2016年01月31日

理想の授業への道筋は遠い、でも見えている

先日参加した、教育方法改善に関するFD・SD研修会「アクティブ・ラーニングを促す30の教育技法」では、いろいろな話題がありましたが、今の流れとして一流講師の動画をいつでも簡単に見ることができる、そのために「一流でない」講師はお呼びでなくなる、というお話がありました。


ロボットの発達で多くの職業がなくなる、とは言われていますが、講師業はロボット、というよりはITの発達でなくなっていくのでしょう。


そうすると大学のみならず、教員の仕事というのが、「知識の伝達」ではなくなる。でもそれは教員の危機ではなくて、逆に知識の伝達をアウトソーシングすることによって、より上位?の、思考力、応用力の育成を、よりきめ細かく、個別に行うことができるようになるのではないかと思います。


ベースとなる知識の伝達と症例問題ぐらいまでは、eラーニング+アクティブ・ラーニングで、そして少人数グループでPBL、チュートリアル的に応用力を養う。


そういう感じでカリキュラムを組み立てれば、学生さんにとってもよりよい学びが得られるのではないかと思いますが…。


カリキュラム変更には大きな力を必要とします。自分一人の力ではどうにもならない。教育を担当する先生方のモチベーションが必ずしも高くない、という場面すら見かけます。大学を巻き込むにしても、そのメリットをきちんとプレゼンできなければ、賛同者を多く作らなくては、動く感じがしない、そもそも今の自分の立ち位置では特に発言力はない。ということがここ1〜2年でようやく実感されました。最近も大学とのやりとりでけっこう無力感がありましたし。これでは教育担当の先生方もモチベーションもあがらんわ、という感じで。


旧態依然とした大学を変えていく、動かすのには段階、手順が必要です。自分には現状、その手順を進めていく力がない。いろいろと考えますね。


もっとフットワークの軽い大学なりとコラボなどできるといいのですが、やはり今の日本では、立場や実績がないと相手にしてもらえないわけですからねえ。もう少し、いろいろなところに出かけていかなくてはなりませんね。

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posted by 長尾大志 at 19:57 | Comment(0) | 日記

2016年01月30日

琵琶湖喘息セミナーでお話

今日は表記の会で1時間、講演をさせていただきました。タイトルは「咳でお困りではありませんか?」


琵琶湖喘息セミナー 20150130.jpg


ありそうでなかなかなかった、大津の先生方の会でお話をさせていただく機会。久々にお目にかかる先生も多かったです。


先週には、「参加される先生方は、5〜6名しか決まっていません」と伺っていて、かなり参加される方が少ないのであれば、先生方のご質問にお答えする座談会みたいな形式にしようかな、と考えていたのですが、ふたを開けてみると盛況で、やはり普通の講演形式で進めさせていただきました。


拙著を持参頂いた先生もおられ(サインさせて頂いたり!)、はるばる愛知県からお越し頂いた先生も(『やさしイイ胸部画像教室』がとてもわかりやすくて良かった、と絶賛頂きました。凄くうれしかったです)、概ね好評でよかったです。是非明日からお役立て頂ければ幸いです。

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posted by 長尾大志 at 21:22 | Comment(0) | 日記

2016年01月29日

症例検討会BRONCHO6−2

前回と同じような病歴だな、と思われるかもしれません。実際、基礎に呼吸器疾患がある症例の急な増悪、という意味で似た経過です。まあしばらくおつきあい下さい。


<入院時身体所見>
BT 38.1℃ BP 106/67 HR 122 SpO2 75(RA) RR 44
意識清明
結膜:眼球黄染なし、眼瞼貧血なし
肺音:両背側下肺野でfine crackles(+) coarse crackles(+++)
心音:整
腹部:平坦・軟、BS→
下腿:non pitting edema(+) 左<右


<入院時検査所見>
血液検査

HT (% ) 35.7 L
HB (g/dl ) 12.1
RBC 394万
WBC 20,700 H
PLTS 25.5万
TP (g/dl ) 7.6
ALB (g/dl ) 3.5 L
AST (U/l ) 20
ALT (U/l ) 16
LDH (U/l ) 288 H
ALP (U/l ) 153
G-GTP (U/l ) 48 H
CHE (U/l ) 225
T-BIL (mg/dl ) 1.12
NA (mmol/l) 129 L
CL (mmol/l) 95 L
K (mmol/l) 4.2
UN (mg/dl ) 20.2
CRE (mg/dl ) 1.22 H
eGFR ( ) 35.0
CA (mg/dl ) 8.8
P (mg/dl ) 3.2
CPK (U/l ) 60
CRP (mg/dl ) 7.75 HH


貧血なし、炎症反応上昇あり、肝機能障害なし、腎機能障害あり、でした。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:22 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月28日

症例検討会BRONCHO6−1

動画公開の件は見事に頓挫してしまいました。まあアンケートも、なかなか回答が頂けていないようですし、希望者も少ないということで…。ですので、そ−っと症例検討に戻りましょう。


症例 60歳代女性


<主訴>
発熱、食事摂取困難


<現病歴>
半年前に他院より紹介され、RA-IPとの診断でPSL15mg+CyA150mg内服で加療を行われていた。低酸素血症を認めたため、HOT導入を検討されていた。前日夜間より咳嗽と38℃の発熱を認め、次第に症状増悪し、食事摂取困難になったため、本日当科受診し、room airでSpO2 75%と低酸素血症認めたため即日入院となった。


<既往歴>
中学生時:虫垂炎→手術
20年前:右半月板損傷→手術(他病院)
5年前:左大腿骨頭置換術→手術(他病院)


<生活歴>
喫煙経験なし
飲酒経験なし


<家族歴>
父:胃癌
母:クモ膜下出血
兄:食道がん


<アレルギー>
特記事項なし


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:00 | Comment(2) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月27日

eラーニング用動画、頓挫中 (  Д ) ⊙ ⊙

今日も動画の作成やら各方面の連絡を行っておりました。ですがなかなかうまくいきません。もう少し一般公開は先になるようです。


昨日のアンケートも、回答数が少なく、傾向すら把握することが出来ません。ひょっとしたら、あまりご要望が無いのかも…((((;゚Д゚))))))) 引き続き、ご意見を募集いたします。m(__)m





ということで、余ったスペース?で、出来ていなかった告知をさせて頂きます。



2月2日(火)  志太呼吸器特別講演会
ジェネラリストのための呼吸器疾患道場 第6回 
「呼吸器症状患者の鑑別 実践編」


気づけば来週に迫っておりましたが、全6回シリーズの最終回です。志太医師会の先生方はこれまでなかなか呼吸器の知識をアップデートする機会がなかった、とのことで、これまでの5回、大変熱心に聴講・質疑応答を頂きました。そもそも6回もお呼び頂けるということ自体、熱意がなくてはなかなか無いことだと思います。


私としても、主にご開業の先生、非専門の先生方に向けた「これだけは知って頂きたい」というポイントを、時間の制約をかなり外してお話しできた、というところで、やりがいと共に勉強にもなりました。また、(すべての回ではありませんが)何回かは収録をしてみて、動画作りの練習にもなりました。


今回は総復習、まとめを兼ねて、また、これまでにご質問頂いた「診断、鑑別困難症例」にお応えする目的も含めて、実臨床の現場で遭遇した、いろいろな症例の鑑別をしながら知識の整理をして頂きたいと思います。収録もしておきたいですね。

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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 活動報告

2016年01月26日

eラーニング用動画、作成中

動画の作成自体はホントに簡単、エラい時代になったものですね。しかし問題は音声コンテンツです。私は性格的に、「決まり切った台詞を言う」「台本を暗記してその通り言う」「誰が言っても同じ内容になることを言う」のが大の苦手でして…しゃべりながら飽きてきてイヤになるんです。パンとスライドを出して、そこで浮かんだ、自分にしかいえなさそうなことをダーッとしゃべる、というのが性に合ってるんです。


ですから、他人の結婚式での挨拶、とか、送別会での挨拶、とかは大の苦手。これからも私に振らないで下さい…。(-人-)


閑話休題。ですから一人で音声を収録する、というのは、時間もそれだけかかりますし、気持ちも乗らない。ですからこれまでに作成した動画、というのは、これまでに行った講演会や研修会、勉強会で収録できたものに限ります。なので割とテーマに偏りがあったりします…。


