2016年11月30日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症39・間質性肺炎の治療23・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン5

それでは、先のInconsistent UIPパターンのうち、残りの


  • 嚢胞が散在(多発、両側、蜂巣肺から離れた場所に存在)

  • びまん性のモザイクパターン/エア・トラッピング(両側、3葉以上に存在)



は、どんな疾患を想定しているのか。


嚢胞はCOPDなど嚢胞性疾患で、モザイクパターン/エア・トラッピングは閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans:BO)です。閉塞性細気管支炎(BO)は専門でない先生方にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、細気管支レベルで気管支粘膜下やその周囲組織が線維化を起こすことで、気道の狭窄・閉塞を起こす疾患です。


RAに合併したり、ウイルスなどの感染症であったり、移植後のGVHDとして発症する例が知られていますが、それ以外の背景ではあまり見かけません。ですから呼吸器専門医とそういう背景疾患をご覧になる先生方にしか馴染みがないのです。


BOは細気管支の疾患で、画像所見としては細気管支そのものの病変はCTでも描出されず、吸った空気が出にくくなることを反映して過膨張とかエア・トラッピングが見られますが、それ以外の濃度が上昇する系の陰影はあまり見られません。進行してくると細気管支よりもう少し太い気道壁の肥厚や気管支拡張などが見えてきますが、それでもすりガラス影とか蜂巣肺など、「間質性」の陰影には縁がありません。


写真はすぐには用意出来ませんでした…。


そういう意味でも間質性肺炎の範疇に入れるべきかどうかは微妙な疾患ですが、両側びまん性に病変がある、という意味で、というか、他にあまり同類の疾患がないからか、間質性肺炎に入れて論じられることが多い印象です。RAに合併するからといって間質性肺炎に含めるのも、何だかなあ、という気がしますが。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月29日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症38・間質性肺炎の治療22・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン4

OPパターンの典型例は、こんな感じです。


スライド26.JPG


スライド27.JPG


両側下肺、胸膜直下に分布する浸潤影(コンソリデーション)。周囲にすりガラス影を伴いますが、網状影や蜂巣肺は見られません。


スライド28.JPG


スライド29.JPG


OPパターンを見かけたら、こちらも特発性か原因のあるものかを確認し、OP(COP)の治療を行います。




・HPパターン

HPパターンの特徴は、先のInconsistent UIPパターンのうち、


  • 上中肺優位の分布

  • 小粒状影が多数見られる(両側、上葉優位)



を含んでいます。ここでいう小粒状影はその1つ1つがすりガラス程度の淡い粒であることが多いのですが、これをすりガラスと言ってしまうと話がややこしくなるので、粒状影で通しておきます。HPといっても、慢性型ではなく亜急性に進行してくる、炎症成分の多いやつがこういう感じになります。慢性型は網状影と蜂巣肺形成が有り、UIPパターンとしばしば鑑別が困難です。


典型的には、


スライド30.JPG


スライド31.JPG


のような画像になります。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月28日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症37・間質性肺炎の治療21・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン3

NSIPパターンの特徴は、先のInconsistent UIPパターンのうち、


  • 気管支血管束周囲優位の分布

  • 広範囲のすりガラス陰影(範囲が網状影の範囲より大きい)



を含んでいますから、典型的にはUIPじゃない、ということは明らかなのですが、しばしばUIPと鑑別困難な例も見受けられます。




・OPパターン

OPパターンの特徴は、先のInconsistent UIPパターンのうち、


  • 気管支血管束周囲優位の分布

  • 広範囲のすりガラス陰影(範囲が網状影の範囲より大きい)

  • 肺区域や葉に及ぶコンソリデーション



を含んでいます。「斑状のコンソリデーションで周囲にはすりガラス影もある」「胸膜直下や気管支血管束周囲に分布する」「分布は両側下肺が主体」「網状影や蜂巣肺なし」「コンソリデーションは自然軽快もある」などが鑑別のキーワードとして挙げられます。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月27日

