2017年03月24日

縦隔とは

縦隔、とは、左右の肺の間にあるスペースのことです。あたかも家(特にマンションやアパートなど)にある「パイプスペース」のごとく、中を管(気管、食道や血管・心臓)が通っています。臓器でも、構造物でもないただの空間ですから、圧されたり、引っ張られたりすると、容易に動きます。


(解剖の教科書参照)


特に上の方にある、気管〜気管分岐、食道や大血管などは、圧されたり引っ張られたりする病変を見つけるのに便利です。気管周りを見るときに知っておきたい構造物とその見え方を確認しておきましょう。


気管〜気管分岐部〜左右の主気管支、上大静脈〜右房、大動脈弓あたりは、胸部X線写真ではこのように見えます。


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気管は空気の棒みたいな黒い帯状の構造物として見えます。声帯狭窄部からほぼ正中を走り、気管分岐部で左右に分かれます。右主気管支はごく短いですが、左主気管支は結構長く、よく見えることが多いです。


上大静脈は鎖骨のあたりから見えるようになり、下に降りてそのまま右房(右2弓)に移行します。


上行大動脈は角度の関係で正面写真では見えません。大動脈弓〜下行大動脈はハッキリと見え、横隔膜を越えると見えなくなります。


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大動脈の高さでのスライスでは、上大静脈(橙)、大動脈弓(赤)は前から見たときに接線を形成しますから、正面像で線として認識出来るのです。


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鎖骨の高さになってくると、上大静脈も、大動脈から分岐した太い動脈(総頸動脈、鎖骨下動脈、腕頭動脈)も接線をなさないことが多く、正面像で線はあまり認識出来ません。


上大静脈の見え方には個人差があり、線がほとんど認識されないケースもしばしばあります。


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この症例では、気管の右側に線があるようなないような…。


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CTで見ると、上大静脈の接線が椎骨と重なっている…それで目立たない模様です。


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この症例はどうでしょう。上大静脈の線、見えるような、見えないような…。


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CTだとしっかり接線があるように見えるのですが、こんな感じで、正面像だとごく薄くしか見えないこともあるのです。

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posted by 長尾大志 at 18:18 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月23日

気管の動きを見るときのポイント

圧す病変、引っ張る病変がなくても気管や縦隔が偏って見えることがあります。例えばそもそも正面から撮られていない(ポータブル写真などに多い)、側彎がある、亀背・円背があるなど、いろいろな理由で気管の位置がずれて見えるのです。


ですから、気管の偏位にも意味のあるものとないものがあることになります。何らかの病変が気管の近傍に存在して、かつ気管が動いている場合には、その動きには意味がある。でも、気管近くに何も病変らしきものがなければ、その動きはあまり意味を持たない。


そこで、気管の偏位を認めたら、まずは撮影条件(ポータブルかどうか)、正面性を確認します。正面から撮られていなければ、気管の位置はあまり気にしなくていいでしょう。


そして気管の偏位を起こしうる原因となる陰影、ないし病歴を探しましょう。具体的には、気管の近くに何らかの陰影があるかどうか。それから、容量の変化を反映して、横隔膜が挙上、あるいは低下しているかどうか。あとは胸部(肺・心臓・食道など)の手術歴があるかどうか。


原因となる陰影、病歴がない「気管の偏位」には、診断的価値はあまりありませんので、時間が限られているカンファレンスなどでは、あえて所見として挙げないこともあります。

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2017年03月22日

オッカムの剃刀

オッカムの剃刀、ご存じの方も多いと思いますが、患者さんに起こっている症状・所見が一元的に説明出来るような鑑別診断を考える、というやり方です。


これに対してヒッカムの格言、という、考え方があります。どの症例においても偶然に複数の疾患に罹患しうるため、症状に対して複数の原因を探すべきだ、という考えです。


通常の疾病は、ある一定の確率で起こるとすると、その疾病が合併する確率は


罹患率✕罹患率…


となりますから、単発の場合よりもずいぶん可能性が低くなるので、まずは単一の疾患で考えていこう、というのが臨床推論におけるオッカムの剃刀の根拠だと思います。


ただ、いろいろな症例を経験すると、ヒッカムの格言が当てはまるケースも経験されるわけで、実際臨床の現場では、オッカム、ヒッカム、どちらも考えるべきなのです。


高齢者では併存疾患が多い。高齢というだけで、いろいろな疾病の発症リスクが高まる。

それ以外に、

  • 糖尿病症例

  • COPD症例

  • AIDS/HIV感染症症例などなど…


他にも様々な、「合併症を起こしやすい」病態がありますから。


じゃあどうして、ここであえてオッカムの剃刀を持ちだしたか。それは、胸部画像の読影をする上で「楽しくて、勉強になる」からです。


画像で見られるいくつかの所見を整理・統合して一つの疾患を考える、という作業は、各疾患で見られる所見をまとめて振り返る機会になるとともに、謎解きの要素が多分にあり、知的好奇心が刺激されます。また、ビシッと筋の通った読影ができたときにはとっても気持ちよい。


もちろん見える所見の各々を説明出来る鑑別診断をたくさん挙げる、ということも必要ですが、まずは、見られる所見のすべてが1つの疾患で説明出来るかどうかを考えてみる。ちょっと意識してやってみましょう。

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posted by 長尾大志 at 14:45 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月21日

胸部画像読影のコツ1

非専門医の先生方の診療について、いろいろと込み入ってきましたので、ここらで小休止を入れまして、少し胸部X線写真やCTのことについて、最近ご質問を受けたことを中心にまとめていきたいと思います。



石灰化像

■ 胸膜班

胸膜面に沿って拡がる、大変輝度の高い石灰化病変(の痕)です。結核性胸膜炎の痕と、アスベスト吸入による胸膜斑(プラーク、plaque)とが原因の多くを占めます。厳密には、結核とアスベストでは石灰化の起こる場所が違うそうで、アスベストによる胸膜斑は血流のある壁側胸膜にできるといわれています。


CT像を模式図で書くとこんな感じですね。石灰化は縦隔条件でよくわかります。


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胸壁近くの胸膜が肥厚しています。肥厚した胸膜の、肺に近い方ではなくて胸壁に近い方(壁側胸膜)が石灰化のために白く見えるのです。実際のCTではこんな感じ。


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肥厚した胸膜の胸壁に近い方が、石灰化のために白く見えていますね。


この場所では結構X線が吸収されますから、胸部X線写真では高濃度に(白く)見えます。前から見ると結構広がりを持った、濃い陰影に見え、接線方向では、かなり濃い線として認識されます。こんな感じです。


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拡がっている胸膜斑を前から見ると赤丸のように見え、横隔膜に沿った石灰化を接線方向から見たものが、赤矢印のように線として見えるのです。CTで見ると横隔膜に沿った石灰化はこんな風に見えます。


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posted by 長尾大志 at 18:24 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月20日

束の間の春休み

5年生の臨床実習が金曜日で終わり、大学も春休み体制となりました。ポリクリという名の臨床実習は今年度まで、来年度、つまり4月からはクリニカル・クラークシップ(クリクラ)という名前になります。例のカリキュラム改革の一環として、臨床実習にも改革のメスが入る…はずではありますが、今のところ何も変わろうとはしていないように見えます。


