2017年04月24日

空洞と嚢胞

嚢胞よりもハッキリとした、厚めの隔壁に囲まれた黒いエリアを空洞といいます。空洞の内部には通常肺組織は残っておりませんので、中は真っ黒に見えます。


空洞の成り立ちは嚢胞とは異なりますが、特に壁の薄い空洞は、画像上(見ただけでは)嚢胞と区別が難しいことがあります。確固たる定義もあるようでないのですが、測定可能な(1mmくらいの)壁があると空洞、それより薄い壁敷かなければ嚢胞、とか、通常嚢胞は複数見られることが多い、あたりが見分けるポイントかなあ、と思います。


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2017年04月23日

第57回日本呼吸器学会学術講演会にて座長を務めました

昨日は、第57回日本呼吸器学会学術講演会に参加して参りました。


今回は日帰りでしたが、いろいろと予定が詰まっておりまして、忙しくバタバタしましたが、たくさんの先生方ともお目にかかれましたし、予定も万事うまくこなせた、つもりです。


ここに書けないことも多いのですが、書ける出来事としては、ポスターセッション「症例・その他1」座長。相方の、福井大学の早稲田先生とは初めてお目にかかりましたが、パワフルでキレキレのステキな先生でした。時間がちょっと押せ押せになり、無理矢理切り上げさせていただいたりもしましたが、まあなんとか無難に収まったかと思います。


他には書籍売り場での拙著の扱いが変わらずよくて、いいところに置いて頂いていたりしましたが、今年は全面的に「写真撮影厳禁」でしたので、写真はございませんでした。世知辛い世の中でございます…。

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posted by 長尾大志 at 21:24 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月21日

肺野が黒くなる病態

昨今では、胸部X線写真はデジタル化されCR(Computed Radiography)写真、とも呼ばれていますが、デジタル化されて見やすく画像処理されており、フィルム時代に比べて、肺野の「黒さ」がわかりにくいことがあります。ですから概念としては、これらの病変は確かに「黒くなる」のですが、実際に画像を見た感じはそれほど黒く見えないこともあるのです。


そんなときはどう見るか。そういう病変は肺胞、肺組織の密度が少なくなっていますので、肺野末梢の血管影が細くなったり、少なくなったり、あるいはなくなったり、そういうところを見ます。まあ、それも含めて黒っぽい印象を受ける、といえばそうかもしれません。


正常の血管影(水の密度)は、肺内(ほぼ空気の密度)を、肺門を中心に放射状に、少しずつ枝分かれして細くなりながら拡がっていきます。


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立位で撮影されていれば、下肺野に行く血管は上肺野に行く血管よりも、重力によって多く血液が流れますから、太め(上の肺野に行く血管の1.5倍〜2倍くらい)に見えるといわれています。イメージとしてはこんな感じです。


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基本、同じ高さの血管は左右同じような太さだと考えてOKですから、肺野を見る時には左右の血管影に差がないか、同じ高さで比較をしながら追っていきます。


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さて明日は、第57回日本呼吸器学会学術講演会2日目です。ポスター座長のために日帰りで東京に行って参ります。いろいろ予定が入っていて、ちょっと更新する時間はないような予感がしますので、よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 18:58 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月20日

陰影の辺縁から推測出来ること

結節影や浸潤影が、どのような性質を持っているのか。陰影の辺縁を見て推測することができます。


腫瘍性の病変は、モコモコ細胞分裂して大きくなりますから、辺縁は外向きに凸になります。


それに対して、辺縁が内向きに凸の病変は、病変が縮んでいる様子を思わせます。無気肺や線維化病変といった病変が有名ですが、肺癌の中でも(高分化)腺癌など、内部に線維化を伴うものはその線維化のために収縮機転が生じます。そのために、腫瘍でも腺癌などでは内向きに凸の辺縁が見られます。


結節影や腫瘤影に相当する大きさであっても、腺癌の場合、内部に線維化による収縮機転を来し、陰影の辺縁が内向きに凸になることが多いです。収縮に伴って周囲の組織が引っ張り込まれますが、近くの胸膜を引っ張り込んだものを胸膜陥入像といいます。

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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月19日