秋田県由利本荘市 本庄第一病院さん(講演後)

そんなこんなで無事に講演を終え、食事会にも呼んでいただきました。学生さんも多く参加され、和やかな楽しい会でした。学生さんがこういう会にたくさん参加されるっていいですね。うらやましい。


DSCF7547.JPG


とまあ楽しく過ごしたのですが、土曜日はドキドキしました。天気予報では晴天、となっていて、雪の心配はなかったのですが、空港に着いてみると濃霧。


自分の乗るはずの、セントレア発の便をはじめ、軒並み「天候調査中」となっており、到着が遅れるようでした。やがて、「○○の○○便、濃霧のため、秋田空港上空を旋回中です」「これより着陸を試みます」みたいな放送が入り、「○分遅れで着陸致しました」…そのうちにしかし、「燃料によっては引き返します」という不吉な放送が入り、最後には…「セントレア空港からの○○便は、着陸不能のためセントレア空港に引き返しました。つきましては、秋田発の○○便は欠航とさせていただきます…」との非情な放送。


おお、これはどうしたものか。仕方がないのでその4時間後の伊丹行きに振り替えし、秋田空港で仕事。よく集中できてずいぶん捗りました。


伊丹行きに乗る時には、すっかり霧も晴れておりました。気の毒なのはセントレアに引き返したお客さんですね…。


DSCF7549.JPG


帰りは天気もよく、鳥海山の見事な姿も…


DSCF7554.JPG


遠くには富士山も見え、絶景を堪能しました。


DSCF7586.JPG


結論。秋田県は気温が低くて寒かったのですが、人の心は温かかったです。秋田の出身でないが、「人の温かさが居心地よくて居着いてしまった」先生のお話も伺いましたが、短時間の滞在でも、そうおっしゃる理由がよくわかりました。


お招き頂いた本庄第一病院の板垣先生、柴田先生はじめ参加して頂いた先生方、スタッフの皆様、やりとりして頂いた秘書課の皆様、本当にありがとうございました。また伺いたいです!

トップページへ

posted by 長尾大志 at 15:06 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月26日

秋田県由利本荘市 本庄第一病院さんで、間質性肺炎のお話

昨日は、秋田県由利本荘市にある本庄第一病院さんで、第2回臨床基礎セミナー『間質性肺炎の取り扱い』をお話して参りました。聞くと、その地区で唯一の呼吸器内科医が来春にはいなくなる、という状況とか。


BALも施行困難、TBLBも困難、という施設、地域は今の日本で決して少なくないであろうと推察され、そういうところで間質性肺炎を取り扱うには実際問題どうしたらいいか、という切実な問題を考える機会となりました。今このブログでやっている連載もそうですが、これは日本中に存在する問題であり、なんとかしなくてはいけないのだと思います。


ということを考えながら、中部セントレア空港から飛行機で出発。


DSCF7531.JPG


DSCF7533.JPG


秋田は雪景色でした。飛行機の運航が心配されましたが、無事少し早めに到着。


DSCF7542.JPG


当初参加者はスタッフの先生方中心に、数名の研修医の方々+学生さん、と伺っていて、そのつもりで準備していたのですが、いざ行ってみるとたくさんの看護師さん、ドクターもたくさん、また秋田大からも参加されている呼吸器内科の先生がおられて…どちらを向いてしゃべったものか、最初は手探りでした。


幸い、準備していたスライドは、検査ができない中での間質性肺炎診療、というテーマだったので、病歴聴取がすごく大事、看護師さんでいう情報収集をしっかりお願いします、というところを強調させていただいたので、なんとか最後まで興味を持って聞いていただけたようでした。


今日、予定よりも帰宅がかなり遅れましたので、続きは明日へ。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:43 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月25日