3月の終わりにクリクラのためのワーキングみたいなもの(第2回)がありますが、どう考えても4月には間に合いそうにないです。


なんか資料みたいなものも回ってきましたが、あくまで資料であり、全学で臨床実習の方向性をそろえていこう、というものではありません。より学生医師を医師らしく扱う、ということで、そういった時間割を作成せよ、とか、評価を改革する、ということでルーブリックを評価に使う、であるとか出てきていますが、結局、スタート地点である「学生の教育を全学でどのような理念でやっていくのか」の議論がなくて、ただ「国際基準」の要求する「項目」を取りそろえました、というだけにとどまっているように見えるのが何ともかんとも。


例えばルーブリックに基づいて採点をしても、その結果はものすごく大雑把にしか反映されない。正直、現カリキュラムにおいて、ウチの5回生はかなり「ぬるい」環境にいると思いますけど、それを締めようと思えば、進級に関わってくるポイントを設けることになる。そこまで思い切れるかどうかは、このワーキングが決めるものではないのです。


…それはワーキングよりもっと上の委員会が決めることのようですが、今年の医師国家試験の結果を踏まえれば、もはや改革待ったなし、という状況です。あまり書きすぎる前に自重しなくては。



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posted by 長尾大志 at 21:43 | Comment(0) | 日記

2017年03月19日

今後の予定告知、4月〜7月 いろいろ決まって参りました。

■ 福井県内科医会学術講演会
『呼吸器科領域疾患の聴診・打診による診断、そして治療』

平成29年4月8日(土) 17:30〜
福井県医師会館にて


呼吸器症状を訴える症例を外来で診療する上での、病歴から聴診・打診の使い方、そして投薬までの概要をお伝え出来れば。どこまでお伝え出来るか…。



■ メディカ出版 看護セミナー
『急性期・術後の呼吸器ケア』

http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131
神戸 2017年06月10日(土) 神戸クリスタルタワー 3階クリスタルホール
東京 2017年06月24日(土) 損保会館 2階大会議室


血ガスの数字を読む・人工呼吸のアラームに対処する・ハイフローシステムの理屈を知る・
経鼻カニュラとマスクの理屈を知る・NPPVの理屈と適応を理解する・
チェストドレーンバックの観察と対応…


以前のセミナーより、内容を少し深くし、最後に実際の現場で起こりそうなことを考えて頂く時間を設けました。より実践的な内容をお持ち帰り頂けると思います。



■ 産業医科大学 呼吸器講演会
平成29年6月1日(木)

若い先生方による喘息や間質性肺炎などのお話の後ですので、やはり疾患のお話よりは、病歴とかのお話の方がいいかなあ、と考え中。



■ 洛和会音羽病院 医療関係者向け講演会『やさしイイ呼吸器教室 特別レクチャー第2回 〜Dr.長尾のERで役立つ胸部X線『とか』レクチャー〜』
平成29年6月3日(土)

洛和会音羽病院さんでの2回目は、研修医の皆さんが慣れてきた頃に、というリクエストで、ERで役立つ胸部X線『とか』についてのレクチャーです。ERで役立つのは、胸部X線写真だけじゃないですよね…。



■ 岡崎市医師会学術講演会
平成29年6月16日(金)

呼吸器症状から診断に至る、検査の使い方や処方など、診療の道筋をお話することになりそうです。



■ 西伊豆病院勉強会
平成29年7月15日(土)〜7月16日(日)

総合診療畑の先生方には有名な、西伊豆健育会病院さんでの2日間にわたる勉強会にお招き頂きました。仲田院長先生、救急の坂本先生とまたご一緒出来る、これは楽しみでしかないです。

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posted by 長尾大志 at 23:22 | Comment(0) | 活動報告

2017年03月18日

今後の予定告知、2017年4月・奈良県西和医療センターにて

平成29年4月7日(金)、世界のキタカズこと、奈良の北和也先生よりお招きを頂きまして、奈良県西和医療センターでの院内勉強会でお話をさせていただくことになりました。


奈良県西和医療センターのジュニア・シニアレジデントの先生方を中心に、3本立てでお話をさせていただきます。声が持つかな…?


ようやく準備ができましたので、内容を少しご紹介できます。



■ 奈良県西和医療センターにて 平成29年4月7日(金)15時〜


1.「呼吸器問診と鑑別診断」

ジュニア・シニアレジデントの先生方を中心に、呼吸器症状からの鑑別診断のたて方〜身体診察や検査の選択などについて、先生方の知識、スキルの棚卸しをさせて頂こうかな、と思っております。


2.「間質性肺炎の取り扱い」

非専門医の先生方が多いと伺っておりますので、「間質性肺炎の取り扱い」にはお困りではないかと。診断〜治療の進め方を再確認していただければと思います。


3.「肺結核のお話」

全職種、職員さん向けの講演、という体ですが、時々やってくる肺結核を不必要に恐れることなく、正しく取り扱っていただくための基礎知識をご紹介します。



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posted by 長尾大志 at 11:49 | Comment(0) | 活動報告

2017年03月17日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・薬剤による咳

■ 薬剤性咳嗽

薬を飲み始めたら咳が出た、という病歴があれば、当然薬剤による咳嗽が鑑別に挙がります。患者さんが気付かれていないこともありますから、正しい病歴聴取が本当に大切です。


「咳嗽」の副作用があるので有名な薬剤はACE阻害薬ですね。ものによりますが、頻度は10〜30%程度と、結構高い。ただし最近では、同じような作用でも咳が出ない、ARBに取って代わられ、「ACE阻害薬による咳」自体を見かけることが少なくなりました。


ACE阻害薬による咳ほど多くなくても、咳が出るような副作用としては、薬剤性間質性肺炎や肺胞出血、それにアスピリン喘息が挙げられます。


それぞれ病態に特徴はあり、診断には画像をはじめ各種検査がひつようではありますが、とにもかくにも薬剤の副作用情報、薬剤を使用しはじめたタイミング、それに咳が出だしたタイミングが重要であることは強調しておきたいと思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2017年03月16日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・誤嚥による咳

ドレーンについて、一段落つきました。咳の鑑別に戻ります。


■ 誤嚥

誤嚥性肺炎ではなく、誤嚥によるむせ・咳、こちらは高齢化によって増えてきている印象です。こういう咳に、気軽に?安易に?咳止めを投与するとどうなるか…咳反射を減弱させ、誤嚥性肺炎への道を進むことになります。

高齢者、脳血管障害の既往がある患者さんの、
食事中、食後の咳、痰(の絡んだ感じ)。

という訴えでは、誤嚥の要素を疑う必要があります。もちろん症状だけで決めつけることはできませんし、他の疾患が併存する可能性もあり、胸部X線写真も確認をしておきたいところですが、少なくともそういう訴えのある方に、「咳止め(中枢性鎮咳薬)」を処方するのは避けたいものです。


一般的によく使われる「咳止め」は咳中枢の感度を鈍らせて咳を止めるものですから、誤嚥がある場合には咳の感度が鈍ることで悪化の危険性があるのですね。まずは、高齢者には禁忌、と考えて頂いてもいいと思います。