カーリーのA線、B線、C線

肺の静脈圧が上昇して血管周囲に水が滲みだしてくると、元々の血管と周囲の水が一体化して、元の血管径よりも太く見えるようになります。CTで見たとしても、血管そのものと周囲の水は区別がつきません。


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太くなってよく見えるようになった血管影が線状影として見え、「カーリーのA線、B線、C線」と呼ばれています。名前がそれぞれ異なりますが、結局は似た機序で出ている線ですし、線なんだから全部「カーリーの線」でいいじゃないか、とも思います。液晶・CT時代になったこともあってか余り使われなくなった用語でもあると思いますが、折角ですのでご紹介しておきます。


A線:上肺野から中肺野で見られる、肺門から末梢に向かう直線〜少し曲がった線


B線はこちら


C線:A線やB線を形作るような線状影(広義間質や血管影)が、特に下肺野で重なり合うことで見られる網状影


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posted by 長尾大志 at 20:56 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月18日

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違い3

バタフライ陰影は、心不全であることが多いので、心不全にまつわる所見が見えるかどうかを確認します。ここでご紹介しておきましょう。


  • 肺門付近・中枢の境界線がぼやけて拡がっている⇒バタフライ様

  • 肺門付近の陰影に引き続く血管影(肺紋理)が目立つ

  • 血管影(肺紋理)は特に頭側が太まる(cephalization)

  • 心拡大がある

  • 両側胸水が見られる

  • カーリーの各線や気管支壁肥厚など、広義間質の肥厚像が見られる



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通常は立位で胸部X線写真を撮影していますね。その際、肺門より上の血管よりも、肺門より下の(下肺野に向かう)血管の方が、重力のために血流が多くなります。つまり、下肺野に向かう血管影の方が目立つのが正常です。


ところが心不全では、下肺野の血管が攣縮・狭小化して上肺野に血流が再分布し、上肺野の血管影の方が目立つ現象(cephalization:角出し像)が見られます。さらに肺静脈圧が上昇してくると、血管壁から水分が滲みだしてきて、血管の周囲にある肺胞や(広義)間質に溜まってきます。

ちなみに重症心不全では臥位でポータブル写真を撮られることが多いため、その条件で上肺野の血管が目立っていてもcephalizationとは言えませんので注意が必要です。


結果、血管影自体が太まって見えたり、血管影周囲がぼやけたり、肺野の濃度が上昇して浸潤影〜すりガラス影のように見えたりしてきます。


その場合、肺の外側には比較的陰影が少なく、中枢から蝶が羽を広げているような陰影として見える、ということでバタフライ陰影、と名付けられました。肺の外側に陰影が少ない機序としては、末梢肺が呼吸運動によって動く際に、水分がポンプのように中枢へ送られやすい、あるいは末梢のリンパ流が発達していて、末梢の肺胞内に溜まったものが比較的送られやすい、などが考えられています。


後者の機序は特に、肺胞出血や肺胞蛋白症など、「肺胞内に何かがびまん性に貯留する疾患」において、比較的肺の末梢(胸膜直下)の病変が少ない(正常に近い)ことの説明にもなっています。末梢肺野に溜まったもの(血液や蛋白質)が、リンパのドレナージで掃除されている、というイメージです。


そのため、肺胞出血や肺胞蛋白症などで見られる「両側びまん性に、中枢>末梢に拡がるべたっとした陰影」を、以前はバタフライ陰影と呼ばれていたこともあるようですが、最近ではあまりそうは呼びません。


また、太まった血管影を反映して、肺野にやたらと線状影が見えるようになります。場所や長さ、特徴によってA線、B線、C線と呼ばれます。


なお、心不全のときにも肺動脈の拡張はあるのですが、バタフライ陰影に隠れて、中枢付近の血管影がぼやけていてよくわからないことも多いです。肺動脈がハッキリ拡張して見えるのは肺高血圧のときが多いです。

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posted by 長尾大志 at 17:56 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月17日

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違い2

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違いを挙げますと、両側肺門リンパ節腫脹の方が…


  • 境界線が割とハッキリしている

  • 境界線は外向きに凸である

  • 縦隔リンパ節もしばしば腫脹するので、縦隔リンパ節腫脹を思わせる各種所見が見える



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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月16日

