2013年02月05日

胸部レントゲン道場54・各論17・レントゲンで白くなる病態11・べったりと白くなる連続性の陰影・浸潤影とすりガラス影

このように、肺胞が水(濃度のもの)で埋め尽くされると浸潤影を呈するのですが、同じように肺胞がやられる疾患であっても、そこまで濃い陰影にはならない、そういう場合もあるのです。


例えば、肺炎でも、肺胞が水で充満していない状態。もっとも病勢が強い部分の周囲などは、肺胞内の滲出液も満タンではない。そうなると、そのエリアの密度は水濃度(≒1)より低くなり、陰影は白っぽいものの真っ白ではない、薄い白色に見えます。


1このあたりは真っ白ではなく薄い白に見える.JPG


昨日挙げた症例でも、浸潤影(air bronchogramを伴う)の周囲にぼんやりしたエリアが少し見られますね。


2浸潤影の周囲にあるすりガラス影.JPG


こういう、浸潤影ほど真っ白ではないのだけれども、ぼんやりと白い、そういうエリアをすりガラス影と呼びます。


肺炎なんかの場合ではごく一部にしかすりガラス影が見えませんが、肺胞出血や肺胞蛋白症などのように、肺胞腔内を液体が満たすものの目一杯までも充満しない、そういった疾患では広範囲にびまん性にすりガラス影が見られます。


3肺胞出血.JPG


4肺胞蛋白症.JPG


すりガラスとはなにか。


ガラスではあるものの、表面を研磨することで細かい傷をつけ、不透明にしたものです。向こう側があまり見えない、さりとて全く見えない、ということもない、微妙な透過性を持っています。


昨今ではあまりすりガラスが使われるところも少なくなってきているように思いますが、すりガラスが使われている場所として思い当たるのは…


  • 浴室

  • トイレ

  • 面談室



など。


ナゼ、これらの部屋にはすりガラスが使われているのでしょうか。
賢明な読者の方はピンと来るでしょうが、話が脱線します…。


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posted by 長尾大志 at 18:36 | Comment(0) | 胸部X線道場