そういう、不顕性の誤嚥、初期は食後以外には出ませんが、進行してくるとしょっちゅう咳き込む、むせる。逆に咳が出なくなったら、反射がなくなってきた…ということかもしれません。


初期の?誤嚥による咳に対して、漢方薬の半夏厚朴湯は効果的なことが多いです。


半夏厚朴湯 7.5g 分3間



咳を止める、ということではなくて、誤嚥性肺炎の予防として使われるものは、有名どころで言うとACE阻害薬があります。空咳が出る、という副作用を逆用して、咳を出させることで誤嚥した物質が肺内に入ることを防止する、ということです。ですから咳は増えます…。


それ以外に、パーキンソン症候群などでも用いられるアマンタジンは、ドーパミン合成能の促進作用があり、咳反射の低下を改善するといわれていますが、パーキンソンの治療としても中途半端ですし、少し使いにくい面があるように思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2017年03月15日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し8・癌性胸水に用いる薬剤と手順

■ タルク(ユニタルクレジスタードマーク

タルクは使用量が多いとARDSが発症した、ということで、保険の縛りがありますが、成功率はまあいいようです。


(添付文書より)

<効能・効果>

悪性胸水の再貯留抑制

《効能・効果に関連する使用上の注意》
本剤は悪性胸水の再貯留抑制のために使用し、腹水の減少を目的として本剤を使用しないこと。

<用法・用量>

通常、成人には、本剤(4g/バイアル)を日局生理食塩液50mLで懸濁して、胸膜腔内に注入する。


タルク投与でまれに発現することが知られているARDSは、10g以上の投与で発現率が高いとされています。安全性を考慮し、5gを超えるタルクの投与は避けるべきとの報告があることから、追加投与や両側胸腔への投与など、総投与量が5gを超えるような投与法については認められていません。

(添付文書よりの引用ここまで)


それ以外にも選択基準、除外基準、いくつかの注意点がありますので、実際に使う場合には、「ユニタルクレジスタードマーク適正使用ガイド」を参照して下さい。
http://nobelpark.jp/product/unitalc/unitalc_gm.pdf



■ ピシバニールレジスタードマーク

元々抗癌剤として開発された薬剤ですが、今や抗癌剤としてはオワコン?で、その炎症惹起性を利用した癒着剤としてのみ使われています。


他の一般的な薬剤と異なり、KEという単位を使いますが、5KE〜10KEを生食100mLなどに溶かして使います。他の薬剤同様ドレナージチューブから注入し、クランプ〜体位変換の後吸引、という手順です。



癒着術の手順は、気胸のときとほぼ同じですが、とにかく大事なことは、「肺がきちんと再膨張して、壁側胸膜と臓側胸膜がピッタリ接触している状態でやる」ということでしょう。胸水が残っていて、胸膜が離れている状態で薬剤を入れても、糊付け効果は期待しにくいですから、胸水が抜けてしまってからやる方がいいでしょう。


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「ドレーンから胸水が出なくなるまで待つのですか?」とよく尋ねられますが、特に癌性胸水だと毎日相当量の胸水が出続けていることは多いです。胸水の産生はあっても、肺が再膨張さえしていれば、癒着術は試みるべきです。また、既に胸膜播種病変によって臓側胸膜がカチカチになり、完全には再膨張が得られない、というケースでも、一部でもくっつけば…ということで行われることもあります。


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@ 1%キシロカイン10〜20mLをドレナージチューブから胸腔に注入します。


A 薬剤(タルクレジスタードマーク、ピシバニールレジスタードマーク、ミノマイシンレジスタードマークなど)+生理食塩水50〜100mLを点滴ラインにつなぎ、ドレナージチューブから胸腔に注入します。


B チューブのクランプを行い、2時間待ちます。


C その間体位変換(仰臥位〜右下側臥位〜腹臥位〜左下側臥位、のように4方向で1時間)を行います。


D 2時間経過したら、クランプを解除し−15〜20cmH2Oで吸引を開始します。チューブの閉塞がしばしば起こりますので、肺の虚脱がないか、適宜確認します。チューブが閉塞したら肺の虚脱がないか、胸部X線写真で確認します。


E 排液量が1日150〜200mLになったらドレナージチューブを抜去します。


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2017年03月14日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し7・癌性胸水の場合

癌性胸膜炎から癌性胸水が生じてきた場合、胸膜にできた播種病変を縮小させる方法は全身化学療法しかありません。しかしながら、分子標的療法や小細胞肺癌など、一部の化学療法を除いては、胸膜播種病変に対して効果を期待するのは難しい。


そうすると胸水はどんどん増えてきます。そしてだんだん肺を圧迫して虚脱させ、低酸素や呼吸困難を来したり、アルブミンが胸腔内に漏れ漏れになることで倦怠感や悪液質の原因になったりします。


そこで、全身化学療法でコントロールの難しい癌性胸水に対しては、ドレナージを挿入して胸水を排液し、その後胸膜癒着術を施行されることが多いです。


胸膜癒着術は、胸膜を癒着させるということで、壁側胸膜と臓側胸膜を物理的にくっつけることです。よく「糊付け」に例えられますが、実際に使うのは糊というよりも、刺激性・炎症を起こすような薬剤です。悪性胸水に適応のあるタルク、ピシバニールがよく使われますが、テトラサイクリン系抗菌薬を併用したりもします。


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2017年03月13日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し6・胸水貯留の場合

胸水が貯留した、そういう場面でもドレナージを行います。


胸水は常に産生され、吸収されています。諸説あるようですが、胸水は壁側胸膜の毛細血管由来で、胸腔を通過して壁側ないし臓側胸膜にて吸収されます。その量は数十〜数百mLといわれています。


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胸水の産生が増加した、または吸収が少なくなった、ということで胸水(の異常に多い量の)貯留が起こります。元々健常者でも5〜10mLは貯留しているわけですから、あえて「貯留」というのは、それよりもずいぶん多くて、胸部X線写真やエコーなどで画像的に確認出来る状態のことをいいます。


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胸水でも、心不全や低アルブミンなど、圧力によって滲みだしてくる漏出性胸水は、その圧力を軽減させる治療を優先し、ドレナージは通常行いません。


一方、癌や感染症、結核などの病変があって血管透過性が亢進して出てくる滲出性胸水、特に内科的?(投薬による)治療で改善が期待出来ないような病態ではドレナージを施行します。


細菌性肺炎に随伴する胸水でも、素直な(膿胸のように固まる傾向のない)ものであれば抗菌薬投与で治癒が期待出来ます。また、結核性胸膜炎でも、抗結核薬のみで治ることが多い。こういうものでは必ずしもドレナージ、とはなりません。


感染症でしたら、やはり膿胸。膿胸では抗菌薬の効果が期待しにくく、ドレナージなしでは治療になりません。


肉眼的に胸水が膿性である、とか、pH<7.2、とか、画像で隔壁が見える、ということになりますと、早急にドレナージが必要でしょう。ボヤボヤしているとすぐに隔壁がカチカチになって部屋がたくさん出来てしまい、ドレナージしても部分的にしか水が抜けない、ということになります。


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ドレナージでうまく胸水が抜けない、固まりつつある状態では、胸腔鏡によってフィブリンの膜(壁)を掻爬・洗浄する治療が必要になります。胸腔鏡が出来ない、施設に呼吸器(の手術が出来る)外科医がいない、リスクなど患者さんの状況によってはストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、t-PAといった線維素溶解薬を注入します。