今日はこれから秋田県へ

今日はこれから秋田県へ飛びますので、手短に。

本庄第一病院さんで 17:30〜19:00、第2回臨床基礎セミナー『間質性肺炎の取り扱い』をお話しさせて頂きます。


呼吸器内科医が不在の施設で、間質性肺炎を如何に取り扱うのが妥当か、まさに今の連載のテーマであります。非専門の先生方と研修医の方々、そして学生さんも参加されるとのこと。気合いが入ります。


滋賀から秋田に行くのに、どう行くのか、いろいろ調べてみると、新幹線で7時間、伊丹空港を使うと早朝便しかなく、今回は中部セントレア空港を使うことになりました。初めてなので勝手がわからず、時間に余裕を持って出発します。



土曜日に帰ってきて、日曜日には、滋賀県理学療法士会内部障害研究会の、第2回研修会があります。こちらは滋賀医科大学医学部附属病院で行われるので、動線はバッチリです。


10:00〜11:30に『本当は怖い肺炎の話』と題してお話をさせて頂きます。滋賀近辺の理学療法士の皆さん、呼吸の基礎、肺炎の基礎を勉強しましょう!

http://www.shiga-pt.or.jp/houjin_kensyu/pdf/h28_naibusyougai_2nd.pdf

トップページへ

posted by 長尾大志 at 09:45 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月24日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症36・間質性肺炎の治療20・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン2

NSIPパターンの実例は、こんな感じになります。


スライド23.JPG


スライド24.JPG


気管支血管束周囲に分布する、すりガラス影主体の陰影で、胸膜直下には連続性、横方向の病変でなく、病変のない部分が見られる、という感じですね。


スライド25.JPG


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月23日

徳島県板野郡医師会学術講演会に行って参りました。

昨日は、徳島県板野郡医師会学術講演会で、「改めて学ぶ胸部単純写真読影」として昨年の基礎編を少し復習しつつ、「検査前感度を上げる」テクニックをご紹介して参りました。


DSCF7511.JPG


DSCF7514.JPG


昨年に引き続きお呼びいただいた、座長の友成先生はじめ関係の先生方、ならびにご参加いただいた先生方、共催の大正富山医薬品さん、アステラス製薬さんには大変お世話になりました。本当にありがとうございました。


ちなみに今回、こんなのやこんなのを見かけました。たぶんラッキーに違いない。


DSCF7492.JPG


DSCF7525.JPG

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:12 | Comment(0) | 活動報告

2016年11月22日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症35・間質性肺炎の治療19・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン

HRCTにおけるUIPパターン以外の所見からどのように診断を進めるか、について少し説明しておきます。実際、病理組織学的にUIPと確認された症例のHRCT像を検討したところ、約1/3が典型的IPF、1/3がPossible UIPパターンであったものの、残り1/3ではInconsistent UIPパターンに含まれるNSIPや分類不能型の所見を呈していたといいます。(Sumikawa 2008)



■ Possible UIPパターン

この所見はUIPの可能性有り、ということで、実際にUIP病変も多く含まれているのですが、例えば純IPFではなくて肺病変先行型の膠原病合併UIP病変とか、線維化のあるNSIPも少なからず含まれてくるので始末が悪いです。


スライド10.JPG


当初NSIP様に見えて、ステロイド治療をやっているうちに蜂巣肺を形成してくるケースもあります。肺生検をして病理組織学的に診断をしてすらそういう事例がありますから、その辺をどう扱うか。


それは結局のところ、「ある治療が効かない場合に、それに執着しない」ことが大事なのかなあ、と思います。NSIPと当初診断し、ステロイド+免疫抑制薬を投与しているのに、着々と線維化、蜂巣肺が進行してきたら、抗線維化薬に切り替える、逆もまた然り、ということですね。



ところで、HRCTの用語として、「NSIPパターン」「OPパターン」「HPパターン」「BOパターン」などなど、ありますが、これらはPossible UIPパターンに入るのか?いえ違います。HRCTで「UIPっぽい」という位なので、Possible UIPパターンにはUIP以外の病理組織を示唆する所見は含まれていません。それらはInconsistent UIPパターン(UIPに矛盾するパターン)に含まれます。



■ Inconsistent UIPパターン(UIPに矛盾するパターン)

UIP以外の病理組織を示唆するHRCTのパターンです。とはいえ、上でも述べたとおり、この中にもIPFが含まれている可能性は多々あるのですが…。


  • NSIPパターン

  • OPパターン

  • HPパターン

  • BOパターン

  • その他



・NSIPパターン

NSIPパターンの特徴としては、「病変が均質」「気管支血管束周囲に分布する」「すりガラス影が主体」などがキーワードとして挙げられます。対してUIPパターンの特徴は、「病変が不均質」「胸膜直下に分布する」「蜂巣肺が主体」となります。


病変が均質・不均質?とか、ちょっと哲学的?文学的?表現も有り、このあたりで非専門の先生方の多くは挫折される印象ですが、出来るだけエッセンスに絞ってお伝えしてみます。


まずわかりやすいところから参りましょう。「すりガラス影主体」。これは特に細胞型NSIPで見られ、細胞浸潤を意味して予後のよさそうな所見になります。線維化型NSIPだとこれに網状影が乗ってきたり、牽引性気管支拡張が見られてきたりします。


病変の分布は時に特徴的です。UIPパターンでは陰影が胸膜に沿って、横方向?に拡がるパターンが多い、胸膜直下の病変が一番強い、という分布が典型的です。


スライド20.JPG


それに対して、NSIPパターンでは、縦方向、というか、気管支や血管が枝分かれをして分布している、その方向、特に気管支と肺動脈は束ねられていて、気管支血管束というのですが、その分布に沿って陰影が分布するのが典型的です。


スライド21.JPG


特に胸膜直下において、NSIPパターンではしばしば気管支血管束の間が開いていて、病変がspareされている(免れる)様子がしばしば見られます。


スライド22.JPG




それではこれから、講演のために徳島に行って参ります。徳島県板野郡医師会の先生方、よろしくお願い申し上げます!


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月21日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症34・間質性肺炎の治療18・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ3

■ IPFの治療方針

ステロイドは推奨されない。抗線維化薬は条件付きではあるが使用を考慮。使用していて効果が確認されない場合は中止する。ただし、経過中に膠原病の香りがしてきたらステロイド治療をためらうべきではない。というのがガイドラインの基本方針でしょう。抗線維化薬は、以下の2種類が発売されています。


ピルフェニドン(ピレスパレジスタードマーク)1錠200mg 9錠 分3後 


1回に3錠、少し多いですが、1日1,800mgが通常用量です。消化器系の副作用などあれば、これを6錠(1,200mg)分3に減量します。1,200mgでもある程度の効果は期待出来ますが、さらに副作用がある場合に、3錠(600mg)分3に減量しても効果が期待出来るかどうかはエビデンスがありません。


ニンテダニブ(オフェブレジスタードマーク )1錠150mg 2錠 分2朝・夕後


患者さんの状態によっては1回100mg錠に減量する、とされています。こちらも消化器症状は多く、休薬後再開する際には1回100mgを1日2回から、それでいけそうなら150mg錠に増量、という手順が示されています。


ピルフェニドン、ニンテダニブ共に、しばらく(3ヶ月〜1年程度)使ってみて、それまでの悪化率と比較して改善が見られるかどうかを確認します。効果があればそのまま継続しますが、効果が無いようであれば中止を検討します。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月20日

呼吸器スキルアップセミナー in Osaka 2016

昨日は呼吸器スキルアップセミナー in Osaka 2016@大日本住友製薬株式会社本社、でした。


呼吸器スキルアップセミナー in Osakaは、日本呼吸器学会近畿支部が毎年地道に続けている若手教育の場です。近畿にある大学、主な病院の指導医の先生方が施設の枠を超えて手を携え、若い先生方に熱のこもった指導を行う。素晴らしいじゃありませんか。


毎年テーマを変え、試行錯誤しながら続けられています。これまでには「抗菌薬」「胸部画像」「人工呼吸器」などなど、ライブ感、手技、手を動かす、ということを意識したテーマでなされてきました。


私も微力ながら毎年参加していますが、今年のテーマはすごく良かったと思います。まず肺癌などで行われている「臨床試験」の講義。巷間何気なく出されているデータの裏を読み解く、私が聞いていても興味深いお話でした。


DSCF7449.JPG


そしてその後は…


DSCF7452.JPG


呼吸器内科で行う、気管支鏡を用いた手技のいろいろを実体験!ウチのH先生と一緒に回ってみましょう。まずは、重症喘息症例で行うサーモプラスティー。


DSCF7460.JPG


文字通り手取り、足取り教えてもらえます。そして、EWSで気胸の治療!


DSCF7465.JPG


それから部屋を換え、生検に関する手技を練習します。まずは、ガイドシースによるTBOB(Transbronchial Orange Biopsy)…


DSCF7472.JPG


オレンジがなかなかうまく取れず、苦労されていました。そして最後に、EBUS-TBNA。


DSCF7476.JPG


最初に説明があり…


DSCF7478.JPG


実際にやってみます。H先生は何例か介助に入ったあたりのキャリアですので、今回のように丁寧に手順を教えていただけ、他人がやっているのを解説付きで見られる機会はちょうどよかったんじゃないでしょうか。講師の先生方、お疲れ様でした。そしてお世話になり、ありがとうございました。

トップページへ

2016年11月19日

第3回 みやこ呼吸器カンファレンス

昨日は京都にて、表記の会での基調講演を務めさせていただきました。前回に引き続き、胸部X線写真の読影、そのコツみたいなものをお話しさせていただきました。


今回、杏林さんのご厚意で、アンサーパッドを使用したアクティブ・ラーニング形式を取り入れることができまして、参加された皆さんにお答え頂きながら進めていくことができました。けっこうやっている本人は楽しめましたが、参加された皆さんはどうだったのでしょうか…。感想がわからないのが残念です。


これからは講演会、研究会なんかにも、こういう方向性がどんどん取り入れられるといいなあ、と思いますね。まあ初期投資はかかりますが、参加される方の満足度は高くなるのではないでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(1) | 活動報告

2016年11月18日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症33・間質性肺炎の治療17・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ2

間質性肺炎の原因となるものが見当たらない、膠原病の香りもしない、ということになりますと、それは特発性間質性肺炎、ということになります。


特発性であれば、ガイドライン的にはVATs、外科的肺生検をしましょう、ということになるのですが、特発性群であることがわかっていて、あえてVATsをやりにいく、というのが、なかなかハードルが高い。IPF以外では、診断によって治療が変わるわけでもないのに、何のためにそんなリスクを冒すのだ、ということです。


IPFの診断はHRCTのパターンで判断。UIPパターンだったら、IPFと診断してもいい、ということですね。ですから、ここでもHRCTでのUIPパターン、というものに精通した放射線科医、または呼吸器科医の存在が必要となります。




DSCF5193.JPG


今日も1コマ3回生の授業をしまして、呼吸器系統講義✕8コマは無事に終了しました。今日は他に5回生の臨床実習もしまして、これから、「第3回 みやこ呼吸器カンファレンス」でお話をして参ります。京都府立医大の関連病院の先生方中心の会です。参加される先生方、どうぞよろしくお願い申し上げます…。ということでアッサリと切り上げます。


明日は呼吸器学会近畿地方会主催の「呼吸器スキルアップセミナー in Osaka 2016」。こちらもご参加の皆さん、よろしくお願い申し上げます!


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月17日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症32・間質性肺炎の治療16・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ

慢性期のびまん性肺疾患の取り扱いについても、いろいろと病歴などから鑑別が必要な点は急性期と同じです。


まず、除外すべき「間質性肺炎以外の」疾患たちとして、


  • 感染症

  • 腫瘍

  • じん肺

  • リンパ増殖性疾患

  • サルコイドーシス

  • アミロイドーシス 他



があるわけですが、これらは各々


  • 感染症ー経過、感染徴候、マーカー

  • 腫瘍ーHRCT、生検

  • じん肺ー粉塵曝露などの病歴、HRCT

  • リンパ増殖性疾患ーHRCT、生検

  • サルコイドーシスーHRCT、生検

  • アミロイドーシスーHRCT、生検



などで診断をつける必要があります。そういう意味でも、少なくともHRCTで、これらの可能性があるかどうかを判定出来る施設でなければ、「両側びまん性の陰影」は取り扱うべきではありません。呼吸器専門医のいる施設にご紹介頂きたいと思います。


「そんなことを言っても、急性でヤバい、ってもんでもないのに…無理なものは無理なんだ!」という声も聞こえてきそうですが、アミロイドーシスやリンパ増殖性疾患、腫瘍性疾患は、生検しないとわかりませんので…。少なくとも、生検出来る施設にご紹介頂く必要があるかと。生検アプローチの方法として、経気管支生検・経皮生検(CT、エコーガイド下)・縦隔鏡下リンパ節生検・胸腔鏡(VATs)下肺生検。これらのうち、少なくともどれかは出来る必要があります。


ひょっとすると、両側に陰影⇒とりあえずステロイド⇒効かない⇒そのまま……のような症例群に、上の症例たちが含まれている可能性もあるかもしれませんから。


上の症例群を除外出来、HRCTで間質性肺炎だろう、となって参りますと、次は「原因があるか、ないか」を見極めることになります。


間質性肺炎の原因となるものを、病歴からできる限り拾い上げます。原因別に間質性肺炎を分類し、原因を除去出来るものに関しては除去。そして、多くの場合はそれでも症状が続きますから、ステロイドを使用することになります。


膠原病や血管炎の存在が想定される場合(確定診断に至っていなくても)、想定される疾患としての治療を開始することが多いです。肺病変先行型膠原病の存在を考えると、ステロイドが効くものであれば積極的に使っておきたいところですし、いわゆる「膠原病の香りがする」程度であってもステロイドをまずは使ってみる、というところはあると思います。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月16日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症31・間質性肺炎の治療15・急性期のびまん性肺疾患の取り扱い・まとめ

急性期びまん性肺疾患の治療、薬物以外のトピックとしては、挿管人工呼吸管理になった場合における換気様式の工夫が挙げられます。


いわゆる肺保護換気療法(1回換気量を6~8mL/kg程度に絞り、プラトー圧が30cmH2Oを越えないようにする)に代表されるように、不要な圧をかけない、あまりFiO2を高くしない、といった戦略が主流になっています。それ以外に、いろいろな理論に基づく換気方式が、人工呼吸器メーカーなどによって数多く提案されてきましたが、明らかに予後を改善する、というようなものはまだ確立されてはいません。




ということで、急性期のびまん性肺疾患の取り扱いをまとめてみますと…。


@ARDS、心不全、薬剤性肺障害を病歴より鑑別する。⇒


A出来れば気管支鏡、肺胞洗浄を行う。これによって感染症、肺胞出血、好酸球性肺炎を鑑別可能。施行出来ない場合、喀痰グラム染色や血液、尿の培養、尿中抗原、プロカルシトニン、β-D-グルカンなどの感染症マーカーを出来るだけ採る。⇒


B膠原病、血管炎を臨床情報から鑑別する。⇒


Cステロイド投与。膠原病、血管炎であれば決まり事に従っての量、免疫抑制剤を追加します。

結局ステロイドかい、ということにはなりますが、できる限りのことを尽くした後のステロイド投与でしたら、やむを得ないのではないでしょうか。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月15日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症30・間質性肺炎の治療14・間質性肺炎・急性期の対応3

急性期の治療をまとめると、結局のところ、免疫を抑制するくらいしかありません。


メチルプレドニゾロン(ソル・メドロールレジスタードマーク)1g✕3日間(パルス療法)⇒プレドニゾロン0.5〜1mg/kg/日で継続

効果不十分や再燃の場合には、パルスを1週間ごとに繰り返し可。



ステロイドに加える免疫抑制剤としては、急性期には大量がいい、ということでシクロホスファミドを大量に投与するIVCYがよく行われています。また、血管炎の治療には(点滴でも経口でも)シクロホスファミドが選択されます。


シクロホスファミド(エンドキサンレジスタードマーク)500〜1000mg/回/2〜4週間ごと(初回は500mg、以降漸増してもよい)


シクロホスファミド(CPA)1〜2mg/kg/日分1


シクロホスファミドは、点滴でも経口でも長期投与による害がいわれていて、ほとぼりが冷めたら(半年程度)中止⇒アザチオプリンなど他の免疫抑制剤に変更します。



経口薬であれば、特発性間質性肺炎に最も効果が高い印象があるのはシクロスポリンという印象ですが、膠原病でも皮膚筋炎合併の急性間質性肺炎など、急速に進行するタイプにはマストで使われています。


シクロスポリン(ネオーラルレジスタードマーク)3.0mg/kg/日分2



また、「全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害(今でいうARDS)の改善」を効能効果として謳うシベレスタット(エラスポールレジスタードマーク)も、急性期にはよく使われている印象です。こちらはステロイドや免疫抑制剤のような目立った副作用も無く、使いやすいものではありますが、反面、効くとき?のステロイドのような「ズバッと効いた感」も薄い印象です。


シベレスタットは、急性肺障害時に炎症の中心的な働きをする好中球が産生するプロテアーゼ(蛋白分解酵素)の1つである、好中球エラスターゼを阻害する薬剤です。本来外敵退治のために産生されるプロテアーゼが急性肺障害になったときには組織の破壊をしてしまう、ということで、それを防止すべく開発されたものです。



ステロイド+免疫抑制剤+αでもコントロールが悪ければPMX-DHPなどによる血液浄化療法、血漿交換などが選択肢としては挙げられますが、以前に書いたとおり、「推奨されている」ものではありません。主治医の先生方や施設の方針によってやられていると思われます。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月14日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症29・間質性肺炎の治療13・間質性肺炎・急性期の対応2

ARDSの原因としてよく知られているのは、以下のようなものです。病歴聴取によって多くのものが確認出来るでしょう。


  • 感染症・敗血症

  • 有毒ガス・薬剤

  • 溺水

  • 誤嚥

  • 熱傷・多発外傷

  • 脂肪塞栓症候群

  • 肺挫傷




また、心不全の評価、診断のためには、以下のような事項で確認を出来るでしょう。


  • 既往歴(メタボ・心疾患・AF…)

  • 心音でV音やW音、心雑音などを聴取

  • 呼吸音でcracklesやwheezesを聴取

  • 頸静脈圧上昇所見

  • 下腿浮腫

  • 心拡大所見

  • BNP・エコー




肺胞出血の診断は、直接的には肺胞からの出血を証明する必要がありますから、気管支鏡・気管支肺胞洗浄(BAL)を行う必要があります。洗浄液が血性で、だんだん濃くなってくるようであれば、肺胞領域からの出血であると診断されます。一方、だんだん薄くなる場合は気管支からの出血であると考えられます。


気管支鏡が出来ない施設では、血痰、喀血+両側びまん性陰影、それに進行する貧血があれば診断は可能ですが、血痰や喀血を認めない症例も少なからずあるといわれていて、診断に迷うことも少なくないでしょう。


ただ、肺胞出血の原因としては、

  • 血管炎

  • 膠原病

  • 薬剤性

  • びまん性肺胞障害

  • 出血傾向(を来す薬剤)

  • 心原性肺水腫

  • Goodpasture症候群など


があり、その多くの治療にステロイド大量が使われていることから、必ずしも肺胞出血の診断をしなくても、ステロイドで何とかなっている症例もあるでしょう。でも、血管炎、膠原病、薬剤、出血傾向などについては気管支鏡がなくても診断可能ですから、少なくともそちらからの診断は詰めて頂きたいところです。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

2016年11月13日

呼吸器症状患者の鑑別実践編5・慢性の咳をみたときに聴取すべきこと

呼吸器症状を訴える患者さんの鑑別動画、ネット上に公開できるものとしては一旦こちらで最後になります。


https://youtu.be/mbhKCToKl0A


慢性の咳をみたときに聴取すべきことを、鑑別診断別にまとめました。
対応するブログ記事はhttp://tnagao.sblo.jp/article/83107749.htmlです。



トップページへ

posted by 長尾大志 at 20:41 | Comment(0) | 動画置き場

2016年11月12日

呼吸器症状患者の鑑別実践編4・慢性の咳の鑑別

さてここしばらく活動報告が続きましたが、呼吸器症状を訴える患者さんの鑑別動画、もう少し続きを作成しましたので、ご紹介します。


https://youtu.be/XQKkv2qA7rk


こちらの動画も、数年前の静岡県志太医師会での「ジェネラリストのための呼吸器疾患道場・咳の鑑別について」を収録したものです。慢性の咳をみたときに、想定すべき鑑別診断を挙げています。


対応するブログ記事はhttp://tnagao.sblo.jp/article/77752681.htmlです。


トップページへ

posted by 長尾大志 at 20:12 | Comment(0) | 動画置き場

2016年11月11日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症28・間質性肺炎の治療12・間質性肺炎・急性期の対応

間質性肺炎の急性期のイメージといえば…。


  • 急速に進行する呼吸困難、低酸素血症があって、

  • 胸部X線写真やCTで両側びまん性に濃度上昇(両側真っ白)を認めて、

  • 利尿薬、抗菌薬などの治療に反応しない…



…ようなときに、「間質性肺炎かも」という話になってくると思いますが、まだこの段階では決めつけることは出来ません。間質性肺炎以外に、


  • ARDS

  • 心原性肺水腫

  • 感染症

  • 肺胞出血

  • (急性)好酸球性肺炎



なんかも、上のような特徴がありますから、緊急事態の中であっても、鑑別をきちんと考える必要があります。急性期には何でもかんでもパルスをいきゃいいってもんじゃありません。疾患ごとに対応は異なります。


  • ARDS:原因治療+少しステロイドを使う程度。

  • 心原性肺水腫:これはもう心臓の治療、ステロイドは禁忌でしょう。

  • 感染症:原因微生物ごとの治療。ステロイドはダメなことが多いものの、ニューモシスチス肺炎のように必要なことも。

  • 肺胞出血:血管炎やSLE、薬剤が原因であれば、パルスなどステロイド大量。

  • (急性)好酸球性肺炎:ステロイド大量。



間質性肺炎の急性のやつ、あるいはIPFの急性増悪の時には、通常ステロイドパルスなど大量療法が選択されますが、急性増悪の時には以前にも触れたようにあまり効果は期待出来ません。それでも、それしかないのでいっちゃうことが多いでしょう。


メチルプレドニゾロン(ソル・メドロールレジスタードマーク)1g✕3日間⇒プレドニゾロン0.5〜1mg/kg/日で継続


効果不十分、再燃の場合、1週間ごとに繰り返し。


治療薬、対応が違う、というものについては、鑑別しなくてはなりません。鑑別のコツを診断別に挙げてみましょう。


  • ARDS:ARDSを引き起こすような原因があるかを確認する。

  • 心原性肺水腫:BNPや心エコーで心機能評価。

  • 感染症:あらゆる検体の塗抹(グラム染色)、培養。各種迅速検査。患者背景、居住、旅行、摂食などの確認。

  • 肺胞出血:貧血があるか。血痰や喀血は?肺胞出血を引き起こすような原因があるかを確認する。

  • (急性)好酸球性肺炎:喫煙習慣。典型的には「中止していた喫煙を再開」という病歴。ただし例外多数。



呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