ポリクリ⇒クリクラに替わって(振り返り)

新年度が始まって2週間、臨床実習もポリクリという呼称を止めて、他大学でも既に浸透している「クリニカル・クラークシップ」になりました。


私も先日一度クリニカル・クラークシップのワーキングに参加して、いよいよ、という意気込みで新年度の1回目を終えたわけです。


とはいえ当科(呼吸循環器内科)では独特の事情があり、学生さんの1日のうち、循環器に割り当てられた時間帯と、呼吸器の割り当てられた時間帯とが厳然と分けられている、そして病棟が各々異なる、ということになっておりますので、1日中べったり病棟に張り付く、ということはできません。


それについては6年生のアドバンス臨床実習(6月〜7月)でやっていきたいと思います。6年生は覚悟しておくように。



割り当て時間割が昨年度と同じなので、今年度の新しい試みとしては、外来実習の闘魂外来化、名付けて「びわこ闘魂外来」です。ところが残念ながら今回は初診の患者さんが来られず、再来患者さんでの試みとなりましたが、振り返りの時に学生さんが「もっとも印象に残った」と言ってくれました。どちらかというと医学的なことではなく、内科医として患者さんと話をする上で、私が伝えたいことを考えてもらう…という感じでしたが、ある程度伝わったようでよかったです。


胸部画像についてと診察についてはうまく進んだので、あとはもう少し入院症例を見せることができれば…というところでしょうか。


まあでも、学生さんも初めての臨床実習ですから…おそらく、この4月と、実習に慣れた2月、3月では、やってもらうべきことは違うのだろうな、と思いますし、替えるべきでしょう。これからの課題ですね。

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posted by 長尾大志 at 14:35 | Comment(0) | 日記

2017年04月15日

個人情報保護法

ここ最近、ブログの進捗が滞りがちであることに気づかれた方もおられるかもしれませんが、実は現在自分の持っているデータの整理を行っているところです。以前学内の勉強会で教えていただいたところによりますと、もうすぐ変わる個人情報保護法では、ちょっとしたことでもかなりの大事になりそうで、これまでのような意識ではだめだなと痛感した次第です。


最終形態がどのようなものかはまだその時点ではわからない、ということでしたのでまだココに書けるわけではありませんが、ともかくコンプライアンスであったり倫理規定であったり、何かと世知辛くなってきている昨今です。ともかく現職を維持するためには、道を踏み外すことのないよう注意したいものです。知らずに踏み外すというのが一番怖いですから。


個人情報保護法の変わる途中経過を見ていると、臨床現場を学生さんに見せる医学教育なんて全くできなくなるんじゃないか、とすら思えるような改革になりかねず、そもそも個人情報の取り扱いを国際基準にするために教育が国際基準から大幅に遅れるという、皮肉なことになるかもしれません。続報を見守りたいと思います。

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posted by 長尾大志 at 20:40 | Comment(0) | 日記

2017年04月14日

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違い

特にリンパ節腫脹が両側にある場合、初学者の方はバタフライ陰影と見間違えることがあるかもしれません。


バタフライ陰影は、心不全の時などに見られる、肺門を中心に蝶が羽を広げたように見える陰影です。


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何となくうろ覚えの状態で蝶が羽を広げたイメージを書いてみました…。画像としては、こんな風に見えます。


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両側肺門リンパ節腫脹との違いは…

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posted by 長尾大志 at 17:43 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月13日

第57回日本呼吸器学会学術講演会予習3・腫瘍など様々な症例

  • 肺癌術後の慢性気胸部位に発生した肺肉腫の1例

  • 血清Pro-GRPが高値であった透析患者における肺炎症性腫瘤の1例

  • 経過中に急性骨髄性白血病を合併し、診断に苦慮した異型カルチノイドの1例

  • 労作時呼吸困難・喘鳴を契機に診断されたSwyer-James症候群の1例




・肺癌術後の慢性気胸部位に発生した肺肉腫の1例

左下葉肺癌に対して左下葉切除後、慢性気胸が持続していて、10年後に肉腫が発生し急速に進行したということです。気胸があれば2次性の腫瘍が発症しやすい、ということがあるのでしょうか。



・血清Pro-GRPが高値であった透析患者における肺炎症性腫瘤の1例

血清Pro-GRP。


血痰〜喀血があり、CTを撮ったら右S2の結節があり、Pro-GRPが215pg/mLと高値でした。その後気管支動脈塞栓術を行い喀血は軽快、気管支鏡検査では悪性所見が見られず経過観察となりました。


Pro-GRPはその後235pg/mLに漸増し、CT所見から炎症が疑われていましたが、再度の喀血があり右上肺切除を行って炎症性変化という所見でした。


こういうことはよく経験されるのでしょうか。血清Pro-GRP測定〜高値という結果が、症例のマネージメントにどう影響したのか、振り返りが必要でしょう。



・経過中に急性骨髄性白血病を合併し、診断に苦慮した異型カルチノイドの1例

7年前から健診で胸部異常影を指摘されていて、陰影増大傾向であり気管支鏡検査で小細胞肺癌LDと診断し、CDDP+VP-16と放射線治療の後脳転移・肝転移があり、免疫染色を追加したところ異型カルチノイドと確定診断されたということです。その後急性骨髄性白血病を発症され治療を行ったということです。


タイトルを見ると急性骨髄性白血病が経過に影響して診断が撹乱されたかのような印象を受けましたが、そうではなかったようです。経過と合併の点でまれであるとの判断で発表されるようです。



・労作時呼吸困難・喘鳴を契機に診断されたSwyer-James症候群の1例

Swyer-James症候群。疾患概念、機序がイマイチ掴みにくい…「胸部X線写真上、air-trappingを伴う一側肺の透過性亢進を特徴とする比較的まれな疾患である」。まれなんです。それゆえに存在を知らないと診断には至りませんね。

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posted by 長尾大志 at 16:48 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2017年04月12日

第57回日本呼吸器学会学術講演会予習2・様々な症例

  • 血漿交換療法と免疫抑制薬投与が奏効したステロイド抵抗性・MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群の一例

  • 肺Langerhans細胞組織球症に伴う肺高血圧症にタダラフィル、マシテンタン、ベラプロストの3剤併用が有効であった一例

  • たこつぼ型心筋症を合併した喀血症例の臨床的検討

  • 気管支喘息と間質性肺炎合併例の診断・経過の考察

  • 両側肺動脈腫瘍の肺浸潤に対し、TBLBで悪性軟部腫瘍と診断した一例




・血漿交換療法と免疫抑制薬投与が奏効したステロイド抵抗性・MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群の一例

自己抗体系と病態というのは、関連が深いようで、ときに違ったものがでてくることがある。ANCAなんか結構多いですよね。当初はもうANCA=血管炎、と決め打ちしていたのが、最近では血管炎ではないけどANCA陽性、という病態がいろいろ報告されています。


呼吸器でしたら、間質性肺炎でANCA陽性、さてこれは血管炎があるのだろうか、という問題。現状で発症はしていないけれども将来出てくるのか、それとも…みたいな。


本症例では抗GBM抗体とMPO-ANCAの両方が陽性である肺胞出血+急速進行性糸球体腎炎に対して、当初ステロイドパルスの効果なく、血漿交換+IVCY追加にて奏効したとのことです。


この症例では診断と病態の解釈がポイントになる気がしますね。MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群、という位置づけをされているので、文献的考察を期待しましょう。



・肺Langerhans細胞組織球症に伴う肺高血圧症にタダラフィル、マシテンタン、ベラプロストの3剤併用が有効であった一例

肺Langerhans細胞組織球症(PLCH)に伴う肺高血圧症(PH)は、肺高血圧症臨床分類では5群(詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症)に分類され、他の肺疾患よりも高頻度にPHを合併することが知られています。


で、PLCHに合併したPHには肺血管拡張薬の有効性に議論があるところですが、本症例では3剤併用でmPAPが37⇒28mmHgと効果を認めた、ということです。


これまでの報告でも有効であった、というものもあればそうでもないというものもある。低酸素血症による血管攣縮以外に、PLCH特有の血管病変が肺動脈上昇に寄与している可能性が想定されています。メカニズムから、わかっていないことが多い疾患ですが、文献的考察も合わせてどのようにまとめられるのか、期待します。



