2018年11月07日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン7・PPFE

■ PPFE(pleuroparenchymal fibroelastosis)

きましたPPFE。PPAPではありません…というネタはもう古いですね…。

長い名前です。直訳したら胸膜肺実質線維弾性症、そんな感じになるでしょうが、正式な日本語の名称はまだ決まっていません。

その昔、京大の呼吸器感染症科におられ、結核・非結核性抗酸菌症の専門家であられ(て、私が研修医〜大学院時代に大変お世話になっ)た網谷先生が、通常、肺尖部〜上肺に病変が多く、胸膜が肥厚してくることの多い結核や非結核性抗酸菌症の症例の中に、菌がいないのに同じように上肺に線維化が起こったり胸膜が厚くなってきたり、そういう風な症例を集めて「特発性上葉限局型肺線維症(idiopathic pulmonary upper lobe fibrosis: IPUF)」として報告されたのが最初です。

普通の?肺線維症や間質性肺炎では、割と下肺野・胸膜直下に病変の主体があるところ、この一群では上肺野・肺尖部に胸膜が分厚くなるのが特徴とされました。

当初はそれが間質畑からの報告でなかったからか、あまりすぐにそういった概念が広まる感じではなかったものの、徐々にパラパラと報告がなされるにつれて、「そういえばそういうの、みたことある」みたいな感じで認知されるようになり、最初に報告された網谷先生のお名前から網谷病という病名が提唱されだしました。

一方で、その認知の過程で、上葉限局型肺線維症とか、上葉優位型肺線維症とか、上葉肺線維症とかなんとかかんとかいろいろな病名で呼ばれてきましたけれども、病理学的な特徴からPPFEという用語が出てきて、間質性肺炎の中に分類され、なんとなく今はPPFEと呼ぶことが多いと思います。

診断は外科的肺生検による病理組織診断が必要です。胸膜の線維性肥厚と気腔内を充満する線維化があり、肺胞が虚脱し、肺胞壁は折り畳まれ、弾性線維の集蔟が観察されます。線維化巣と下方の正常肺の境界は明瞭であるとされています。

まだまだ、特発性肺線維症との合併例がしばしばあるとか、はたまた特発性肺線維症との異同がはっきりしない症例があるとか、そもそもいわゆる網谷病が、上葉限局型肺線維症と果たして全く同じものを指すのか異なる疾患なのか、などなど議論があり、ガチッと定まった疾患概念とも言えず、流動的な部分がありそうです。

例えば慢性過敏性肺炎やサルコイドーシス、非結核性抗酸菌症といった、そもそも上葉に病変のあるびまん性肺疾患たちや、IPFや間質性肺炎の中でも上肺に病変があるものやじん肺などとの鑑別はしばしば難しいものです。確定診断には病理組織学的診断を必須とするのですが、困ったことに診断したとて治療法が全くない、というのが現状で、外科的肺生検をしてもメリットが少なく積極的に肺生検をしに行く機会が少ないものですから、なおさら病態の解明が進まない、こういう悪循環になっております。

この疾患概念を認識するようになってから、気をつけているとどうやら私たちが思っていたよりもPPFEは多いように感じています。例えば健診で陳旧性結核とか肺尖部の炎症性瘢痕とか胸膜の肥厚とか、そういう所見がついている症例の中にPPFEが潜んでいるかもしれません。しかしながら、まだまだ罹患率であるとかそういった統計は全く出てきていないのが実際です

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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