2018年11月15日

インフルエンザの薬

・そもそも、使うの?

今回の記事は、伊東直哉先生によるこちらの記事を参考にさせて頂きました。伊東先生、いつもありがとうございます。

抗インフルエンザウイルス薬…。こんなに抗インフルエンザ薬を使っている国は、日本しかありません。保険制度が行き届いて、さほど負担がないこともありますし、「使わなくて悪化したら患者さんに訴えられるかも」という消極的な理由もあるでしょう。

ですが、あえて抗ウイルス薬を投与せず「布団をかぶって寝ときましょう」、という選択肢もあるのです。なんてったって20年前(タミフル以前)はそうだったのですし、今でも日本以外の国では多くのケースでそのようにされています。

多くの研究の結果から、健康な大人やある程度の年齢の子供が抗インフルエンザ薬を使用しても、症状のある期間が平均1日前後短縮するだけで、重症化する率などは減少しないということが分かっています。そういう人が軽症のインフルエンザになっても、基本的には何もしなくても自然に改善していく(Self-Limited)疾患であると考えられています。

その一方で、重症の患者さんや合併症リスクの高い患者さんでは、抗インフルエンザ薬を服用することで、死亡・重症化・入院などのリスクなどが減少します。

抗インフルエンザ薬を使うデメリット、一つは副作用です。一時有名になった異常行動については、因果関係が明確でないと判断され、処方制限を解除されましたが、それ以外でも吐き気・嘔吐などの消化器症状があります。

それからもう一つは、あまりに広く使われると耐性ウイルスが広がってしまうのではないかという懸念です。すでにタミフルは耐性ウイルスが流行した実績?があり、他の治療薬においても、耐性ウイルスの懸念は常に持っておく必要があります。

これらの諸々を総合して、インフルエンザの患者さんには何でもかんでも抗インフルエンザ薬、ではなく、症例を選んで投与することが、特に心ある先生方を中心に推奨されています。

抗インフルエンザ薬による治療が、医学的に明らかにメリットがある(推奨される)人は、CDCによりますと…

入院症例
重症症例・症状がどんどん悪くなってきている場合
合併症のある、あるいは合併症の恐れのある症例

くらいです。合併症の恐れのある患者さんというのは小児(2歳未満)、高齢者(65歳以上)、妊婦・産後すぐの女性、そして療養施設などに入所中の人、それから慢性疾患/免疫機能低下のあるような人です(詳細はリンク先を参照下さい)。

とはいえ私どもの施設では、慢性呼吸器疾患(喘息、COPD、間質性肺炎など)を有する通院患者さんが多く、そういう患者さんがインフルエンザになった時には抗インフルエンザ薬を処方する機会が多いのが現実ですが。

それと患者さんにはいろいろな事情があります(受験生、医療従事者!?、などなど…)。よくよくメリットとデメリットを勘案されて、処方を検討して頂ければと思います。

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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