(例)ウロキナーゼ12万単位+生理食塩水100mL 1日1回 3日間

点滴ラインにつないで全開で注入後、2時間程度クランプ、その後開放。


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2017年03月12日

びわこ闘魂外来素案

昨日は闘魂外来・闘魂祭@草津総合病院、として、滋賀県ではじめて闘魂外来が行われる、ということで、臨床研修を少しでも改善させることは出来ないか、ヒントを頂きに行って参りました。


闘魂外来は、ご存じの方はご存じと思いますが、かの徳田安春先生をはじめとして総合診療領域で全国的に有名な先生方が全国で続けておられる、学生さんの学びの場。意識の高い学生さんが集まってこられます。


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どんな感じでされているのか、お話だけは伝え聞いておりましたが、やはり百聞は一見にしかず、参加してたくさんの発見がありました。


もちろん昨日の参加者の皆さんは勉強意欲の高い学生さんが多かったわけですが、やりようによっては、大学で展開し、すべての学生さんに学んでもらうことは問題なく出来そうです。以下、備忘のため、今日の学び、考えたこと、参加されていた先生方とお話ししていて気付いたこと、教えて頂いたことなどをごちゃ混ぜに記しておきたいと思います。



・初診外来は学びの宝庫。


・やってみさせる、に勝る教育はない。全部やらせることに意味がある。そして行った医療行為の根拠を学習させると学びが深まる。


・実は今滋賀医大の呼吸器内科でやっている臨床実習は、途中まで闘魂外来であった。処方までさせるのはどうかと思っていたが、教員次第で処方も可能である。


・屋根瓦式、では研修医にも学びが多い。研修医の教育も同時に行うことが可能である。


・運営する教員のスキルがかなり重要。形だけの『指導医講習会』より、1回の闘魂外来参加が望ましい。


・これが臨床実習で成立するためには、4年生までに臨床推論の学びを終わらせておく必要がある。ということは例えば滋賀医大だと、カリキュラムの全面見直しが必要だろう。たぶん現状のカリキュラムでは学生に1からすべてやらせるのは無理がありそう。


・逆に、1年、2年でも1度でもこういう場を経験しておくと、勉強のモチベーションを保てるであろう。どんどんアーリーエクスポージャーをやるべきだが、そのシステム作りが大変重要。カリキュラムを作る側は、相当の覚悟をもってカリキュラムを作成するべき。


・M先生の曰く「滋賀医は関西の、イヤ日本の医学部を見渡しても教育熱心なスタッフが揃っている。」たいへん励みになるお言葉を頂きました。


・このような「教育効果抜群の外来」は、学生さんや研修医にとっては魅力的な勉強の場となる。例えば研修医のリクルートには大変有効であろう。


・しかしながら、忙しい、患者さんをたくさん診なくてはならない外来では成り立たない。1症例あたり1〜2時間必要である。従前の外来をこなしながらやるのは不可能。外来医に加えて、教育専用教員を配置する必要がある。4月から滋賀医大に出来るという「教育医長」は、その役割を担えるのか。たぶん無理。


・大学で行うのは、科の間の壁が結構問題になりそう。手っ取り早くは科の中で臨床実習を置き換えることだが、厚生労働省、あるいは世間の求める「総合力」を培うには、科の壁を越えた体制作りが必要であろう。


・また、大学だと症例の偏りなどが問題となる。そういう意味では一般病院で、ある程度教員に余裕があり、教育に理解のあるところ。症例の豊富なところに、大学教員を派遣して行うのが現実的かもしれない。


・ということで、滋賀医大の関連でいうと、東近江総合医療センターやJCHO滋賀病院が候補になるだろう。総合内科外来に週1回でも教育専用教員の配置、学びカンファレンス開催などを行えば、魅力的な学びの場が出来るような気がする。


今回講師をお勤め頂いた徳田先生、平島先生、松本先生、北先生、主催頂いた草津総合病院の島田先生、スタッフの皆様方、ご参加の松下先生や西澤先生、そして今回闘魂外来の企画運営をして下さった山本さん、お世話になり本当にありがとうございました!今後ともよろしくお願い申し上げます。



楽しそうな闘魂外来を中座しまして、その後神戸で開催された、兵庫県保険医協会 第526回診療内容向上研究会にて、「胸部X線ルネッサンス」のお話をさせて頂きました。


やはり先生方、胸部X線写真に関してはいろいろとお悩みのことが多いようで、ここ最近にない多数の参加を頂いたそうです。公演後の質疑応答も、なかなか大変な盛り上がりで、ありがたかったです。


お招き頂いた広川先生、ご司会を頂いた清水先生、ご参加頂いた先生方、境様はじめ運営スタッフの皆様方、お世話になり本当にありがとうございました!今後ともよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 15:12 | Comment(0) | 活動報告

2017年03月11日

平成28年度滋賀医科大学ベストティーチャー賞を受賞しました

昨日は平成28年度、滋賀医科大学の卒業式でした。ご卒業の皆さんはおめでとうございます。みんな国試受かっているといいなあ。


そして同日、学位授与式が行われました。当科のF先生、そしてH先生の2名が、奮闘の末論文をイイ雑誌に掲載され、無事に学位を取得されました。めでたい!


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それから私事ですが、平成25年度に引き続きまして、平成28年度滋賀医科大学のベストティーチャー賞を受賞いたしました。
http://www.shiga-med.ac.jp/photo/170310_2.html


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ベストティーチャー賞の受賞は、それ自体大変ありがたいことではありますが、じゃあ平成26年度、27年度はベストなティーチャーではなかったんかい、という素朴な(ひねくれた?)疑問が湧いてきます。それで問い合わせをしたところ、いくつかのルールが判明しました。


○ ベストティーチャー賞は教授・准教授・講師・学内講師から選ばれる

助教は教員扱いされていないのか、って疑問がありますが…。いずれにしてもそのため、平成25年度以前は私には資格がなかったわけです。


○ 平成26年度以前、ベストティーチャー賞が選ばれる講座は持ち回り制?であった。

詳しくはわかりませんが、基礎学・基礎医学、臨床医学、看護学の講座の持ち回りであったようです。ある年は臨床医学講座から1名、次の年は看護学講座から1名…という感じ。ちなみに平成25年度は臨床医学講座の私、平成26年度は看護学講座から選ばれています。持ち回りですから一度選ばれるとしばらく回ってこないわけです。でも…


○ 平成27年度からは基礎学、基礎医学、臨床医学、看護学からそれぞれ1名選出、となった。

なぜか理由はサッパリわかりませんが、突然受賞人数が増えました。じゃあ早速受賞できるのかと思いきや…


○ 2年(2回)連続での選出はしない。

理由はよくわかりませんが、同じ人ばかりだと他の人のモチベーションがアレだからでしょうか。よくわかりません。


まあ、とのことで、平成26年度は看護学だったので受賞見送り、平成27年度は2回連続になるので受賞見送り、今年の受賞となった模様です。でも昨年度の授業評価をみると、自由記述のところのポジティブな意見、全教員に対する意見のうち過半数が私のものでしたので、昨年もたぶんベストのはずだと思い込んでおきます。(^o^)

