特発性肺線維症と診断がついたところで、選択肢について考えましょう。
×a 1秒率は閉塞性肺障害になると低下しますが、特発性肺線維症は拘束性障害です。末梢の気管支は線維化した肺胞領域に引っ張られてむしろ拡張します。
○b 拘束性障害を呈するため、肺活量は低下しますね。
×c A-aDO2は肺胞内の酸素分圧と動脈血内の酸素分圧の差でなので、低酸素血症を来す場合は開大することになります。
○d 肺拡散能は間質性肺炎があると低下します。
×e KL-6は線維化の存在で上昇します。
ということで、正解はb,dとなります。
特発性肺線維症は毎年必ず出題されるといってもいいですね。キャラも立っているし、議論の余地もあまりない、ある意味出題しやすい疾患といえます。
逆に特発性肺線維症以外の特発性間質性肺炎は、臨床の現場で診断や分類に議論のあるところでもあり、診断確定には生検が必要なのですが、組織を見ても学生さんレベルでは診断がつくとも思えず、問題にしにくいことから、これまではあまり出題されていないように見受けます。
医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説を全部読む
2013年02月27日
第107回医師国家試験呼吸器系問題解説・高齢男性に徐々に発症する呼吸困難・解答と解説2
posted by 長尾大志 at 15:28
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