・たこつぼ型心筋症を合併した喀血症例の臨床的検討

喀血の経過中にたこつぼ型心筋症(TTS)を合併した3例について検討されました。


TTSは心因的・身体的ストレスが契機になることも多く、中年以降の女性に多いとされています。中年以降の女性が喀血を来したら結構なストレスだと推察されますが、それ以外に、喀血がTTSを誘発する機序が考えられるかどうか。折角3例集めて頂いているので、臨床的に共通しているところやメカニズムの考察をお願いしたいと思います。



・気管支喘息と間質性肺炎合併例の診断・経過の考察

気管支喘息は人口の10%に迫ろうかという有症率ですから、かなり増えていて、様々な合併症・併存症がみられます。私の外来でも、間質性肺炎と気管支喘息の合併例ではないか、と考えられる症例が数例あり、しかしながら、診断を言い切ってしまうのになかなか困難を感じておりました。ですから、この発表には大いに期待しております。


そもそも既に片方が確定している状態で、合併をどういうきっかけで疑うのか。症状は咳・呼吸困難が共通であり、症状から疑うにはどこに気をつけるか。気管支喘息症例で胸部X線写真やCTを撮る機会は限られていると思われますが、適正なスクリーニングはどの程度のものか。クリニカルクエスチョンは尽きないところです。



・両側肺動脈腫瘍の肺浸潤に対し、TBLBで悪性軟部腫瘍と診断した一例

ご苦労されたであろう症例のご報告です。軟部腫瘍の診断は大きな組織が必要で、侵襲が大きくなることが多く、TBLBで診断出来ることは少ないのではないかと思います。

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posted by 長尾大志 at 18:10 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2017年04月11日

第57回日本呼吸器学会学術講演会予習1・IgG4関連疾患

  • 胸部に病変が見られたIgG4関連疾患の4例

  • 膿胸を契機に診断された著明な低補体血症を有するIgG4関連胸膜炎の1例

  • 局所麻酔下胸腔鏡で診断したIgG4関連胸膜炎4例の臨床病理学的検討



IgG4関連疾患、ずいぶん見かけることが増えてきましたが、まだ単施設で病像を把握出来るほどの症例経験はないかもしれませさん。そんな折、4例集めて病状をまとめて頂けるのはありがたい。


1題目の症例は、
  • 顎下腺腫脹⇒眼瞼腫脹、涙腺摘出にてIgG4+形質細胞浸潤あり。胸部に網状影・すりガラス影出現しTBLBにて肺胞領域にIgG4+形質細胞浸潤を認めた。

  • 好酸球増多の精査で血清IgG4高値と判明、胸部CTで肺門縦隔LN腫脹あり、顎下腺生検でIgG4+形質細胞浸潤あり。

  • 顎下腺生検で形質細胞浸潤を確認済みの症例で、12年後腹部CTでLN腫大を確認、胸部大動脈周囲にも軟部組織あり。血清IgG4が高値、口唇生検でIgG4+形質細胞浸潤あり。

  • CT健診で後縦隔腫瘍を指摘され、涙腺腫瘍、眼窩腫瘍も認めた。血清IgG4が高値、縦隔腫瘍生検で、IgG4+形質細胞浸潤あり。



2題目は、
膿胸の診断で加療するが再燃し、精査したところ血清IgG4高値、補体価低値と判明、FDG-PETにて左顎下腺、右肺門・縦隔・右腋窩のLN、左閉鎖動脈から両側外腸骨動静脈周囲に集積あり。左顎下腺生検にて線維化は乏しいがIgG4/IgG≧0.5でありIgG4関連疾患と考えた。アレルギー性鼻炎があり、間欠的にベタメサゾン/クロルフェニラミンを内服していたため、診断に苦慮した。


3題目は症例のまとめです。

滲出性胸水を呈し、局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検の組織像からIgG4関連胸膜炎と診断された4症例。基礎疾患はSjs、肺気腫、良性石綿胸水、黄色爪症候群。胸水はすべてリンパ球優位で、胸膜生検でIgG4+形質細胞浸潤を認め診断した。1例には肺病変があったが、他の3例には特徴的な臓器病変を認めなかった。ステロイドが奏効した。


