2017年07月31日

症例検討会BRONCHO15−2

本症例では胸部X線写真の所見がミソなので、さっさとそちらに向かいますが、その前に、診察所見におけるrhonchiを考えておきましょう。まあ、気管支狭窄音、といってしまってますが…。


症状として咳や痰があり、左肺野にrhonchi聴取、ということで、中枢気道に何か狭窄病変があるのではないか、と考え、そのつもりで胸部X線写真を見ます。すると…


左肺門部にモコッとした陰影、さらに心陰影に重なるようにべたっとした陰影が見えますね。


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陰影があるものの左4弓はシルエット陰性ですから、舌区ではなく下葉の陰影だとわかります。気道狭窄の可能性から考えますと、左肺門に腫瘤があって、下葉を狭窄ないし閉塞、結果、閉塞性肺炎〜無気肺となっているように見えます。発熱や炎症所見を欠くことから、無気肺の方が考えやすいでしょうか。


また、左横隔膜はぼやけているように見えますから、病変はS8であると考えられます。


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Q:CTの所見は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月30日

第1回 耳原総合病院 GP+1セミナーに参加

今日は、耳原総合病院さんにおじゃましまして、記念すべき第1回 耳原総合病院 GP+1セミナーでお話をさせていただきました。


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主催の藤本卓司先生はもちろんですが、『感染症プラチナマニュアル』の岡秀昭先生、『グラム染色道場』の山本剛先生と、感染症に興味のある方なら皆さんご存じの著名な先生方に交じらせて頂き、感染症における胸部画像のお話をさせていただきました。


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今チラシを見ると、定員50名となっておりますが…100名以上の方がいらっしゃっていて、熱気あふれる会となっておりました。


藤本先生、座長をしていただいた大矢亮先生はじめ、耳原総合病院の先生方、スタッフの皆さん、お世話になりましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 21:52 | Comment(0) | 活動報告

2017年07月29日

post-cc OSCE

今日は、丸1日、表記の、6年生対象の、実技試験のようなもの、の、評価者でした。


いろいろ感想やら改善案やらはありますが、とにもかくにも、守秘義務がスゴイ。ゆえに、何も書きません。


というわけで、明日へ向けて沈んだ?気持ちを切り替えましょう。明日は、耳原総合病院で、感染症三昧のGP+1セミナー。めっちゃ楽しみです!藤本先生はじめ、参加予定の皆さん、よろしくお願い申し上げます!


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posted by 長尾大志 at 19:06 | Comment(0) | 日記

2017年07月28日

症例検討会BRONCHO15−1

症例 50歳代女性


<主訴>
1週間以上続く咳嗽、喀痰


<現病歴>
1週間前から続く咳嗽、喀痰を主訴に近医受診。聴診で左肺に気管支狭窄音を聴取、胸部単純Xpで異常影がみられた。採血では炎症所見はなく、抗生剤(MFLX400mg1T×4日)の効果もないため、当院紹介となった。


<既往歴>
特記事項なし
内服薬なし


<生活歴>
喫煙経験なし
アレルギーなし


<診察所見>
聴診:左肺野にrhonchi聴取


<胸部X線写真>

スライド50.JPG



Q:胸部X線写真の所見は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:16 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月27日

症例検討会BRONCHO14−7

一般論ですが、膠原病で治療開始するかどうか、そのタイミングは「どれだけ治療が必要か」によって決まります。診断確定を待つかどうかは、待てる状態かどうかによるのです。


例えば急速に進行する間質性肺炎がある皮膚筋炎(疑い)のような場合、治療を待つことはまったくできないでしょう。診断が定まっていなくても、直ちにステロイドパルス+免疫抑制薬が必要です。診断確定を待たずに治療開始もあり○で、診断確定までは治療開始しない×ということにはなりません。


また、膠原病の治療でよく使われるステロイド薬や免疫抑制薬は、罹患臓器によっておおよそ治療に必要な薬剤量が決まっています○。


肺の場合、間質性肺炎が多いですが、皮膚筋炎の急性例ではパルス⇒PSL 1mg/kg/日という使い方が多いでしょう。皮膚筋炎ではない、とか、比較的軽症の場合、PSL0.5mg/kg/日程度での治療となります。本症例では軽微な病変であり、もう少し待てるかもしれません。


あと、本症例では、腎障害が合併しています。筋症状もなく、間質性肺炎もあまり急ぐ感じではないことから、直ちにPSLなど投与はせず、腎生検を行いました。結果、膜性腎症によるネフローゼ症候群と診断されました。


筋炎、膜性腎症とくれば悪性腫瘍の合併ですが、スクリーニングにては腫瘍は発見されませんでした。


生検結果が出るまでの経過で、腎障害、筋原性酵素が自然軽快してきたこともあり、肺病変も落ち着いていて、緑内障があったことからステロイド治療のリスクを勘案し、結局、ステロイド少量+CyAで治療を開始しました。その後も経過良好であり、ステロイドを漸減しています。


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posted by 長尾大志 at 20:11 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月26日

症例検討会BRONCHO14−6

胸部CTでは、蜂巣肺は見られず、横隔膜直上に陰影が密集している、といったガチのUIPパターンではない×ものの、胸膜直下に網状影が分布、という、甘めに見てpossible UIPパターンかなあ、UIPとは断じられなくて○、特発性というよりは膠原病の香りがする○ような所見ですね。


過敏性肺炎のパターンは、上肺に優位、とか、粒状影、とか、そういうワードで代表されるような所見ですから、本症例とは異なるパターン×です。


ということで、症候からも、画像からも、膠原病の存在がそこはかとなく感じられる、あとはどの膠原病か、ということですが、CPKやALDの高値からは筋炎を考えたいところです。ということで大腿のMRIを撮りました。


スライド49.JPG


こちらはあまり集積が乏しい印象ですが、軽度の炎症所見の可能性あると指摘されています。診断基準的には筋電図、または/かつ筋生検がほしいところですね。


しかし残念ながら、筋電図にて筋原性変化は認められませんでした。筋生検は患者さんの同意が得られず施行出来ません。ということで、多発性筋炎疑いに合併した間質性肺炎として疾患を取り扱うこととなりました。


呼吸器の立場として、改めて間質性肺炎を評価すると、6分間歩行で502m歩行可能であり、歩行中mMRCも1程度で、SpO2 94-95%と低酸素にはなりませんでした。ABGでも酸素化問題なく、積極的な介入が必要かどうか、微妙なところです。



Q:膠原病としての介入、基本方針は?

診断確定までは治療開始しない
診断確定を待たずに治療開始もあり
罹患臓器によって薬剤量を決める
診断によって薬剤量が決まる


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posted by 長尾大志 at 20:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月25日

症例検討会BRONCHO14−5

胸部X線写真では右中肺野外側に、割とクッキリとした結節影が見られます○が、大きさのわりにクッキリしているので、病的意義は少ないものと思われます。


スライド46.JPG


病的な陰影としては、両側全体的(≒びまん性)に、ふわっとベールが掛かっているような「すりガラス影」が見えます。特に、網状影のようには見えず、また下肺野で強い、というわけでもなさそうです。


胸部CTを見てみましょう。


スライド47.JPG


黄矢印のところに結節が見えますが、やはり石灰化でした。そしてここ(気管分岐部付近)でも両側背部にすりガラス影〜網状影が見られます。


スライド48.JPG


横隔膜付近でも、上と同様に、両側背部にすりガラス影〜網状影が見られます。



Q:胸部CTの所見は?

UIPパターン
UIPとは断じられない
膠原病の香りがする
過敏性肺炎パターン


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月24日

症例検討会BRONCHO14−4

間質性肺炎を思わせる身体・画像所見を見たら、膠原病関係の抗体スクリーニングを行うことは多いのではないでしょうか。本症例ではレイノー症状や日光過敏もあり、抗体検査をしておりますが、蛍光抗体がx40とあまり有意とは言えず、特異抗体も陰性ばかりです。


そんな中、生化学検査ではCPK 452、ALD 11.0が目をひきます。筋力低下などの明らかな症候はありませんが、筋炎+間質性肺炎の可能性はある○と考えられます。また、Cre0.84で大きな異常はありませんが、尿タンパク2+、尿潜血1+であり、何らかの腎障害が存在する○と考えられます。IgE高値からはアレルギーの存在も示唆されます○が、これらすべてが一元的に説明出来るか、というと、ちょっと難しいかもしれません。



<肺機能検査>
%VC 85.5%
FEV1 2.54L
FEV1.0% 74.45%
DLCOの低下はない


<胸部X線写真>

スライド45.JPG



Q:胸部X線写真の所見は?

