2018年11月10日

久々、質問コーナー2

(質問ここから)
・肺炎について

『……68歳男性、低所得地域に居住、警備員、DM有(コントロール不良)、同居人は入院費を心配し、外来治療を希望している……』

・この患者背景だと、喀痰塗抹染色陰性・全身状態良好、退院して外来移行OK!となってもアドヒアランス不良でまた再燃する、ということにもなりかねないですが、入院から外来治療への移行は何を基準に判断するのでしょうか?


(回答)
まず、喀痰Ziehl-Neelsen陽性で、これが翌日あたりに結核PCR陽性と判明したら問答無用で入院です。塗抹陽性の結核ですから隔離入院が必要です。結核の治療費用については、感染症法による公費負担制度があり、「入院費を心配し、外来治療を希望」されるようなケースでも入院治療をして頂くことになります。

で、退院のための基準は、喀痰塗沫が連続して3回陰性であることなので、そこそこ退院には時間がかかります。なので、少なくとも「結核において」退院可能となった時点では、「肺炎について」は治癒していると期待されます。なので、「アドヒアランス不良でまた再燃する」、というのは結核についてのご質問、ということでよろしいでしょうか。

確かにこの患者さんの背景だと、いかにも退院後のアドヒアランス不良感が漂います。そこで結核の時は、そういう方は保健所などと協力し、退院後もDOTS(directly observed treatment with short course:直接監視下短期化学療法:医療者側の誰かが薬を飲むところを監視して飲んでもらう)をやるなど、いろいろな工夫をしています。その手の対策は割と歴史もあり、キッチリと決まっているのです。

文脈からは肺炎の再発も心配されている気がしたので、肺炎における入院から外来治療への移行のガイドライン的な話をしますと、外来に移行する(退院する)っていうことは、注射の抗菌薬から内服の抗菌薬に移すということとほぼほぼ同義です。注射薬は1日3回とか4回とか点滴をしないといけないので、これを外来でやるのは現実的ではありません。

注射の抗菌薬から内服の抗菌薬への移行、スイッチ療法と言いますが、これの条件、目安としては、全身状態がよく(循環動態が安定して)、臨床症状が改善して、それからやっぱり口からご飯を食べられて、内服抗菌薬を飲んでそれがちゃんと効果を表すことが期待できるという、まあ消化器の機能が健全である、ということになります。

この症例が肺炎だけで、アドヒアランス不良(薬を飲まないとかご飯を食べないとか)でまた再燃するかもしれないような状態であれば、ちゃんと治るまでは下手に内服にスイッチせずに退院させるべきではないというのが正直なところです。おそらくスイッチしてから治療完遂まではほんの数日、でしょうから。

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