2018年03月14日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて16・拡散障害

他に、例えば無気肺みたいに肺胞がぺちゃんこになって完全に虚脱してしまうような状況、それから肺水腫みたいにそのエリアが完全に水浸しになってしまう状況、そんな風になるとそこのエリアはシャントと似た、素通り感のある状況になりますので、そういう状況もシャントに含める、ということもあります。

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肺胞の中に入った酸素が毛細血管に移動する現象、これを拡散といいますが、この拡散が障害された状態を拡散障害といいます。

換気と血流はどちらも障害されていませんので定義としてミスマッチではありませんが、実際の症例ではミスマッチと拡散障害はしばしば共存しています。

メカニズムとしては肺胞上皮や間質(肺胞の壁)に炎症や浮腫が起こって分厚くなり、換気も血流もあるのに酸素が肺胞の壁を通り抜けて血管内に入るのが妨げられる、というものです。代表的な疾患としては間質性肺炎や肺水腫が挙げられます。

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拡散障害になると、肺胞の壁を酸素が通り抜けるのに時間がかかります。それこそ、赤血球が肺胞と接触している、0.75秒ギリギリにまでなるのです。そうなると、酸素の受け渡しが間に合わなくなって、ヘモグロビンが受け取れなくなる〜低酸素血症、となるのです。

特にこの現象は労作時、心拍数が上昇する=血流が早くなる、と顕著になり、安静時なんとかギリギリ酸素が保たれていた患者さんでも、労作時にいきなり低酸素になる、ということが経験されるのです。

また 肺胞自体が 周囲の毛細血管とともになくなってしまう COPD などでも吸入した酸素が結果的に動脈に入っていく効率が減り見かけ上を拡散障害となりますすなわち肺胞の数表面積が拡散能に関わることが知られています

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posted by 長尾大志 at 20:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場