2021年10月22日

抗菌薬・彼我の差を考える1 ペニシリンG(PCG)

最近PK/PD理論が確立してから発売されたβラクタム系抗菌薬では、理論に則って1日投与回数を多く設定されたものが出てきています(タゾバクタム・ピペラシリンなど)し、以前からあるスルバクタム・アンピシリンでも1日投与回数を増やして設定され直したものもありますが、未だに旧来の使用法しか認められていないものもあり、玉石混交?の現状です。

そこで現在参照できる最も妥当な文献として感染症プラチナマニュアルを参照し、実際の保険添付文書上の用法用量と対照しながら、実際どの程度の使い方をすればいいのかを探っていきましょう。少なくとも投与量に関しては、1日投与量に関しては添付文書上の最大量、あるいは難治性・重症の場合として書かれている量を用いるのが原則と考えていただいて間違いではないと思います。


■ペニシリン系
ペニシリンG(PCG)
添付文書上
<化膿性髄膜炎・感染性心内膜炎・梅毒を除く感染症>
通常、成人には、ベンジルペニシリンとして1回30〜60万単位を1日2〜4回筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
となっていて、点滴静注が記載されているのは化膿性髄膜炎・感染性心内膜炎・梅毒になります。例えば化膿性髄膜炎なら通常、成人には、ベンジルペニシリンとして1回400万単位を1日6回、点滴静注する、となっています。
一方プラチナマニュアルでは肺炎球菌肺炎に対し200万単位を4時間ごと静注、となっています。正直これが最も添付文書と理想が乖離しているところかなと思いますが、頻回に筋注も殺生ですし、血中濃度がすぐに下がってしまうところからも、肺炎であっても200万単位を1日6回点滴静注、というのが妥当かなと考えます。症状詳記でしっかり説明しましょう。

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posted by 長尾大志 at 17:12 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート