2018年03月27日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて22・酸素の投与法2・ローフローシステム

酸素投与といえば、すぐに思いつくのが経鼻カニューレだと思います。経鼻カニューレは鼻につけたチューブから酸素を1分間に1Lとか2Lとか流すものですが、それ以外にシンプルマスク(鼻と口を覆うようなマスク)から酸素を流す方法もあります。

もっとたくさん酸素を流したい場合にはリザーバーマスク(マスクの手前に袋のような酸素を貯める場所がくっついたシステム)を使うことが多いでしょう。リザーバーマスクの場合は、1分間に10Lとか12 L とか結構たくさんの酸素を流しますよね。

例えば1分間に1L酸素を流すと、1秒間には1L÷60秒=16.7mLの酸素が流れてくることになります。

ところで人の一回換気量(安静換気で1回息を吸うときに吸い込む空気の量)とはどのくらいでしょうか。だいたい体重✕10(mL)、体重が50 kg の人であれば500mL程度といわれています。

安静時の吸気に要する時間が大体1秒程度とすると、人はこの500mLを1秒間で吸いこむことになります。

つまり人の吸気は秒速500mL 、先ほど申し上げた通り1分間に1Lの酸素というのは1秒間あたり16.7mLになります。これは一回換気量500mLのうち極めて少量で、残りは鼻や口の周りの空気を吸い込んでいるのです。

例え1分間に12 Lの酸素をシューシュー流したとしても1秒間に換算すると12÷60で200mLにしかなりません。ということは後の300mLは周りの空気を吸い込んでいることになります。

これまでのシステムでは壁の配管から流れてくる酸素の流量計は最高でも1分間に15L、1秒間にすると250mLしか流れませんでした。この流量では人間の1回吸気量の半分程度しかまかなえません。こういう、1回吸気量に満たない量しか供給できないシステムをローフローシステムと呼んでいます。

1秒間に500mL以上流そうとすると、1分間に換算すると30L以上となります。これ以上の流量を流すと、1回吸気量がまかなえますので、そういうシステムをハイフローシステム、といいます。

ローフローシステムでは、FIO2はこちらの意図した通りにはなりません。というのは息を吸い込むときに、流れてきた酸素と周りの空気とがどのくらいの割合で混合されるかが決まっていないからです。

例えば呼吸回数が少なくなると、息を吐いてから次に吸い込むまでの間に、解剖学的リザーバーと呼ばれる鼻腔(50mL程度の容量あり)に酸素がたまります。次の吸気でその酸素を一緒に吸い込みますので、FIO2は少し上昇します。

逆に頻呼吸の場合、息を吐いてから次に吸い込むまでにほとんど時間がありませんから、FIO2は低下します。通常は酸素が欲しい時ほど頻呼吸になりますが、皮肉なことに頻呼吸になるほどFIO2が低下するのです。

逆にCO2ナルコーシスの時のように、酸素が多くなりすぎるとやばいですよ、という時ほど呼吸がゆっくりになってFIO2が上昇してしまいますので、注意が必要です。

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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場