異常なし
結節影を認める
両側下肺野に網状影
両側びまん性にすりガラス影


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:01 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月23日

Hospitalist第16号「呼吸器疾患2」胸膜疾患

先日、Hospitalist第16号「呼吸器疾患2」が刊行されました。


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こちらは気鋭のHospitalistの先生方に向けて出版されている雑誌で、「呼吸器疾患1」はかなり気合いの入ったラインナップでした。そんな中、「呼吸器疾患」特集の2回目、『胸膜疾患』のところの執筆者として選んでいただいたのです。ありがたやでございます。


ここで今回は、当教室若手の期待株、柏木先生にその多くを書いてもらうことにしました。柏木先生は私が、まさに今苦しんでいる?アドバンスコースを始めた黎明期に「呼吸器にすごく興味があります!!!」と熱いコメントを寄せてくれて、それで参加してくれました。実習で何をしたかはサッパリ覚えていません(汗)し、当時のことですからたいしたことはできていなかったかもしれませんが、それでも興味を持ってくれて、その後呼吸器内科に入局してくれたのです。こういうことがあると、アドバンスコースの苦しみも吹っ飛ぶというものです。


先生にはこれまでにもいくつか原稿執筆を頼んでいたこともあり、ハードルは高いかもしれないと思いつつも、頼んでみました。今回はこれまでよりも、もっと教科書的、といいますか、教科書並みにきちっと文献を引用して理詰めで書く必要があり、レビューしていただいたときにいろいろとご指摘を頂いたのですが(こちらも感謝!)、そこをキッチリと応えて、Hospitalistの先生方にもお役立て頂けるものが出来たように思います。


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人を育てることができているかどうか、は、相当時間が経ってみないとわからないものです。ウチの育成もこれでいいのか、迷ったり悩んだりも多いものですが、こうやって立派に結果を残してくれると、うれしいものですね。

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posted by 長尾大志 at 23:33 | Comment(0) | 活動報告

2017年07月22日

アドバンスコース

例年、6月中旬から7月の終わりまで、通常の5年生に加えて6年生が加わる、臨床実習のアドバンスコース、なるものが行われます。5年生5〜6名+6年生が6名やってくるこの時期は、毎年頭が痛い思いをしています。


というのも、相手する人数が増える、という、物理的に体力が削られる以上に、6年生のモチベーションが大変ヘテロなのです。やる気、興味がある人とない人の差が甚だしい。本来このアドバンスコースというものは、学生が希望する科を選んでその中から抽選、という形で決まっているはずなのですが、毎年どう考えても呼吸器に興味がない人がたくさん来ている。過半数のことも多いのです。


抽選のシステムがおかしいのか、とも思ったら、どうやらこの時期は、他病院の見学や試験や面接やらに時間を使う、それであまり拘束の少ないところに人気が集中している、と聞いたことがあります。やる気のない人が多いと、こちらとしてもやる気がなくなり、時間を使わなくなり、さらにやる気のない人が集まる…という悪循環になっている気が。


一昔前は、抽選ではなくこちらが学生さんを選ぶ制度で、その時はやる気のある人が集まって、この時期は大変こちらもモチベーションが上がったものでした。昔はよかった…と懐古するか、何か方策を練るか。


一番いいのはがちがちに拘束して、モチベーションの低い人を排除する、ということになります。しかしなぜか現状だと最低でも6人はやってくるというシステムで、拘束するにも労力がかかります。余所ではどのようにやっておられるのか、クリクラワーキングの時にでも相談してみたいものだと思っております。


物理的のみならず精神的に疲れるこの時期も、あと1週間。毎年この時期はぼやいている気がしますが…。今年はこれまでいろいろやりがいのある仕事を並行してやっていたこともあり、疲れを感じておりませんでしたが、終盤に来てなにやらガス欠感がでて参りました…。

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posted by 長尾大志 at 23:25 | Comment(0) | 日記

2017年07月21日

症例検討会BRONCHO14−3

呼吸音で、両側背部肺底部でfine crackles+、てことでやっぱり、以前両側の陰影を指摘された、KL-6上昇傾向、ということも勘案して、間質性肺炎の存在が想定されます。そうしますと胸部X線写真、HRCT○、呼吸機能検査(DLcoまで)○必要ですし、原因のあるものかないもの(特発性)かについて突き詰める必要があります○。


ただ、気管支喘息の存在を疑うような、「変動性」のある病歴ではありませんので、気道過敏性検査×は不要かと考えます。さてそれでは検査所見。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HT 37.2 L
HB 12.6
RBC 420万
WBC 5,300
PLTS 12.3万 L
SEG/NE 61.1
EOSIN 6.7
BASO 1
LYMPH 23
MONO 8.4
MCV 91
MCH 30.5
MCHC 33.7
蛍光抗体 x40
Homo (-)
Speckle (+)
Centrom (-)
Nucleol (+)
Periphe (-)
Granul (-)
カクマクカタ (-)
補体価 58.2 H
総蛋白 6.4
ALB 2.6 L
AST 28
ALT 21
LDH 105 L
ALP 343
γGTP 38
CHE 306
LAP 48
TBIL 0.78
DBIL 0.08
A/G比 0.7 L
NA 137 L
CL 104
K 4.6
UN 15.2
CRE 0.84
eGFR 69.9
CPK 502 H
IG−G 1700
IG−M 45
IG−A 250
C3 135
C4 30
CRP 0.77 H
RF 0
溶血 (-)
乳び (-)
Ig−E 14960 H
フェリチン 28.5
DS−DNA 3.7
SS−DNA 15.4
C−ANCA 陰性
P−ANCA 陰性
抗Scl70 ケンシユツセズ
抗JO−1 (-)
ALD 11 H
抗ARS抗体 インセイ
抗RNP抗体 インセイ
抗Sm抗体 インセイ
抗SS−A抗体 インセイ
抗SS−B抗体 インセイ



<尿検査>
尿タンパク2+、尿潜血1+


<肺機能検査>
%VC 75.5%
閉塞性障害、拡散障害なし



Q:検査所見でわかることは?

アレルギーの存在はありそう
膠原病の香りはしない
膠原病の香りがする
腎臓も悪そう


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月20日

症例検討会BRONCHO14−2

半年ほど前からの咳嗽が一連のものだと考えますと感染症の可能性はなさそうです×が、前医CT(左右肺に肺炎像?)は確認したいところです○。


一旦軽快したものの、1ヶ月後再度悪化、という経過から咳喘息の存在を想定されたのか、気管支拡張薬+吸入ステロイドを投与されています。しかしそれは無効で、KL-6上昇傾向を認めた、ということですから、やはり前医CTから間質性肺炎があったのではないか○、と考えるのが自然ですね。


一方で、IgE高値、ということからアレルギーの要素が存在することも想定はされます○が、主病変と関わりがあるかどうかは今のところハッキリしません。



<入院時身体所見>
BT 36.6℃、HR 66、整、BP 138/92、SpO2 97%RA、HT 168.9cm、BW 57kg
眼瞼結膜貧血なし、甲状腺腫大なし、鎖骨上窩LN腫大なし
心音:整
肺音:両側背部肺底部でfine crackles+、左優位
腹部:腸蠕動音正常、圧痛自発痛なし、平坦軟
四肢:冷感なし、しびれなし、筋力低下明らかではない、ばち状指傾向軽度、爪周囲の毛細血管拡張明らかでない
レイノー症状あり(寒いところで蒼白になる)
日光過敏あり(かゆみと発赤、皮膚剥離)
ゴットロン徴候なし、ヘリオトロープ疹なし



Q:てことでやっぱり…

胸部X線写真、HRCTが必要
呼吸機能検査はDLcoまで必要
気道過敏性検査が必要
原因について突き詰める必要がある


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:23 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月19日

症例検討会BRONCHO14−1

症例 60歳代男性


<主訴>
咳嗽


<現病歴>
半年ほど前より咳嗽の持続あり、前医でCT撮影され、左右肺に肺炎像を認め、CAM投与された。一旦軽快したが、1ヶ月後再度咳嗽の悪化あり、気管支拡張薬+吸入ステロイドなど投与されたが無効。IgE高値、KL-6上昇傾向を認め、当科紹介受診となった。


<既往歴>
高血圧
ASO(右ステント留置、左バイパス手術)
狭心症(ステント留置)
緑内障
喘息既往なし


内服薬
ネキシウム、ゼチーア、コニール、ザイロリック、リバロ、オパルモン、バイアスピリン、フェブリク


<アレルギー>
特記事項なし、じんましんがたまにある


<生活歴>
喫煙歴 20本/day 20-48歳



Q:現時点で考えることは?

感染症をまずは疑う
アレルギーの存在を想定
前医CTの陰影はどうなったか気になる
KL-6上昇は間質性肺炎の存在があるのか


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月18日

症例検討会BRONCHO13−4

シンプルに、所見だけを申しますと、気管が左に偏位し、左主気管支がはね上がっています。左横隔膜も高位。そして左肺は全体的に高吸収≒濃度上昇域、つまり真っ白になっています。


それではたっぷり胸水がたまったときのように、元あった構造物が全く見えなくなっているのか、というとさにあらず、下行大動脈と横隔膜は見えています。そして、心陰影は見えていない…。


スライド42.JPG


と、いうことで、皆さん!お得意のシルエットサインを使いますと、

  • 心陰影(S5)⇒陽性

  • 横隔膜(S8)⇒陰性

  • 下行大動脈(S6・10)⇒陰性


もう一つおまけに、大動脈弓上部も見えなくなっていますね。これはS1+2に接するので、そこも陽性、と考えますと、下葉には病変はなく、上葉、それも上から下まで病変がある、ということになります。


ちなみに、上葉は上葉といいますが、左の上葉は上から下までありますねん…。横から見たときには前面が上葉、後面が下葉です。


スライド43.JPG


ですから、とある学生さん(Oさん)は、それが印象に残っていたのでしょう、「前葉、後葉」といってたりしました。まあ、あながちまるっきり間違いとも言いがたい、むしろ左はそういった方がわかりやすいかもなー、と思ったものです。


スライド44.JPG


閑話休題、気管が左に偏位、左主気管支がはね上がり、左横隔膜高位、そして左肺全体的に高吸収なので、左の無気肺は間違いない。主気管支が上がっているので、たぶん上葉無気肺ですが、大動脈上部・心陰影がシルエット陽性というところも、左上葉の病変であることを支持します。ということで、まごう事なき左上葉無気肺ですね。


で、身体診察に戻ってみると、左の前面で濁音、呼吸音低下ある一方で、背面で左右差がなかったというのは、上図の通り左前葉ならぬ上葉に限局する病変で、特徴的に見られる所見なのですね。腎細胞癌が気道内転移によって無気肺を起こしやすい、という知識があれば、身体診察の時点で「おそらく左上葉無気肺」と当たりをつけることは難しくありませんでした。

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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月17日

ブロンコ体操動画紹介

ブロンコ体操、オッサンの画像では見苦しいのでもっと見やすい画像にしてほしい、と、とある教授からのリクエストがあり、当科の若手によるものを動画として新録しました。前からと後ろから撮影して、よりわかりやすくなっていると思います。

男性版・前から
https://youtu.be/of7eKl-IjN0

男性版・後ろから
https://youtu.be/ot_sIbLqAIc

女性版・前から
https://youtu.be/BXETlGd-vxc

女性版・後ろから
https://youtu.be/jTnKJtAxeV4

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posted by 長尾大志 at 13:54 | Comment(0) | ブロンコ体操

2017年07月16日

西伊豆健育会病院にて、2日間の勉強会を行いました。

昨日から今日にかけて2日間、西伊豆健育会病院さんにおじゃまして、呼吸器の集中講義をさせて頂きました。


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西伊豆健育会病院は、全国の勉強熱心な救急・総合診療領域の先生方によく知られていますね。院長の仲田和正先生はじめ、『救急外来ただいま診断中!』で有名な坂本壮先生や勉強熱心な先生方が集われています。


このたびご縁あって、まさに今書籍執筆中のテーマ「呼吸器内科医がいない、検査に制限がある施設で、如何にして呼吸器疾患をmanageするか」についての勉強会をさせて頂いた次第です。


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仲田先生のお人柄、ご人徳、もさることながら、大変ご熱心に学ばれ質問を頂くお姿に感銘を受けました。もちろん他の先生方もご熱心で、時間の経過が大変早く感じました。ご質問を頂くと、非専門の先生方がどういうところで困っておられるかが見えて参ります。自分の考えていたことはあながちずれていなかったとわかって一安心。


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往復の道中、景観も素晴らしく、食べ物もおいしく、すっかりリフレッシュさせて頂きました。仲田先生、坂本先生はじめ、西伊豆病院の先生方、及び送迎、段取りをして頂いたスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


ちなみに昨日はまさかのネット環境につなげず、更新できませんでした…。

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posted by 長尾大志 at 21:53 | Comment(0) | 活動報告

2017年07月14日

症例検討会BRONCHO13−3

診察上fine cracklesを聴取しなかったことから、間質性肺炎の存在は考えにくいと思います。で、診察上前胸部ではなにやら左右差があり、背部では差がないとのこと。


スライド38.JPG


これはどういうことか?肺(胸郭)を横から見た図を考えますと、前の方に限局して何かがあり、後ろには正常肺が残っている、と考えられます。ですから左の前方に何かある○、ということはわかりますが、何があるか×までは判断出来なさそうです。


スライド39.JPG


肺内転移の可能性などを考えますと、ある程度の大きさのある腫瘍、無気肺が想定されます。胸水だったら、通常は前も後ろも同じ所見になるでしょう。被包化されている胸水、となると、前後どちらかに限局、ということも見受けられますから、この所見だけではわかりかねます。


ということで、胸部X線写真を確認しましょう。


スライド40.JPG


1ヶ月前のものがこちら。


スライド41.JPG



Q:所見は?

左胸水
左腫瘤影
左上葉無気肺
左下葉無気肺
左全体の無気肺


選択肢に無気肺が3つもあるんだから、その中のどれかだろう…なんて無粋な回答はしちゃダメですよ。


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月13日

症例検討会BRONCHO13−2

状況的には咳の原因となる要素が多分に含まれた症例だと思います。


抗がん剤治療中に出てきた咳ですから、薬剤性肺障害はじめ薬剤による咳○、脳転移があることから脳転移由来の(誤嚥などによる)咳○は容易に想定出来るでしょう。もちろん肺内転移も場所によっては咳の原因となります○。通常は血行性転移で、気道に顔を出すことはそれほど多くありませんが、腎細胞癌は気管、気管支内転移を来たし易いとされているので、咳の原因となることもあるでしょう。


通院にて抗がん剤治療中であるということで、遷延性咳嗽を生じるような感染症に罹るようなことは少ないように思います△が…お子さんやお孫さんから、ということもありうるといえばそうです。


日中よりも夜の方が強く、夜間咳で目覚めることもある、ということですが、咳症状はだんだん悪化してきていて変動は少なく、これまでにはこれほどの咳はなかったとのことで、喘息やアレルギーの要素は少なそうです。



というわけで、診察してみましょう。


SpO2:97(room air)、PR:93 整

声音振盪:左前胸部減弱
打診:左前胸部では濁音、右は共鳴音
聴診:左前胸部では減弱、右は清

背部では前胸部のようには左右差はわかりませんでした。



Q:これから何がわかりますか?

左に何かありそう
左に何があるか
右に何があるか
本症例の病態すべて


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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月12日

症例検討会BRONCHO13−1

50歳代男性


腎細胞癌で他院通院、抗がん剤治療中。1ヶ月前に脳転移に対し放射線治療施行された頃から咳嗽あり、メジコンを処方されたが軽快しないため、紹介となった。


咳は乾性で痰はなく、症状はだんだん悪化してきている。これまでにはこれほどの咳はなかった。日中よりも夜の方が強く、姿勢には依存しない(臥位でも坐位でも出る)。夜間咳で目覚めることもある。


喫煙経験なし
アレルギー歴詳細不明 花粉症などはない。
粉塵暴露歴なし



Q:想定すべき可能性の高い病態は?
薬剤性肺障害を含む薬剤性の咳
脳転移由来の誤嚥などによる咳
肺内転移などによる咳
感染症による遷延性咳嗽


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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

症例検討会BRONCHO12−4

「胸焼けはありませんか」と尋ねると、しっかりありますとのこと。Ca拮抗薬の開始と肥満の始まりと、咳のタイミングが一致したわけです。


ということで、咳の原因はGERDと判断しました。咳では薬をもらうほど困っているわけではない、とのことであり、降圧薬の変更、および体重を減らすことで咳は軽減する可能性があることを説明して終診としました。


今回はどこまで咳を突き詰めるか、という哲学じゃないですけどポリシー、といいますか、流せば流せるけど、きちんとやると気持ちいい、ということが言いたくて取り上げました。


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posted by 長尾大志 at 17:41 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO