2018年03月08日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて12・シャントの理屈

誰もわざわざ混んでるところを通るわけがありません。スーーっと走れるところを通りたいに決まってます。道でいうとバイパス路。それでバイパス路の交通量が増えるわけですね。

翻って肺の血流について考えてみますと、通常は肺胞の周りに張り巡らされている毛細血管を通りますが、これが入り組んでいて狭くて、なかなか通れない。大渋滞なのです。

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まあ、大渋滞、というのは大変理にかなっていて、そのおかげでヘモグロビンがゆっくりと肺胞から酸素を受け取ることができるわけなのですが…。

ここに、仮にバイパス(シャント)が出来たらどうでしょう…?

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みんな、バイパス(シャント)の方に行きたがりますよね。そうなると肺胞に行く血流が減って、肺胞での受け渡しが減る、すなわち低酸素になるワケなのです。

こういうバイパスの代表が、肺動静脈瘻(はいどうじょうみゃくろう)です。

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posted by 長尾大志 at 17:21 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月07日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて11・シャント

シャントとは「近道」「短絡」「バイパス」みたいな意味です。

例えば、すごく混んでいる住宅街の中の道を考えて下さい。

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もう、通るのがイヤになるくらい混んでいる…。いつも渋滞…。ゆっくりしか通れない。

そんな道に、バイパスが出来たらどうでしょう。ハッピーですよね!

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どちらを通りますか?決まってますよね!

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posted by 長尾大志 at 20:42 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月06日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて10・換気血流ミスマッチ・血流側

このように、本来1対1である換気と血流がマッチしていない状態を、換気血流ミスマッチといいます。

換気血流不均衡とか換気血流不均等とかいう用語もありますが、ミスマッチの方が何となくしっくりくるかな、と思いまして、最近は授業などでもミスマッチということが多いですね。

さてミスマッチというのはマッチしてない、ということですから、肺胞が障害される場合と血流が障害される場合、どちらのパターンもあります。

臨床的には、肺胞が障害される方が多いです。というか血流が障害されるのは、肺血栓塞栓症の時ぐらいですね。

肺血栓塞栓症では、閉塞が起こった肺動脈から、詰まっていない肺動脈〜毛細血管に血流が流れ込みます。心拍数も早くなりますから、血流速度が上がり、健常時のようにのんびりO2の受け渡しが出来なくなります。

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受け渡し効率が下がることと、そもそも供給元のO2(肺胞)が半分になるわけですから、やはり動脈血酸素飽和度は低下し、図の場合SaO2は50%、ということになるのです。

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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月05日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて9・換気血流ミスマッチ

例えば肺炎という疾患は、肺胞の中で細菌が増殖して炎症を起こし、肺胞内が水びたしになった状態です。水びたしの肺胞ではガス交換が出来ず、低酸素血症になります。肺モデルで2個のうち1個の肺胞が水びたしになったと考えてみましょう。

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この水びたしのエリアを通るヘモグロビンは還元ヘモグロビンのままで、健常な肺胞を通ってくるヘモグロビンだけが酸化ヘモグロビンになります。結果、これらが混ざり合う左心房では、飽和しているヘモグロビンが半分(50%)、つまりSaO2(動脈血酸素飽和度)が50%!ということになりますね。

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posted by 長尾大志 at 18:54 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月04日

ご結婚おめでとうございます。

今日は、滋賀医大呼吸器内科医局の、とある先生の結婚式でした。

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あまり異性関係に活発な活動がなさそうだったので、密かに心配しておりましたが…大変ステキな伴侶を見つけられまして、こちらとしても胸をなで下ろした感がございます。やはり、安定した家庭は、仕事を充実させてくれますからね。

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先生らしい、随所にこだわり、思いやりにあふれた、いい式でした。先生の同級生、友達も、いい人揃いなんだよなあ。

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今はケーキカットをしなかったりするんですねー。ちょいちょい驚きがありましたが、それでも、昔?と変わらない式で、ホッとしました。先生、おめでとうございます!

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posted by 長尾大志 at 21:56 | Comment(0) | 日記

2018年03月03日

『レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室』改訂第2版のお知らせ

このたび、多くの方々にご愛読いただいております、あの?『レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室』を改訂させて頂くことになりました。

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出版からはや4年が経ちまして、これを学生さんに読んでいただいたりしているのですが(売りつけているわけではありません!図書館に寄贈したものを貸し出しているのです)、一読してもらった上で教育をやっていると、スゴく効率がいい一方で、ちょいちょい「思い違い」「取り過ぎ、取らなさすぎ」があることに気づきました。

4年の間に溜まってきた思い、付け加えたい言葉を書き足し、見にくかった写真を入れ替え、さらにわかりやすいシェーマを加えてパワーアップさせました。40ページほどの増ページ、新しい図・写真を100枚ほど加えまたは入れ替え、それでいて値上がりは極小の100円にとどめて頂きました。日本医事新報社さんにはいつも値付けをがんばっていただいております!

初版をお持ちの方には、決して旧くなった、内容が変わった、というわけではありませんので、そのまま今後も愛用して頂けますが、これから買おうかな、という方には、改訂版を強くオススメするものであります。

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posted by 長尾大志 at 23:58 | Comment(0) | 活動報告

2018年03月02日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて8・健常肺での酸素受け渡し

さて前置きが長かったですが、いよいよ低酸素のメカニズムを考えましょう。といっても、
低酸素になる、というのは、大半が肺における酸素の受け渡しがうまくいっていないことによりますので、まず健康な肺における酸素受け渡しのメカニズムを理解して頂く必要があります。

肺での酸素受け渡しは、肺胞とその周囲の毛細血管で行われています。肺胞は大きさが0.3mm程度の、小さな小さな袋で、それが3億個も集まって肺が成り立っていますが、そんなにたくさんの袋は描けませんので、必要最小限の?2個にしておきます。

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吸い込んだ吸入気に含まれている酸素(O2)は、気管支を通って肺胞(緑色)に入ります。肺胞の周りには、肺胞表面積のおよそ半分程度、毛細血管が張り巡らされていて、赤血球がそこを通過する間にO2を受け取ります。だいたい赤血球が肺胞周囲の毛細血管を通過するのに0.75秒かかるといわれていまして、酸素受け取りにかかる時間が0.25秒。つまり、酸素の受け渡しは相当余裕を持って行われているわけです。

しかし、これが病気になってしまうと、いろいろな不都合が出てくるわけですね。

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posted by 長尾大志 at 18:51 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月01日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて7

飽和度のイメージを図にしてみましょう。

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SpO2=100%、というのは、測定しているエリアの存在する赤血球の100%に酸素がくっついている、つまり赤血球の100%が酸化ヘモグロビンである、ということです。図のような感じ。

酸化ヘモグロビンは鮮やかな赤色、それに対して還元ヘモグロビンは暗赤色です。静脈血は還元ヘモグロビンが多く、静脈血の酸素飽和度(SvO2)は70%程度になりますから、3割が暗赤色のヘモグロビンです。従って静脈血は動脈血に比べてどす黒くなるのです。

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ついでに、毛細血管中の酸素飽和度が低下してくると、チアノーゼになります。例えばSpO2が80%、とかだとチアノーゼになる印象がありますね。還元ヘモグロビンの割合が増えますからね…。

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しかし、注意すべき点として、チアノーゼの出現は還元ヘモグロビンの割合ではなく、絶対量によることを知っておきましょう。還元ヘモグロビンが5g/dL以上になると皮膚の色がどす黒く見えるようになるため、同じ酸素飽和度でも、元々のヘモグロビン量が少ない貧血だと、チアノーゼは出にくいのです。

一方、心不全やショックで血流の循環障害が起こると、末梢組織の酸素消費に対して供給される酸素(酸化ヘモグロビン)が減るために、肺で十分酸素が供給されていてもチアノーゼとなりやすいわけです。

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posted by 長尾大志 at 19:10 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場