おさらいですが、IgG4関連疾患の診断は、IgG4関連疾患包括診断基準2011を参考にして行われます。以下引用。


  • 1つもしくは複数の臓器で腫大した部分がある

  • 血液検査で血清IgG4の値≧135 mg/dLである

  • 生検で組織への著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認め、かつIgG4/IgG陽性細胞比≧40%でIgG4陽性形質細胞数>10/HPF



上記3つ全部を満たす:確定診断群
1と3を満たす:準確診群
1と2を満たす:疑診群
(引用ここまで)


さて臨床の現場においては、IgG4関連疾患を診断するには、

  • 唾液腺をはじめ腺組織やリンパ節の腫脹、自己免疫性膵炎など、特徴的な病変に気付く

  • 血清IgG4を測定したら高かった

  • 生検したらリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認め、かつIgG4/IgG陽性細胞比≧40%でIgG4陽性形質細胞数>10/HPFだった⇒診断確定



という流れが多いのではないでしょうか。疾患概念が普及していなかった2011年当時であれば、「IgG4関連疾患を診断したど〜!」というだけで学会発表出来たものですが、今学会発表するからには、それなりの意義がほしいところですね。


1題目は4症例のまとめです。いずれも上記のような流れで診断に至っています。いずれも罹患臓器として有名な、唾液腺や涙腺以外の生検が行われていて、まとめとして、IgG4関連疾患は肺内や縦隔、大血管周囲にも病変を作るため、本疾患を鑑別に挙げることが重要である、とされています。


本疾患を鑑別に挙げると、@IgG4を測定するA生検をできる限り試みる、というところに反映されると思います。まあしかし、縦隔LNが腫大していたら、生検をするかな、とは思いますけれども…。



2題目も診断に苦慮した、というところが強調されています。気になるのは、そもそもの受診動機である膿胸はIgG4関連だったのか、という点ですね。3題目がIgG4関連胸膜炎ですから、それ関連胸膜炎であれば議論も盛り上がるかと思うのですが…。


あるいは、膿胸が難治であった理由として基礎疾患が何かあったのか、このあたりの機序、議論が興味深いです。


3題目は、他臓器に病変のないIgG4関連胸膜炎の4例です。胸膜病変は比較的まれではないかと思うのですが、ポイントとしては、これまでの報告では基礎疾患がなかったところが、本検討では基礎疾患を有した点。しかし基礎疾患との関連がこれまで不明ですから、なかなかモノがいいにくい。


また、診断の点で、原因不明の胸膜炎を見たらIgG4関連胸膜炎を考えるべき、とされているのですが、どの程度積極的に考えるべきか、原因不明でリンパ球優位だったら即胸腔鏡をすべきなのか否か、そのあたりでしょうか。

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posted by 長尾大志 at 17:17 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2017年04月10日

第57回日本呼吸器学会学術講演会にて座長

再来週の週末に開かれます、日本呼吸器学会学術講演会にて座長をつとめさせて頂くこととなりました。担当はポスターセッション「症例・その他1」です。総会では初めてですが、やはりこちらでも私は専門のハッキリしない人間だと認識されている模様…。( ̄▽ ̄;)


ポスターなので数が多く、少し早めですが予習をしておこうかと思います。


  • 胸部に病変が見られたIgG4関連疾患の4例

  • 膿胸を契機に診断された著明な低補体血症を有するIgG4関連胸膜炎の1例

  • 局所麻酔下胸腔鏡で診断したIgG4関連胸膜炎4例の臨床病理学的検討

  • 血漿交換療法と免疫抑制薬投与が奏効したステロイド抵抗性・MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群の一例

  • 肺Langerhans細胞組織球症に伴う肺高血圧症にタダラフィル、マシテンタン、ベラプロストの3剤併用が有効であった一例

  • たこつぼ型心筋症を合併した喀血症例の臨床的検討

  • 気管支喘息と間質性肺炎合併例の診断・経過の考察

  • 両側肺動脈腫瘍の肺浸潤に対し、TBLBで悪性軟部腫瘍と診断した一例

  • 肺癌術後の慢性気胸部位に発生した肺肉腫の1例

  • 血清Pro-GRPが高値であった透析患者における肺炎症性腫瘤の1例

  • 経過中に急性骨髄性白血病を合併し、診断に苦慮した異型カルチノイドの1例

  • 労作時呼吸困難・喘鳴を契機に診断されたSwyer-James症候群の1例



の12演題。うん、なかなかバラエティに富んでおりますね。(^◇^)


基本的には、参加者の皆さんに何かメッセージをお持ち帰り頂きたい、と思っておりますし、できれば発表者の先生にも(特に若手の先生方には)何か少しでもフィードバック出来れば、という方針で進めていきたいと思っております。


バラエティに富んだ症例が集まっていますので、なかなかセッションを通してのメッセージ、というものは難しいですが、診断であったり、治療であったりに「注意すべき点」があれば、そのあたりを取り上げていきたいですね。

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posted by 長尾大志 at 17:23 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2017年04月09日

福井県内科医会学術講演会にて

それで昨日は福井県内科医会学術講演会にて、「呼吸器科領域疾患の聴診・打診による診断、そして治療」と題したお話をさせて頂きました。


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私の話の前には内科医会の総会が1時間あり、私の後にもうお一方、福井大学医学部の平松活志先生による「大腸疾患、最近の話題〜カプセル内視鏡から便秘の治療まで〜」というお話があり、トータル3時間半の長丁場でしたが、いつもの講演会の倍近い参加があったそうです。


今回のタイトルは医師会さんからのご指定でしたが、そこそこ盛りだくさんの内容をまとめて、症例も挟んで、割とうまくいったと思います。1点、聴診の音源を持ち込んでいたのが、当日会場のスピーカーにつながらない、と判明し、急遽マイクをたてたりしてみましたが、あまりうまく流せませんでしたね…。


今回お招き頂いた医師会の先生方、特に座長の労をお執り頂いた福井県済生会病院の岡藤先生、お世話になりましてありがとうございました。教えて頂いた桜並木は見事でした。この週末、天気はあいにくですが、丁度見頃ですね。


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posted by 長尾大志 at 14:20 | Comment(0) | 活動報告

2017年04月08日

奈良県西和医療センターにて、研修医の先生方、呼吸器専門でない先生方とお勉強

昨日は奈良県西和医療センターに行って参りました。

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世界のキタカズことやわらぎクリニックの北和也先生とご縁があって、このたびお招き頂きました。ご多分に漏れず、こちらのご施設でも呼吸器内科医不在で日々診療されている、とのことで、研修医の先生方も呼吸器のことを体系立てて勉強する機会があまりないようです。


ということで、主にコモンディジーズの診断を問診で絞っていく、という試みを参加型でやらせて頂きました。なかなか(私的には)盛り上がり、当初1時間の時間配分が、ほとんど2時間やってしまいました。


おかげで非専門の先生方向けの「間質性肺炎のお話」がかなり圧縮されてしまいました。それでもエッセンスだけは何とかお伝え出来たかと思います。


そして、最後に全職員さん向けに肺結核のお話をさせて頂きましたが、これも質疑応答がかなり盛り上がりました…この質疑応答を通じて、私の中でかなりのパラダイムシフトが起こりました。これまで思い込んでいたことが、がらっとひっくり返った経験です。ちょっと一言ではまとめられませんので、おいおい記事にしていきたいと思います。


参加された先生方(特に研修医の先生方)の感想は頂けておりませんが、ちょっと上の先生方には喜んで頂けたようで、ホッとしました。キタカズ先生、野木先生、主催頂いた副院長の土肥先生はじめご参加頂いた先生方、皆様方、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。



それで今日は福井県にいるのですが、もう今日ではなくなりそうなので、また明日に致します。

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posted by 長尾大志 at 23:36 | Comment(0) | 活動報告

2017年04月07日

リンパ節腫脹の見かた4

厳密にいうと、右肺から流れてきたリンパの流れは、縦隔の右側を通って右の静脈角に入ります。そして左下葉からのリンパ流も、気管分岐下リンパ節を経由して、主に縦隔の右側を通って右の静脈角に入ると言われています。


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ただ、左上葉からのリンパ流は、左肺門を経由し、縦隔の左側を通って、左の静脈角に注ぐとされていまして、左上葉の病変からやってきたものは気管の左側のリンパ節腫脹につながると。


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ですから逆に、気管の左側のリンパ節腫脹が考えられるような、大動脈弓のシルエットサイン陽性+気管の左が白い所見、とか、A-P windowの突出とかの所見があると、左肺野に原発巣を探す、という使い方もできます。


例はいいものがありませんが…。



さてこれから奈良県は王寺へ向かいます。こちらです。奈良県西和医療センターの皆さん、よろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 10:53 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月06日

リンパ節腫脹の見かた3

逆に、右肺門の腫脹が見られたら、右の肺野に原発巣にあたる、結節ないし腫瘤影がないか探す、という観点も大切だと思います。例えば…


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右の肺門が目立ち、気管分岐角も開大している。で、右の肺野に原発巣があるかもしれない、と思ってよ〜く見ると…物陰にありました!いかがでしょう、意識して探さないと見落としそうな陰影ですね。


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リンパ節はこんな感じで腫脹しています。


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で、心臓の裏側に腫瘤あり。


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まあ、いつもいつもそんなにうまくはいきませんが、うまくいくと気持ちいい。これが大事ですね。

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posted by 長尾大志 at 14:23 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月05日

リンパ節腫脹の見かた2

という、リンパの流れを理解しておくと、何の役に立つか。


特にリンパ節腫脹が問題となる肺癌の例で考えてみましょう。例えば、右の下葉に原発巣がある場合。


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原発巣からのリンパ節転移は、原発巣を通るリンパ流に癌細胞が乗って、流されて漂着したリンパ節で発生します。通常は原発巣に近いリンパ節の方が漂着しやすいため、その部位に転移が起こる可能性が高いのです。


つまり、右の下葉原発であれば、リンパ節転移が起こりやすいのは@右肺門、次にA気管分岐下リンパ節で、それからB気管傍リンパ節、となる。ですからステージ分類をするときのN因子は、

  • N0:所属リンパ節転移なし

  • N1:同側の気管支周囲かつ/または同側肺門および肺内リンパ節転移

  • N2:同側縦隔リンパ節かつ/または気管支分岐下リンパ節の転移

  • N3:対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の前斜角筋、鎖骨上窩リンパ節への転移


と定められているわけです。つまり、原発巣より遠く離れたリンパ節に転移があるということは、よりステージが進んでいることを意味する、という。


ですから原発巣が右の下葉であれば、まずは右の肺門を見る。それから、気管分岐角の開大がないか、そして縦隔が腫脹していないかを見る、という感じで見ていくのです。例えば…


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posted by 長尾大志 at 19:32 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月04日

リンパ節腫脹の見かた

胸部X線写真では、胸部CTのように縦隔リンパ節や肺門リンパ節をハッキリと認識するのはいささか難しいものです。しかし、見かたのコツを知っておけば、胸部X線写真でもカッコよくリンパ節の腫脹を指摘出来たりするのです!こっそりと?そのコツをお教えしましょう。


リンパの流れ

そのためにはリンパの流れを理解しておく必要があります。肺胞において異物や外敵を損食したマクロファージは、リンパ管に入ってリンパ液の流れに乗って、リンパ節まで流されます。流れ着いたリンパ節では貪食した異物の抗原提示をして、Tリンパ球の活性化に一役買うのです。


で、リンパの流れですが、おおよそ、肺の外側から肺門に向かって、気管支や血管に沿って網の目状に張り巡らされたリンパ管を通って流れています。


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その流れに乗って最初に到着するリンパ節は、肺門リンパ節(茶色)。そのあと、気管分岐部にある気管分岐下リンパ節(青色)、気管傍リンパ節(紫色)を経由して、縦隔を上行し、最終的には静脈角(鎖骨下静脈と内頸静脈の合流部)で静脈に注ぎます。

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posted by 長尾大志 at 18:44 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる