2017年08月20日

福岡大学呼吸器若手育成セミナー「呼吸生理と血ガスの見かた/人工呼吸器の考え方」無事に終えました。

そういうわけで、昨日は福岡大学の石井寛先生にお招き頂き、呼吸器若手育成セミナーで「呼吸生理と血ガスの見かた/人工呼吸器の考え方」のお話をさせて頂きました。


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福岡大学さんには初めて伺いましたが、地下鉄直結で便利!ステキな環境でうらやましい限りです。


講演は、呼吸生理の基礎と人工呼吸器についてがテーマでしたが、聴かれる方が医学生さん、看護師さん、理学療法士さん、それに初期研修医から呼吸器内科の先生方、ということで、呼吸生理は基礎的なことから、血ガス〜人工呼吸器のところは、結構応用の利く、「どう考えて設定をするか」といったところまで、結構欲張って詰め込みました。時間的にも収まって安堵しました。


肝心の内容も、概ね皆さんに喜んで頂けたようで、こちらもホッとしました。


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石井先生と獺祭スパークリングと。


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拙著の読者の方もたくさん。サイン会?も盛況でした。何よりうれしかったのは、「学生の時呼吸器に苦手意識があったのが、先生の本を読んで呼吸器に興味がでて、進路も呼吸器を選択したんです!会えてうれしいです!」と言っていただけたこと。これまで自分がやってきたこと、苦労が報われた、そんな風に感じられました。なかなか教育に携わって、報われたと実感できることってないんですが、本当によかったです。


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さてお料理も、インスタ映え?する見た目、お味も素晴らしく、幸せなひとときでした。


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思わず写真を撮りたくなりますね!


石井寛先生はじめ福岡大学の先生方、いろいろお世話になりまして、ありがとうございました!
今後ともよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 15:56 | Comment(0) | 活動報告

福岡大学にお邪魔しました。

今日は、福岡大学の石井寛先生にお招き頂き、呼吸器若手育成セミナー「呼吸生理と血ガスの見かた/人工呼吸器の考え方」というタイトルでお話しさせて頂きました。


終了後たくさんの方とお話しさせて頂いたのですが、大変多くの気づきがあり、ちょっとまたこれからのプレゼンに革命が起きそうです。


気付けば…ああ…日付が変わっておりました。現場リポートは明日(今日)に。

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posted by 長尾大志 at 00:00 | Comment(0) | 活動報告

2017年08月18日

症例検討会BRONCHO17−6

HRCTでUIPパターンと判断され、病歴、身体所見から膠原病やじん肺、過敏性肺炎である可能性は低く、血液検査では自己抗体の有意な上昇がないことから、UIPパターンを持つ間質性肺炎で、原因となるものがない、特発性肺線維症と考えられました。


現状の評価として、


肺機能検査:%VC 61.6%で拘束性障害、FVC実測値2.25L %FVC 60.0%
%DLCO 38.4%で拡散障害あり。


動脈血ガス検査:室内気、安静時でPaO2 96.4Torr、A-aDO2 8.7と開大なし。


6分間歩行試験では歩行負荷にてSpO2 96%→89%と低下したものの、修正Borgスケール2と息切れ感は著しいものではない。


安静時PaO2≧80Torrであり、特発性肺線維症の重症度分類判定表によって、重症度はTとなりますが、特発性肺線維症として指定難病申請を行うことが可能です。将来高額な抗線維化薬を使用することを念頭に置くのであれば、指定難病の申請を行っておくことは有用でしょう。


また、在宅酸素療法の保険適用基準にある『労作時の著しい低酸素』、これは微妙です。ここの判断にはあまり客観的な指標はなく、主治医の主観に任されている面が大きいでしょうから、在宅酸素については症状、経過、患者さんの希望などから導入を決めていくことになるでしょう。


治療介入としては、間違いなく取り入れるべきものとして急性増悪の予防(うがい、手洗い、感冒時の対処)、肺癌の定期的スクリーニングなどがありますが、それはわかってるけど、治療薬はどうなんだ、という話ですよね。


