ガスの割合を表す方法として、%(割合)で何でも表示できればそれが簡単なのですが、体内での動態、つまり吸入気に含まれている酸素が血液中に移行し、組織で拡散して…等々のことを考えるときに、分圧という概念を使うと便利です。
分圧とはある空間の中に複数のガスが存在する場合の、各々のガスの圧力で、各々のガスの割合に比例します。つまり%(割合)の代用になるのです。
気体に接している液体に、あるガスがどの程度溶けているか、それはその気体の分圧に比例しますので、ガスの溶解具合は分圧で表示できます。
気体や液体、あるいは組織において、ガスは分圧の高い方から低い方へ移動します。酸素を大気から吸入して、肺胞でガス交換されて、血中に入って運搬されて、組織に移行する、その過程のすべてを分圧で表現することで、ガスの移動様式が理解しやすくなるのです。
例えば吸入した空気が肺胞に入りますが、肺胞内における肺胞の中のO
2の濃度にあたる、肺胞気酸素分圧を表現するには、
pressure(圧力)という言葉の頭文字であるPと、
alveolus(肺胞)という言葉の頭文字であるAを下付き文字にして、
O
2(酸素)の割合を表すために
PAO2と表記します。
また、動脈の中のO
2の濃度にあたる、動脈血酸素分圧は、
pressure(圧力)という言葉の頭文字であるPと、
artery(動脈)という言葉の頭文字であるa(alveolus=肺胞と同じ頭文字なので、区別するためにこちらは小文字で表記します)を下付き文字にして、
O
2(酸素)の割合を表すために
PaO2と表記することになります。
肺胞の中から動脈血にO
2がちゃんと移動できているかどうかは、P
AO
2とPaO
2の差を見ればわかります。その差は肺胞(alveolus)と動脈(artery)の差=difference(D)ですから、
alveolus(肺胞)とartery(動脈)のdifference(差)を各々の言葉の頭文字であるA、a、Dを用いて、
alveolus(肺胞)という言葉の頭文字であるAを下付き文字にして、
O
2(酸素)の割合を表すために
A-aDO2と表記するのです。
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posted by 長尾大志 at 17:40
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A-aDO2のややこしい話