この度、適々斎塾(大変勉強熱心な開業医の先生方が中心になって運営されている勉強会)の板金広先生から、『Common Diseases Up to date』を献本賜りました。こちらは板金 広先生、上田剛士先生、矢吹 拓先生という、適々斎塾の重鎮、中心メンバーの皆様による書籍であります。


ご覧の通りの分厚さ、大著であります。656ページあります。比較のために、前著?適々斎塾指南書の『プライマリ・ケア 外来診断目利き術50』を重ねてみました。こちらは見開き2ページで、プライマリケアの外来でよく出会う50の症候について、鑑別診断や気をつけるべきことが一目でわかるように、本当によく工夫され練り込まれた書籍になります。外来でパッと広げられるように面積は大きめで、というこだわり・工夫が詰まった書籍で、私も一般内科外来をしており、その際に大変重宝いたしました。
『プライマリ・ケア 外来診断目利き術50』は診断に至るまでがメインテーマとなっていますが、『Common Diseases Up to date』 は診断から各々の疾患に関するup to dateな項目、そして治療に至るまでがしっかりと網羅され、その結果の厚みとなったと解釈できます。紙質もちょっと懐かしいといいますか、大変めくりやすい紙、そしてカラフルな印刷、おそらくこれは編集の先生のこだわりではなかろうかと推察いたしますが、大変に見やすく読みやすい、紙の書籍の良さが存分に味わえる一冊となっています。
一通り読了してから感想を書こうとすると何年かかるか分かりませんので、まずはW章の呼吸器疾患を拝読いたしました。呼吸器疾患はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と気管支喘息、市中肺炎、非結核性抗酸菌症(NTM)、そして肺結核という文句なしのコモンディジーズが選ばれています。
COPDについてはまずoverviewとして、世界的ガイドラインであるGOLD、そして日本呼吸器学会のガイドラインによって定義、診断、重症度の評価〜ABCD評価スケールと初期治療の方針、そしてフォローアップ治療と増悪時の診断と治療に関して、やはりこちらもカラフルな見開き2ページで見やすく記載されています。
そしてminimum requirementとして、忙しい外来でさっと読める項目が診断や安定期の治療などについて書かれていて、その後おそらく診療が済んだ後にしっかり勉強したい先生のために、Up to dateという項目があり、ここでしっかりと色々な項目について書かれています。
この構成が、おそらく編者の先生が理想とする教科書の形を目指されたのではないか、ということがよくわかります。主に多忙な開業医の先生の立場に立った、勉強しやすい構成になっているのですね。その他の項目も同様な構成になっていて、もちろん自分の専門外の領域がほとんどなのですが、専門外の領域においてもわからないことを外来でパパッと調べ、外来が済んでからじっくり後ろを読んで勉強したいな、と思えるような親切な作りになっているなあと感じました。これから外来のお供に、『目利き術』とあわせて携帯したいと思います。この度は本当にありがとうございました!
https://www.amazon.co.jp/dp/4525210710/
posted by 長尾大志 at 20:32
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