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2017年03月10日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し5・気胸の胸膜癒着術

自己血注入に対して、一般的に「癒着術」といわれているものは、意味合いが異なります。読んで字のごとく、壁側胸膜と臓側胸膜を物理的に癒着させてはがれないようにすることで、縮んだ肺をふくらませた状態に保とう、という考え方です。


自己血注入は孔をカサブタで塞ぐ、という発想ですが…


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癒着術は壁側胸膜と臓側胸膜をのり付けすると理解して頂くといいでしょう。


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癒着術に使う糊は、実際の糊というよりは、刺激性・炎症を起こすような薬剤がよく使われます。それゆえに施行後疼痛や発熱は必発で、薬剤の注入前にキシロカインを入れて疼痛を軽減する試みが行われています。


気胸のときに使用する薬剤は、テトラサイクリン系抗菌薬(ミノサイクリンなど)が中心です。タルクなど、より成功率が高いといわれているものは悪性胸水、癌性胸水にしか適応がありません。最近では50%ブドウ糖やポビドンヨードの報告がありますが、まだ一般的とは言えません。


ウチでやっている具体的な手順は以下の通りです。この手順にも様々な流儀があるようです。逆に言うと、決定的なエビデンスがなにもない、ということです。


@ 1%キシロカイン10〜20mLをドレナージチューブから胸腔に注入します。


A ミノマイシンレジスタードマーク100mg〜200mg+生理食塩水100mLを点滴ラインにつなぎ、ドレナージチューブから胸腔に注入します。


B チューブのクランプを行います。固めるのが目的なので、自己血のように薬剤は動かしません。


C 2時間待ちます。その間一般的には体位変換をすることが多いです。決まったものはありませんが、仰臥位〜右下側臥位〜腹臥位〜左下側臥位、のように4方向で1時間、てな感じがわかりやすいです。


D 2時間経過したら、クランプを解除し−15cmH2Oで吸引を開始します。チューブの閉塞がしばしば起こりますので、肺の虚脱がないか、適宜確認します。チューブが閉塞したら肺の虚脱がないか、胸部X線写真で確認します。


E エアリークが止まり、肺の再膨張が得られたら成功です。


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2017年03月09日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し4・気胸のときの自己血注入・実際の手順

自己血注入のやり方といってもいくつか流儀があるようですが、ウチでやっているのはこんな感じです。参考までにご紹介します。下の文献の方法に則っています。
Autologous "blood patch" pleurodesis for persistent pulmonary air leak.
Dumire R, Crabbe MM, Mappin FG, Fontenelle LJ.
Chest. 1992 Jan;101(1):64-6.


@ 患者さんから静脈採血します。


A その血液をそのままドレナージチューブから胸腔に注入します。


B 血液がチューブ内で凝固しチューブが閉塞するのを防止するために、チューブの途中を身体から60cm程度の高さに持ち上げて保持します。このとき、チューブのクランプは行いません。クランプする流派もあるようですが、クランプしたら固まりやすいという意見もあります。水封にしておくことで、血液はチューブ内を(呼吸に合わせて)行ったり来たりしますが、60cmの高低差は乗り越えられず、排出はされません。


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C 2時間待ちます。その間一般的には体位変換をすることが多いです。決まったものはありませんが、仰臥位〜右下側臥位〜腹臥位〜左下側臥位、のように4方向で1時間、てな感じがわかりやすいです。


D 2時間経過したら、クランプを解除し−15cmH2Oで吸引を開始します。チューブの閉塞がしばしば起こりますので、肺の虚脱がないか、適宜確認します。チューブが閉塞したら肺の虚脱がないか、胸部X線写真で確認します。


E エアリークが止まり、肺の再膨張が得られたら成功です。


F 1回でエアリークが止まらなくても、何度も繰り返すことが出来るのがこれのいいところ。また@から繰り返します。採血しすぎて貧血にならないよう注意して下さい。


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2017年03月08日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し3・気胸のときの胸腔ドレナージ

孔は塞がっても、肺外(胸腔内)には空気が残っています。この空気は、なかなか吸収されていかないので、肺はずっと縮んだ状態になります。このままでは具合が悪いので、肺外の空気を抜くために胸腔ドレナージを行うのです。


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もし完璧に孔が塞がっていれば、その時点でそこに存在する空気を抜いてしまえばいいわけで、ドレナージチューブを留置せず脱気だけでもいいはずです。しかし孔が塞がっていなければ、再び肺から空気漏れが起こるでしょう。ドレナージチューブを留置しチェストドレーンバックなどにつなぐことで、孔があい(て、エアリークが出)ているかどうかが確認出来ます。管理しやすい、ということでドレナージチューブを挿入されることが多いようです。


ちなみに、通常患者さんは昼間立位、ないし坐位が多いので、肺は重みで下がつぶれ、肺尖部に空気が残っていることが多いものです。ですから、ドレナージの先端は肺尖にあるべきですね。


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エアリークがなくなったら胸部X線写真を撮り、再膨張を確認してクランプし、虚脱のないことを確認して抜去、というのが、通常なされている手順でしょう。


さてそれでは、なかなか孔が閉じない(=エアリークが止まらない)ときにはどうするか。確実なのは手術でしょう。昨今では胸腔鏡下で侵襲も少なく、孔のある場所ごと肺を切り取る手術が行われています。若くてリスクの少ない症例ではまず手術が選択されます。


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しかしこれが高齢者、特に喫煙者でCOPDがあり、肺機能が不良で手術にはリスクが高い、てな場合、よく行われているのはまず自己血注入です。


これは患者さん自身の血液を注射器で抜いて、そのままドレナージチューブから注入するもので、合併症の危険が少なく比較的気軽?に出来ますので結構普及しているようです。原理としては、血液が凝固してカサブタができ、それで孔を塞ぐことを期待するわけです。ですから、厳密な意味では「癒着術」とは少し違います。


効果としてはビシッと治る、というものではありませんが、1回よりも複数回行う方が成功率が高い、50mLよりも100mLの方が成功率が高いなどとされています。リスクの高い方でも合併症の危険が少ない、というのはありがたいものです。


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2017年03月07日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し2・気胸の機序

「気胸のときに胸腔ドレナージを入れる、で、肺がふくらんだらクランプして、それから抜去する」
「なかなかリークが止まらなかったら、まず癒着術をする」


これは正解でしょうか?微妙ですね…。


気胸とはどのような状態で、何のためにドレナージをしているのか、癒着術とは何をしているのか、それをご理解頂ければ、きっと間違いも生じないはず。




気胸とは、臓側胸膜、ないしは壁側胸膜(+胸壁)に孔があいて、空気が胸腔内に侵入したことを指します。通常言われる「自然気胸」は前者で、外傷や医原性に起こる気胸は後者が多いです。後者を、機序の違いを強調して「外気胸」と呼ぶこともあります。


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通常、壁側胸膜と臓側胸膜とはピッタリくっついていて、間には空気はなく真空状態です。ピッタリくっついた状態では動きが制限されますので、ツルツル動けるように間に少量の胸水が存在して、潤滑油の働きをしています。胸水の量は5〜10mL程度といわれています。