特発性肺線維症ですから、ステロイド、免疫抑制薬は使いません。これはいいですね。


では抗線維化薬は?これまでにもさんざん書きましたが、難しいところですね。その判断は専門医に任せて下さい、といいたいところですが、1つの目安として、悪化傾向がどの程度か、ということがあります。


それもいろいろな指標がありますが、1つご紹介しておくのはFVCの低下度合い。これは予後予測因子として知られていますし、ニンテダニブの臨床試験でも取り入れられています。これが半年で5〜10%以上低下していると、ちょっとヤバい、なんとか悪化を食い止めたい、そういうニュアンスになろうかと思います。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月17日

症例検討会BRONCHO17−5

胸部CTでは、立派な蜂巣肺が、胸膜直下、肺底部優位に認められます。UIPパターンといっていいでしょう。


UIPパターンをもつ間質性肺炎の予後や治療方針などを決める上で大切なことは、原因があるものかどうかどうかです。これは検査というよりも病歴が大きなウエイトを占めます。


例えば鳥関連抗原が原因の慢性過敏性肺炎であれば抗原回避が大切ですし、薬剤が原因であれば中止しなくてはならないことが多い。膠原病があれば、一般的に特発性よりは予後がよく、ステロイドを試してみようという気になる、などなど、原因があるものかどうかは大切な要素です。原因のあるなしは、病歴をしっかり聴取するとある程度はわかります。


また、膠原病については、病歴上症状がなくても、スクリーニングで自己抗体を測定することでわかることもあります。ですから検査も必要、となります。


そして、重症度や現在の状態を知るために行う検査としては、

  • 呼吸機能検査(肺機能検査)特にFVCとDLco

  • 動脈血ガス・A-aDO2

  • 労作時の酸素飽和度低下


が挙げられます。


ですから追加でさらにほしい検査は、労作時の酸素飽和度低下を調べる、6分間歩行試験、これをやりました。


<6分間歩行試験>
       SpO2(%)  HR(bpm)
安静時   96       97
1分     91       101
2分     89       111
3分     90       112
4分     89       111
5分     89       113
6分     90       114

・移動距離  392m

・修正Borgスケール
安静時:呼吸0  倦怠感0 
終了時:呼吸2  倦怠感0.5



Q:診断は?評価は?治療方針は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:51 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月16日

症例検討会BRONCHO17−4

胸部X線写真では、両側下肺野優位にすりガラス影〜網状影を認めます。明らかな蜂巣肺、とまではいえませんが、UIPパターンに似た像です。3ヶ月前と比較すると…


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陰影は少し増えてきているようです。


間質性肺炎のさらなる診断のためには、胸部CTは必須でしょう。


<胸部CT>

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Q:胸部CTの所見は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 19:15 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月15日

症例検討会BRONCHO17−3

やった検査は以下の通りです。両下肺野にfine cracklesを聴取し、間質性肺炎の可能性があったので、膠原病や血管炎のスクリーニングもある程度行われています(注:ウチで間質性肺炎症例では必ずこの項目を取る、ということではありません)。


<入院時検査所見>
TPLA- HBs-Ag- HCV-Ab-

<血液検査>
抗核抗体40倍
C-ANCA 1.0 未満
P-ANCA 1.0 未満
コウJO-1 陰性
抗CCP抗 (U/ml ) 0.6 未満
抗SS-A抗 (U/mL) 1.0 未満

HB (g/dl ) 12.4
PLTS (1000 ) 176
RBC (1000000 ) 3.74 L
WBC (1000 ) 5.3
APTTC (秒 ) 29.0
PT-INR ( ) 1.01
Dダイマ- (μg/ml ) 0.3
ホタイカ (U/ml ) 61.1 H
TP (g/dl ) 7.2
ALB (g/dl ) 3.8 L
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 17
ALP (U/l ) 118
G-GTP (U/l ) 34
T-BIL (mg/dl ) 1.32 H
NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 0.81
eGFR ( ) 72.2
UA (mg/dl ) 6.5
CA (mg/dl ) 9.2
P (mg/dl ) 3.7
T-CHO (mg/dl ) 158
TG (mg/dl ) 65
HDL-C (mg/dl ) 62
LDL-C (mg/dl ) 73
IG-G (mg/dl ) 1628
IG-M (mg/dl ) 22 L
IG-A (mg/dl ) 525 H
C3 (mg/dl ) 96
C4 (mg/dl ) 20
CRP (mg/dl ) 0.67 H
RF (IU/ml ) 2
BNP (pg/ml ) 14.50
GLU (mg/dl ) 92
A1C(NGSP (% ) 5.8
F-T4 (ng/dl ) 1.13
F-T3 (pg/ml ) 2.8
TSH (μIU/ml) 2.72
KL-6 (U/ml ) 852 H
FERRITIN (ng/ml ) 191.5
SP-D (ng/ml ) 341 H


<動脈血ガス検査>(室内気)
PH ( ) 7.432
PCO2 (mmHg ) 38.1
PO2 (mmHg ) 96.4
HCO3 (mmol/l) 24.9
A-aDO2 8.7


<肺機能検査> 
VC:実測値2.38L %VC 61.6%
FVC:実測値2.25L %FVC 60.0%
FEV1.0:実測値1.84L %FEV1.0 60.5%
FEV1.0%:81.88%
%DLCO:38.4%


<心電図>
一度房室ブロックあり


<心エコー>
EF 62.7%
TR TRPG:29.5mmHg RAPs:3 mmHg RVPs:32.5mmHg
IVC IVC(i):5.7mm IVC(e):12.6mm 呼吸性変動あり


<胸部X-p>

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Q:胸部X線写真の所見は?さらにほしい検査は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 14:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月14日

症例検討会BRONCHO17−2

この病歴は生活歴周りのこと中心に、結構いろいろと聴いてくれています。きっと『間質性肺炎疑い』ということで、研修医の先生も張り切って下さったのでしょう。


それであればこそ、病歴をもう少し掘り下げてほしかった気がします。現病歴に、(主訴にある)労作時の息切れに関する記載がありませんし、膠原病や血管炎などを連想させる、肺外の症状についても記載されていません。


病歴には、こういう症状が「ある」という情報も大事ですが、こういう症状が「ない」という情報もまた重要です。陰性情報も書かなきゃわからない。「なかったんだから書かなくてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、書いてないことは「ない」のではなく、「見てない」「聴いてない」ということにしかならないのです。これは肝に銘じておきましょう。


本人の自覚症状として最近(ここ半年程度)労作時息切れの訴えがあり、妻によると数年前から歩く速度が遅くなってきたとのことで、かなり前から無意識に歩行をセーブしていたようです。


また、肺外の症状に関しては、明らかなものはありませんでした。



<入院時身体所見>
<バイタルサイン>
体温36.3度 脈拍数85回/分 血圧129/69 SpO2 96%(室内気、安静時)


<身体所見>
眼球結膜黄染なし
眼瞼結膜貧血なし
頸部リンパ節腫脹なし
頸部血管雑音なし
呼吸音:両下肺野にfine crackles聴取
心音:整・明らかな雑音はなし
上肢:ばち指なし、Gottron兆候なし、皮膚硬化なし、指の腫脹なし
下肢:浮腫なし・後脛骨動脈触知・足背動脈触知
皮疹なし



Q:必要な検査は?もう早く画像を見たいですか?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月13日

「フィードバック」で人は育つのか

評価にしてもフィードバックは必要、とはよくいわれています。そりゃそうですね。でも、20代半ばのいい年こいた人が、「あなたの行動がこうだから直しなさいよ」といわれて、「はいそうですか」と直すのか、という話です。


ただでさえ、その年代の人たちは「ほめられて育った世代」今年の日本医事新報の正月号にも書きましたが、ここ1-2年で、学生さんのメンタリティはかなり変質してきているように思われます。


それで思うのが、個々の具体的な「行動」よりも、基本的メンタリティの方がずっと重要ではないか、ということ。それは「他人に対して誠意があるか」「勉強をし続ける覚悟があるか」みたいなことになるように思います。


でも25歳にもなったいい大人の、基本的なメンタリティなんて、どうやったら変わるのか。教育で変えられるのか。これのエビデンスもほしいところですが、もし変えられないとしたら、アドミッションポリシー(要は入試、選考の基準みたいなもの)はめちゃくちゃ大事ですよね。でも、これまではそれが全く以てないがしろにされてきたのです。まあそれでも何となく医者はできていたわけですが。


メンタリティができていれば、行動は後からついてくるもの。具体的な行動の方法論は、できた上級医の背中を見ればよい。患者さんとのやりとり。ちょっとしたひとことが患者さんにとってどれほど大きなことか。わかっている人なら、何度か見ればできるようになるはずなのです。


実際、現場で実習をやっていて、学生さんの心に訴えかけるのはそのあたりのことなのかなあと思いますし、現場でできるのはやはり見せることしかないと思うのです。でも、カリキュラムを決める方々には、よくわからない理論ではなく、現実を見て物事を決めて頂きたいと切に願います。

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2017年08月12日

「評価」で人は育つのか

今年度になって、まあ、いろいろな事情があって、学生の臨床実習と、初期研修医の研修における「評価」がかなりスケールアップしました。


スケールアップ、というのは、決してグレードアップではなく、評価の項目がやたら多くなり、細かくなったことのみを指します。


ルーブリックという、「こういうことが出来る」系の具体例が採点基準となっていて、めっちゃできる=松、まあまあ=竹、あまりできていない=梅、的に、行動を観察して評価を当てはめていく形式です。多くの大学などで導入されているようですから、評価するかされるか、経験された方もおられるでしょうが、実際にやっておられない方には、ちょっとイメージが湧きにくいかもしれません。


私は少し前にアクティブ・ラーニングに関する通信講座を受けた際に、初めてルーブリックというものを学びました。その時には、「レポートや小論文の採点をするのには便利だなあ」という印象しかありませんでしたが、これを行動の観察にも用いる、と聞いたときには、ちょっと違和感を覚えたものです。


神戸大学の岩田健太郎先生が週刊医学会新聞の連載『ジェネシャリスト宣言』で以前書かれていたのですが、「医学教育の専門家は『データは集めれば集めるほどよい』という信憑にとりつかれていて、やたらとそうした妥当性に低い情報を集めたがる」「評価されている側がその評価を妥当であると感じているかが大事なのに、実際はそう感じていない」まさにその通りです。


医学教育学会で教育の専門家の方々による発表を拝見していても、データを集めて「発表のための研究」となっているものがあるのですね。もちろん数は少ないのですが、「それで、どう育てるのか」という理念がない。


本気でエビデンスを構築するつもりならば、1〜2年でお手軽にできるような、「アンケート」結果でものをいうのではなく、実際にそういうカリキュラムにしたらアウトカムはどうだった、どういうドクターが増えた、そこまで意識して研究をすべきでしょう。

そういう長期的な視点で研究ができないのが、現在の日本の研究者が置かれている状況…という話はまた別の話ですね。


エビデンスがないのに空論だけで体制が決められ、書類とデータ入力の事務作業がどんどん増える教員が、本当に大切な「プロフェッショナリズム」を後輩に教える暇もなくなっている、というのが現状ではないでしょうか。


それこそ今盛んにいわれている「プロフェッショナリズム」。これも岩田先生が書かれていたことですが、プロフェッショナリズムを「評価して」、その評価されている現場での医師の行為は、本当にプロフェッショナルか、という疑問があります。プロフェッショナリズムとは、たれも見ていないときでも同じように行動出来ることで、見られていないとできないのは偽りのプロフェッショナリズムだと。


ガチガチの評価をすることで、却って、「評価されているときだけ上辺を繕った行動を取ればいい」という、昨今問題になっている「バレなければいい」メンタリティを産む土壌になるのではないか、とも述べておられ、これにも強く同意するものであります。


プロフェッショナリズムは、「理想的な」行動をなぞることではなく、上級医が背中を見せてこそ涵養されるものではないか、と考えますが、ここで難しいのが「その上級医が必ずしもプロフェッショナリズムを持っていないのではないか」というところ。


ここだけの話、昨今話題?の新専門医制度ですが、あれを…(以下、やっぱりここで書くのは止めておきます)

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2017年08月11日

国立大学法人で外部講師を招聘する、ということ。

ありがたいことに最近、全国各地の病院さんからお招きを頂きまして、お話をさせて頂く機会が増えております。お招き頂く側としては、あまり何も考えなくても、全力でよいお話、学びを提供させて頂ければよかったのですが…。


とあるきっかけで、ウチ(国立大学法人)に外部から講師をお招きして、勉強会をして頂く、というお話になりまして、手続きなど事務作業を私がすることになったのですね。


そうしたら、あるわあるわ。「規定」が山盛りあって、ものすごくやりにくくなっている。


例えば一部の病院で行われている「大リーガー医による教育回診」「闘魂外来」など。これは学生さんや研修医の皆さんにとってはものすごく学習効果が高いのですが、これをやって頂くためにクリアーすべきハードルが多すぎて、講師の先生に多大な負担となるのです。これでは無理です。


講師にお支払いする「謝金」も、交通費も、とにかく規定だらけ。謝金なんて、業界の相場?の数分の一ですから、それじゃあ誰も来てくれないよね、って感じです。逆に、たま〜に大学の研修会で来られている先生は、これで来られているのですか、と驚きます。


書類も山ほど必要だし、今回のことでもだいぶ心が折れかけているのですが。医局秘書さんのご尽力でなんとかなりそうな気もしてきております。


国立大学法人というところは、何とも新しいことをやりにくいシステムになっているものだ、と実感しました。何かことが起こるたびに規定が加わるから、そういうことになるのですね。いやまあそれでも進めておられる方々も多く、そのご努力には敬服いたしますし、自分もそのぐらいやれってことですが。



翻って、最近私が伺ったご施設は、もちろん私以外にもたくさん外部講師を招聘されているところが多いのです。で印象的なのが、そういうイベントを事務スタッフの方々が積極的に作っておられる、ということ。もちろんスタッフ医師の皆さんも作っておられるのですが、事務の方々の関与度合いがもう圧倒的に違うのです。


ああ、これはドクターの働きやすさが圧倒的に違うだろうな…そういうご施設は研修医や若い先生が多く、病院に活気がありますね。逆に、人を集めたい、という意向のあるご施設で、スタッフの方々が一丸となって、そういう意識になっておられるところが、いろいろな点でうまく回っている、そんな印象です。

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posted by 長尾大志 at 15:21 | Comment(0) | 日記

2017年08月10日

症例検討会BRONCHO17−1

症例 70歳代男性


<主訴>
労作時の息切れ


<現病歴>
毎年職場の健康診断を受診しており、今まで特に異常を指摘されたことはなかった。
今回の健診の際、胸部X線写真にて異常陰影を指摘され前医を受診。間質性肺炎の疑いとのことで、当院当科紹介となった。


<既往歴>
特記すべき事項なし
高血圧、糖尿病なし


<家族歴>
特記すべき疾患なし


<生活歴>
・喫煙 20歳〜30歳 40本/day
・飲酒 週3回ほど(日本酒2合、焼酎)
・粉塵暴露歴なし
・職業 事務職
 10年ほど前まで農業兼業(米農家)
・健康食品、漢方の使用歴なし


<その他>
・海外渡航歴:なし
・ペット飼育歴:なし
・鳥関連
 羽毛布団の使用:なし
 ダウンジャケットの使用:なし
 家にツバメの巣がある(最近は来ていない)
 近所にフクロウがよく来ていた(最近は無し)
 家の周りにカラスが多い
 周囲にコウモリはいない
・自宅関連
 木造(築20年)
 加湿器使用歴なし
 カビっぽいところはない


<アレルギー>
なし



Q:病歴で他に聴きたいことは?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月09日

症例検討会BRONCHO16−3

多数・多種類の投薬を受けているものの、本症例におけるコントロールは万全とはいいがたいものです。ですから周術期の発作予防という意味では、もう少しコントローラーを何とかしたい。とはいえ、大概の薬がはいっておりますけれども…。


具体的には、フルティフォーム/スピリーバの吸入手技確認、用量調整、それでダメならオマリズマブorメポリズマブ追加、手術が迫っているなら、短期間全身ステロイド使用もやむなしかもしれません。


それに肺機能だって、1秒量<1L、結構な低肺機能です。体格も小さい症例ですが、1秒率も50%未満。これでは咳をして痰の喀出するのも結構大変です。ということで、手術に際してはリスクが高そうです。