でも、逆に言うと講演会や研修会、勉強会でご依頼頂いたテーマ、ということですから、聴きたい、というご要望が多いのかもしれませんね。まあそれはそれでいいかも。


それに加えて、今見直してみると、そのまま公開するには問題のある動画が多い。問題、といってもいろいろな範疇の問題がありますが、ざっと見た感じでも以下のような問題があります。


  • 収録音声のレベルが小さい

  • 画質が悪い

  • 著作権、肖像権など、権利に配慮していないスライドが含まれる



収録音声のレベルが小さい。そもそも小型の簡易式マイクで、しかも口元ではなく少し離して録っているものが多いため、音量を大きくしないと聴き取りにくい。本学マルチメディアセンターの方にご相談したのですが、レベルを上げるのはなかなか手間がかかることが判明しました。かといって録り直しは性に合わない。そのままいけそうなやつを使うことになるかもしれません。


画質については、以前のPCだと動画作りにとんでもない時間がかかり、その間仕事が滞る、という事情があって、かなり画質を落としたりしていましたが、こちらはPCが新しくなったことで何とかなりそうです。まあでも作り直す必要があります。


著作権については、図表などで問題となる可能性があり、問題のありそうなところは刷新することにしました。また、既に商業ベースでパッケージ化されている内容については、そちらをご参照頂くことになるでしょう。



以上の問題を解決しつつ、公開に向けて各方面とやりとりを行っております。マルチメディアセンター以外に企画調整室には、本学の名前を出して情報発信をするということで(これまでにさんざんしておりますが…)、問題がないかどうか確認を頂いております。


上記のような事情で、今ある動画をそのままupすることは出来ませんので、作り直しということになるのですが、これが結構手間ですので、少し時間を頂きながら作っていこうかと思います。


というわけで、久しぶりにクリックアンケートを行ってみたいと思います。質問は1つだけですので、多くのご意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。





動画の種類がこれだけかどうか、私自身把握できていないのですが、とりあえず記憶にあるものを挙げてみました。大体の求められているものの傾向と、作成の手間(。-_-。)との兼ね合いで、取り上げるものを考えていこうかな、と思っています。が、手間優先になるかも…。

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posted by 長尾大志 at 16:03 | Comment(0) | 動画置き場

2016年01月25日

教育方法改善に関するFD・SD研修会「アクティブ・ラーニングを促す30の教育技法」

先週19日の火曜日は盛りだくさんで、教育方法改善に関するFD・SD研修会「アクティブ・ラーニングを促す30の教育技法」に参加しました。その前には臨床実習前オリエンテーションがあり、その後には内科の新年会があり、結局新年会には大幅に遅れて行きました。


本セミナーでは、多様なアクティブ・ラーニングを促す教育技法を説明し、簡単に、手軽に講義法に取り入れる方法をお伝えします。ってことで、いろいろな技法を紹介頂きましたが、どちらかというと講演内容は「アクティブ・ラーニング、こういうもんですよ〜」「やっってみたらどうですか〜」みたいな内容でした。医学部のセッティング(1対100、知識伝達中心、思考力は症例問題)で例えばどんな授業を組み立てるのか、など、もう少し具体的なことも伺いたかったです。


本当はその辺を質問したかったのですが…言いたいこと(滋賀医大でも実践は問題なく出来るということ、学生さんの反応はすこぶるポジティブである、ということ)を言っただけで「時間の関係で」終わってしまいました。


紹介して頂きながら頭の中で、「これは使える」「これは無理」とシミュレーションしてみたのですが、大人数講義の中で使えそうなのは「クリッカー」「理解促進テスト」「間違い探し」「ペア・リーディング」「eラーニング」「Think Pair and Share」「間違い探し」「EQリスニング」「マインドマップ」「ミニッツペーパー」あたりかなあ、と思いました。


反転授業、バズセッション、ポスターセッション、KJ法、ロールプレイングなどは、小規模グループが形成できれば効果的に使えそうですが、カリキュラムの改革が必要になってきますね。


そう考えると、クリッカーはやはり優れているなあ、と再認識。今は60個しかお借りしていませんが、増員を検討したいところです。


それと、eラーニングは本気で作らなくてはならない、喫緊の課題としてそう思いました。そういえば以前教育用動画を作ってお蔵入りになった、それ以来多忙過ぎて取り組めていませんでしたが、ちょっと取り組んでみようかと思います。

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posted by 長尾大志 at 12:38 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2016年01月24日

平成27年度 滋賀県緩和ケア研修会に参加中2

くたくたになりましたが、件の研修会が無事終了しました。


昨日も今日もロールプレイを繰り返し行いましたが、やっていて思ったのが、「自分がこうやっている、という様子を若手の先生に見てもらうのは、教育効果が高いぞ」ということ。


なかなか外来を見てもらっても、ちょうどいい症例がある、とは限りませんから、若手の先生方とロールプレイをやる機会を設けたいな、と強く思いました。うん。どこかでやりたいですねー。


外部の眼に触れる、外部の先生方がやっているのを見ることで、自分たちがやっていることのレベルが高いことを実感します。緩和ケアの勉強をしたい先生にも、ウチの研修はオススメできると思います。

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posted by 長尾大志 at 17:46 | Comment(0) | 日記

2016年01月23日

平成27年度 滋賀県緩和ケア研修会に参加中

今日と明日、表記の会に参加しています。大学に缶詰です。これは必ず参加しなくてはならない類いのものですので、これに関する意見を述べることは控えておきますが、椅子がよくないのでずっと座っているのが苦痛です。普段の椅子が恵まれていることを実感いたします。


グループワークをやっておりますが、これ、来月薬剤師会で行うグループワーク運営の予行にちょうどよかったです。受ける側から運営を考えることが出来ました。


もちろん、緩和ケアそのものについても、知識の整理をさせて頂いております。へとへと。

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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 日記

2016年01月17日

告知・『滋賀県病院薬剤師会感染制御委員会研究会』講師

2月18日(木)、18時20分から草津市立市民交流プラザ(たぶんフェリエ草津)で行われる、「平成27年度 第2回滋賀県病院薬剤師会感染制御委員会研究会」で講師をつとめさせて頂くこととなりました。


タイトルは『基礎から学ぶ肺炎』。病院薬剤師の方々に、「肺炎に正しく抗菌薬を使う」ことが出来るようになって頂きます。


2時間ありますので、いろいろな試みを交えながら、薬剤師さんの考え方OSをアップデートできるような時間にしたいと本気で思っております。病院薬剤師さんが変われば、そこのドクターもエエカゲンな抗菌薬チョイスは出来なくなるのではないかと期待します。これが、滋賀県の医療レベルを変える機会にする、そのつもりで準備しています。ふふふ。

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posted by 長尾大志 at 17:01 | Comment(0) | 活動報告

2016年01月16日

告知・『琵琶湖喘息セミナー』講師

1月30日(土)、17時から琵琶湖ホテルで行われます『琵琶湖喘息セミナー』で咳と喘息のお話をさせて頂くことになりました。


メーカーさん主催なんですが、私の希望もあり、宣伝色は極力少なく、ただただ咳の鑑別と治療について、しっかりとお話しさせて頂く予定です。


対象は開業されている先生方、それから今回は看護師さん、薬剤師さん、理学療法士さんなど、コメディカルスタッフの方々にも参加頂けるとのことですが、まだまだ参加される方は少ないようです(汗)。


主催はアステラスさんとアストラゼネカさんですので、詳細は担当MRさんなどにお尋ね頂ければと思いますが、たぶん直接お越し頂いても大丈夫ではないでしょうか。おそらく。

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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 活動報告

2016年01月15日

症例検討会BRONCHO4−8・振り返り

昨日の記事を読むと、本症例ではFeNOが半ば決め手となって、診断に至ったような印象ですが、実臨床の現場ではまだまだFeNOを測定出来ないことも多いと思います。その場合、どこまで診断を詰めることが出来たか、振り返ってみます。


指針を見るとFeNOが高ければ喘息として問題ないですが、そうでない場合の診断の決め手として、安定期の肺機能が正常(閉塞性障害なし)であればCOPDは否定的です。


本症例では安定期に閉塞性障害がありませんでしたので、喘息と診断して差し支えないと思いますが、そもそもの病歴で繰り返しのepisodeがありますから、「喘息の要素」はあり、少なくとも安定期の治療薬としてICS/LABAを使う、これは間違いないと思います。


それでプラスαの症状があればLAMAを加える、治療としてはそれでいいということになるわけです。


仮に肺機能で閉塞性障害があったりすると、COPDを除外は出来ません。喘息でも慢性喘息のような病態では、安定期でも咳や喘鳴、呼吸困難などが見られます。そのときに病名をどうするかは主観が入ってくると思いますが、ACOSといったり慢性喘息といったり、喘息とCOPDを併記したり、いろいろであるのが実際ではないでしょうか。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月14日

症例検討会BRONCHO4−7

そういうわけで本症例を指針に当てはめてみると、


  • 昨年夏にも夜間に咳がでるエピソードがあり、近医で薬の吸入を行っていた⇒繰り返すepisode≒変動性の可能性あり。

  • 20本✕50年以上の喫煙者であり、COPDの可能性もあり。

  • 安定期の肺機能とFeNOを測定しているかどうか、測定あれば参考になる。



これだけでも喘息の要素がありそうなので、ICS/LABAは使うかな、重喫煙者なので、ICS/LABAで症状が残ればLAMAも加えるかな、という感じですね。


安定期の肺機能検査は半年前に行われていました。

VC 3.1L %VC 95%
FEV1.0 2.42L %FEV1.0 103.1%
FEV1.0%-G 78.66%  


ということで、肺機能検査所見上閉塞性障害なく、COPDに該当しません。


2ヶ月前にはFeNOも測定されていて、51と高値、結果、純粋な気管支喘息、および喘息発作と診断しました。



なお、急性期の治療に関しては、喘息であってもCOPDであっても

吸入β2刺激薬
全身ステロイド

は必須で、加えて喀痰の膿性化や発熱など、感染兆候があれば抗菌薬を使用する、このあたりまでは共通でしょう。


本症例も来院時はCOPD増悪ないし喘息発作、として取り扱い、β2吸入とステロイド全身投与、酸素投与で対処し喘鳴、呼吸困難は改善傾向を示しました。明らかな感染徴候はなく、抗菌薬は投与しませんでしたが問題なく経過しました。


その後、以前の肺機能やFeNOといった情報が判明し、気管支喘息としてICS/LABA導入、その後は良好なコントロールを得ました。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:39 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月13日

症例検討会BRONCHO4−6

逆に、鑑別が必要なポイントのみを鑑別する、こういう観点で考えて下さい。詳しくは日経メディカルさんに連載させて頂いている記事をご覧頂きたいのですが、ミソは


  • 純粋な気管支喘息

  • 純粋なCOPD

  • ACOS



を原理主義的にキッチリ分ける必要はない(し、分けることは難しい)、ということです。要するに喘息とCOPDは症状も似ていて使用する薬剤も似ている。分ける必要がないところは無理に鑑別する必要もないのでは、と考えます。


とはいえ、


  • 気管支喘息

  • COPD

  • ACOS



の大まかなラベル付けはそれほど困難ではありません。喘息とCOPDを分けるべき大切なところはどこか、といいますと、


★ 喘息にはICSを使う


に尽きます。喘息であればICSを使うのは必須ですが、COPDでは必ずしもそうではない。研究によっては、「肺炎を増やす」というデータもあるわけで、無用のICSは使わない方がいいかもしれません(現段階でまだ結論は出ていないと思います)。


ですから、「ICSを使うべき疾患」としての『気管支喘息』という病名をつける、これには重要な意味があります。それではCOPDはどうか。


喘息に対するICS、のように、COPDに必ず使うべき薬剤、というものはありません。LAMAもLABAも、ガイドラインでは同列です。純粋なCOPDにたいしてICSを使わない方がいい、というエビデンスも、上に書いたように、キッチリとは定まっていないと思います(肺炎を繰り返している場合には避ける方がいいかもしれませんが)。


LAMA/LABAの合剤メーカーさんは、本当はそういうデータを出して合剤を売りたかったんでしょうが、今のところうまくいっていないようですね…。


なので、COPDに関しては、ガッチリと鑑別する、喘息を除外する、そこまでは必要ないかもしれません。



というわけで、いくつかの私的指針を書いておきますと、


  • とにかく大事なのは喘息の要素があるかないか。喘息の要素はこれまでにもさんざん書いてきましたが、症状の変動性(可逆性・繰り返し)です。COPDの要素があろうがなかろうが、変動性があればICSを使うべきです。

  • ヘビースモーカーの高齢者が咳・痰・労作時呼吸困難を訴えたら、COPDの存在が想定されます。ただ、慢性喘息でも症状は似ています。とはいえ、COPDでも慢性喘息でも、LAMAが有効であろうという点では同じことですから、ヘビースモーカーでそういう症状の症例には、LAMAを使うのがよいでしょう。

  • 安定期の肺機能で閉塞性障害が見られても、COPD、または慢性喘息としてLAMAを使うのがいいでしょう。

  • 逆に、喫煙歴のない症例をCOPDと診断するのはなし。日本では喫煙歴がなければCOPDは否定的です。

  • 変動性がある、喘息もCOPDもどちらの要素もある、となりましたら、ACOSという病名を暫定的につけておいてもよいでしょう。



症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 19:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月12日

症例検討会BRONCHO4−5

  • 気管支喘息

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)



の鑑別ですね。結構尋ねられることも多いですし、実際私たちも迷うことが少なくありません。


最近では、ACOS(Asthma COPD overlap syndrome:エーコス)という言葉が使われることが多くなってきました。そもそも、喘息とCOPDは同じ閉塞性障害で、似たような症状を呈しますし、両疾患を合併している症例が少なからずあることもよく知られているのです。で、そういう合併した病態をこれまでは「asthmatic COPD」や、「オーバーラップ症候群」などと呼んでいましたが、これに正式名称として「ACOS」という疾患名が付いたわけです。


そういうわけで、鑑別としては


  • 純粋な気管支喘息

  • 純粋なCOPD

  • ACOS



を区別することになります。とはいえ、なかなか「喘息の要素がない、純粋なCOPDである」「COPDの要素がない、純粋な気管支喘息である」と言い切るのは困難なのです。


特に、非専門の先生方はそこまで鑑別して何の意味があんねん、と思われるかもしれません。ごもっともですね。そこで、発想の転換です。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月11日

ファーストクラスの心配り3

フライトタイム2万時間、元JAL国際線チーフパーサーの黒木安馬さんの著書、『ファーストクラスの心配り』を読んでの感想、私の解釈を備忘のため記しておきます。ご興味をもたれたら元文献を読まれることをお勧めします。


その中に、「おもてなしはイエスの論理で。『知らない』『できません』を言わない対応を心掛ける。」というものがあります。お客様の要望にノーと言わない、それがホスピタリティの基本である、ということです。


これはなかなか、時と場合によっては難しいこともあるように思うのですが、実は考え方一つで十分可能なことなのです。もちろん修練が必要であることは間違いありません。


当然ご要望にはこちらが出来ることと出来ないことがあります。ただ出来ないことを頭ごなしに「できません」と言うのは、ホスピタリティとしてどうなのか、言われた方は「自分の存在を否定された」気分になる。そうではなくて、「やってみましょう」「考えてみましょう」とワンクッションおいて、代案と共に回答する、等すれば、「ここまで無理なことをやってもらえた」と、ファンになって頂けるのではないか、ということです。



一例として、思いが至ったのは、例えば癌の患者さんがいわゆる民間療法や代替療法といわれるものを探してこられたような場合(まあ別に他のことでも同じではありますが…)です。往々にして診察室でなされる会話で、

「○○を試してみたいのですが…」

「それは無理ですね」
「やめておいた方がいいです」
「認められていません」

みたいに、頭ごなしに否定されてはいないでしょうか。


患者さんとしては、わらにもすがる思いでいろいろな療法を探し求め、勇気を持って主治医に「○○はどうでしょうか」と切り出してみた。そこで頭ごなしに否定されては、否定的な感情が生まれるのも無理はありません。のみならず、医師に内緒で勝手に代替療法や健康食品、サプリメントなどを使用されて相互作用が起こったりしても大変です。医師―患者コミュニケーションが取れていないケースでしばしば起こっています。


「○○を試してみたいのですが…」

「○○ですか。私は使用経験がないのでわかりません。少なくとも、広く認められた効果がある、とは聞いていませんね。ちょっと調べてみましょうか。」
「やはり、直接的な効果が科学的には証明されていないようです。今使っている薬と併用してどうなるかもわかっていません。ですから私の立場としては、太鼓判を押すわけにはいかないんですよ。」
「でも、他に有効な治療法がない状況で、すがってみたいというお気持ちもわかります。」


頭ごなしに否定しない、話し合って落としどころを見つける、ホスピタリティの基本に忠実であれば、行き違いや感情的トラブルもずいぶん少なくなるかもしれません。そういう態度はお客様(患者さん)のためでもありますが、結局は自分のためでもあるのです。

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posted by 長尾大志 at 16:44 | Comment(0) | 日記

2016年01月10日

ファーストクラスの心配り2

フライトタイム2万時間、元JAL国際線チーフパーサーの黒木安馬さんの著書、『ファーストクラスの心配り』を読んでの感想、私の解釈を備忘のため記しておきます。ご興味をもたれたら元文献を読まれることをお勧めします。


教育は英語で「education」ですが、その語源を恥ずかしながら知りませんでした。
ラテン語のEDUCO、(助産師さん、産婆さんが)産道から赤ちゃんを引き出す、という意味だそうです。


諸説あるようですが、教育とは、人が持っている才能なり素質のよいところを見つけて、引き出す。教えて育てる。そんな意味だと考えるといいのではないかと思いますね。もちろん、大事な知識をわかりやすく教える、というのも教育を構成する1つの要素ではありましょうが、やはり対象となる方々の行動を変容させてこそ、教育した価値もあろうというものです。


とするとやはり、受講者の側に何かを「してもらいながら」、その行動、アウトプットについてフィードバックしていく「アクティブラーニング」が、教育効果が高そうだ、ということは間違いなさそうです。



お客様からの、ちょっと無理なご要望にお応えするために、頭をひねって考える、それが叶ってお客様がとても満足され、とびきりの笑顔を見せて下さったときが至福の喜びである、と書かれています。そんな、顧客満足を高めるためには、提供側が「仕事を心から楽しむ」ことが大切であるといいます。


よいサービスを提供するためには、従業員満足が絶対条件。ロシアの作家、ゴーリキー曰く、「仕事が義務であれば地獄、仕事が楽しみであれば天国」。


管理職にあるものは、従業員満足を高めるべく、環境を整えたりモチベーションを上げたりする施策をとったり、ということが大事なのでしょう。


満足して働くと笑顔になる。笑顔で応対されると第一印象がよくなり、トラブルも減る。いいことずくめですね。

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posted by 長尾大志 at 23:09 | Comment(0) | 日記

ファーストクラスの心配り

フライトタイム2万時間、元JAL国際線チーフパーサーの黒木安馬さんの著書、『ファーストクラスの心配り』を読みました。私たちの仕事にも通じるところが多く、是非読んで頂きたいと思うのですが、私なりにいろいろと思うところがあったので、備忘のために書いておきたいと思います。あくまで読んでの感想、私の解釈ですので、ご興味をもたれたら元文献をお読みになることをお勧めします。


人と人が直接コミュニケーションをとるサービス業では、行き違いによるクレームはつきものです。クレームが起こったことが問題なのではなく、クレームはお客様の「要望」ですから、クレームに正しく対処することこそが大切で、正しく対処することでそのお客様がファン、常連になって頂けることすらあるわけです。


「過ちて改めざる。これを過ちという。(孔子)」


ですからまずは、相手の言っていることに、素直に耳を傾ける、これが大事。ところが、これが出来ない人がいる。相手が言っている、そのこと自体「私を攻撃している」「この人は私を敵視している」と防衛本能が働くようで、そこでシャッターがおりてしまうのですね。


そうではなく、これは「改善のよい機会だ」と捉えてしっかりと耳を傾ける、これだけでもずいぶんとトラブルは減ると思われます。



この本能は例えば、上級医から何かを指摘されたときにも発動されたりします。こちらとしては「これが出来ていないのだから、出来るようになってほしい」「これは知らないようだから、知っておいてほしい」と思って、よかれと思って指摘をするわけです。でも、指摘された方は「知らないことを糾弾された」と、身を守るために耳を塞ぎ、眼を閉じます。


特に最近はゆとりを持って大切に、ほめて育てられたお子様が多く(長尾家のように罵声を浴びせられることもなく<汗>)、指摘されることに対する耐性もあまりない方が多いように見受けます。


ということは、私たちとしては、若手の教育、指導にも、患者さん同様「サービス精神」を必要とするわけです。私たちが受けてきた封建的な!教育の繰り返しではなく、「ほめて、やる気を出させる」指導が求められています。「私、ほめられると伸びるんです。」がギャグでなく真顔で語られる時代。私たちの度量が求められています。

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posted by 長尾大志 at 08:28 | Comment(0) | 日記

2016年01月08日

症例検討会BRONCHO4−4

さて、それでは診断です。


急性の呼吸困難で、喘鳴もある。閉塞性換気障害がありそうです。そのような症状を来す疾患としては


  • 気管支喘息

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)

  • 気管支拡張症

  • びまん性汎細気管支炎

  • 閉塞性細気管支炎

  • 肺結核・気管支結核

  • 肺癌による肺内の狭窄

  • うっ血性心不全



などを鑑別に挙げます。


身体所見や胸部X線写真で、wheezes以外に目立った異常所見がなかったところを見ると、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、肺結核・気管支結核、肺癌による肺内の狭窄、それにうっ血性心不全である可能性はずいぶん低くなります。これらは身体所見や胸部X線写真で多彩な所見が見られますからね。


そうすると残りは気管支喘息、COPD、閉塞性細気管支炎あたりで、これらは胸部X線写真でしっかりとした所見がないわけですが、閉塞性細気管支炎は前2者に比べるとずいぶん頻度が低く、しかもたいていは原因となるきっかけ(骨髄移植、肺移植、膠原病、ガス吸入など)があるので、この場合は大変考えにくい。


というわけで、いつもの顔ぶれ、


  • 気管支喘息

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)



が残りました。この鑑別が今回のキモです。


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2016年01月07日

症例検討会BRONCHO4−3

<入院時血液検査所見>
HT (% ) 39.5
HB (g/dl ) 13.2
RBC (1000000 ) 4.38
WBC (1000 ) 9.9 H
PLTS (1000 ) 206
MCV (μ3 ) 90
MCH (pg ) 30.1
MCHC (% ) 33.4
FIBG (mg/dl ) 400
PT-C (秒 ) 11.2
PT-P (秒 ) 11.3
APTTC (秒 ) 29.0
APTTP (秒 ) 24.2 L
PT-ACT (% ) 99
Dダイマ- (μg/ml ) 0.5
PT-INR ( ) 1.01
TP (g/dl ) 7.8
ALB (g/dl ) 4.3
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 210
ALP (U/l ) 240
G-GTP (U/l ) 28
CHE (U/l ) 313
LAP (U/l ) 49
T-BIL (mg/dl ) 0.53
NA (mmol/l) 138
CL (mmol/l) 104
K (mmol/l) 4.4
UN (mg/dl ) 11.2
CRE (mg/dl ) 0.75
eGFR ( ) 77.6
CA (mg/dl ) 8.8
P (mg/dl ) 3.6
T-CHO (mg/dl ) 190
TG (mg/dl ) 63
AMY (U/l ) 64
CPK (U/l ) 111
CRP (mg/dl ) 2.94 H
ヨウケツ ( ) (-)
ニユウビ ( ) (-)
BNP ( ) 40.38 H
トロポニンI (ng/ml ) 0.03
MYO (ng/ml ) 76.7 H
CK−MB (ng/ml ) 1.10
GLU (mg/dl ) 127 H


<血ガス>
救急 動脈ガス
pH 7.365 pO2 186 pCO2 42.4 HCO3 23.7 Lac 6


<心電図>
HR 113 bpm sinus rhythm 整


<胸部ポータブルXP>

救急受診時XP.jpg


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