臓側胸膜に孔があいて、空気が肺から胸腔内に漏れてくるのが自然気胸。


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壁側胸膜(+胸壁)に孔があいて、空気が胸腔内に入ったものが外気胸です。


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で、気胸の治療とは何をしているのか。ドレナージにはどういう効果があるのか。


それは簡単ですね。胸腔内に入った空気を抜く、ということです。自然気胸の場合、空気が抜けることで肺がしぼみます。しぼむと肺に空いた孔も小さくなり、塞がってきます。多くのケースでは、こうして自然と孔は塞がるのです。


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2017年03月06日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・これでよかった?胸腔ドレナージ学び直し

非専門医の先生方に(専門医の先生方も?)誤解されていることが多いように感じられる事項の1つに、胸腔ドレナージとそれにまつわる手技、処置があります。


看護師さんのセミナーをやっていて、ご質問を頂くことが多いのが、「うちのドクターはドレナージのときにこんな指示を出すのですが、これでいいのですか?」というもの。


非専門の先生方ならある程度のところは我流でされるのもやむを得ないのかもしれませんが、明らかに間違ったことをされていると、看護師さんはじめコメディカルスタッフの皆さんが困ってしまいます。


そこで、間違いやすいところを中心に、改めて胸腔ドレナージにまつわる手技、処置の説明をしておきたいと思います。


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2017年03月05日

講義・実習中のスマートフォン等の使用に関するFD・SD研修会

で、このタイミングで、表記のFD・SD研修会が開催されました。タイトルだけ見ると、講義や実習に如何に上手にスマホを使わせるか、そういう研修か?と思いましたが、全く違って、「講義や実習中にスマホを使っている学生にどう対応しているか、著作権などの対応について」などの話でした。


講義や実習中にスマホを禁止しているかどうか、とか、なかなか今さら感のある話題のようにも思えますが(ガラケーのおまえが言うな、という感じですが…)、教員や学生のアンケート、著作権などについての情報提供が中心で、最後にパラパラと意見が出て…という研修会でしたが、所々、興味深いお話もありました。


学生が講義中にスマホで撮影をするのは、配付資料が貧弱で読めない、白黒でわかりにくいから、もっとちゃんとした資料を配って欲しい、という意見。他にも学生アンケートを見ていて、以前にも書いた「サービスを与えられることに慣れきっている世代」という言葉を思い出しましたね。


教員からは、高校生じゃないんだから、何でもかんでも与えられるのを待っているのではなく、自分で調べて問題解決すべき、という意見。まあ、学生は単に、スライドで見せたものは全部手に入れておきたい、というだけの動機だと思うんですけど…。


それに「自分で調べて」というんだったら、その場でスマホやタブレットで調べるのはいいのか、ということも思いますし…。


教員側のアンケートで思ったのは、「学生が講義・実習中にスマホを使う、ということに対する教員の足並み、考え方、バラバラですね〜」ということ。ダブルスタンダードどころじゃありません。傾向としては看護学の教員は禁止とか、厳しい傾向。学生の問題なのか、教員の考えなのか…まあ、大学ですし無理にそろえる必要はないでしょうが、基本的な方針ぐらいは統一しておく方がいいのでは、と思いますけど。


改めてこういう調査を見ると、世代間の認識の差が浮き彫りとなって、けっこう興味深いものでした。大学としては、いわゆるメディアリテラシーというべき「常識」についての情報提供は定期的に行うべきで、この線を越えてはならない、というところ、実際の事例と、それがどういう罪になるか、問題になるか、を教えることは必須であるけれども、それ以外は若い人の自由な発想に任せるべきではないかな、と思いました。





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posted by 長尾大志 at 22:05 | Comment(0) | 日記

2017年03月04日

スマホデビュー(苦笑)

今日のお話は、全くしょうもないお話なので、よほど私に興味がある(笑)という方だけお読みください。


これまでもちょいちょい匂わせてはいたかもしれませんが、未だに私はガラケーを使っています。まあ、何というか、時代についていけないというのが半分、スマホに人生を支配されるのを良しとしない、という反骨の意味が半分、もったいない、というのが半分、既に合計は1を超えましたが、ともかくこれまでも、けっこう時代の流れに抗ってきていて、まあ今回もごお多分に漏れず…まあきっかけもなく、ズルズルときていたわけです。


ですからfacebookのメッセージにも反応が遅かったり、写真のupも遅かったり、ブログに「今日の出来事」を写真付きでupするのも遅かったり、とまあ全てが遅かったわけです。


どこかに出張の時にも、デジカメを忘れることがしばしばあり、そうなるともう画像が残らない。ちょっと残念な想いをしていたりもしました。まあ、スマホの役割はそれだけでなくいろいろある。よくわかりませんけど。


近頃はスマホを使った学習法もあり、いよいよ自分でスマホを使ってみないと、今の学生さんの気持ちもわからなさそうだ、と思うに至りました。


最近は妻から「友だちはみんなLineを使ってて、私だけメールで連絡、いつも申し訳ない」なーんて、中学生の娘みたいなセリフでねだられていて、とうとうスマホに替えることになってしまいました。またこれも選択肢が多すぎて、悩みまくりましたが、とりあえず今日で申込は完了し、あとは端末が来るのを待つばかり。決めてしまえば、やってくるのが楽しみだったりしますね…。

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posted by 長尾大志 at 20:55 | Comment(0) | 日記

2017年03月03日

第111回医師国家試験問題解説・突然の呼吸困難シリーズ

A35
69歳の女性.呼吸困難と胸痛とを主訴に来院した.1時間前から突然,呼吸困難と胸痛が出現した.様子をみていたが,30分以上症状が軽快しないため来院した.既往歴に特記すべきことはない.自宅の修繕のため,ここ数日は夜間に自家用車の中で睡眠をとっていた.身長155cm,体重76kg.体温36.0℃.脈拍104/分,整.血圧110/80mmHg.呼吸数22/分.SpO2 91%(room air).心音と呼吸音とに異常を認めない.胸部に圧痛を認めない.症状の呼吸性変動を認めない.胸部X線写真で異常を認めない.心電図で洞性頻脈を認めるが他に異常を認めない.
この患者の診断に有用性が低いのはどれか.
a DLCO
b 心エコー
c Dダイマー
d 胸部造影CT
e 動脈血ガス分析


こちら、震災の後にトピック的に出題されていたりしましたが、既に定番となったのでしょうか。突然の呼吸困難と胸痛⇒破れた詰まった捻れた、自家用車の中での睡眠、低酸素と頻呼吸と頻脈、胸部X線写真で異常なし、と、診断は肺血栓塞栓症で間違いなさそうです。


今回は診断に使われる検査のうち、有用性が低いものを問うています。診断に使われるものはどれか、胸部造影CT、はもう食傷気味?ということでしょうか。知識として有用性が低いものを知らなくても、病態と検査を理解していればわかる、ということで、このブログを読まれている方ならどうということはないでしょう。


肺血栓塞栓症は肺動脈内に血栓・塞栓ができて、血流が途絶え、そのエリアの換気と血流がミスマッチを起こす、そのための低酸素血症です。急に右心系(肺静脈系)の一部の血管が詰まるわけですから、流れが悪くなって右室なんかが張ってきます。血栓ができることでDダイマーが上昇し、低酸素刺激で過換気になり、PaCO2が低下します。