不安定期にどうしても手術、という場合、術前(+術後)、短時間作用型β2刺激薬吸入をしたり、全身ステロイドを使用したりすることもあります。



そして!さらに確認しておくべき、最も大切なことは、アスピリン喘息の有無。術後疼痛に対してNSAIDsを使う機会は多いものですから、アスピリン喘息の有無は必ず確認しておかねばなりません。手術による発作よりも、NSAIDs投与による発作の方がむしろ危険です。


そこでご本人に確認しましたところ…


「これまで解熱薬とか痛み止めを飲んで、発作が出たりしたことはないですか?」「それは覚えがないですねえ」とのこと。おお、それではアスピリン喘息なしですな…。「いや、そもそもそういう薬って、飲んだことがありませんのです」…。


なるほど。飲んだことがなければ、アスピリン喘息が「あり」か「なし」かはわかりません。それではこの質問。


「湿布とかを貼って咳が出たり、ゼイゼイすることはありませんか?」


「そうですね。茶色い湿布を貼るとよくゼイゼイいうンです」


!!!!!


ハイ、アスピリン喘息ありです。こういうことがままありますから、しつこく追求する必要がありますね。


術中発作などのリスクも高いので、術前にメプチン吸入、リンデロン点滴し、術後の投薬にも禁忌薬が多く、注意が必要と説明しました。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 15:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月08日

症例検討会BRONCHO16−2

喘息がある症例での周術期問題ですが、問題点としては大きく2点あります。


@ 手術に伴って発作が起きないか
A 肺機能の低下によって、術後合併症が生じるリスクが増えないか


『喘息予防・管理ガイドライン2015』を紐解くと、@に関しては、周術期の気管支攣縮は全手術症例の1.7%に認められたというデータがあり、それほど多いものではありませんが、無視出来る数字でもありません。


攣縮=発作のリスクを考えるにあたって、少なくとも喘息の重症度やコントロール状況はしっかりと把握しておく必要があります。コントロール不良であれば、術前に治療のステップアップが必要です。


また肺機能が低下していると、術後喀痰排出が困難となり、肺炎などのリスクになりますから、現時点での肺機能を確認しておくことも重要です。



そこで、本症例で確認しましたところ…。


喘息は30歳頃に発症した。他院で治療中。投薬内容は現在、

テオロング
アレロック
シングレア
スピリーバ
フルティフォーム125エアゾール
フルナーゼ

現在の状態としては、階段や坂道ではゼイゼイいうが、じっとしているとどうもない。坂を登ったりする前にはメプチンを吸ったりしていると。


入院歴は15年前に肺炎、喘息発作あり他院入院、13年ほど前に再度発作あり入院、以降は入院歴無し。その後ほぼ薬は固定されているとのこと。なお外来でSpO2が 95%を下回ることが時々あるという。



Q:現状の評価は?手術は安全か?さらに確認しておくべきことは?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月07日

症例検討会BRONCHO16−1

今回は(も?)ショートネタです。台風のため、出題も短めに。


症例 80歳代女性


(院内紹介)全身麻酔下手術を予定している方です。喘息あり、吸入薬(LAMA,ステロイド)と内服薬で加療されています。術前の肺機能検査では1秒量 860mL、1秒率 49%と閉塞性障害を認めております。喘息の周術期管理に関しまして伺いたく、対診とさせて頂きました。(紹介状ここまで)



Q:尋ねるべきこと、確認しておくべきことがらは?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 13:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月06日

京都にて肺癌の勉強会

昨日は、京都にて某メーカーさんの肺癌勉強会でした。


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メーカーさん主催ですから、講演の内容は推して知るべし、ではありますが、後半のディスカッションは、各施設の先生方のやり方が伺えて、興味深いものでありました。


また、終了後、洛和会音羽病院の長坂先生にお声がけ頂き、若い先生方やコメディカルスタッフの方々、学生さん向けに、コラボして勉強会を立ち上げていこうというお話を頂きました。これは大変ありがたいことです。楽しみです〜。


それから、とある地域で研修されているドクターをお話をしていたのですが、その地域での医療崩壊の現実がたいへんなものであると。各施設の若い先生方は、そこだけではなかなか満足な勉強ができていなかったりして、危機感を持っていて、病院の枠を超えて勉強会をされていると。いろいろなご施設でお話を聴いていると、大都市以外ではそういうことは決して珍しくはありません。


自分にできることは、少なくとも呼吸器領域で、そういう”地域格差”をなくしていくことだろうと思っております。その地域での勉強会のお手伝いも約束しましたが、まだまだ多くの地域で、若い先生方に呼吸器のことをお伝えできるよう、頑張っていかねばと思いました。

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posted by 長尾大志 at 21:57 | Comment(0) | 日記

2017年08月05日

夏以降の予定

夏以降の予定、ポスター、そして内容も続々決まっております。配付資料を早めに作る=発表内容も決まる、という感じですので、アドバンスコースが終わってからじゃんじゃん作成しています。


・福岡大学 呼吸器勉強会
8月19日(土) 16:00 〜 18:00

対象が「医学生・看護学生・理学療法士・看護師・研修医」となっておりますので、まずは呼吸生理の基礎と、血ガスについてみっちり、それから呼吸管理の入り口についてもお話します。

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・メディカ出版看護セミナー『よくみる症例から学ぶ 呼吸器疾患〜おさえておきたい観察ポイント〜』
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/171
東京 8月26日(土) 建築会館 1階ホール 9時〜
大阪 10月21日(土) 私学会館 4階講堂 9時〜

先日の「呼吸管理編」でもそうでしたが、今回の「疾患編」でも、さらに実際の症例を取り上げ、次に何を観察するか、どう動くか、といったところを、疾患を理解していただくことで「丸暗記」ではなく「考えて」行動できるようになっていただきたい、そんな感じの1日にしたいと思います。



・手稲渓仁会病院呼吸器講演会
9月2日(土) 13:30 〜 16:30 

内容が確定しました。まずは呼吸の基礎と身体診察について、みっちりお話をさせていただきます。それから医療・介護関連肺炎についてお話しするのですが、今年改訂された『肺炎ガイドライン』でいささか位置づけが変わったところもあり、基礎的なところ、診断や診察のところなどを中心に取り上げます。



・市立敦賀病院呼吸器勉強会
10月6日(金) 18時〜20時

いくつか候補はありますが、症例検討しながら呼吸器の知識を整理していく、びわこ闘魂外来とBRONCHOのミックス的に進めていくことになるでしょう。



・宿坊合宿
10月7日(土)〜8日(日) 東寺洛南会館
https://shukubo2017.amebaownd.com/

今年のテーマは『初心』。深い。私の出番は10月7日(土)の19:30〜20:45です。今年は(今年も)胸部画像がテーマですが、今年は特に、胸部画像感想戦を用いて、「見つけるべきであった異常影」を振り返ります。



・亀井道場
10月28日(土)〜29日(日)

まだ本決まりではありませんが、何となく、最新ガイドライン(肺炎・ACOS・肺癌・IP)の裏側とか、胸部画像感想戦とか、そういう感じの濃い2日間になるでしょう。



・鳥取県東部医師会講演会
11月2日(木) 19:00 〜 20:00

元々胸部画像感想戦のアイデアはこちらの講演会でわいたものでした。結節影に気づくためのヒント、コツ、こういうものがX線写真ではこう見える。そういうお話になります。



・日本集中治療医学会関西支部看護セミナー
11月18日(土) 13:00 〜 16:30 場所 iMEPホール(南草津駅歩2分)
http://www.jsicm.org/seminar/#kango

呼吸の基礎から人工呼吸管理の「考え方」まで、考え方です。考え方を学んで、後は考える。丸暗記では意味がありません。患者さんがこんな感じだから、血ガスがこうだから、モニターがこうだから、…だからこう考えて、こう動く。そんな看護師さんになっていただきたい。



・日本プライマリ・ケア学会連合会教育講演
11月26日(日) 13:00 〜 14:00 ピアザ淡海

秋発刊予定の『呼吸器診療メソッド(仮)』の内容にちなみ、各種検査ができない状況で、「検査ありき」になってしまっている呼吸器疾患をどう扱うか、具体的には感染症、喘息・COPD、NTM、間質性肺炎などについての『診療メソッド』エッセンスをお話します。

