2013年02月15日

第107回医師国家試験呼吸器系問題解説・微妙な免疫低下状態に合併した結節影の鑑別

6回生諸君は、医師国家試験お疲れでした。今頃思い思いのやり方で羽を伸ばしておられることでしょう。


こちらは某M社さんから、第107回医師国家試験の呼吸器系問題解説依頼が来ました。締め切りが近くタイトな日程であり、ブログ書籍化の校正と並行して行う必要があるため、こちらで解説を作っていこうと思います。


今年は全般的には難しかったとのことですが、呼吸器系の私の担当分に関しては、これまでの傾向とそう変わらず、割と素直な問題が多かったように思います。早速1問ずつ見て参りましょう。



107A28

65歳の女性.全身倦怠感と微熱とを主訴に来院した.1週前から全身倦怠感を自覚していた.3日前から37℃台の微熱が続いている.5年前から関節リウマチで抗リウマチ薬と副腎皮質ステロイドとを服用中.意識は清明.身長156cm,体重46kg.体温37.4℃.脈拍92/分,整.血圧120/70mmHg.呼吸数14/分.SpO2 97%(room air).心音と呼吸音とに異常を認めない.血液所見:若干の炎症のみ.胸部X線写真で右側下肺野に多発結節影を認める.気管支肺胞洗浄〈BAL〉液の墨汁染色標本とを下に示す.


これは実際の写真と違いますが、まあこんな感じのものです。


107A28墨汁染色で見られる夾膜を有する菌体.jpg


この疾患について正しいのはどれか.
a 内因性感染である.
b 血清抗原検査の感度は高い.
c 血清β-D-グルカン値は上昇する.
d 発症予防にST合剤の内服が有効である.
e 原因微生物はAspergillus fumigatusである.


これは墨汁染色で見られる物体を知っているか知らないか、ってことなんですが、色々な面から正解は1つしか出てきません。関連事項を是非知っておきましょう。

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