…これらのことを検出するための検査は有用性が高く、あまり関係のない機序である拡散障害を調べても有用ではない、ということになります。正解はaかと。


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2017年03月02日

第111回医師国家試験問題解説・発作の治療

I73
26歳の女性.呼吸困難を主訴に来院した.1週間前に咽頭痛,鼻汁および微熱が出現した.その後解熱したが本日の午前2時ごろから呼吸困難が著明となったため午前4時に救急外来を受診した.小児期に気管支喘息と診断されたが中学生時に寛解している.呼吸困難はみられるが会話はかろうじて可能である.SpO2 89%(room air).両側の胸部全体にwheezesを聴取する.酸素投与を開始し,末梢静脈路を確保した.
直ちに行うべき治療はどれか.2つ選べ.
a 抗菌薬点滴静注
b 副腎皮質ステロイド吸入
c アミノフィリン点滴静注
d 短時間作用性β2刺激薬吸入
e ロイコトリエン受容体拮抗薬内服


これ、パッと見たところでは、「ああ、いつものアレね」と、あまり問題がないように見えたのですが…選択肢を見て驚きました。



診断については、若年の女性、上気道症状後の呼吸困難、夜間の発作性の症状、小児喘息〜寛解の既往、wheezesの聴取、と揃っていて、喘息発作であることは間違いありません。


それでは、喘息発作の治療は…まずβ刺激薬の吸入、次に全身ステロイド投与ですね。じゃあ、選択肢は、dと…ん?b 副腎皮質ステロイド「吸入」?点滴じゃないのか…そうです。ないんです、全身ステロイド。


これまでと傾向を変えるためとはいえ、重要な治療のチョイスを選択肢から省くというのはいかがなものかと思いますね。替わりに選択するとしたら、c アミノフィリン点滴静注しかありませんが、最近あまりアミノフィリン系は現場では使われていない印象がありますから、現場をよくみている人ほど、指導医から「最近はアミノフィリンを使わないからね〜」なんて言われた、そのセリフが頭に残っていて、間違える可能性があるのではないか、そう危惧します。


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2017年03月01日

第111回医師国家試験問題解説・誤嚥性肺炎の原因微生物

I4
誤嚥性肺炎の原因微生物として頻度が高いのはどれか.
a 腸球菌属
b 放線菌属
c Candida属
d 連鎖球菌属
e Pseudomonas


おお、誤嚥性肺炎の原因微生物ですか。なかなか物議を醸しそうな出題ですね。


なぜか。「諸説あり」だからです。出題されたのはどなたでしょうか…。そもそも誤嚥性肺炎は、口腔内にいる菌が肺に誤嚥されて発症する、とされていて、その原因微生物としては口腔内由来の菌、ということになっています。


それでこれまでは口腔内常在菌、嫌気性菌が多い、とされていましたが、実際嫌気性菌は培養で生えませんので確認が難しく、また、施設間でも検出頻度に差がある。そういうこともあって、「誤嚥性肺炎の原因菌としては○○菌が多い」という全国的、あるいは世界的な統一見解はないのではないかと思います。


で、まず選択肢には嫌気性菌が含まれていない。腸球菌は嫌気性といえばそうですが、一般的にそういう分類ではない。誤嚥性肺炎を起こす嫌気性菌とされるバクテロイデスやプレボテラがない。また、院内発症のHCAPで多いとされたPseudomonasが選択肢に入っている…と、何を答えさせたいのか、今ひとつ見えてこないのですね…。


口腔内常在菌として有名なStreptococcus anginosus group(Streptococcus milleri group)、それに、誤嚥性肺炎でもやはり多いといわれている肺炎球菌が一応Streptococcus属、ということで、回答はdだと思うのですが…。なんかスッキリしません。


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2017年02月28日

第111回医師国家試験問題解説・身体診察を疎かにする事なかれ2

H37〜38
次の文を読み,37,38の問いに答えよ.
26歳の男性.左胸痛と息苦しさとを主訴に来院した.
現病歴:昼ごろに咳き込んだ際,左胸痛が出現した.しばらく様子をみていたが改善せず,呼吸困難も出現したため夜間救急外来を家族とともに受診した.
既往歴:16歳時に右側,18歳時に左側で同様の症状のため通院.
生活歴:会社員.独身.両親と同居.喫煙は15本/日を5年間.飲酒は機会飲酒.
家族歴:特記すべきことはない.
現症:意識は清明.身長172cm,体重52kg.体温36.9℃.脈拍84/分,整.血圧112/76mmHg.呼吸数16/分.SpO2 94%(room air).皮膚と口腔内は乾燥している.眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.頸静脈の怒張を認めない.頸部リンパ節を触知しない.心音に異常を認めない.呼吸時に胸郭の動きに左右差を認める.呼吸音は左側で減弱しているが,副雑音は聴取しない.左胸部の打診は鼓音を呈している.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.下腿に浮腫を認めない.
検査所見:血液所見:赤血球480万,Hb 15.5g/dL,Ht 47%,白血球8,400(桿状核好中球30%,分葉核好中球45%,好酸球1%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球17%),血小板23万.血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL,アルブミン4.7g/dL,総ビリルビン0.3mg/dL,AST 20U/L,ALT 18U/L,LD 195U/L(基準176〜353),ALP 189U/L(基準115〜359),クレアチニン0.6mg/dL,Na 137mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 97mEq/L.CRP 0.3mg/dL.動脈血ガス分析(room air):pH 7.41,PaCO2 39Torr,PaO2 62Torr,HCO3− 24mEq/L.


H37
立位で胸部X線撮影を行った.
想定される所見はどれか.
a 左肺野多発腫瘤影
b 左肺野浸潤影
c 左肋骨骨折
d 左肺虚脱
e 胸水貯留



こちらも、身体診察を使う問題です。まあでも昼ごろに咳き込んだ際(ピンポイント)、左胸痛が出現した、ということで、発症様式が特徴的である点、16歳時に「右側」、18歳時に「左側」で同様の症状、と、「側」のある病態である点から、診断としてはわかってしまうわけですが。


一応診察上は、呼吸時に胸郭の動きに左右差を認め、呼吸音は左側で減弱しているが副雑音は聴取せず、左胸部の打診は鼓音を呈している、ということで気胸は間違いないでしょう。


選択肢がちょっといやらしいですが、気胸は胸部X線撮影でd肺の虚脱所見が見られます。



H38
胸部X線写真を確認して初期対応を行い入院となった.
この患者に手術を勧める根拠となるのはどれか.
a SpO2
b 既往歴
c 喫煙歴
d 性別
e 年齢


まあこれは知識の問題です。b既往として気胸を繰り返す場合には手術適応です。


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2017年02月27日

第111回医師国家試験問題解説・身体診察を疎かにする事なかれ

もう少しだけ、国試問題の解説を続けます。


H28
62歳の男性.呼吸困難を主訴に来院した.1ヵ月前に呼吸困難が出現し,増強してきた.喫煙は30本/日を40年間.体温36.4℃.脈拍104/分,整.血圧132/86mmHg.呼吸数24/分.SpO2 92%(room air).心音に異常を認めない.呼吸時に胸郭の動きに左右差を認める.左胸部の打診は濁音を呈し,聴診では左肺の呼吸音が減弱している.
考えられるのはどれか.
a 気胸
b 肺炎
c 肺気腫
d 無気肺
e 肺塞栓


