2020年11月30日

胸部X線読影道場ふたたび402

週末をはさみまして、前回の所見です。

左肺尖〜上肺野に濃い高吸収域を認めます。その陰影が期間を圧しているのか、引っ張っているのか、はたまた関係ないのか…難しいところですが、少し圧しているのかな…?

隣の大動脈弓は消失(シルエットサイン陰性)で、大動脈弓とは接しているであろう、すなわち左上葉の陰影とわかります。もう一つの所見は、1か月前と比較することでよくわかりますね。

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posted by 長尾大志 at 12:57 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月29日

臨床実習における遅刻・体調不良問題2

昨日の投稿にご意見・コメントをいただいた皆様、本当にありがとうございます!もうちょっと続けます。

一つの問題として、本当の「体調不良」と「やる気がないから休む」という事例がしばしば鑑別困難な点が挙げられます。これはかなり立ち入ったお話になってくるため、なかなか初顔合わせの状況で体調について深く聞くということは難しいと思います。まあしかし、ガチの体調不良はできるだけ早い段階で対処をお願いしたいものです。


で、より大きな問題はやる気がない、という事例でしょう。

ここにも複数の問題が複雑に絡み合っていて、なかなか簡単には解決できないのかもしれませんが、しばしば聞くセリフに「全く興味がないからヤル気にならない」「自分が行かない科だから必要ない、興味がない」とかそういったものがあります。

これはかなり偏狭なものの考え方であって、医師たるもの、あらゆる分野の基本的な事項に関しては習熟しておく必要がある、というのが現在の初期研修制度の根幹ですから、その考えからするとこれはあり得ないことです。初期研修でも同様で、自分が行かない科だけれども仕方がないから全く勉強しないということで、そんなことで果たして医者として認められるのか?どうだろうかという話になります。そこを伝える、興味を持たせるのが教員の仕事であるわけです。ところがそういうことを言う人の言い分は「〇〇教授も、そんな他科のことなんか知らない」…。

『隠れたカリキュラム』ですね。今現在よく大学におられる教授や偉い先生方は、専門のことを突き詰めるがあまりに専門分野外なことにご興味が…このような振る舞いを見ていて、自分の専門分野を突き詰めれば他の事は別にどうでもいいんだと思わせてしまってる面があったりなかったりするかも…。

それに関連して、学生さんからのご指摘では「教員のやる気のなさ・教える気の無さ」はよく伝わるといいます。ただ外来や手術の見学だけで、何もやり取りがないとか…そんな感じだとそりゃまあ休みたくもなりますわね。それだけが原因ではないのでしょうが、原因の一部にはなっている可能性はあるでしょう。

先生方が学生を軽視している、一方で学生も大学病院の先生にあまり良いイメージをもっていない、距離感がつかめていないということもあるのでしょうし、どうせ短期間だし面倒だから遣り過ごそう…ということも聞きます。どちらが原因でどちらが結果かはわかりません…双方に改善できる点はあるでしょう。

他のご意見として、どう臨床実習を工夫していけば臨床実習に出てもらえるだろう?というある意味アウトカムベースではなく、出てこない人って、普段なにをしてて、どんなことに興味があるんだろう?という視点からの方が、答えは見つけやすい。とか、学生さんの人物像をできるだけ具体的にして、遅刻に至るまでの行動と感情をマッピングして、負の感情を正にするような施策を打つことで少しずつ改善できると思います!など、学生さんの立場に立った施策を求めるご意見には、なるほど!と思わず膝を打ちました。やはり一人で考えているだけでは進みません。引き続き、いろいろな立場からのご意見を募集しております!!

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posted by 長尾大志 at 17:02 | Comment(0) | 教育理念・メッセージ

2020年11月28日

臨床実習における遅刻・体調不良問題1

ふと思い出したのですが、臨床実習によく遅刻してくる学生さん、「体調不良」で早退したり休んだりする学生さんはどこの大学でもあるのでしょうか。ちょくちょく見聞するのですが、介入可能なのか否かを考えています。

元学生さんからの意見として、
@社会背景(家族の介護、バイト)
A身体問題(持病、女性なら月経周期によるもの、精神疾患)
Bモチベーションが上がらず出席が苦痛
C生理的に無理な処置がある(手術の大量出血、特定の臓器が苦手、などなど)

また、他の学生さんは臨床実習をよく休む学生さんにヒアリングを行ったとのことで、挙がった休む理由としては、
D診療科によって臨床実習自体が全くもって魅力的ではないことがある(例えば、手術をひたすら見学、その間ひたすらに放置、など)
E臨床実習自体にモチベーションがない(親に勧められたから医学部に入った、や高校時代の成績がよかったから医学部に入った、臨床実習は医師になるために必要な過程であり、極力避けたいがとりあえず乗り越えなければならないと捉え、休める限界(日数)まで休む)
F臨床実習よりも大切な用事がある(学会への参加等々)が、こういった事情で休むことは許されず、「体調不良」で休む

まず、体調不良が、「めまいが起こる」「貧血」はじめ、ガチで医学的な介入が必要なものであれば、積極的に介入が必要です。それは実習が始まる前におそらく介入すべき問題でありますし、組織的な取り組みが必要でしょう。

一方、実習が始まって初めて明らかになることもあるかと思いますので、実習中に気軽に教員に何でも相談できるような雰囲気づくりが必要かなと思います。結局のところ、どうせ教員に言ってもどうにもならんと学生さん側が諦めてしまっている面も多々あるように聞いています。

月経など避けようがない面があることは間違いありません。それでも、体調をコントロールする手段があるのかないのか。コントロールする手段があるのであれば。それを積極的に取って頂かなくてはなりません。

よく例に挙げるのですが、医師になって、9時から外来があって何十人も患者さんが持っているようなシチュエーションで、平気で遅刻してくるとか、9時から手術が始まるのに平気で遅刻してくるとかいうのはプロフェッショナルとしていかがなものかという話になるわけです。今日はちょっと体調が悪いので休みます。手術はなしでよろしく、と言えますか?ということです。体調管理をきちんとする、これもプロフェッショナルとしての条件になるでしょう。

逆に、それでもどうにもならないということもあることは理解しています。そういう場合は臨床実習でもそれなりの対応が必要ですし、働くにあたって融通の利く職場を紹介したり探したり、という手助けも必要かと考えるところです。これは教員というよりも、学部レベルでの対応になるでしょう。

また、学生と医師とは違う、医師免許をもらったらちゃんとやる、給料もらうならちゃんとやる、という声も聴きますが、ぶっつけ本番でうまくいくものではありません。医師になるための見習い期間ですから、そこをおろそかにするのはいかがなものかと。

まあ卒業生でも、学生のころはアレだったものの?その頃とは見違えてまじめに業務に邁進している姿はしばしば見かけるわけで、自分が患者さんに対して責任があることを自覚するようになったり、自分がやったことで患者さんが好転するなどポジティブなフィードバックを受け取るようになったりで、医療という仕事に対して前向きに取り組めるようになってくるともいいます。いわゆる自己肯定感・自分の仕事肯定感につながり、前向きになるのかと。

学生の「見学型」実習で自己肯定感が涵養されるわけもなく、学生にまじめに取り組んでもらうためには、「参加型」で、ポジティブフィードバックを浴びてもらうのがよいのではと思いました。教員にできることはそこかなあ。キーワードは「自己肯定感」のような気がする。

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posted by 長尾大志 at 19:15 | Comment(2) | 教育理念・メッセージ

2020年11月27日

胸部X線読影道場ふたたび401

今回の画像はこちらです。

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posted by 長尾大志 at 13:35 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月26日

胸部X線読影道場ふたたび400

1年前と比較しますと、右下肺野中心のすりガラス様高吸収域、左下肺野の結節、それに肺門の陰影すべて増強しています。また、気づきにくいところですが、気管分岐部右横、奇静脈弓のあたりがモコっと突出していて、この部分のリンパ節腫脹もありそうです。

左下肺野の結節なのに、両側肺門リンパ節腫脹を思わせる所見があること、やや不自然と思われた方もおられるかもしれません。通常は左に原発巣があると左肺門〜縦隔と腫れてくるもの。まあ、両側腫れることもありますが…。

という目でCTを見ますと…

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右肺門の裏にも結節が。生検の結果小細胞癌と扁平上皮癌を検出、double primaryと考えられた一例でした。

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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月25日

胸部X線読影道場ふたたび399

画像パッと見では、両側肺門の拡大、左下肺野の結節、それに右下肺野中心のすりガラス様高吸収域が気になるでしょうか。

他に、1年前の写真と比較されて、気づかれることはありませんでしょうか…

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あと、左下肺野の結節なのに、両側肺門の拡大、すなわち両側肺門リンパ節腫脹を思わせる所見があることについては、それで筋が通るでしょうか…むしろ右肺門の方が目立つようにも見えるんですよね…。

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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月24日

胸部X線読影道場ふたたび398

今回の画像はこちらです。

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posted by 長尾大志 at 16:31 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月23日

胸部X線読影道場ふたたび397

画像としては、何となく見えている線がぼやけている印象です。下肺野の濃度が上昇していて、少しばかり網っぽい様にも見えたり。CTでは…

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両側びまん性のすりガラス+網状影かなあ、という感じです。胸膜直下に優位ですから、線がぼやけるのは頷けます。比較的ゆっくりとした経過の、このような陰影を見たら、基礎になる薬剤や膠原病の有無を確認したいですね。

本症例では、レイノーや朝のこわばり、Gottron徴候、ヘリオトロープ疹、爪囲血管拡張あり、抗ARS抗体陽性で、抗ARS抗体陽性皮膚筋炎に伴う間質性肺炎の可能性が高いと考えられました。

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posted by 長尾大志 at 14:15 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月22日

胸部X線読影道場ふたたび396

今回の画像はこちらです。

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posted by 長尾大志 at 10:19 | Comment(4) | 胸部X線道場

2020年11月21日

胸部X線読影道場ふたたび395

呼吸器疾患においては、画像が思考のプロセスにおいてかなり重要な位置を占めていることは間違いありませんが、通常は画像の前に病歴が得られるわけで、その病歴も当然、重要な情報ということになります。病歴だけでも診断に至ることもしばしばあるわけで…。

両側びまん性すりガラス陰影の鑑別を考えるうえでは、「基礎疾患」「併存疾患」「服用中の薬剤」「症状」「生活社会歴」といったところはとっても重要です。やはりこういうものがあると発症率がずいぶん変わるわけですから。

例えば本症例のごとく、両側びまん性すりガラス陰影で「潰瘍性大腸炎に対して5-ASAとPSL20r使用中」となりますと、細胞性免疫が低下している→PcPとサイトメガロ、という感じで半自動的に最優先すべき鑑別診断が挙がるわけで。

じゃあST合剤は内服していたか、確認が必要ですね。次に内服中の薬剤で、間質性肺炎を惹起する、と知られているものがあるかどうかの確認、という順番になるでしょう。

PcPとサイトメガロは特異的な治療があるわけで、それが開始できるかどうかは予後に直結する重要事項であります。そういうものは確実にやっていきたいわけですね。

昨日の写真ではCTでモザイク状の淡い高吸収域が、いかにもPcPでした。ST合剤が投与されておらず、これもいかにもPcP…。

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posted by 長尾大志 at 14:39 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月20日

胸部X線読影道場ふたたび394

前回同様?両側びまん性のすりガラス様高吸収域が見られますが、前回よりは薄い(白くない)陰影で、特に分布に偏りはないようです。

こういう陰影では前回同様、病歴、基本情報が重要ですが、本症例では潰瘍性大腸炎に対して5-ASAとPSL20r使用中、という病歴が重要ですね。

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CTはこんな感じです。

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posted by 長尾大志 at 09:33 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月19日

胸部X線読影道場ふたたび393

今回の画像はこちらです。

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posted by 長尾大志 at 14:46 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月18日

胸部X線読影道場ふたたび392

本症例では重要な情報を隠匿しておりました…。

この陰影で若年男性、とくれば急性好酸球性肺炎(AEP)、喫煙歴!といきたいところですが、他疾患でブレオマイシン投与されていた…とくれば、そうです。薬剤性肺炎ですね。

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CTではAEPを思わせる広義間質肥厚像や胸水はあまり見られず、すりガラス主体でした。末梢にかけての牽引性気管支拡張像らしき変化が、線維化機転の存在を思わせて大変不気味であります。

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posted by 長尾大志 at 13:20 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月17日

胸部X線読影道場ふたたび391

以前の写真と比較しますと…

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明らかに、両側びまん性のすりガラス影が見られます。すりガラスですが濃淡があり、右2弓なんかはシルエット陽性で、結構濃厚な陰影のようです。少しばかり横隔膜挙上、肺野の収縮があるかもしれません。

まあこういう陰影を見たらまず考えるのは、ARDSか否か。要はARDSの誘因があるかないかということです。否となったら、IPFがあるかないか。これはCTでUIPパターン≒蜂巣肺があるかないか。ないとなったら、原因はないか、てな感じで展開していく感じでしょうか。

本症例は若い男性でした。

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posted by 長尾大志 at 12:48 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月16日

胸部X線読影道場ふたたび390

今回の画像はこちらです。

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posted by 長尾大志 at 11:11 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月15日

献本御礼

東京図書、という出版者様から献本をいただきました。医学系の出版社様ではないようで、なんだろう??と思って開けてみましたら…

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『レジデントのためのスライドのポイント』という、医学系の、それでいてプレゼン系の本でした。なかなかターゲットをググっと絞った、それ故に役立つ人には刺さるであろう書籍です。

レジデントの皆さんが、学会発表をするときに、プレゼンスライドを作る、まさにその時に必要な知識をしっかりと教えてくださいます。たぶん初めて、とか、数回目、にスライドを作って、予演とかやって上級医、とか、教授、とかに見せるときに、こういう知識がないとボコボコにされる、その「こういう知識」を細かいところまでしっかり教えてくれます。逆に、この本を読んでもらえば、フォントのこととか図表のこととか「予演以前の問題」に無駄な時間がとられることなく、予演がすんなり終わることでしょう。これでみんなハッピーになれる、イイですね〜。

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posted by 長尾大志 at 19:58 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月14日

胸部X線読影道場ふたたび389

中葉、舌区に気管支拡張を伴う気管支の透亮像、気管支拡張像+上葉S2あたりに空洞を伴う結節+粒状影です。

KEN先生がご指摘いただいたように、非結核性抗酸菌感染症か結核か、はたまた副鼻腔気管支症候群(SBS)か、というところですが、SBSだと空洞結節はあまりない、肺非結核性抗酸菌感染症と肺結核では好発部位が微妙に異なる…。

肺非結核性抗酸菌感染症では、経気道的クリアランスが構造的な問題や心臓の拍動によって低下しがちな中葉舌区に好発するのに対し、肺結核では血流が低下しがちな(ゆえに局所の免疫力が低下しがちな)上葉の頂であるS1,S2、および下葉の頂であるS6に好発する、ということは知っておかれていいと思います。

ということで、非結核性抗酸菌感染症 > 結核 ということになるかと思います。

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posted by 長尾大志 at 15:01 | Comment(0) | 胸部X線道場

2020年11月13日

胸部X線読影道場ふたたび388

右の中肺野(上方、末梢)と肺門〜下肺野付近、それから左下肺野に高吸収域が見られます。特に右の下肺野は内部に拡張した気管支によるエアブロンコグラムらしき黒い帯が見えます。

高吸収域は右2弓、左3,4弓シルエットサイン陽性で、中葉・舌区に存在することは確かでしょう。CTでも確かにそうなっています。

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posted by 長尾大志 at 19:38 | Comment(2) | 胸部X線道場

2020年11月12日

胸部X線読影道場ふたたび387

つづきまして、今回の画像はこちらです。

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posted by 長尾大志 at 15:05 | Comment(1) | 胸部X線道場

胸部X線読影道場ふたたび386

嚢胞がたくさん、特に胸膜直下に存在し、(おそらくチェックバルブのために)拡大傾向がある、という場合、気胸のリスクを想定しておく必要があります。LAMとかでもそうですよね。

ということで、右気胸に気づかれたでしょうか。縦郭の偏位もあり、緊張性気胸になっているかもしれません。


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posted by 長尾大志 at 12:52 | Comment(0) | 胸部X線道場