2018年04月10日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習2

4月27日の第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表にて、「教育・終末期医療他」セッションの座長を務めることとなりました。よろしければ予習にお付き合いいただけると幸いです。


■ 呼吸器疾患患者における呼吸困難の評価

概要

呼吸器疾患患者45例に、 NRS、mMRC、Cancer Dyspnea Scale(CDS)を用いて呼吸困難を評価し、症状の質や評価法による相違を検討した。

年齢中央値は67歳、男性が76%、基礎疾患は悪性腫瘍が51%、間質性肺炎が33%で、7%に呼吸不全が見られた。呼吸困難は67%に認められ、安静時 NRS では症状のない30例のうち、mMRCでは3.3%、CDSでは55.6%が呼吸困難を示した。

疾患別では明らかな特徴は見られなかった。CDS の内訳は、呼吸努力感29%、呼吸不快感4%、呼吸努力感と不快感46%、呼吸努力感と不安感7%、呼吸努力感と不快感と不安感 14%と、患者ごとに呼吸困難の質は多様であった。

呼吸困難を有する症例で、症状に対して治療が行われたのは27%のみであった。

呼吸困難は多様であり、複数の評価を用いることで多くの有症状患者をスクリーニングすることができる。一方、症状に対する治療介入は少なく、呼吸困難の質に応じた適切な治療法を含めて検討の余地があると考えられる。

所感

評価法によって、異なる項目をみているため、当然、ずいぶんと結果が異なるものになります。そもそも評価法の目的とする疾患が異なりますし、量的評価か質的評価かも異なるものを比較することにどのような意味があるのか、考察に注目です。単一の疾患でまとめられる方がわかりやすかったかもしれません。

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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月09日

第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション予習1

4月27日に開かれる第58回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表にて、「教育・終末期医療他」セッションの座長を務めることとなりました。

今回は何となく自分の居所といいますか、自分の持っているものにマッチしたセッションではないかと喜んでおります。

また恒例?により予習をしていきたいと思います。よろしければお付き合いいただけると幸いです。


■ 市中呼吸器内科外来を受診する咳嗽患者の臨床像

概要

呼吸器内科クリニックの患者を対象に診療データを集積した。咳を主訴として初診受診した257例のうち、湿性咳嗽193例、乾性咳嗽が64例、急性咳嗽が159例、遷延性咳嗽が59例、慢性咳嗽は34例であった。

咳の原因と考えられた病態は「感冒や急性上気道炎」109例、後鼻漏109例、気管支喘息53例(うち咳喘息21例)、アレルギー性鼻炎45例、「アトピー咳嗽、咽頭アレルギー」34例、感染後咳嗽30例、急性気管支炎16例、慢性副鼻腔炎8例、「COPD、慢性気管支炎」4例、肺炎3例、肺癌2例、誤嚥1例であった。再診時に咳の評価ができた126例の改善度は70%と概ね良好であった

所感

多くの症例を診ておられるクリニックならではの研究ですね。共同演者で大学病院や大きな病院の先生方もおられるので、比較したデータや分析があると興味深そうです。また、こういう研究で気になるのが、定義のところと診断のところですが、それはポスターで確認したいと思います。

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posted by 長尾大志 at 20:24 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年04月08日

21世紀適々斎塾にて、呼吸器疾患セミナー!

というわけで、昨日と今日、21世紀適々斎塾におじゃまし、呼吸器疾患セミナー『胸部X線写真の読影について』お話をさせて頂きました。

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ご覧の通り、(私をのぞいて…)近畿の呼吸器診療の重鎮の先生方による、重厚な講義の数々。私も昨日から参加し勉強させて頂きました。個人的には、滋賀医大の同窓?、羽白先生とご一緒できたのが胸熱でした。

今日のトリでお話をさせて頂いたのですが、昨日の段階で思っていたよりもずいぶん学生さんや研修医の先生方(しかも適々斎塾は初めて、という)が多かったので、急遽胸部X線写真の読影、基礎編を組み込んでのお話となりました。それでも、いささか自己紹介とTake home messageが多かったかもしれませんが、まあまあ筋の通ったお話はできたかなあと思っております。

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今日は午前中、息子の高校入学式がありまして、午前中の講義には参加できず、残念でしたが、思いがけずお祝いまで頂き、感謝しております。おいしく頂きました。

塾長の中西先生、板金先生、松村先生はじめ適々斎塾の先生方、講師の先生方、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 23:56 | Comment(0) | 日記

2018年04月06日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて30・死腔とは3・ネーザルハイフローについて、その他いわれていること

ネーザルハイフローのメリット、として挙げられていることがいくつかあります。

もちろんFIO2の、特に高流量のところを、キッチリ決めることが出来る、着けたまま会話や飲食が可能、それは当然のことですが、それ以外に以下のようなことがらがあります。

  • 加温・加湿によって喀痰除去を助ける

  • PEEPがかかる

  • 死腔を減らし換気効率を上げる


PEEPについては、メーカーも「軽くPEEPがかかる」みたいな謳い方をしていて、大してかからないことは認識されていそうです。高流量の混合気を流すので、ちょっと圧がかかりますが、その圧は2cmH2Oからせいぜい4cmH2O程度、といわれていて、それほどでもありません。

ですので、真面目に?PEEPをかけたいときは、NPPV(non-invasive positive pressure ventilation:非侵襲的陽圧換気)やIPPV(invasive positive pressure ventilation:侵襲的陽圧換気)等、人工呼吸のシステムを使います。


それと死腔を減らす件ですが、やはり高流量の混合気が流れるので、呼気の洗い出し効果が期待される…とよく書いてありますが、おわかりでしょうか。

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呼気時には、ガス交換の済んだ(汚れた=酸素が少なく二酸化炭素が多い)空気が肺胞から出てきますよね。

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で、次に息を吸うときには、体外の呼気は一瞬で拡散して、きれいな大気になっているわけで…

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体外(外界)の空気350mLと、気道内(死腔)の空気150mLを吸い込むことになります。

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ネーザルハイフローを使っている場合、息を吐いてから次に吸うまでの、ホンの一瞬で…

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鼻腔から上気道あたりの空間に酸素が充満します。なんせ高流量なもので。

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従って、死腔の一部が酸素に置き換わり、ガス交換したのと同じ効果が得られます。これを「洗い出し効果」と呼んでいます。

ナースのための呼吸器道場

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posted by 長尾大志 at 18:52 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月05日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて29・死腔とは2・死腔の意味

細かい絵を描くとごちゃごちゃするのでシンプルに気道と肺胞、それから呼吸で出入りする大気の関係を表す絵を描きます。

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これで呼吸をさせてみましょう。吸気時には肺胞(呼吸領域)が膨らみ、空気が入ります。だいたい1回換気量は500mLくらいと考えますと、500mL分、肺胞が膨らむことになります。そこでガス交換をします。

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で、呼気時には、ガス交換の済んだ(汚れた=酸素が少なく二酸化炭素が多い)空気が肺胞から出てきます。

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外界に出た呼気は、すぐに拡散してきれいな空気(酸素の多い、大気)になります。で、次に息を吸うわけですが…。

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その際、死腔にある空気150mLも吸気500mLに含まれることにご注意ください。

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まあ、こんな面倒くさいことを言わなくても、気道内の空気150mLが吸気呼気で行ったり来たりする、だから1回換気量は死腔分150mLを差し引いて考える、そのくらいの考え方でも間違いではありません。

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posted by 長尾大志 at 18:55 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月04日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて28・死腔とは1

死腔とは何か、どういうものなのか、よく質問を頂きます。ちょっと難しいですね。

肺を思い出してください。

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吸入気は、口や鼻から入ります。で、咽喉頭で合流し、気管に入ります。気管は1本ですが、気管分岐部(1個目の分岐)で右と左、2本の主気管支に分かれます。その後もどんどん分岐していき、16回目ぐらいの分岐のところから、気管支の横に肺胞がくっつきます。そうすると、その領域では気管支内にある空気もガス交換に関与する、ということになりますから、それ以降の領域を呼吸領域、といいます。

それ以前、15回目の分岐の気管支(終末細気管支)あたりまでに存在する空気はガス交換に寄与しません。気管から終末細気管支までを、ただ空気が通過するだけの領域、という意味で伝導気管支と呼びます。

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その、伝導気管支分の容積はだいたい150mL程度で、呼吸に関与しない腔、という意味で「死腔」と呼ばれています。

最終的には気管支は23回ぐらい分岐して最終の肺胞のカタマリ(肺胞嚢)に到達します。

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posted by 長尾大志 at 21:44 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月03日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて27・酸素の投与法7・ネーザルハイフローについて

