2017年12月12日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)4

E. カルバペネム系

肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)のみならず、嫌気性菌、緑膿菌、ESBL産生菌にまで広く効果がありますが、細胞壁を持たない病原体(非定型病原体)には効果がありません。特に緑膿菌、ESBL産生菌など、カルバペネムでないと困る、という場面がしばしばありますので、心ある臨床医はできるだけ耐性菌を作らないよう大切に使おう、出し惜しみしようと心がけています。



薬剤紹介

  • イミペネム・シラスタチン(IPM/CS)

  • メロペネム(MEPM)

  • ドリペネム(DRPM)

  • ビアペネム(BIPM)

  • パニペネム・ベタミプロン(PAPM/BP)



*パニペネム・ベタミプロン(PAPM/BP:カルベニン)は、グラム陽性球菌、嫌気性菌に対しては強いのですが、緑膿菌については他のペネムよりも明らかに弱いとされているので、注意が必要です。



F. アミノグリコシド系/モノバクタム系

こちらはグラム陰性桿菌専用といっていいでしょう。腎毒性や第8脳神経障害などの副作用があったり、筋注、静注があったり、血中濃度を見たり、米国などで使われている「理想的な」投与量と日本の保険で認められている投与量がずいぶん異なったり、というややこしさゆえに敬遠されることが多く、特に緑膿菌に対しての感受性が保たれていたりします。



薬剤紹介

  • アミカシン(AMK)

  • ゲンタマイシン(GM)

  • トブラマイシン(TOB)

  • イセパマイシン(ISP)

  • アルベカシン(ABK)




モノバクタム系はアミノグリコシド系とよく似た、グラム陰性桿菌(緑膿菌を含む)専用スペクトラムです。今となってはマイナーすぎて、採用しているところは少ないのではないかと思います。



薬剤紹介

アズトレオナム(AZT)


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posted by 長尾大志 at 18:29 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月11日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)3

C. マクロライド系

市中肺炎のうち、マイコプラズマ、クラミジアといった非定型病原体をターゲットとして使われます。非結核性抗酸菌症の治療でも中心的な役割を担います。


その一方で、肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)に対しては、これまでに濫用された結果耐性化が進んでいて、効かなくなってきています。そのため一般細菌感染症には使いにくい。



薬剤紹介

  • クラリスロマイシン(CAM)

  • アジスロマイシン(AZM)




D. キノロン系

広域スペクトラムをもち、かつ深刻な副作用が少ないということで頻用されている抗菌薬ですが、広く使われすぎて耐性化が懸念されています。

また、結核菌や非結核性抗酸菌に対しても中途半端に有効であり、肺結核に対して、キノロンを投与すると一時的に何となく良くるのですね。もちろん治りきらず、そのうち悪化してきて、そこではじめて喀痰検査→肺結核と判明、ということになる、doctor’s delay(医師のところで結核の診断が遅れる)のため周囲に感染が広がってしまいます。



薬剤紹介

経口薬
  • ガレノキサシン(GRNX)

  • モキシフロキサシン(MFLX)

  • レボフロキサシン(LVFX)


キノロン系経口薬には他にもたくさんの種類がありますが、肺炎球菌にちゃんと効く(つまり呼吸器感染症に効く)のは上記の3種類です。これらはレスピラトリーキノロンと呼ばれています。


注射薬
  • シプロフロキサシン(CPFX)

  • パズフロキサシン(PZFX)

  • レボフロキサシン(LVFX)



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posted by 長尾大志 at 15:05 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月10日

北部研修医ネットワークで、血ガスと胸部写真のお話

昨日は京都の北部研修医ネットワーク(京都府北部にある研修病院で研修されている研修医の先生方の勉強会)@福知山市民病院で、血ガスと胸部写真のお話をして参りました。


福知山市民病院と言えば、総合内科の川島 篤志先生が有名ですが、この勉強会は、本当に若手の先生方主導でやっておられるのですね。まずはその運営に感心しました。


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福知山といえば…の、蔵かつサンド!


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まず症例クイズから始まり、グループワークでじゃんじゃん鑑別診断を挙げておられる様子から、「皆さんできる!」ということがわかりましたので、講義というよりも症例問題や画像問題に答えていただく時間をとるようにしました。


その甲斐あってか、まずまず受けた?ように思われます。研修医の皆さん、とっても熱心で、こちらも気合いが入りました。


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「とりなご」の鴨鍋!


長谷部先生はじめ、福知山市民病院研修医の先生方、お招きいただき、ありがとうございました。他の参加された皆さん、盛り上げて頂きありがとうございました!今後ともよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 21:48 | Comment(0) | 活動報告

2017年12月09日

国立病院機構南京都病院さんで、看護師さんと勉強会

木曜日は国立病院機構南京都病院さんにお邪魔して、看護師さんと呼吸の基礎と血ガスの勉強会をさせて頂きました。


メディカ出版さんなどのセミナーとは違って、皆さんたぶん顔見知り、という状況なわけですから、アクティブにやろうかな、と思いまして、問題を多めに準備して、周りの方とガヤガヤご相談頂いて、ご指名して…と思っておりましたが。ご指名のところでやはり緊張感が漂います。で、ちょっと言葉が出てこなかったり、という場面があったりしました。


知っている人ばかりだと、それはそれで「間違えられない」という緊張感を生み、却って答えにくいことがありますよね。それでも多くの看護師さんにいっぱい答えて頂いて、身につく、という意味でも意味があったのかなあ、と考えます。


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南京都病院には、胸部研〜京大OBの先生方がたくさんおられます。今回は坪井先生にお招き頂いたのですが、終了後スタッフの先生方と情報交換?をさせて頂きました。


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なんか久しぶりに、胸部研の頃の話とか、同期や先輩後輩の話とか、話に花が咲きまして、気づいたらすっかり遅くなってしまっていました。同期、同門って、やっぱりいいものですね。


最近なかなかそういう機会がなかったので、すっかり盛り上がってしまったのです。坪井先生、佐藤先生、水口先生、角先生、本当にありがとうございます。また、ご参加頂きました南京都病院の皆様、盛り上げて頂きありがとうございました。


南京都病院は車だと滋賀から結構近いのですね。通勤?できる距離ですし、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 00:06 | Comment(0) | 活動報告

2017年12月08日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)2

B. セフェム系

呼吸器領域では、経口セフェム薬のバイオアベイラビリティがかなりよろしくないので、経口薬を使うことは(理想的には)ほとんどありません。なので記載しません。注射薬はきちんと効きますので、市中肺炎から院内肺炎、医療・介護関連肺炎までも広く使われています。


世代でくくられることも割とありますので、世代ごとにご紹介しますが、第1世代は黄色ブドウ球菌(MSSA)と素直な大腸菌くらいのスペクトラムになるため、肺炎治療で用いられることはあまりありません。


第2世代はスペクトラムを伸ばす方向として2系統あり、弱毒性のグラム陰性桿菌(インフルエンザ菌、モラクセラ)向きのものと嫌気性菌(腸内細菌)向きのものとがあります。いずれも以前は肺炎に頻用されましたが、前者はBLNARに向かず、後者は陰性桿菌にちと弱い、ということで、エンピリックには使いにくいものの、原因菌を絞ることができれば使える薬です。


第3世代も2系統。一つはグラム陽性球菌〜グラム陰性桿菌の耐性菌対策(緑膿菌を除く)。BLNARに効果があるため、誤嚥のない市中肺炎には最強。もう一つは、緑膿菌へスペクトラムを伸ばしましたが、グラム陽性球菌を捨てることになり、MRSA蔓延の原因ともなり、また緑膿菌も耐性を獲得したりして、あまり使われなくなりました。


第4世代は緑膿菌に加えてグラム陽性球菌への活性が強化され(とはいえ、第一世代と同程度あるいは以下)、一般細菌に対してはほぼ万能、となりました。


昨今使われる場面は、発熱を伴う白血球減少症(FN:febrile neutropenia)。原因菌は腸内細菌や緑膿菌ですから、よい適応になります。



薬剤紹介


第1世代セフェム
セファゾリン(CEZ)


第2世代

  • グラム陰性桿菌向け
    セフォチアム(CTM)

  • 嫌気性菌向け
    セフメタゾール(CMZ)



第3世代

  • 緑膿菌に効果なし
    セフトリアキソン(CTRX)

  • 緑膿菌に効果あり
    セフタジジム(CAZ)

  • スルバクタム・セフォペラゾン(SBT/CPZ)スルペラゾン



第4世代

  • セフェピム(CFPM)

  • セフピロム(CPR)

  • セフォゾプラン(CZOP)



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posted by 長尾大志 at 16:12 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月07日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)1

とにかく名称と略称に慣れ親しんでおきましょう。昨今は後発品ばかりですが、後発品の名称は統一されていませんので、一般名のみ記載しておきます。



A. ペニシリン系

上気道の細菌感染症〜市中肺炎のときには出番です。


市中肺炎の原因菌で多いのは肺炎球菌とH.influenzae(インフルエンザ菌)です。肺炎球菌はPCGか緑膿菌に効かない広域ペニシリンを使います。


H.influenzae(インフルエンザ菌)の耐性パターンによって、使い分けがあります。


  • BLNAS :ABPC

  • BLPAR:βラクタマーゼ阻害剤+ABPC配合剤

  • BLNAR、BLPACR:(第3世代)セフェム



緑膿菌に効果がある広域ペニシリンは院内肺炎やNHCAPのとき、重症のときに、カルバペネム的に使われることが多いものです。スペクトラムも似た感じです。



薬剤紹介

ペニシリンの原型
ペニシリンG(PCG)注射薬


広域ペニシリン
  • アンピシリン(ABPC)注射薬

  • アモキシシリン(AMPC)経口薬



緑膿菌に効かない広域ペニシリン+βラクタマーゼ阻害薬
  • スルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)注射薬

  • クラブラン酸・アモキシシリン(CVA/AMPC)経口薬



緑膿菌に効果がある広域ペニシリン
ピペラシリン(PIPC:ペントシリン)


緑膿菌に効果がある広域ペニシリン+βラクタマーゼ阻害薬
タゾバクタム・ピペラシリン(TAZ/PIPC:ゾシン)



今日は夕方、国立病院機構南京都病院さんにお邪魔しますので、時間の関係でここまでとさせて頂きます。南京都病院の皆さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 14:28 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月06日

診察の基本とその意味 バイタルサイン 頸部・胸部診察3

胸部の診察

触診
  • 声音振盪|左右差

  • 皮下気腫

  • 心尖拍動



打診
  • 左右差|低酸素のあるときには必須

  • 濁音界|肺の大きさを知る



聴診
ラ音
  • 連続性ラ音:高調性→wheezes

  •      :低調性→rhonchi

  • 断続性ラ音:粗雑な→coarse crackles

  •      :細かい→fine crackles



聴取される場所、および、聴取される時相:呼気相(初期・終末期)か、吸気相(初期・終末期)か、咳で変化するかを記録する。


wheezesの分類
  • T度(強制呼気時のみ聴取)

  • U度(平静呼気時も聴取)

  • V度(平静呼吸で呼気・吸気とも聴取)

  • W度(呼吸音減弱silent chest)



喘息の増悪を考える際の聴診ポイント
  • wheezesの分類(T〜W度)

  • 呼気時間の長さ(長いと重症)

  • wheezesの高さ(高音は重症)

  • 単音性か多音性か(多音性は重症)

  • 吸気か呼気か(呼気>吸気なら喘息)

  • 場所(頸部のみであれば喘息でない?)



胸膜摩擦音(friction rub)|胸膜炎のときに胸膜が擦れて発生する「ギュウ−」「ガサガサ」みたいな音。呼気と吸気で対称性に聴かれる。


Hamman徴候|心音に連動したクチクチ音:縦隔気腫、左気胸


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posted by 長尾大志 at 19:14 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月05日

診察の基本とその意味 バイタルサイン 頸部・胸部診察2

頸部の診察

視診
  • 頸静脈怒張|緊張性気胸、心タンポナーデ、肺梗塞、上大静脈症候群

  • 気管短縮、胸鎖乳突筋肥厚、吸気時鎖骨上窩や頸静脈の虚脱⇒COPD



触診
  • 頸部〜鎖骨上窩リンパ節

  • 皮下気腫(握雪感)|緊張性気胸、縦隔気腫



胸部の診察

視診
  • 皮疹・着色斑

  • 胸郭変形|ビヤ樽状胸郭、漏斗胸、鳩胸、側彎、胸郭形成術後

  • 呼気の延長、口すぼめ呼吸

  • 呼吸運動の左右差

  • 起座呼吸、逆起座呼吸

  • 心尖拍動が心窩部で見える⇒COPD



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posted by 長尾大志 at 18:11 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月04日

診察の基本とその意味 バイタルサイン 頸部・胸部診察1

■バイタルサイン

  • 体温

  • 血圧

  • 心拍数

  • 呼吸数・SpO2

  • 意識状態

  • 尿量



・体温|36.5±0.5℃
 低体温≦35℃、高熱≧38.5℃


・血圧|臓器障害を伴う低下=ショック
意識レベルや尿量の低下があるか確認する

ショックを起こす病態
S|Sepsis, Steroid|高/低体温、感染
H|Hypovolemic|脈圧縮小、頸静脈虚脱
O|Obstructive|脈圧縮小、頸静脈怒張
C|Cardiogenic|徐脈、不整脈
K|Anaphyractic(k)|


・心拍数|<50徐脈、>100頻脈
脈の不整を確認する
体温39℃なのに110未満⇒比較的徐脈
感染症|腸チフス・パラチフス・サルモネラ・レジオネラ肺炎・マイコプラズマ肺炎・クラミジア・ムンプス・肝炎など
非感染症|薬剤熱・腫瘍熱・脳圧亢進など
徐脈、比較的徐脈のときは内服薬チェック(βブロッカー、Caブロッカー、コリン作動薬)


・呼吸数・SpO2|>20頻呼吸:肺胞病変、肺塞栓、ARDS
脈拍数≒呼吸数✕5
呼吸数が多ければ呼吸器系疾患、脈拍数が多ければ循環器系疾患が多い
呼吸数が異常のときは血液ガスでPaCO2のチェックを。


・意識状態


・尿量


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posted by 長尾大志 at 17:59 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月03日

新章突入へ

昨日の会はいろいろな事情で内容や同席者もここには書けませんが、いろいろと面白い体験ができました。知らない世界をのぞくのは大切ですね。


最近出張では新幹線に校正用原稿を持ち込んで校正三昧、という日々だったのですが、先日送付してからは久しぶりに校正原稿が目の前にない日々、でして、今回は読書タ〜イムといたしました。


何冊か読んだ中で、小山ロールの小山進さん著『丁寧を仕事にする』に書いてあるフレーズが印象的でしたのでご紹介します。


「(前略)…その基礎力のひとつが、『丁寧な力』だ。
これは、むろん持って生まれた性格によるところもあるのだが、社会人になってから十分訓練できる力だと思う。ただし、最初が肝心であり、最初に徹底して身につけないといけない。一度ぬるい仕事のやり方を覚えてしまうと、そこから矯正するのは難しいのだ。(引用ここまで)」


これはもちろんケーキ作りについての記述なのですが、全く同じことがおそらく、どの領域でも言えることで、医師においてもやはり同じなのですね。おそらく最初の、学生実習もそうだし初期研修までの「最初の時期」に、何を見て、どうやるか、ここでの経験がその医師の『丁寧力』を決めるのであろうと思っています。これまでにもそういう考えを持っていましたが、上手く言葉にできないでいました。


大学病院で初期研修をやることのメリットは、やはり何事も「時間を掛けて、丁寧に」できること、だと思うのですね。場所によるとは思いますが、一般的にはスタッフが多く、上級医や専門医に指導の時間がある、という傾向があるわけで、小山さんがおっしゃるとおり、若い時に上級者といっしょに「丁寧に」患者さんをみることは将来の糧になる。やはりそういうところを学生さんに見せていくことが、大学で研修しようという機運につながるのではないか、と思ったり。


特に呼吸器はそういうことをお目にかけるのに適した症例の宝庫であるわけですから、まずは実習でぜひそういう教育をやっていきたいと思いました。ということで早速、明日からウチの実習はまた様変わりします。これまでやらせて頂いていた徳田先生の『闘魂外来』に加え、喜舎場先生の『教育回診』を取り入れさせて頂き、最強の臨床実習を目指していきたいと思っております。お楽しみに!

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2017年12月02日

とある仕事

今日は1日、とある仕事でした。いろいろ面白く、勉強になりました。今書けるのはこのくらいです…。

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posted by 長尾大志 at 22:01 | Comment(0) | 日記

2017年12月01日

病歴聴取 特徴的な病歴、必ず確認すべき事項4

■既往歴

もちろんこれまでにあった既往歴を漏れなく尋ねるのが基本ですが、患者さんも漏れなくパッパッと順序立てて思い出せないこともあるでしょう。少なくとも呼吸器症状を訴える症例では、呼吸器疾患(特に結核、喘息、気胸など繰り返すもの、副鼻腔炎など慢性気道感染、それに胸部手術などの既往は、具体的に病名を出して尋ねるくらいで)、循環器疾患やメタボの既往は、キッチリ有無を確認しておくのがよろしいかと思います。

結核はかつて「口に出すのも縁起が悪い」と、言い換えをされていました。「肺浸潤」「労咳」「肋膜」など、「結核」という言葉を使わずに覚えておられることもあり、「結核がありましたか?」と尋ねても「いいえ」と答えられてしまいますので注意しましょう。

既往がわかったらそれにまつわる服薬中の薬剤を、できればお薬手帳を確認しながら確認しましょう。高齢化、併存症の増加で、ポリファーマシー花盛り。他施設(多施設)に通院されていることも多く、ダブりがないかを含めてこういう機会にチェックしておきたいですね。薬以外に、漢方、サプリメントなども、薬剤性肺障害の原因になっていたりしますのでもれなく聴取します。



■家族歴

一般的に呼吸器疾患は、遺伝性素因が少なめで、家族歴を重視されることは少ないと思いますが、

  • アレルギー性疾患

  • 悪性腫瘍

  • 膠原病

  • 間質性肺炎


などでは遺伝の要素がありますし、呼吸器症状を呈する心疾患では家族歴が大切であったりします。しっかり聴取したいところです。


また、結核はじめ感染症では、血縁がなくても同居家族の罹患や似た症状なども聴取しておく必要があります。ついでですから同居家族の構成もさくっと聞いておくと、後々役に立つことがありますよ。



■生活歴

喫煙歴。もちろん既往も。pack-years(pack years)で
喫煙者の20〜30%はCOPDである。
咳、痰、労作時呼吸困難を訴える患者が喫煙者であったら、COPDの有無を必ず確認する。
喫煙は喘息の悪化因子でもある。間接喫煙であっても刺激になる。
飲酒歴

職業歴 無機粉塵曝露:じん肺、アスベスト肺
有機粉塵が抗原となって生じる、季節性:過敏性肺炎

鳥との接触:過敏性肺炎
ペット飼育:気管支喘息
木造家屋で室内にカビ:夏型過敏性肺炎
加湿器使用:加湿器肺

旅行・海外渡航歴
行った場所:輸入感染症、レジオネラ症
食べたもの:寄生虫
したこと:HIV感染


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posted by 長尾大志 at 18:39 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月30日

病歴聴取 特徴的な病歴、必ず確認すべき事項3

・呼吸困難が主訴のとき

喫煙歴
他の症状が伴うか
・咳・膿性痰・発熱:肺炎
・胸痛…胸膜痛(吸気時に痛い):気胸、胸膜炎などの胸膜疾患、肺梗塞
・蕁麻疹、口周囲の浮腫、消化器症状など:アナフィラキシー
・不安や恐怖感、手足のしびれ:過換気
・激しい喉の痛み、臥位になれない:急性喉頭蓋炎

既往に心疾患はあるか、夜間発作性、起座呼吸:心不全
何らかの物質への曝露、既往:アナフィラキシー、急性好酸球性肺炎(喫煙、煙)
呼吸困難や胸痛は月経と同時期か:子宮内膜症による気胸
深部静脈血栓症の存在、臥床がち、凝固能の亢進状態:肺血栓塞栓症


・胸痛が主訴のとき

痛みのOPQRST|O(Onset):発症様式、P(palliative/provocative):増悪・寛解因子、Q(quality/quantity):症状の性質・強さ、R(region/radiation):場所・放散の有無、S(associated symptom):随伴症状、T(time course):時間経過

ヤバい胸痛かどうか
onsetが急・突然、これまでに経験のない強い痛み、肩や顎・背部・腹部などに放散、移動する、持続が数分以上、意識障害や神経障害を伴う、pinpointでない


・健診異常、自覚症状なしのとき
尋ねるべきことは呼吸器疾患を含め他の疾患の既往歴、アレルギー歴(造影CTなど、各種検査で薬剤を使うため)
過去の健診で異常を指摘されたことがあるか
喫煙歴


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posted by 長尾大志 at 17:31 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月29日

病歴聴取 特徴的な病歴、必ず確認すべき事項2

・咳が主訴のとき

喫煙歴
乾性(痰の産生がない)か、湿性(産生あり)か。
痰があれば色調、膿性か、血痰、喀血。グラム染色や培養を。

初めてのepisodeか、繰り返すものか。
・初めてのepisode、持続性、進行する:感染症、進行性疾患
・繰り返す、on-offがあるもの:アレルギー性疾患

他の症状が伴うか(胸痛、逆流症状…)
・発熱・微熱・夜間盗汗:感染症、炎症性疾患
・胸痛…胸膜痛(吸気時に痛い):胸膜疾患
・逆流症状…胸焼け、食後胃重感、喉頭違和感:胃食道逆流
・強い時間帯 夜間〜朝方:咳喘息、気管支喘息、心不全(起座呼吸、呼吸困難を伴う)
食後:誤嚥
・誘因。姿勢。
温度変化(前日より3℃以上の低下)・湿度変化・気圧変化
運動・過換気
刺激物質(煙草・強い臭気)・アルコール
月経・妊娠
これらで悪化するのは咳喘息・気管支喘息
「横になると咳が出る」
 臥床による:心不全、GERD、後鼻漏(腹臥位で軽快)
布団に入ると出る:温度変化→喘息、夜間→喘息


・血痰・喀血が主訴のとき

出血傾向になる既往歴、服薬歴はあるか:肺胞出血
既往に呼吸器疾患はあるか(特に肺結核、肺非定型抗酸菌症、気管支拡張症)
喀血は月経と同時期か:子宮内膜症
喫煙歴:肺癌
喘息や副鼻腔炎など、頭部の炎症性疾患⇒血痰⇒腎障害:GPA(granulomatosis with polyangiitis:多発血管炎性肉芽腫症)


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posted by 長尾大志 at 17:24 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月28日

病歴聴取 特徴的な病歴、必ず確認すべき事項1

実習や研修では、まず入院患者さんの病歴を聴取することから始まります。病歴は何でもかんでも山ほどとればいい、というものではありません。また、時間は限られていますからあくまでシステマチックに、効率的に、かつ突っ込まれドコロをおさえた病歴聴取をしましょう。


■現病歴

・onsetとtime course

病歴にウルサい(~_~;)指導医が、まず若手に突っ込むところ≒若手が疎かにしがちな病歴は、何といってもここでしょう。症状が書いてあっても「いつから」「どのくらいの期間」「症状が良くなっているのか悪くなっているのか変わらないのか」がない。

急性 数日〜1週間以内
亜急性 数週間〜1ヶ月以内
慢性 1ヶ月以上

定義は症状や症候によっていろいろですが、この程度で覚えておけばいいでしょう。特別扱いは…
突然発症 ○時○分に、○○をしているときに、突然に、などのワードが得られたときに考える この場合は緊急事態(詰まった、破れた、裂けた、捻れた…)

それと、受診までに他院や外来で検査や投薬を受けている場合、「検査結果がどうであったか」「投薬で症状がどうなったか」は重要な情報ですが、「前医での『診断』がどうであったか」はあまり重要ではありません。むしろ前医でうまくいっていないからこっちに来た可能性が高いわけで、余計な情報に判断が引っ張られる危険性もあり、確定していないものは記載しない方がいいでしょう。

現病歴ではできる限り症状、治療などを客観的に、時系列に並べて整理することが重要です。


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posted by 長尾大志 at 17:15 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月27日

まずは業界用語(専門用語・略語)3

あと少し続けます。


ILD(アイエルディー|interstitial lung disease:間質性肺疾患)
BHL(ビーエイチエル/ビーエッチエル|bilateral hilar lymphadenopathy:両側肺門リンパ節腫脹)
MCD(エムシーディー|multicentric castleman disease:多中心性キャッスルマン病)
IVCY(アイブイシーワイ|(intermittent pulse) intravenous cyclophosphamide (therapy):シクロフォスファミド(間歇)大量静注療法)

膠原病・血管炎
CTD(シーティーディー|connective tissue disease (disorder):膠原病)
LD-CTD(エルディーシーティーディー|lung dominant connective tissue disease (disorder):肺病変先行型膠原病)
AIF-ILD(エーアイエフアイエルディー|autoimmune featured-interstitial lung disease:自己免疫異常の特徴を有する間質性肺疾患)
RA(アールエー|rheumatoid arthritis:関節リウマチ)
SSc(エスエスシー|systemic sclerosis:全身性強皮症)
CREST症候群(C:Calcinosis(石灰沈着)、R:Raynaud現象、E:Esophageal dysfunction(食道蠕動低下)、S:Sclerodactylia(皮膚硬化)、T:Telamgiectasia(毛細血管拡張))
PM(ピーエム|polymyositis:多発性筋炎)
DM(ディーエム|dermatomyositis:皮膚筋炎)
CADM(カデム|clinically amyopathic dermatomyositis:臨床的無筋症性皮膚筋炎)
HDM(エイチディーエム/エッチディーエム|hypomyopathic dermatomyositis)
SLE systemic lupus erythematodes 全身性エリテマトーデス
MCTD(エムシーティーディー|mixed connective tissue disease:混合性結合組織病)
SjS(SS)(エスジェーエス、エスエス|Sjogren’s syndrome:シェーグレン症候群)
MPA(エムピーエー|microscopic polyangiitis:顕微鏡的多発血管炎)
GPA(ジーピーエー|granulomatosis with polyangiitis:多発血管炎性肉芽腫症、旧ウェゲナー肉芽腫症)
EGPA(イージーピーエー|eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、旧アレルギー性肉芽腫性血管炎)


肺循環障害
PH(ピーエイチ/エッチ|pulmonary hypertension:肺高血圧)
PAH(ピーエーエイチ/エッチ|pulmonary arterial hypertension:肺動脈性肺高血圧症)
CTEPH(シーティーエーピーエイチ/エッチ|chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓閉塞性肺高血圧症)
PTE(PE)(ピーティーイー・ピーイー|pulmonary thromboembolism:肺血栓塞栓症)
PI(ピーイー|pulmonary infarction:肺梗塞)
DVT(ディーブイティー|deep venous thrombosis:深部静脈血栓)


肺腫瘍
NSCLC(エヌエスシーエルシー|non-small cell lung carcinoma:非小細胞肺癌)
SCLC(エスシーエルシー|small cell lung carcinoma:小細胞肺癌)
LCNEC(エルシーネック|large cell neuroendocrine carcinoma:大細胞神経内分泌癌)
PS(ピーエス|performance status:パフォーマンスステータス)
CTCAE(シーティーシーエーイー|common terminology criteria for adverse events:有害事象共通用語基準)
RECIST(レシスト|response evaluation criteria in solid tumours:固形癌の治療効果判定評価基準)
CR(シーアール|complete response:完全奏効)
PR(ピーアール|partial response:部分奏効)
SD(エスディー|stable disease:安定)
PD(ピーディー|progressive disease:進行)
PCI(ピーシーアイ|prophylactic cranial irradiation:予防的全脳照射)
SVC(エスブイシー|superior vena cava:上大静脈)
SIADH(エスアイエーディーエイチ/エッチ|syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:抗利尿ホルモン分泌異常(不適合分泌)症候群)


呼吸器研修ノート

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posted by 長尾大志 at 21:05 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月26日

日本プライマリ・ケア連合学会 第31回近畿地方会にて教育講演「プライマリ・ケアで必要な呼吸器に関することがら」

今日は日本プライマリ・ケア連合学会第31回近畿地方会、お天気に恵まれ、琵琶湖がキレイでした。ピアザ淡海のロケーションはサササ サイコ−です。


IMG_20171126_120120.jpg


午後イチで教育講演をさせて頂きまして、お題は「プライマリ・ケアで必要な呼吸器に関することがら」。


プライマリ・ケア連合学会に参加されておられる先生方は、皆さん勉強熱心でいらっしゃるので、本当であれば?今頃出版されていたはずの ((((;゚Д゚))))))) 「呼吸器診療メソッド(仮)」と連動して、よく勉強されている先生方から頂くご質問とお答え集、あとは書籍をご覧ください(笑)!みたいな感じでやろうかな、と思っていたのですが…。そうもいかず(汗)。


書籍の内容をできるだけ盛り込もうとすると、とても時間が足りませんので、先生方は基礎事項をご存じ、という前提で、スライドを大幅に端折って、サッサッと進めて、なんとか時間ちょいオーバーで終えることができました。ご期待にお応えできたでしょうか…。


ウチの医局からの開業第1号、龍神先生や、大恩のある佐竹先生が聞いてくださっていて、終了後にお話しできました。学会の学生企画に参加していたウチの学生さんも聞いてくれて、ありがたやでございます。


IMG_20171126_135837.jpg

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posted by 長尾大志 at 17:00 | Comment(0) | 活動報告

2017年11月25日

沖縄県立中部病院呼吸器内科の喜舎場朝雄先生が滋賀に来られました!

