喀血量について明確な基準がない理由として、実際問題、喀血量を厳密に測定することが困難である点があります。
出た血液が一体何mLであったか?ということは、患者さん自身や家族の方の目分量でしかないことが多く、(血を吐いた瞬間からしっかり洗面器などで受けるなどして)キッチリ測定できることはほとんどないでしょう。通常は吐いた血は衣服や寝具などに染み込んでしまい、測定は困難です。
ですからあくまで目分量で、盃一杯とか茶碗一杯とかいう表現になってしまいます。おおよそ24時間に茶碗一杯強、200〜300mL以上喀血がある場合を大量喀血ということが多いようです。
通常気管支動脈は左心系で血圧が高く、気管支動脈からの出血となる気管支拡張症や中枢の肺癌、動静脈奇形などのような疾患の方が出血量は多く、大量喀血につながることが多いとされています。
一方、肺動脈は右心系で血圧が低いため、肺胞出血などは量が多くなければ、それほど大量喀血にはつながらないことが多いかなあという印象です。