2013年02月14日

間質性肺炎による拡散障害の理屈(脱線注意)・間質性肺炎では特に労作時に著しい低酸素血症になる、その秘密

昨日は途中で力尽きたので、もう一度やり直します。


安静時の酸素受け渡しを図で考えます。船みたいなのがヘモグロビンで、○が酸素と思ってください。普段は肺胞でヘモグロビンが酸素を受け取って、どんぶらこ〜?と運び、組織で荷下ろしをしています。


14安静時.jpg


それが労作時に、酸素の需要が増したときには、通常心拍数が増えて、単位時間あたりの酸素受け渡し効率を上げるわけです。例えば組織の酸素需要量が安静時の倍だとすると、血流を増やして、単位時間あたりに流れるヘモグロビンの量を2倍にすれば…。


15労作時には血流を増やして賄う.jpg


運ばれる酸素が2倍になって、組織の需要に見合った酸素が供給されますね。




肺炎やCOPDのように、肺胞の一部が壊れる疾患では、普段から血流をある程度増やすことで低酸素にならないようにしています。


16肺胞障害時.jpg


その状況で労作をすると、さらに血流を増やすことで対応されます。


17肺胞障害時の労作時.jpg


ところが、間質性肺炎の場合、そもそも間質が厚くなることで拡散障害が生じているわけです。酸素は肺胞内に入ってもなかなか血中に拡散しない。


ですから、普段から血流を増やして対処している、これは同じです。


18間質性肺炎の安静時.jpg


問題は労作時で、心臓は頑張って血流を増やす。これは同じです。で、血流が早くなるとその分、酸素が肺胞で素早く乗り移る必要があるのですが…。


間質が分厚くて拡散障害があると、なかなか乗り移れないため、増えた血流に見合う酸素が血中に入らない、という事態が生じます。


19間質性肺炎の労作時.jpg


それで、労作時の低酸素血症が、特に安静時に比べて著しい、ということになるのです。


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posted by 長尾大志 at 16:29 | Comment(2) | A-aDO2のややこしい話