今日は島根大学医学部医学科・看護学科1年生合同「医療倫理・プロフェッショナリズム」の講義として、小林只先生にお越しいただき「綜合観で自分と社会と時代を捉える〜求められる知財と人材とは?〜」と題したお話を賜りましたのでご報告いたします。
また写真を撮り忘れていたので、昨年の写真で代えさせていただきます。

小林先生にはここ最近毎年お越しいただいているのですが、私が参加させていただいたのは一昨年からです。一昨年の様子⇒
http://tnagao.sblo.jp/article/190957127.html昨年の様子⇒
http://tnagao.sblo.jp/article/191399868.html小林先生は肩書きがたくさんあって、毎年増えている感じなんですが、株式会社アカデミア研究開発支援 代表取締役社長、島根大学オープンイノベーション推進本部准教授、弘前大学医学研究科総合地域医療推進学講座講師、そして文明法則史学研究所研究員であられる方で、「綜合者」(この言葉はAIが最も苦手としているのです!)かつ「総合医」であると自己紹介をされました。なぜそのようなスゴい方が弊学にお越しいただけるかというと、以前にご講義いただいた原先生と同じく本学27期のご卒業(で、原先生とバンドを組んでおられたそう)なのです。ありがたい!現在43歳だそうです。
今年のテーマは「哲学」=意味づけをする、というお話を皮切りに、多岐にわたるお話で内容は昨年とまたまた変えていただいておりました!哲学は表現することで、日本だと「記述すること」とイコールだと。「そもそも」という問い。その本質は何かという問い。
……毎年そうなのですが、膨大なスライドの一部を提示されてそれに関してお話される、というスタイルで、メモが追い付かない!お話に聴き入るとメモができない、というジレンマの中、パラパラとメモできた内容だけ、少しご紹介します。まあ、フルの内容は島根大学医学部医学科看護学科1年生で聴講した人の特権ということでご容赦ください。
・学びのコツ=自分事に置き換える
他人事のうちは身につかない
・綜合=integrate
人々を分断することが統治に有効(1200年前から)
・綜合的にとらえる
人がいる場所=医療のニーズ
・高齢化最先端の島根は世界の10年、20年後の縮図である。島根の課題解決をすることは将来の世界を救うことになる。
衣食住・金融・医療 世界5大インフラ
1980年代:デパート・銀行・病院
2000年:コンビニ・郵便局・診療所
現代:流通アナログ+オンライン化デジタル
・血統と霊統(国学の言葉) 身体的な受け継ぎと価値観や技術の受け継ぎ 後継ぎ問題
・埼玉県立桶川西高校の校是「根を張る」
・トゲは削るのではなく、周囲を埋める 削ると小さい円しか残らない。埋めるのは「態度」。
・若い人に期待をする 上役から煙たがられる+可愛がられると大きなことを成せる
・若い人にチャンスを与えるには、今できることをやっているかを見ている
小林先生の師症の1人であられる白石先生も聴講に来られていたので、白石先生とのエピソードも交えてお話しいただきました。
多くの1年生にとっては哲学寄りのお話もあり、ちょっと難しいお話だったかもしれません。小林先生自身1年生の時の大谷先生の講義でビビット来た、それが転機になったということで、先生自身「10人くらいの人に刺さればいい」と言われていましたが、刺さった人はどのくらいいたでしょうか……
・二元論は「どちらが正しいか」の対立構造になる。AかBか。そうではなくて軸を増やして四元論になると(4象限)対立構造がなくなって全体の調和が見やすくなる。
・公智、公愚、私愚、私智だと私智はダメ、公愚がよいので私愚を公愚に引き上げるのがよい。プロフェッショナリズムの授業も講師の考えが各々違い、人によって言ってることが違う、と思いがちだが、ここに正解はない。各々の考え方があり、それらをもとに自分の考え方を造るのが大事。
・表観―裏観、主観―客観 表観:表から見たとき、見かけ、裏観:その本質を見る
・許す と 裁く を両方できるか。二項対立ではない 1人の人に各々のタイプがあるが、すべての要素が必要なことである。
マクロ視点で時代の変遷を理解する3つの要素として、
・人間・個人は7万年前に認知革命が起こって以来大きく変わっていない
・科学技術自体は18世紀以降80年から100年の単位で大きな本質的イノベーションが起こっている
・人口(社会・文化)のところで政治は2〜3年サイクル、経済は20〜30年、文化は50年〜100年、社会は200年〜400年サイクル、文明は600年〜800年という変化である
・18世紀以降、科学技術の大きな本質的イノベーションに伴って疾病の構造も変化していて、18世紀の蒸気や水力による機械化が発展した頃には外傷が主な疾病、20世紀初頭になって移動が可能になってくると感染症の蔓延が起こり、20世紀後半からコンピューターITが導入され、工場のオートメーション化が進むと運動不足による成人病、21世紀になって癌や廃用、認知症などが問題になってきている。
・集約化⇒分散化⇒個別化(コモディティ化)
現在は知財に価値はなく信頼に意味がある(意味のイノベーション)
・ポケモンGOでアップロードしたデータがGoogleに使われて、イラン戦争のピンポイント攻撃の元データになっている。
・時代によって必要とされるスキルや要素は変わっていっており、今は知識や暗記力といったスキル、計算力などはもはや必須のものではなく、問題創出の力、答えのない課題に向き合う力が必要とされている。現在は大きなパラダイムシフトが起こっている最中。
・生成AIの限界は「判断できない」こと。分析までしかできない。意味づけは人間にしかできない。
・環境調整、摩擦調整もAIにはできない。最先端の研究はAIにできない。確率が低い、少ない情報は出てこない。
・日本は世界最古の国家で、歴史上ずーっと日本のままであり続けている。
・文明のサイクルは紀元前から800年周期で東洋優位ー西洋優位との入れ替わりがある。西=部分観、構造学、東=全体観、機能学。今はちょうど入れ替わりの時期に差し掛かっている。
・西洋は物質vs精神、東洋は物心一如
・部分観ではリンゴ1個+1個=2個、だが、1個誰かが失っている、という視点も必要。この視点がないと、世界はとても単純に、そして少し乱暴になる。日本のアニメは善悪二元論ではなくそういう視点を取り入れているものが多いので、世界で高く評価されている。
Take home message:どれほど知識や能力が高くても、腹をくくった本気の人には叶わない。
これ以外にも多くの刺激的なお言葉をいただき、私と総診センターの白石先生が一番楽しんでいたと思います。難しいお話も挟まっていたので、くらいついてこれている人はやはり少な目かなあ、とも思いましたが、その一部の方々にとっては人生が変わるような、画期的なお話だったのではないでしょうか。
小林先生、本当にありがとうございました!今後も是非引き続き講義をお願いしたいと思っております!今後ともよろしくお願い申し上げます!!