今日は午後から、沖縄県立中部病院呼吸器内科の喜舎場朝雄先生をお招きしまして、教育回診+レクチャーを頂くという僥倖に恵まれました!!ッッ


…といいますといかにも私や滋賀医大が企画したようですが、さにあらず。企画から実行まで、学生のYさんによるもので、草津総合病院さんのご協力の下開催されたものでした。私はただただ参加しただけです、ハイ。以前徳田安春先生を滋賀にお招きしたときも暗躍?されたYさんですが、まあその実行力には脱帽です。


IMG_20171125_154705.jpg


徳田先生のときにも書いたかもしれませんが、私は沖縄県立中部病院で働いたことはありませんが、病院見学をさせて頂いたり、伝説の「うふいち会」に参加させて頂いたり、もちろん書籍やご講演で勉強させて頂いたり、と、かなり沖縄の先生方にお世話になっているものでございます。ということで勝手に弟子面をしていたりする次第でございます。直接ご挨拶できてよかったです…。


IMG_20171125_190017.jpg


今日のご講演もpearlに満ちた、素晴らしいものでした。お話を聴いた学生さんや研修医の方々が「呼吸器面白い!」「呼吸器を専門にしたい!」と言っておられて、自分のやっていることはまだまだだ!!と強く思いましたし、これからの目標ができました。喜舎場先生、そしてYさん、本当にありがとうございました!

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posted by 長尾大志 at 23:52 | Comment(0) | 活動報告

2017年11月24日

まずは業界用語(専門用語・略語)2

「読み方も書いてほしい」というコメントを頂きました。至極ごもっともですので、読み方を追加します。ただし、読み方こそ、ローカルルール、方言がとっても多いところかと思います。よくわからないものはブランクにしています。気になるところは是非ご指摘頂ければと思います。



感染症
CAP(キャップ)
HAP(ハップ)
NHCAP(エヌエッチキャップ)
A-DROP(エードロップ)
I-ROAD(アイロード)
VAP(ヴァップ、バップ)

PSSP(ピーエスエスピー)
PRSP(ピーアールエスピー)

インフルエンザ桿菌の耐性パターン
BLNAR(ブルナー)
BLNAS(ブルナス)
BLPAR(ブルパー)
BLPACR(ブルパッカー)

IGRA(イグラ)
DOTS(ドッツ)
LTBI(エルティービーアイ)
NTM(エヌティーエム)
MAC(マック)

IPA(アイピーエー|invasive pulmonary aspergillosis:侵襲性肺アスペルギルス症)
CNPA(シーエヌピーエー|chronic necrotizing pulmonary aspergillosis:慢性壊死性肺アスペルギルス症)
ABPA(エービーピーエー|allergic bronchopulmonary aspergillosis:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)
ABPM(エービーピーエム|allergic bronchopulmonary mycosis:アレルギー性気管支肺真菌症)
CMV(シーエムブイ|cytomegalovirus:サイトメガロウイルス)
C7-HRP(シーセブンハープ(諸説あり?))
PcP/PCP(ピーシーピー|Pneumocystis jirovecii pneumonia:ニューモシスチス肺炎)
β-D-グルカン(ベータディーグルカン)


閉塞性疾患
COPD(シーオーピーディー|choronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)
CPFE(シーピーエフイー|combined pulmonary fibrosis and emphysema:気腫合併肺線維症)
BA(ビーエー|bronchial asthma:気管支喘息)
CVA(シーブイエー|cough variant asthma:咳喘息)
ACO(エーコー|asthma-COPD overlap syndrome:喘息合併COPD)
DPB(ディーピービー|diffuse panbronchiolitis:びまん性汎細気管支炎)
BE(ビーイー|bronchiectasis:気管支拡張症)
SBS(エスビーエス|sinobronchial syndrome:副鼻腔気管支症候群)
HABA(ハバ|HTLV-1 asociated bronchiolo-alveolar disorder:HTLV-1関連細気管支肺胞異常症)
LAM(ラム|lymphangioleiomyomatosis:リンパ脈管筋腫症)
CF(シーエフ|cystic fibrosis:嚢胞性線維症)


間質性疾患
IIP(アイアイピー|idiopathic interstitial pneumonia:特発性間質性肺炎)
IPF(アイピーエフ|idiopathic pulmonary fibrosis:特発性肺線維症)
UIP(ユーアイピー|usual interstitial pneumonia:通常型間質性肺炎)
INSIP(アイエヌエスアイピー|idiopathic nonspecific interstitial pneumonia:特発性非特異性間質性肺炎)
NSIP(エヌエスアイピー|nonspecific interstitial pneumonia:非特異性間質性肺炎)
RB-ILD(アールビーアイエルディー|respiratory bronchiolitis associated interstitial lung disease:呼吸細気管支炎を伴う間質性肺炎)
DIP(ディーアイピー|desquamative interstitial pneumonia:剥離性間質性肺炎)
COP(シーオーピー|cryptogenic organizing pneumonia:特発性器質化肺炎)
OP(オーピー|organizing pneumonia:器質化肺炎)
AIP(エーアイピー|acute interstitial pneumonia:急性間質性肺炎)
DAD(ディーエーディー|diffuse alveolar damage:びまん性肺胞障害)
ILIP(アイエルアイピー|idiopathic lymphocytic interstitial pneumonia:特発性リンパ球性間質性肺炎)
LIP(エルアイピー|lymphocytic interstitial pneumonia:リンパ球性間質性肺炎)

ARDS(エーアールディーエス|adult respiratory distress syndrome:成人呼吸窮迫症候群)

PIE(ピーアイイー|pulmonary infiltration with eosinophilia:肺好酸球浸潤症候群)
HES(エイチイーエス/エッチイーエス|hypereosinophilic syndrome:好酸球増多症候群)
AEP(エーイーピー|acute eosinophilic pneumonia:急性好酸球性肺炎)
CEP(シーイーピー|chronic eosinophilic pneumonia:慢性好酸球性肺炎)
HP(エイチピー/エッチピー|hypersensitivity pneumonitis:過敏性肺炎)
CHP(シーエイチピー/シーエッチピー|chronic hypersensitivity pneumonitis:慢性過敏性肺炎)


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posted by 長尾大志 at 17:59 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月23日

特定行為研修の講義 in 滋賀医大2017 現場レポート

今年も看護師さんの特定行為研修、呼吸器領域の講義をさせて頂きました。昨日の1,2コマ目(午前中)を使っての、アクティブ・ラーニングでした。すっかり慣れましたね。ちなみに昨年の模様は…


特定行為研修の講義 in 滋賀医大 現場レポート
特定行為研修の講義 in 滋賀医大 現場レポート2
特定行為研修の講義 in 滋賀医大 研修生の方からご感想+告知


滋賀医科大学では、平成28年2月に、全国の国立大学に先駆け「看護師の特定行為研修」の指定研修機関として指定を受けました。今回その第2期生として、やる気に満ちあふれた看護師さんをお迎えしたわけですが…。


今回は授業が選択制となり、私が担当した授業2コマを選択されたのはお2人だけw(°O°)wワォ


IMG_20171122_101321.jpg


ともかく、そのお2人はモチベーションが高く、しっかりご自分で勉強されてしっかりまとまったプレゼンをして頂きましたので、こちらも全力でアクティブ・ラーニングをしましたよ。まあ、2人だと、なかなか発言しにくかったみたいでしたけれども…。


最後余りの時間、30分ほどありましたので、血ガスを読めるように!という感じの部分的な講義をさせて頂いたのですが、これは、もうちょっと時間が欲しいかな、という感じでしたね。午後もあいているので、時間延長もどうぞ、と言って頂いたのですが、午後には第3学年の定期試験監督があり、外来があり、夕方には病棟看護師さんの勉強会もありましたので、延長はちょっと無理でした。


で、夕方にはその病棟看護師さんの勉強会。人工呼吸について、最近あちこちでやらせて頂いているネタなので、今回はフリートークから入ってみましたがちょっと不発。(゚Д゚≡゚Д゚)


途中でこれはいかん、といつものプレゼンに切り替えましたら、まあまあウマくまとまりました。 (-ε-) ホッ

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posted by 長尾大志 at 21:14 | Comment(2) | ナースのための呼吸器道場

2017年11月22日

まずは業界用語(専門用語・略語)1

まずカンファレンスに入って最初に躓くのが病名の略語じゃないでしょうか。病名自体わからないのに、さらに略語って、わからないものが多いですよね〜。しかも施設によって微妙に異なったり同じだったり。


ここでは略語とそれが指す言葉を対照させます。言葉や病名の意味はできるだけ各論で触れるようにしますが、ページの都合で触れられないものもあるかもしれませんのでご了承下さい。


なるべく一般的なものを取り上げましたが、ローカルな略号で私が覚えてしまっているものもあるかもしれませんので、「これは違うのでは?」というものがありましたらご指摘頂けましたら幸いです。



感染症
CAP(community acquired pneumonia:市中肺炎)
HAP(hospital acquired pneumonia:院内肺炎)
NHCAP(nursing and healthcare-associated pneumonia:医療・介護関連肺炎)
A-DROP(A:Age(年齢)D:Dehydration(脱水)R:Respiration(呼吸)O:Orientation(意識障害)P:Pressure(血圧))
I-ROAD(I:immunodeficiency(悪性腫瘍または免疫不全状態)R:Respiration(呼吸)O:Orientation(意識障害)A:Age(年齢)D:Dehydration(乏尿または脱水))
VAP(ventilator associated pneumonia:人工呼吸器関連肺炎)

PSSP(penicillin sensitive Streptococcus pneumoniae:ペニシリン感受性肺炎球菌)
PRSP(penicillin resistant Streptococcus pneumoniae:ペニシリン耐性肺炎球菌)

インフルエンザ桿菌の耐性パターン
BLNAR(β-lactamase negative ampicillin resistant:β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性)
BLNAS(β-lactamase negative ampicillin sensitive:β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン感受性)
BLPAR(β-lactamase positive ampicillin resistant:β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性)
BLPACR(β-lactamase positive amoxicillin/clavulanate resistant:β-ラクタマーゼ産生アモキシシリン/クラブラン酸耐性)

IGRA(interferon gamma release assay:インターフェロンガンマ放出試験)
DOTS(directly observed treatment with short course:直接監視下短期化学療法)
LTBI(latent tuberculosis infection:潜在性結核感染症)
NTM(nontuberculous mycobacteria:非結核性抗酸菌)
MAC(Mycobacterium avium complex:マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス)


結構いっぱいありそうですね…。


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posted by 長尾大志 at 20:13 | Comment(2) | 呼吸器研修ノート

2017年11月21日

肺の解剖と呼吸生理の基礎知識2

検査との関係

肺胞壁、肺胞上皮は薄い構造物で、肺の9割は空気です。組織(水と同じ密度)は1割しかありません。したがってX線写真やCTでは、正常の肺野濃度は真っ黒(≒空気)よりも若干(1割分)白く見えます。


主に肺胞領域の病変で、(肺胞内の)空気が水に置き換わると、X線写真やCTで白くなります。多くの場合、白くなっているということは換気血流ミスマッチが起きているということを表し、低酸素になる可能性があります。その場合、酸素投与が必要なことが多いです。


それ以外に、肺胞が破壊されるCOPD(X線写真やCTで黒くなる)でも、進行すると低酸素になります。


異常な呼吸音が聴こえるのは主として気道が狭窄しているとき、気道に痰などがあるときと、線維化があるときです。X線写真での異常とはあまり相関しませんが、気道が狭窄しているときは肺機能上閉塞性障害を来すことが多いです。


wheezesが聴取されたら細気管支の狭窄が示唆されます。肺機能ができれば閉塞性障害の有無、スパイロメトリーで下に凸の曲線を確認し、DPBのような粒状影が胸部写真で見られないか確認しましょう。


rhonchi が聴取されたら、肺機能ができる状態であれば閉塞性障害の有無、スパイロメトリーでは下に凸の曲線や頭打ち曲線を確認します。胸部X線写真では中枢気道の狭窄がないかを確認しましょう。


fine cracklesが聴取されるときは線維化が見られ、拘束性障害や拡散障害を来している可能性がありますから確認します。また、胸部X線写真では網状影や蜂巣肺所見を探します。初期の段階では見にくいものですが、横隔膜付近をよ〜くみると、横隔膜のボケなど微妙な所見が見つかるかもしれません。


胸部X線写真で陰影に左右差があったら、診察所見にも左右差があるはず。もう一度診察をやり直してみましょう。


動脈血ガスで呼吸性アシドーシスやアルカローシスをみたら、呼吸数を確認して整合性をみる習慣を付けましょう。


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posted by 長尾大志 at 20:09 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月20日

肺の解剖と呼吸生理の基礎知識1(箇条書き)

呼吸とは、外界の酸素を体内に取り込んで生命活動に資し、結果出来た二酸化炭素を体外に排出する一連の手順のことです。


外界から酸素の多い空気を取り込んで肺胞でガス交換を行うところを外呼吸、酸素を運搬してきた動脈血が組織でガス交換し静脈血になるところを内呼吸といいます。


通常、肺疾患では外呼吸のところが損なわれるので、ここでも主に外呼吸をしている場である肺胞を取り上げます。


肺胞は直径が0.2〜0.3mm程度の小さな(肉眼ではほぼ見えない)袋で、左右合わせて3億個程度あるといわれています。その表面積は100m2程度であり、半分程度が毛細血管に接触しています。


毛細血管と肺胞の間は血管内皮と肺胞上皮で境(血液空気関門)されていて、その厚みは0.3μmと、極薄にできています。そのため酸素は容易に通り抜けて拡散するのです。


通常、肺胞と周囲の血管は釣り合うように分布していますが、何らかの病的な状態になるとそのバランスが崩れ(換気血流ミスマッチとなり)、酸素取り込みが障害されて低酸素血症となります。
例:炎症が起こると血管透過性が亢進し、極薄の血液空気関門を超えて水が肺胞内にあふれ出し、肺胞内の空気が水に入れ替わる。そういう箇所ではガス交換が行われず、低酸素血症となる。
⇒レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室、やさしイイ血ガス・呼吸管理参照


低酸素の原因としては、肺胞がへってミスマッチになる機序が最も多いですが、その他に血流が減るミスマッチ(肺血栓塞栓症)、拡散障害(間質性肺炎、肺水腫など)、肺胞低換気(神経筋疾患、中枢神経障害など)が挙げられます。


低酸素になると、通常は呼吸中枢が刺激され、呼吸数が増加します。呼吸数が増加して換気量が増えると、二酸化炭素は効率よく排出されて蓄積しませんので、通常の肺疾患では低酸素血症のみが生じます。呼吸数は一般的に肺疾患の重症度を表します。


肺疾患以外に、換気量が低下する病態でも(肺胞低換気)低酸素になります。低換気の原因で多いのは神経や筋肉などの障害で、呼吸運動が損なわれた結果、呼吸数・換気量が減少し二酸化炭素の上昇がみられます。


肺疾患で低換気が生じるのは、CO2ナルコーシスや喘息のように、気道の病変が多いです。肺胞の障害は低換気となることは少ないです。



肺胞の問題による低酸素(多くがミスマッチ)の治療はFIO2を上げ、肺胞内の酸素量を増やすことです。


低換気による低酸素(+高二酸化炭素)の治療は、人工呼吸で換気量を増やすことになります。



診察

気道に問題が生じると、異常呼吸音が聴かれるようになります。例えば呼吸音気道が狭くなると、連続性ラ音が聴取されます。


太い気道の狭窄(多くは貯留した喀痰、腫瘍による圧迫など)では、rhonchi(ロンカイ:低音性連続性ラ音)が聴取されます。


細い気道の狭窄(喘息発作やCOPDの増悪、心不全など)では、wheezes(ウイーズ:高音性連続性ラ音)が聴取されます。


気道内に痰や分泌物が貯留すると、空気が通るときにはじけることでパチパチというcoarse crackles(コースクラックル:粗い断続性ラ音、水泡音)が聴取されます。


間質性肺炎や肺線維症などで、末梢気道が硬化し閉塞した部分が吸気後半ではじけることで細かいパチパチfine crackles(ファインクラックル:細かい断続性ラ音、捻髪音)が聴取されます。


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posted by 長尾大志 at 16:01 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月19日

日本集中治療医学会関西支部看護部部門主催「ナースにやさしイイ『呼吸・人工呼吸教室』」

昨日はそういうわけで、日本集中治療医学会 関西支部 看護部部門さんの主催であります、第10回看護教育セミナー2017で「ナースにやさしイイ『呼吸・人工呼吸教室』」というタイトルでお話をさせて頂きました。


午後1時から4時半まで、3時間半にわたって、人工呼吸の設定を基礎から、すなわち呼吸の基礎から、人工呼吸とはどういうことをしていて、どういうことが起こりえて、どういうことに気をつけてどう考えるか、そういう風なことをお話しました。


また後日頂けるというアンケートを拝見しないと、参加された皆さんにご満足頂けたかどうかはわかりませんが、200名以上参加されていたので、まずは成功であったようです。


今回ニプロさんのご厚意で、南草津の医療研修施設、ニプロiMEPをお借りしてのセミナーでしたが、昨年も呼吸療法セミナーで立たせて頂きましたが、とってもすてきな会場です。交通の便もいいですしね。個人的にはこちらでもっとやらせて頂きたいところですが…まあいろいろな都合で、あまり機会がないのが残念です。

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posted by 長尾大志 at 20:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月18日

1年で最も?忙しい2週間

この2週間は、第3学年への講義週間でした。昨日で最終講義が無事に終わりまして、ホッと一息です。


個人的に、1年で最も忙しい期間、というものがありまして、1つが6月中旬〜7月末の臨床実習アドバンスコースの時期。これは第5学年と第6学年が同時にやってくるという、正気の沙汰とは思えないカリキュラムです。ここはいまだに、どのようにうまく進めるか、自分的にも課題であります。


そしてもう一つが11月上旬の講義週間。第5学年がいつも通り実習に回ってくる中で、第3学年に90分✕8コマの授業です。


これが旧態依然とした階段+固定机と椅子の講義室で、グループワークをやるのには不向き。ではありますが、クリッカーを使わせて頂いたり、グループワークを取り入れたりで、まあそこそこ「参加型」になってきているように思います。


正直、ことがらをただ伝えるだけの「講義」は、やっている方としてもかなり苦痛になってきておりまして、今年は今後を見据えて「講義」パートの幾ばくかを収録致しました。2年前には全く使い物にならなかったeラーニングのシステムが、ずいぶん使えるものになっていたことがわかり、早速動画を作成して復習用にupしています。


これがもう少しコンテンツが増え、環境が整えば、動画+スマホの半自動化授業システムが構築出来そう。こうなると当方の負担やストレスがかなり減るでしょう。


とはいえ、今年もそうでしたが、講義をやる、しゃべっていると、頭の中でいろいろな「ことがら」が連携し、新しい「教え方」や「たとえ話」が誕生する、という面があることも紛れもない事実なのですね。昨日もそうでした。バ○バ○ンやフ○○ナーのたとえ(講義を聴いていた人だけの特典)なんて、机の前に座っていたのでは絶対に出てこない。講義の現場、しゃべり場、というのは、新しい発想のためには必要なのです。


ですから最終的には、動画+本などで予習をしてきてもらった学生さんとインタラクティブにしゃべり倒す、という形が自分の中での理想型です。


講義週間の最後には、学生さんによる「授業評価」があります。5段階評価はまあどうでもいい(実態を反映していない)のですが、学生さんがかなり好き放題「自由意見」を書かれる。毎年それを見るのは本当に怖く、また楽しみでもあります。特にアクティブ・ラーニングを取り入れてからは批判的ご意見はずいぶん減りまして、ありがたやな感じとなっておりますのは以前にも書きましたとおりです。今回は果たしてどんな感じでしょうか…ちょっと今年は好き放題いろいろと申し上げたので、否定的な意見が増えているかも…。

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posted by 長尾大志 at 19:45 | Comment(0) | 日記

2017年11月17日

肺の解剖と呼吸生理の基礎知識

さてさて、そろそろBRONCHOも書籍1冊分くらいの分量になったでしょうか…。これから手直しを経て、春ぐらいに書籍になるといいなあ、という感じですね。


その手直しをしている間に、こちらでは次の書籍仕事に取りかかりましょう。BRONCHOも、学生実習や初期研修のローテートで、カンファレンスに直面して「一体何を質問されるのか」「何を勉強すればいいのか…」と途方に暮れている皆さんのお役に立つこと間違いナシなのですが、この次の書籍は研修に際して必要な知識をコンパクトにまとめていこう、というものになる予定です。


まずは、肺の解剖と呼吸生理の基礎知識について、ザーッとおさらいをしておきたいと思います。というのも、実際に実習、研修をしているときに、肺の構造やその役割を知っておくことで、理解が大変深まることは間違いないのですが、いざその期間に入って、そういう基礎的なことがらを勉強し直す時間がないのですね。


それで理解が中途半端なまま次に進んでいかれる。これはモッタイナイ。


そこで、ローテートの直前(の週末?)に、できるだけコンパクトに、解剖生理についておさらいできるようまとめておきます。といっても、ただ並べるだけではございません。診察所見や検査所見と対照出来るような形で、呼吸について総括してみたいと思います。これは今回第3学年に講義をしている中で、つながった、ひらめいたものが多いです。来週をお楽しみに。




ところですっかり告知を忘れておりましたが、明日は日本集中治療医学会関西支部看護部部門さん主催の ナースにやさしイイ「呼吸・人工呼吸教室」でしたね。


13時〜16時半、場所はニプロ株式会社iMEP(滋賀県草津市野路町3023)
*京都から新快速で15分の南草津駅下車徒歩3分 駅近く♪


ポスター.jpg


にて、開催されます。どうやら200名以上の方が参加されるようで、さすが皆さんお目が高い。会場でお目にかかりましょう!


呼吸器研修ノート

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posted by 長尾大志 at 17:36 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年11月16日

症例検討会BRONCHO23−5

慢性の肺疾患を診ていく上で、問題になるのは@酸素をどうするかAステロイドその他薬剤の副作用、止めどき、そしてB他疾患・病態の管理というところでしょう。


酸素化の状態についてはroom airでSpO2 93%程度で、労作時には80%台に低下しますが、自覚症状に乏しいことと、ご本人、家人がHOT導入を強く拒否されています。これはしばしばあることですが、折角導入しても吸入して頂けないということでは困りますので、よく納得頂けるよう説明、話し合いが必要でしょう。


ステロイドを長期間使用するときにはいろいろな副作用や合併症に注意する必要があります。大量⇒長期間使用すると

  • 易感染性

  • 耐糖能異常〜糖尿病

  • 消化性潰瘍

  • 骨粗鬆症

  • 中心性肥満〜高脂血症・高血圧

  • 副腎機能低下・副腎不全

  • 筋力が低下・ミオパチー

  • ステロイド精神病


など、いろいろと心配です。予防的にあらかじめST合剤、PPIやビスホスホネートなどを使われることが多いと思いますが、血糖やコレステロールなど、モニタリングして異常があれば対処、ということもあるでしょう。


本症例でもパルス後食後血糖値の増加を認めたため、入院中はノボリンRでのスケール打ちを行い、退院決定後内服に切り替えました。また、家族含め退院前に栄養指導を受けて頂きました。

 シュアポスト(3.0)分3、毎食直前
 ボグリボース(0.6)分3、毎食直前

また経過中口腔カンジダを確認したためフルコナゾール100mg/日使用し改善しました。


さらに経過中血小板減少が見られました。副作用の頻度も鑑みて、ステロイド投与後開始したバクタによる可能性を考え、バクタを中止したところ血小板は速やかに回復しました。その後はバクタを3回/週で再開し、以降血小板値は保たれています。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月15日

症例検討会BRONCHO23−4

胸部X線写真は、今回ポータブルですからなかなか評価困難です。広範囲の浸潤影なんかはなさそうです…元々の写真をみると、嚢胞性変化もありそうですし、線維化っぽい網状影もありそう。重喫煙者でもあり、CPFE(COPD+線維化)みたいなモノかもしれません。


…やっぱりCTがほしいところですが、入院時のCT所見も正直微妙ですから、以前のCTと比較したいところです。全力で以前のものを探しましょう。


スライド102.JPG


スライド103.JPG


ということで、見つけました。これが以前のCTです。うん、やはり、下葉中心に大きめの嚢胞+周囲の濃度上昇あり、CPFEのような感じですね。


で、以前と今回のCTを同一スライスで比較すると…両側すりガラス影が出現しています。診察所見や心エコーで心臓の問題は否定的、ということで、感染を契機としたCOPDないし肺線維症の急性増悪and/or肺炎、と考えて治療します。


同日よりCTRX、ステロイドパルスを開始し、開始翌日には解熱、呼吸状態の改善がみられました。3日間パルスののち、PSL1mg/kg(60mg)内服治療に切り替え。以降も経過良好でしたので、CTRXは1週間で終了し、PSLは30mgまで1週間ごとに減量としました。



なおその後、以前施行されていた肺機能検査も入手出来ました。前医ではLABA/LAMA吸入を使われていて、肺機能は若干改善していました。


<肺機能> LABA/LAMA開始時 約8ヶ月後
VC 2.19 2.36
%VC 76.3% 82.7%
FVC 2.13 2.31
%FVC 74.4% 80.8%
FEV1.0 1.42 1.81
%FEV1.0 110.4% 111.5%
FEV1.0% 66.51% 78.24%

DLCO 6.49
%DLCO 58.3%
DLCO/VA   2.28



CPFEは肺機能上、拘束性障害、閉塞性障害いずれも起こりうる病態です。縮む病態と伸びる病態。で、なんか打ち消し合って?意外にどちらも悪くない、ということはよく経験されます。しかし肺胞は破壊されているので拡散障害が起こり、労作時に低酸素血症となりやすいことも知られています。



Q:今後治療で気をつけることは?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 20:35 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月14日

症例検討会BRONCHO23−3

状況としては、基礎にある肺疾患の増悪や、心疾患の増悪、合併などが想定されます。とすると感染の関与も考えなくてはなりません。あてになるかどうかはわかりませんが、一般的な血液検査に加えて胸部CTは必要でしょう。酸素化の状況によって、酸素流量を上げる必要がありますが、重喫煙歴あり、COPDがあるとCO2ナルコーシスの危険性もありますから、動脈血ガスもすぐに確認したいですね。その上で酸素投与の検討です。


肺炎の可能性が高いとなりましたら喀痰グラム染色はほしいところですし、血培も採る必要がある。尿中抗原、シーズンであればインフルエンザ抗原も確認しましょう。検査結果を逐次確認しながら、やるべきことを考えていきます。本症例では、以前のデータが入手出来ましたので、異常値を適宜比較しています。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HB (g/dl ) 12.2 L
WBC (1000 ) 7.6
PLTS (1000 ) 151

FIBG (mg/dl ) 500 H
PT-INR ( ) 1.16
APTTP (秒 ) 31.5
Dダイマ- (μg/ml ) 4.9 H

TP (g/dl ) 6.7
ALB (g/dl ) 3.4 L
AST (U/l ) 16
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 227
ALP (U/l ) 410 H
G-GTP (U/l ) 30
CHE (U/l ) 209 L
T-BIL (mg/dl ) 0.94

NA (mmol/l) 137 L
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 1.52 H (直近1年では横ばい)
eGFR ( ) 34.1
CA (mg/dl ) 8.2 L
P (mg/dl ) 1.7 L
CPK (U/l ) 161

CRP (mg/dl ) 3.53 H (直近2年程度は基準値以下)

BNP (pg/ml ) 212.44 H  (直近2年程度は70-90程度で推移)

GLU (mg/dl ) 140 H


<動脈血液ガス>マスク4L
pH7.481
pO2 59.5
pCO2 30.4
SaO2 90.9
BE -0.6


<感染迅速>
インフルエンザA/B 陰性
肺炎球菌尿中抗原 陰性
レジオネラT尿中抗原 陰性


<心電図>
111 bpm sinus rhythm
QRS 92 ms
V1 rSR'
→不完全右脚ブロック 2015年5月には認めず


<心エコー>
Dd/Ds 47/26 EF 70%でhyper
TRPG 33でPHなし
IVC 10前後で虚脱
弁にはいずれも明らかな異常無し



<胸部Xp>


スライド100.JPG


<胸部CT>


スライド101.JPG



Q:胸部X線写真、CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:16 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月13日

症例検討会BRONCHO23−2

比較的急速に高熱、呼吸困難、倦怠感が出現し、低酸素血症も著しいので、急性に発症する呼吸器疾患、循環器疾患などが想定されます。確認したいことはやはり既存の「多薬服薬中」の疾患について、もう少し詳細な情報が欲しいですね。呼吸器疾患なのか心疾患なのか、両方あるのか、過去のX線写真なんかも手に入れば確認したいところです。


クラリシッドが処方されているあたり、慢性呼吸器疾患があったようにも思われますね。で、以前のX線写真が参照出来ました。


スライド99.JPG


肺野が汚い…ですね。やはり基礎に肺疾患はありそう。それと大動脈瘤術後であり、心機能の問題も考えておく必要があるでしょう。



<入院時現症>
JCS  T-0
Vital signs(救急受診時):BT 39.1 ℃, BP 129/63 mmHg, HR 118 bpm, RR 32/min, SpO2 92%(シンプルマスク O2 5l/min) 体動で80%前後まで低下

診察時mMRC3 普段も3程度
上気道症状なし、喀痰なし、咳嗽なし


<身体所見>
頭頸部:眼球結膜黄染/眼瞼結膜蒼白なし
明らかな咽頭発赤なし
頸部リンパ節触れず
坐位にて頚静脈怒張は明らかにはなし

胸部:肺音 両側吸気時にfine crackles+
心音 整 明らかな心雑音なし
腹部:軽度膨隆、軟、蠕動音→、圧痛点なし
四肢:上下肢とも浮腫なし
    右下腿に外傷後瘢痕 熱感/発赤/疼痛なし
    両下肢径左右差なし、下腿把握痛なし
    膠原病を示唆する明らかな皮膚所見なし

朝のこわばり/関節痛/明らかな筋力低下なし



Q:次のステップとして、どうしますか?検査は何をしますか?


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posted by 長尾大志 at 19:21 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO