出題意図としては、どうなんですかね??昨今の臨床現場では抗MAC抗体が使われることが多いんだぞ〜、という意味なんでしょうか?
しかしあくまで抗MAC抗体は診断の補助に使うものとされていますし、これから医師になる学生達に対して(現在の診断基準には含まれていない)血清検査で事足りる、喀痰検査は不要であるようなミスリーディングをしている点でそもそも問題としていかがなものでしょうか。さらに言えば、そこからの連想でIGRA(TスポットやQFT)を結核の診断に用いる、というような誤ったメッセージを伝えてしまいかねないのではないかと危惧するところであります。
そしてコメントでも頂いておりますがMAC症と診断したとして、その治療に関しても微妙であります。本症例のような粒状影のみの結節・気管支拡張型は通常進行は緩徐で、必ずしも進行しない可能性もある上に、抗菌薬治療でも除菌しにくく再燃しやすいことが知られています。そのため、症状に乏しく病変の範囲が広範でない場合や75歳以上の高齢者の場合は「菌が検出されても直ちに治療を開始せずしばらく経過を観察して、病状変化があれば治療を検討」とガイドラインでは定められています。
ところが本症例では血痰があるためその条件に当てはまらず、また高齢でもないことから「菌が検出されたら早期に治療を開始する症例」にあてはまります。ということで、正解はaとdになります……。
dが間違いだとするには、「直ちに」と「早期に」のニュアンスの違いを強調することになりますが……これは受験生にとっては酷ではないでしょうか。