲のすりガラス陰影(範囲が網状影の範囲より大きい)

  • 肺区域や葉に及ぶコンソリデーション



を含んでいます。「斑状のコンソリデーションで周囲にはすりガラス影もある」「胸膜直下や気管支血管束周囲に分布する」「分布は両側下肺が主体」「網状影や蜂巣肺なし」「コンソリデーションは自然軽快もある」などが鑑別のキーワードとして挙げられます。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年11月27日

秋田県由利本荘市 本庄第一病院さん(講演後)

そんなこんなで無事に講演を終え、食事会にも呼んでいただきました。学生さんも多く参加され、和やかな楽しい会でした。学生さんがこういう会にたくさん参加されるっていいですね。うらやましい。


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とまあ楽しく過ごしたのですが、土曜日はドキドキしました。天気予報では晴天、となっていて、雪の心配はなかったのですが、空港に着いてみると濃霧。


自分の乗るはずの、セントレア発の便をはじめ、軒並み「天候調査中」となっており、到着が遅れるようでした。やがて、「○○の○○便、濃霧のため、秋田空港上空を旋回中です」「これより着陸を試みます」みたいな放送が入り、「○分遅れで着陸致しました」…そのうちにしかし、「燃料によっては引き返します」という不吉な放送が入り、最後には…「セントレア空港からの○○便は、着陸不能のためセントレア空港に引き返しました。つきましては、秋田発の○○便は欠航とさせていただきます…」との非情な放送。


おお、これはどうしたものか。仕方がないのでその4時間後の伊丹行きに振り替えし、秋田空港で仕事。よく集中できてずいぶん捗りました。


伊丹行きに乗る時には、すっかり霧も晴れておりました。気の毒なのはセントレアに引き返したお客さんですね…。


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帰りは天気もよく、鳥海山の見事な姿も…


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遠くには富士山も見え、絶景を堪能しました。


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結論。秋田県は気温が低くて寒かったのですが、人の心は温かかったです。秋田の出身でないが、「人の温かさが居心地よくて居着いてしまった」先生のお話も伺いましたが、短時間の滞在でも、そうおっしゃる理由がよくわかりました。


お招き頂いた本庄第一病院の板垣先生、柴田先生はじめ参加して頂いた先生方、スタッフの皆様、やりとりして頂いた秘書課の皆様、本当にありがとうございました。また伺いたいです!

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posted by 長尾大志 at 15:06 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月26日

秋田県由利本荘市 本庄第一病院さんで、間質性肺炎のお話

昨日は、秋田県由利本荘市にある本庄第一病院さんで、第2回臨床基礎セミナー『間質性肺炎の取り扱い』をお話して参りました。聞くと、その地区で唯一の呼吸器内科医が来春にはいなくなる、という状況とか。


BALも施行困難、TBLBも困難、という施設、地域は今の日本で決して少なくないであろうと推察され、そういうところで間質性肺炎を取り扱うには実際問題どうしたらいいか、という切実な問題を考える機会となりました。今このブログでやっている連載もそうですが、これは日本中に存在する問題であり、なんとかしなくてはいけないのだと思います。


ということを考えながら、中部セントレア空港から飛行機で出発。


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秋田は雪景色でした。飛行機の運航が心配されましたが、無事少し早めに到着。


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当初参加者はスタッフの先生方中心に、数名の研修医の方々+学生さん、と伺っていて、そのつもりで準備していたのですが、いざ行ってみるとたくさんの看護師さん、ドクターもたくさん、また秋田大からも参加されている呼吸器内科の先生がおられて…どちらを向いてしゃべったものか、最初は手探りでした。


幸い、準備していたスライドは、検査ができない中での間質性肺炎診療、というテーマだったので、病歴聴取がすごく大事、看護師さんでいう情報収集をしっかりお願いします、というところを強調させていただいたので、なんとか最後まで興味を持って聞いていただけたようでした。


今日、予定よりも帰宅がかなり遅れましたので、続きは明日へ。

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posted by 長尾大志 at 19:43 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月25日

今日はこれから秋田県へ

今日はこれから秋田県へ飛びますので、手短に。

本庄第一病院さんで 17:30〜19:00、第2回臨床基礎セミナー『間質性肺炎の取り扱い』をお話しさせて頂きます。


呼吸器内科医が不在の施設で、間質性肺炎を如何に取り扱うのが妥当か、まさに今の連載のテーマであります。非専門の先生方と研修医の方々、そして学生さんも参加されるとのこと。気合いが入ります。


滋賀から秋田に行くのに、どう行くのか、いろいろ調べてみると、新幹線で7時間、伊丹空港を使うと早朝便しかなく、今回は中部セントレア空港を使うことになりました。初めてなので勝手がわからず、時間に余裕を持って出発します。



土曜日に帰ってきて、日曜日には、滋賀県理学療法士会内部障害研究会の、第2回研修会があります。こちらは滋賀医科大学医学部附属病院で行われるので、動線はバッチリです。


10:00〜11:30に『本当は怖い肺炎の話』と題してお話をさせて頂きます。滋賀近辺の理学療法士の皆さん、呼吸の基礎、肺炎の基礎を勉強しましょう!

http://www.shiga-pt.or.jp/houjin_kensyu/pdf/h28_naibusyougai_2nd.pdf

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posted by 長尾大志 at 09:45 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月24日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症36・間質性肺炎の治療20・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン2

NSIPパターンの実例は、こんな感じになります。


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気管支血管束周囲に分布する、すりガラス影主体の陰影で、胸膜直下には連続性、横方向の病変でなく、病変のない部分が見られる、という感じですね。


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呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年11月23日

徳島県板野郡医師会学術講演会に行って参りました。

昨日は、徳島県板野郡医師会学術講演会で、「改めて学ぶ胸部単純写真読影」として昨年の基礎編を少し復習しつつ、「検査前感度を上げる」テクニックをご紹介して参りました。


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昨年に引き続きお呼びいただいた、座長の友成先生はじめ関係の先生方、ならびにご参加いただいた先生方、共催の大正富山医薬品さん、アステラス製薬さんには大変お世話になりました。本当にありがとうございました。


ちなみに今回、こんなのやこんなのを見かけました。たぶんラッキーに違いない。


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posted by 長尾大志 at 19:12 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月22日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症35・間質性肺炎の治療19・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン

HRCTにおけるUIPパターン以外の所見からどのように診断を進めるか、について少し説明しておきます。実際、病理組織学的にUIPと確認された症例のHRCT像を検討したところ、約1/3が典型的IPF、1/3がPossible UIPパターンであったものの、残り1/3ではInconsistent UIPパターンに含まれるNSIPや分類不能型の所見を呈していたといいます。(Sumikawa 2008)



■ Possible UIPパターン

この所見はUIPの可能性有り、ということで、実際にUIP病変も多く含まれているのですが、例えば純IPFではなくて肺病変先行型の膠原病合併UIP病変とか、線維化のあるNSIPも少なからず含まれてくるので始末が悪いです。


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当初NSIP様に見えて、ステロイド治療をやっているうちに蜂巣肺を形成してくるケースもあります。肺生検をして病理組織学的に診断をしてすらそういう事例がありますから、その辺をどう扱うか。


それは結局のところ、「ある治療が効かない場合に、それに執着しない」ことが大事なのかなあ、と思います。NSIPと当初診断し、ステロイド+免疫抑制薬を投与しているのに、着々と線維化、蜂巣肺が進行してきたら、抗線維化薬に切り替える、逆もまた然り、ということですね。



ところで、HRCTの用語として、「NSIPパターン」「OPパターン」「HPパターン」「BOパターン」などなど、ありますが、これらはPossible UIPパターンに入るのか?いえ違います。HRCTで「UIPっぽい」という位なので、Possible UIPパターンにはUIP以外の病理組織を示唆する所見は含まれていません。それらはInconsistent UIPパターン(UIPに矛盾するパターン)に含まれます。



■ Inconsistent UIPパターン(UIPに矛盾するパターン)

UIP以外の病理組織を示唆するHRCTのパターンです。とはいえ、上でも述べたとおり、この中にもIPFが含まれている可能性は多々あるのですが…。


  • NSIPパターン

  • OPパターン

  • HPパターン

  • BOパターン

  • その他



・NSIPパターン

NSIPパターンの特徴としては、「病変が均質」「気管支血管束周囲に分布する」「すりガラス影が主体」などがキーワードとして挙げられます。対してUIPパターンの特徴は、「病変が不均質」「胸膜直下に分布する」「蜂巣肺が主体」となります。


病変が均質・不均質?とか、ちょっと哲学的?文学的?表現も有り、このあたりで非専門の先生方の多くは挫折される印象ですが、出来るだけエッセンスに絞ってお伝えしてみます。


まずわかりやすいところから参りましょう。「すりガラス影主体」。これは特に細胞型NSIPで見られ、細胞浸潤を意味して予後のよさそうな所見になります。線維化型NSIPだとこれに網状影が乗ってきたり、牽引性気管支拡張が見られてきたりします。


病変の分布は時に特徴的です。UIPパターンでは陰影が胸膜に沿って、横方向?に拡がるパターンが多い、胸膜直下の病変が一番強い、という分布が典型的です。


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それに対して、NSIPパターンでは、縦方向、というか、気管支や血管が枝分かれをして分布している、その方向、特に気管支と肺動脈は束ねられていて、気管支血管束というのですが、その分布に沿って陰影が分布するのが典型的です。


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特に胸膜直下において、NSIPパターンではしばしば気管支血管束の間が開いていて、病変がspareされている(免れる)様子がしばしば見られます。


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それではこれから、講演のために徳島に行って参ります。徳島県板野郡医師会の先生方、よろしくお願い申し上げます!


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2016年11月21日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症34・間質性肺炎の治療18・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ3

■ IPFの治療方針

ステロイドは推奨されない。抗線維化薬は条件付きではあるが使用を考慮。使用していて効果が確認されない場合は中止する。ただし、経過中に膠原病の香りがしてきたらステロイド治療をためらうべきではない。というのがガイドラインの基本方針でしょう。抗線維化薬は、以下の2種類が発売されています。


ピルフェニドン(ピレスパレジスタードマーク)1錠200mg 9錠 分3後 


1回に3錠、少し多いですが、1日1,800mgが通常用量です。消化器系の副作用などあれば、これを6錠(1,200mg)分3に減量します。1,200mgでもある程度の効果は期待出来ますが、さらに副作用がある場合に、3錠(600mg)分3に減量しても効果が期待出来るかどうかはエビデンスがありません。


ニンテダニブ(オフェブレジスタードマーク )1錠150mg 2錠 分2朝・夕後


患者さんの状態によっては1回100mg錠に減量する、とされています。こちらも消化器症状は多く、休薬後再開する際には1回100mgを1日2回から、それでいけそうなら150mg錠に増量、という手順が示されています。


ピルフェニドン、ニンテダニブ共に、しばらく(3ヶ月〜1年程度)使ってみて、それまでの悪化率と比較して改善が見られるかどうかを確認します。効果があればそのまま継続しますが、効果が無いようであれば中止を検討します。


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2016年11月20日

呼吸器スキルアップセミナー in Osaka 2016

昨日は呼吸器スキルアップセミナー in Osaka 2016@大日本住友製薬株式会社本社、でした。


呼吸器スキルアップセミナー in Osakaは、日本呼吸器学会近畿支部が毎年地道に続けている若手教育の場です。近畿にある大学、主な病院の指導医の先生方が施設の枠を超えて手を携え、若い先生方に熱のこもった指導を行う。素晴らしいじゃありませんか。


毎年テーマを変え、試行錯誤しながら続けられています。これまでには「抗菌薬」「胸部画像」「人工呼吸器」などなど、ライブ感、手技、手を動かす、ということを意識したテーマでなされてきました。


私も微力ながら毎年参加していますが、今年のテーマはすごく良かったと思います。まず肺癌などで行われている「臨床試験」の講義。巷間何気なく出されているデータの裏を読み解く、私が聞いていても興味深いお話でした。


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そしてその後は…


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呼吸器内科で行う、気管支鏡を用いた手技のいろいろを実体験!ウチのH先生と一緒に回ってみましょう。まずは、重症喘息症例で行うサーモプラスティー。


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文字通り手取り、足取り教えてもらえます。そして、EWSで気胸の治療!


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それから部屋を換え、生検に関する手技を練習します。まずは、ガイドシースによるTBOB(Transbronchial Orange Biopsy)…


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オレンジがなかなかうまく取れず、苦労されていました。そして最後に、EBUS-TBNA。


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最初に説明があり…


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実際にやってみます。H先生は何例か介助に入ったあたりのキャリアですので、今回のように丁寧に手順を教えていただけ、他人がやっているのを解説付きで見られる機会はちょうどよかったんじゃないでしょうか。講師の先生方、お疲れ様でした。そしてお世話になり、ありがとうございました。

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2016年11月19日

第3回 みやこ呼吸器カンファレンス

昨日は京都にて、表記の会での基調講演を務めさせていただきました。前回に引き続き、胸部X線写真の読影、そのコツみたいなものをお話しさせていただきました。


今回、杏林さんのご厚意で、アンサーパッドを使用したアクティブ・ラーニング形式を取り入れることができまして、参加された皆さんにお答え頂きながら進めていくことができました。けっこうやっている本人は楽しめましたが、参加された皆さんはどうだったのでしょうか…。感想がわからないのが残念です。


これからは講演会、研究会なんかにも、こういう方向性がどんどん取り入れられるといいなあ、と思いますね。まあ初期投資はかかりますが、参加される方の満足度は高くなるのではないでしょうか。

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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(1) | 活動報告

2016年11月18日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症33・間質性肺炎の治療17・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ2

間質性肺炎の原因となるものが見当たらない、膠原病の香りもしない、ということになりますと、それは特発性間質性肺炎、ということになります。


特発性であれば、ガイドライン的にはVATs、外科的肺生検をしましょう、ということになるのですが、特発性群であることがわかっていて、あえてVATsをやりにいく、というのが、なかなかハードルが高い。IPF以外では、診断によって治療が変わるわけでもないのに、何のためにそんなリスクを冒すのだ、ということです。


IPFの診断はHRCTのパターンで判断。UIPパターンだったら、IPFと診断してもいい、ということですね。ですから、ここでもHRCTでのUIPパターン、というものに精通した放射線科医、または呼吸器科医の存在が必要となります。




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今日も1コマ3回生の授業をしまして、呼吸器系統講義✕8コマは無事に終了しました。今日は他に5回生の臨床実習もしまして、これから、「第3回 みやこ呼吸器カンファレンス」でお話をして参ります。京都府立医大の関連病院の先生方中心の会です。参加される先生方、どうぞよろしくお願い申し上げます…。ということでアッサリと切り上げます。


明日は呼吸器学会近畿地方会主催の「呼吸器スキルアップセミナー in Osaka 2016」。こちらもご参加の皆さん、よろしくお願い申し上げます!


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2016年11月17日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症32・間質性肺炎の治療16・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ

慢性期のびまん性肺疾患の取り扱いについても、いろいろと病歴などから鑑別が必要な点は急性期と同じです。


まず、除外すべき「間質性肺炎以外の」疾患たちとして、


  • 感染症

  • 腫瘍

  • じん肺

  • リンパ増殖性疾患

  • サルコイドーシス

  • アミロイドーシス 他



があるわけですが、これらは各々


  • 感染症ー経過、感染徴候、マーカー

  • 腫瘍ーHRCT、生検

  • じん肺ー粉塵曝露などの病歴、HRCT

  • リンパ増殖性疾患ーHRCT、生検

  • サルコイドーシスーHRCT、生検

  • アミロイドーシスーHRCT、生検



などで診断をつける必要があります。そういう意味でも、少なくともHRCTで、これらの可能性があるかどうかを判定出来る施設でなければ、「両側びまん性の陰影」は取り扱うべきではありません。呼吸器専門医のいる施設にご紹介頂きたいと思います。


「そんなことを言っても、急性でヤバい、ってもんでもないのに…無理なものは無理なんだ!」という声も聞こえてきそうですが、アミロイドーシスやリンパ増殖性疾患、腫瘍性疾患は、生検しないとわかりませんので…。少なくとも、生検出来る施設にご紹介頂く必要があるかと。生検アプローチの方法として、経気管支生検・経皮生検(CT、エコーガイド下)・縦隔鏡下リンパ節生検・胸腔鏡(VATs)下肺生検。これらのうち、少なくともどれかは出来る必要があります。


ひょっとすると、両側に陰影⇒とりあえずステロイド⇒効かない⇒そのまま……のような症例群に、上の症例たちが含まれている可能性もあるかもしれませんから。


上の症例群を除外出来、HRCTで間質性肺炎だろう、となって参りますと、次は「原因があるか、ないか」を見極めることになります。


間質性肺炎の原因となるものを、病歴からできる限り拾い上げます。原因別に間質性肺炎を分類し、原因を除去出来るものに関しては除去。そして、多くの場合はそれでも症状が続きますから、ステロイドを使用することになります。


膠原病や血管炎の存在が想定される場合(確定診断に至っていなくても)、想定される疾患としての治療を開始することが多いです。肺病変先行型膠原病の存在を考えると、ステロイドが効くものであれば積極的に使っておきたいところですし、いわゆる「膠原病の香りがする」程度であってもステロイドをまずは使ってみる、というところはあると思います。


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2016年11月16日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症31・間質性肺炎の治療15・急性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ

急性期びまん性肺疾患の治療、薬物以外のトピックとしては、挿管人工呼吸管理になった場合における換気様式の工夫が挙げられます。


いわゆる肺保護換気療法(1回換気量を6~8mL/kg程度に絞り、プラトー圧が30cmH2Oを越えないようにする)に代表されるように、不要な圧をかけない、あまりFiO2を高くしない、といった戦略が主流になっています。それ以外に、いろいろな理論に基づく換気方式が、人工呼吸器メーカーなどによって数多く提案されてきましたが、明らかに予後を改善する、というようなものはまだ確立されてはいません。




ということで、急性期のびまん性肺疾患の取り扱いをまとめてみますと…。


@ARDS、心不全、薬剤性肺障害を病歴より鑑別する。⇒


A出来れば気管支鏡、肺胞洗浄を行う。これによって感染症、肺胞出血、好酸球性肺炎を鑑別可能。施行出来ない場合、喀痰グラム染色や血液、尿の培養、尿中抗原、プロカルシトニン、β-D-グルカンなどの感染症マーカーを出来るだけ採る。⇒


B膠原病、血管炎を臨床情報から鑑別する。⇒


Cステロイド投与。膠原病、血管炎であれば決まり事に従っての量、免疫抑制剤を追加します。

結局ステロイドかい、ということにはなりますが、できる限りのことを尽くした後のステロイド投与でしたら、やむを得ないのではないでしょうか。


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2016年11月15日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症30・間質性肺炎の治療14・間質性肺炎・急性期の対応3

急性期の治療をまとめると、結局のところ、免疫を抑制するくらいしかありません。


メチルプレドニゾロン(ソル・メドロールレジスタードマーク)1g✕3日間(パルス療法)⇒プレドニゾロン0.5〜1mg/kg/日で継続

効果不十分や再燃の場合には、パルスを1週間ごとに繰り返し可。



ステロイドに加える免疫抑制剤としては、急性期には大量がいい、ということでシクロホスファミドを大量に投与するIVCYがよく行われています。また、血管炎の治療には(点滴でも経口でも)シクロホスファミドが選択されます。


シクロホスファミド(エンドキサンレジスタードマーク)500〜1000mg/回/2〜4週間ごと(初回は500mg、以降漸増してもよい)


シクロホスファミド(CPA)1〜2mg/kg/日分1


シクロホスファミドは、点滴でも経口でも長期投与による害がいわれていて、ほとぼりが冷めたら(半年程度)中止⇒アザチオプリンなど他の免疫抑制剤に変更します。



経口薬であれば、特発性間質性肺炎に最も効果が高い印象があるのはシクロスポリンという印象ですが、膠原病でも皮膚筋炎合併の急性間質性肺炎など、急速に進行するタイプにはマストで使われています。


シクロスポリン(ネオーラルレジスタードマーク)3.0mg/kg/日分2



また、「全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害(今でいうARDS)の改善」を効能効果として謳うシベレスタット(エラスポールレジスタードマーク)も、急性期にはよく使われている印象です。こちらはステロイドや免疫抑制剤のような目立った副作用も無く、使いやすいものではありますが、反面、効くとき?のステロイドのような「ズバッと効いた感」も薄い印象です。


シベレスタットは、急性肺障害時に炎症の中心的な働きをする好中球が産生するプロテアーゼ(蛋白分解酵素)の1つである、好中球エラスターゼを阻害する薬剤です。本来外敵退治のために産生されるプロテアーゼが急性肺障害になったときには組織の破壊をしてしまう、ということで、それを防止すべく開発されたものです。



ステロイド+免疫抑制剤+αでもコントロールが悪ければPMX-DHPなどによる血液浄化療法、血漿交換などが選択肢としては挙げられますが、以前に書いたとおり、「推奨されている」ものではありません。主治医の先生方や施設の方針によってやられていると思われます。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年11月14日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症29・間質性肺炎の治療13・間質性肺炎・急性期の対応2

ARDSの原因としてよく知られているのは、以下のようなものです。病歴聴取によって多くのものが確認出来るでしょう。


  • 感染症・敗血症

  • 有毒ガス・薬剤

  • 溺水

  • 誤嚥

  • 熱傷・多発外傷

  • 脂肪塞栓症候群

  • 肺挫傷




また、心不全の評価、診断のためには、以下のような事項で確認を出来るでしょう。


  • 既往歴(メタボ・心疾患・AF…)

  • 心音でV音やW音、心雑音などを聴取

  • 呼吸音でcracklesやwheezesを聴取

  • 頸静脈圧上昇所見

  • 下腿浮腫

  • 心拡大所見

  • BNP・エコー




肺胞出血の診断は、直接的には肺胞からの出血を証明する必要がありますから、気管支鏡・気管支肺胞洗浄(BAL)を行う必要があります。洗浄液が血性で、だんだん濃くなってくるようであれば、肺胞領域からの出血であると診断されます。一方、だんだん薄くなる場合は気管支からの出血であると考えられます。


気管支鏡が出来ない施設では、血痰、喀血+両側びまん性陰影、それに進行する貧血があれば診断は可能ですが、血痰や喀血を認めない症例も少なからずあるといわれていて、診断に迷うことも少なくないでしょう。


ただ、肺胞出血の原因としては、

  • 血管炎

  • 膠原病

  • 薬剤性

  • びまん性肺胞障害

  • 出血傾向(を来す薬剤)

  • 心原性肺水腫

  • Goodpasture症候群など


があり、その多くの治療にステロイド大量が使われていることから、必ずしも肺胞出血の診断をしなくても、ステロイドで何とかなっている症例もあるでしょう。でも、血管炎、膠原病、薬剤、出血傾向などについては気管支鏡がなくても診断可能ですから、少なくともそちらからの診断は詰めて頂きたいところです。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2016年11月13日

呼吸器症状患者の鑑別実践編5・慢性の咳をみたときに聴取すべきこと

呼吸器症状を訴える患者さんの鑑別動画、ネット上に公開できるものとしては一旦こちらで最後になります。


https://youtu.be/mbhKCToKl0A


慢性の咳をみたときに聴取すべきことを、鑑別診断別にまとめました。
対応するブログ記事はhttp://tnagao.sblo.jp/article/83107749.htmlです。



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posted by 長尾大志 at 20:41 | Comment(0) | 動画置き場

2016年11月12日

呼吸器症状患者の鑑別実践編4・慢性の咳の鑑別

さてここしばらく活動報告が続きましたが、呼吸器症状を訴える患者さんの鑑別動画、もう少し続きを作成しましたので、ご紹介します。


https://youtu.be/XQKkv2qA7rk


こちらの動画も、数年前の静岡県志太医師会での「ジェネラリストのための呼吸器疾患道場・咳の鑑別について」を収録したものです。慢性の咳をみたときに、想定すべき鑑別診断を挙げています。


対応するブログ記事はhttp://tnagao.sblo.jp/article/77752681.htmlです。


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posted by 長尾大志 at 20:12 | Comment(0) | 動画置き場

2016年11月11日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症28・間質性肺炎の治療12・間質性肺炎・急性期の対応

間質性肺炎の急性期のイメージといえば…。


  • 急速に進行する呼吸困難、低酸素血症があって、

  • 胸部X線写真やCTで両側びまん性に濃度上昇(両側真っ白)を認めて、

  • 利尿薬、抗菌薬などの治療に反応しない…



…ようなときに、「間質性肺炎かも」という話になってくると思いますが、まだこの段階では決めつけることは出来ません。間質性肺炎以外に、


  • ARDS

  • 心原性肺水腫

  • 感染症

  • 肺胞出血

  • (急性)好酸球性肺炎



なんかも、上のような特徴がありますから、緊急事態の中であっても、鑑別をきちんと考える必要があります。急性期には何でもかんでもパルスをいきゃいいってもんじゃありません。疾患ごとに対応は異なります。


  • ARDS:原因治療+少しステロイドを使う程度。

  • 心原性肺水腫:これはもう心臓の治療、ステロイドは禁忌でしょう。

  • 感染症:原因微生物ごとの治療。ステロイドはダメなことが多いものの、ニューモシスチス肺炎のように必要なことも。

  • 肺胞出血:血管炎やSLE、薬剤が原因であれば、パルスなどステロイド大量。

  • (急性)好酸球性肺炎:ステロイド大量。



間質性肺炎の急性のやつ、あるいはIPFの急性増悪の時には、通常ステロイドパルスなど大量療法が選択されますが、急性増悪の時には以前にも触れたようにあまり効果は期待出来ません。それでも、それしかないのでいっちゃうことが多いでしょう。


メチルプレドニゾロン(ソル・メドロールレジスタードマーク)1g✕3日間⇒プレドニゾロン0.5〜1mg/kg/日で継続


効果不十分、再燃の場合、1週間ごとに繰り返し。


治療薬、対応が違う、というものについては、鑑別しなくてはなりません。鑑別のコツを診断別に挙げてみましょう。


  • ARDS:ARDSを引き起こすような原因があるかを確認する。

  • 心原性肺水腫:BNPや心エコーで心機能評価。

  • 感染症:あらゆる検体の塗抹(グラム染色)、培養。各種迅速検査。患者背景、居住、旅行、摂食などの確認。

  • 肺胞出血:貧血があるか。血痰や喀血は?肺胞出血を引き起こすような原因があるかを確認する。

  • (急性)好酸球性肺炎:喫煙習慣。典型的には「中止していた喫煙を再開」という病歴。ただし例外多数。



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2016年11月10日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症27・間質性肺炎の治療11・膠原病性間質性肺炎の治療

■ シェーグレン症候群

シェーグレン症候群においても、肺病変はメジャーとは言えません。しかも病理組織的に結構バラエティに富んでいて、一口で語り尽くすのが難しかったりします。それでも一口で語ってみますと、間質性肺炎にもUIP、NSIP、OP、細気管支炎といったRAがらみのものに加えて、シェーグレン症候群特有の合併症としてのリンパ増殖性疾患/悪性リンパ腫と、その類縁疾患と考えられるLIP病変、さらにはアミロイドーシスも肺病変として起こりえます。


ちなみにLIP病変は近年、間質性肺炎の範疇ではなく、リンパ増殖性疾患の範疇に入れるべき、とする考え方が主流です。


シェーグレン症候群に合併する間質性肺炎については症例も少なく、大規模な検討は例によってなされていませんが、症状や重症度に応じて中等量以上のステロイド(+免疫抑制薬)で治療されることが多いようです。


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2016年11月09日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症26・間質性肺炎の治療10・膠原病性間質性肺炎の治療

■ SLE

SLEは膠原病としてはメジャーな疾患ですが、こと肺病変という点では、あまりメジャーとは言えません。SLEに生じる肺周りの病変といえば、有名どころで胸膜炎(漿膜炎)がありますが、間質性肺炎となるとそれよりレアな印象です。


SLEといえば腎障害や血球異常、神経障害などが重篤な病変で、そちらに対してステロイドを使われることが多く、胸膜炎などがあってもそのステロイドでよくなってしまいます。肺病変が主体でそれに対してステロイドが使われる、という現場は少ないものです。肺病変主体の場合、ステロイド0.5〜1mg/kg/日+免疫抑制剤(SLE自体によく使われるシクロホスファミド中心)あたりが使われているようです。



*膠原病は多数の臓器に病変が生じることが多いものですが、膠原病によって、あるいは臓器によって、制御に必要なステロイド量は大体目安があるといわれていて、最も量を要求する臓器を目標にステロイド投与量を決定します。とするとその陰で、より病変の制御に少ないステロイドですむ臓器は、投与されてステロイドが効いてしまって?あまり意識されずに治ってしまう…てなことも少なくないようです。


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