イヤ臨床実習の学生さんを見ていて、身体診察に対する「温度差」みたいなものを感じているんですよ。熱心な人は積極的に練習してみるんだけれど、なんか事務的に、「形だけ出来てりゃいいんでしょ」みたいな人もいる。


これって、OSCEとかで、「形さえ出来てりゃ合格」という教育がなされているからではないか、と思ったりするわけです。それと、ひょっとしたら他科では身体診察をちゃんとやらせてもらっていないのでは?という穿った見方も出来たりして。


自分の学生時代のことは棚に上げて、この状況はいかがなものか、と思いますが、考えてみれば自分の学生時代も、身体診察のことなんてこれっぽっちも習っていなかったような。誰にも教えてもらわずに、興味なんて生まれるわけがないですよね。


呼吸器内科では幸い、身体診察の所見がいろいろあって、しかもある程度(胸部X線写真などを使って)答え合わせが出来る、という恵まれた状況だと思うのですね。それで、学生さんに興味を持ってもらうべく、いろいろやってみるのですけど…このように国家試験にもでる、となれば、もう少しきちんと所見をとる、という方向に目を向けてもらえないかなー、と期待しています。


本症例では胸郭の動きに左右差を認め、左胸部の打診で濁音、聴診で左肺呼吸音が減弱…ということで、左胸郭内の含気が低下して肺が動いていない様子がわかります。選択肢ではb肺炎、が若干紛らわしいですが、1ヶ月前からの慢性経過なので否定的と考えてよいでしょう。正解はd。


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2017年02月26日

第24回びわこ臨床研修ネットワーク学術講演会に参加してきました。

昨日は第24回びわこ臨床研修ネットワーク学術講演会@ピアザ淡海に参加してきました。こちらは滋賀県の病院協会、まあ研修病院の集まりみたいなところが主催されている、県下で研修している先生方と指導医の先生方との集いです。


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ピアザ淡海から見る琵琶湖の眺望はいつも落ち着きます。すっかり滋賀県民。


初期研修医2年目のU先生に、「アレルギー性気管支肺真菌症治療中に突然の血小板減少を来たし、診断に苦慮した一例」を発表していただきました。まあ、本当の意味でいろいろ苦慮した一例です(汗)。


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国立病院機構 東近江総合医療センターのT先生をはじめ、数件のご質問を頂きましたが、全く私たちの出る幕なく、しっかりと答えておられたのが印象的でした。よかったよかった。


県と県下の病院が連携して、研修医の先生やその他の先生方を呼び込んでいるところがうらやましいところですが、この会のように、県下の病院間での連携もされているわけで、もっと発展するといいのに、との思いを強くしました。

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posted by 長尾大志 at 20:26 | Comment(0) | 日記

2017年02月25日

京都医療センターの会(呼吸器合同カンファレンス)に参加して参りました。

昨日は、表記の会(正式名称はよくわかりません…汗)に、初めて参加させていただきました。


iryousenta.JPG


こちらは、京都南部にある呼吸器内科のある病院の先生方が、症例を提示、ディスカッションを行う、という趣旨の会で、音羽病院の土谷先生にご紹介いただいたものです。


京都医療センターの三尾先生には京都大学でお世話になって以来の再会、その他、滋賀医大出身の外科の先生にもお目にかかったり、懐かしい顔ぶれに、タイムスリップをしたようでした。


やっぱり、他施設の先生方と顔を合わせていろいろお話をする、という機会はいいものだ、と再確認。


できればこれからも参加したいところですし、滋賀でもこういう会ができれば、という思いを新たにしました。

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posted by 長尾大志 at 20:40 | Comment(2) | 日記

2017年02月24日

第111回医師国家試験問題解説・睡眠時無呼吸症候群+α

D58
52歳の女性.就寝中に呼吸が止まるのを夫に指摘されて来院した.3ヵ月前から動悸と昼間の眠気とを感じている.4ヵ月前からうつ病で内服治療中である.喫煙は10本/日を30年間.飲酒はビール1,000mL/日を20年間.身長161cm,体重78kg.脈拍76/分,整.血圧156/104mmHg.心音と呼吸音とに異常を認めない.簡易モニター検査後のポリソムノグラフィで無呼吸低呼吸指数は26(基準5未満),無呼吸の最長持続時間は112秒(基準9未満),睡眠中のSpO2は最低値77%,平均値96%,いびきの回数は428/時間である.
この患者に対する働きかけとして適切なのはどれか.3つ選べ.
a 「禁煙しましょう」
b 「減量手術をしましょう」
c 「飲酒を制限しましょう」
d 「仰向けに寝るようにしましょう」
e 「内服薬の見直しについて相談しましょう」



これも学生さんは困ったかもしれません。新傾向というか現実に即したというか意地悪というか


就寝中に呼吸が止まる、昼間の眠気、ポリソムノグラフィーから、睡眠時無呼吸症候群の診断は問題ないでしょう。問題はココから。


おそらく出題者の意図としては、「睡眠時無呼吸症候群=○○、みたいな問題は出さないゾ」ということなのでしょうが…狙い過ぎか。


その他の状況として、喫煙、大量の飲酒、うつ病の内服治療、肥満傾向(BMI30)があります。ってことで、「全人的にみる視点を学生も持っておくように」みたいな意図があるのでしょうかね。


さて選択肢をみますと、c「飲酒を制限しましょう」飲酒は睡眠時無呼吸症候群のリスクとなりますし、e「内服薬の見直しについて相談しましょう」うつ病の内服薬もリスク。d「仰向けに寝るようにしましょう」仰向けは気道の閉塞につながりますから×ですね。


問題は残る2つですが、国試的にはb減量手術なんつー大げさな治療を積極的に勧めるのは、よほどの根拠がないと…BMIたかだか30ですから、アウト、って感じでいいのかもしれませんが、a禁煙、これだって、別に睡眠時無呼吸症候群のリスクとは言えない。と言えれば言えるわけで、「ん?」という感じです。


まあおそらく、「この患者さんに対する働きかけとして」という文言から、「睡眠時無呼吸症候群だけでなく、この患者さんの有する病態に対しての働きかけ」という意味合いと取れば、禁煙でよかろうとなるように思いますが。


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2017年02月23日

第111回医師国家試験問題解説・ポリソムノグラフィ

そして、医師国家試験に戻りましょう。


B9
ポリソムノグラフィに含まれないのはどれか.
a 脳波
b 血圧
c 筋電図
d 心電図
e SpO2



これ、どう思われますか?ポリソムノグラフィに必須の項目、といえば、脳波、筋電図、SpO2でしょう。これは間違いない。


あとは血圧か心電図…まあ、血圧測定は刺激になりますから、心電図のところが多いか…でも血圧測定しているところもあるけど…苦しい選択。


「含まれない」という表現も紛らわしい。必須の、ということであればbもdもSASの診断に必須とは言えません。でも循環動態をモニターするために通常は測定します。だったら血圧も含んでもよい、と言えるでしょう。無理やり感はありますが、どちらか、問われたらbかなあと思います。


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