インスピロンは「FIO2を上げるために使う」ものではなくて、「気道の加温加湿をしっかりと行うためのシステム」という位置づけが正しいのです。例えば術後、排痰を促したいときとか、気切症例で(鼻を経由しないので)気道が乾燥しがち、とか。まあ後者では昨今は人工鼻が使われることが多いでしょうか。


一方、ベンチュリーマスクやインスピロンに比べると、ネーザルハイフローに代表される、新世代のハイフローセラピーシステムは、考え方としてはとても簡単です。

流量を調節するところの改良によって、これまでのように15L/分まで、といったチンケな量でなく、最初から堂々と30L/分以上流せるようになっているのです。ですから、流量(30l/分以上)とFIO2を決めれば、その決めたFIO2が流されている、と見なすことが出来るのです。

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鼻に直接高流量を送り込むと、乾燥して痛みや不快感、鼻出血の原因になるのですが、ネーザルハイフローでは加温加湿をしっかりと行うことによって、そういういうことがないよう工夫されています。

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posted by 長尾大志 at 19:41 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月02日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて26・酸素の投与法6・インスピロンについて2

インスピロンだと、目盛りに「100%」なんて書いてある。それで、つい、FIO2は今100%なんだ、てな勘違いをしてしまう。

考えてみれば、元々せいぜい15L/分までしか流れてこない酸素システムで、どうやってFIO2を100%に出来るのか。これは無理な話なんです。

確かに目盛りは100%と書いてありますが、これを100%にすると、空気孔から空気が入らなくなり、流れてきた酸素がそのまま100%で、蛇管内を流れていくことになるのです。

ということは…その使い方だと、ローフローシステムになってしまっているのですね。

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ローフロー、ということは、吸気時には蛇管を流れてくる酸素だけではまかなえず、周囲の空気を吸い込んでしまい、FIO2は思っているよりも低下してしまう、ということです。

それでは正しくハイフローとして使うにはどうするか。実はO2の流量と、目盛の%とを組み合わせれば、実際に蛇管を流れる混合気の流量が計算できまして、ちゃんと表になっています。
https://www.j-mednext.co.jp/library/inspiron_faq_safe_ans.html
日本メディカルネクスト株式会社HPインスピロンQ&A「より安全にお使い頂くために」

その表で、30L/分以上になるように(つまりハイフローが成立するように)、O2流量と%を組み合わせて使う、というのが、インスピロンの正しい使い方なのです。

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posted by 長尾大志 at 22:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月01日

昨日は堀江教授の退任記念祝賀会でした

そういうわけで昨日は、堀江教授の退任記念祝賀会でした。

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素晴らしい快晴、サクラも満開で、堀江先生の有終にふさわしい景色が、琵琶湖ホテルから一望できました。

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私が滋賀医大にやってきたのが2005年。呼吸循環器内科(旧第一内科)教授としての堀江先生とは、学生のときに授業でお目にかかった、位の面識しかありませんでした。お話しするとお人柄が素晴らしく、当初わずかな人数でがんばっていた呼吸器内科の面々に大変よくしてくださいました。当時は数人で病棟を回し、研修医の教育、臨床実習に授業、研究、各種調査までやってましたから、本当に大変でした…。

呼吸循環器内科、という形で、教授が循環器の方ですと、呼吸器内科は完全に属国扱いとなってもよさそうなところ、早い段階から独立した政治・経済を認めて頂いていたようなもので、なにかと政治に口を出す、ということをなさいませんでした。

それでいて、初期にいろいろと困ることがあって相談を持ちかけても、その都度しっかり時間を取ってくださって、私なぞのしょうもない相談にも答えてくださいました。今こうして私が大学勤めを続けていられるのも、ひとえに堀江先生のおかげなのです。

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祝賀会でも堀江先生のお人柄に触れた祝辞が多く、終始和やかな会となりました。

堀江先生、このたびは誠におめでとうございます。本当に長い間、ありがとうございました。


そして、いよいよ呼吸器内科が独立!たぶん。新教授はどうなるのか、循環器内科の次期教授選にも注目が集まります!激動なのか、そうでもないのか、ドキドキですね…。

あ、そういえば、今日は4月1日ですが、特にエイプリルフール的なことは今年はありませんです。はい。

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posted by 長尾大志 at 21:58 | Comment(0) | 日記