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posted by 長尾大志 at 13:03 | Comment(0) | 活動報告

2017年08月04日

症例検討会BRONCHO15−6

気管支鏡の所見も見ておきましょう。


(所見)
左下葉枝は黄白色/高粘稠の壊死様物質で閉塞しており、吸引を試みたが吸引出来なかった。一部を把持鉗子で生検した。
透視下に、左B8付近よりTBB施行。続いて、EBUS使用下に♯R4より針生検施行。
検査後の出血持続がないことを確認し、検査終了した。


スライド63.JPG


(生検結果)
Adenocarcinoma

腫大した多形性のある核を持った異型細胞が増殖しています。好酸性の豊富な細胞質も見られ、非小細胞肺癌の所見です。背景には線維性間質と虚脱した肺胞を認めます。
免疫染色でNapsinA(+), TTF-1(+), P40(-)であることより、腺癌と診断します。


EGFR ex19del+ T790M-
PD-L1 70%


ということで、まずはEGFR-TKIで治療導入を行いました。


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posted by 長尾大志 at 17:59 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月03日

症例検討会BRONCHO15−5

見てきたように断定出来るのは、リンパの流れを理解しているからこそです。肺において、肺野を掃除して集まってくるリンパの流れは、胸膜のあたりから、およそ放射状に肺門に向かって集まる、といわれています。


スライド61.JPG


普段は掃除をしているリンパの流れながら、ひとたび肺癌ができてしまうと、その流れに癌細胞を載せて運んでしまうことになるのです。ですから、リンパ節転移が起こる順番も、この流れで考えますと…


肺野の結節⇒肺門リンパ節⇒気管分岐部リンパ節⇒気管傍リンパ節(縦隔リンパ節)の順番になる、ということですね。


その考え方で本症例を振り返ると…


スライド62.JPG


の、順番で、転移してきたかな、とわかるわけです。てことで、感想戦、大事ですよ〜。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月02日

症例検討会BRONCHO15−4

造影CTでは大動脈弓の高さでリンパ節腫大が見られます。また、気管分岐部下にもリンパ節腫大が。胸部単純X線写真で見えるかどうか、感想戦で確かめてみましょう。


スライド58.JPG


気管分岐部横の、傍気管線付近は、確かに軟部影の厚みがあり、傍気管線も消失しています。しかしながら、気管分岐の確度はそれほど開いているわけでも、ましてやがに股状に(外向きに凸に)なっているわけでもなく、気管分岐下リンパ節の腫脹を発見するのは難しいかもしれません。…しかし!


CTではもう一つ所見がありますね。心臓の裏に結節です。右の横隔膜と同じくらいの高さにありますから、このあたりでしょうか。これは難しいですが、何となく線が見えませんか?


スライド59.JPG


ということで、まとめますと、左下肺野の結節影、おそらくこちらが原発巣で、左肺門リンパ節転移、それによる左下葉(の一部)無気肺、さらに気管分岐部〜右気管傍リンパ節転移が認められる、ということになります。


スライド60.JPG



Q:なぜそこまで(見てきたように)断定出来るのでしょうか?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:08 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月01日

症例検討会BRONCHO15−3

CT、左肺門の結節影です。そのところしか出してませんでしたね…イジワル。他のスライスも出しましょう。


スライド53.JPG


こちらはS8の無気肺ですね。上下葉間に接してべたっと拡がる高吸収域、下葉の一番前ですからS8です。上の結節でS8枝が閉塞して生じたものと考えられます。心臓の横には接しておらず、左4弓がシルエット陰性なのがわかります。


スライド54.JPG


さて、それで済めば話は簡単ですが、もう少し他のスライスもみてみましょう。CTを見てからもう一度胸部X線写真を見る、将棋でいう「感想戦」ですね。これを毎回きちんとやると、胸部X線写真読影力がグンと伸びます。オススメですよ、画像感想戦(今命名)。


スライド55.JPG


スライド56.JPG


スライド57.JPG


え、胸部単純X線写真に、こんな所見あったっけ?と思ったら、すぐ感想戦。胸部X線写真を見直しましょう。


Q:胸部単純X線写真・CTの所見は?


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO