2024年05月31日

成人肺炎診療ガイドライン2024㊳市中肺炎で菌が検出されたときの抗菌薬❹マイコプラズマ・入院治療の場合(注射薬)

入院治療は注射薬を選択するという建前ですので、注射薬のあるものからの選択です。当たり前ですが。

第1選択薬 ミノサイクリン
        アジスロマイシン
第2選択薬 ニューキノロン系薬(ラスクフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン)

キノロンについては外来治療に同じです。

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posted by 長尾大志 at 13:42 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2024年05月30日

岡部正隆先生講義『色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン〜色覚が異なる人たちへの配慮と工夫』

医療倫理・プロフェッショナリズムの講義、今週は東京慈恵会医科大学副学長・解剖学講座教授、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)代表も務めておられる、岡部正隆先生による『色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン〜色覚が異なる人たちへの配慮と工夫』というお話を頂きました。

まず初めに学生の耳目を惹く一言があり、そこで空気を掴まれた後は岡部先生ワールドといいますか、私もすっかりお話に惹き込まれました。色覚検査は史上最大の遺伝的差別である、というお話から、色覚の「異常」であったり「色弱」であったりという言葉を使うことで、色々差別というか そういった意識につながるということを強調されていました。ではどのような言葉を使うのか。

色弱というのはあくまで「感覚の多様性の一つ」であって、この色が見えにくいという一つの個性になりますから、現在では正常色覚のことをC型色覚、そしてある錐体の異常によって起こる色覚をP型、D型色覚などと呼称するということになっています。

そしてP型・D型色覚の人には果たして世の中の色がどう見えているか、というのを体験できるアプリもご紹介いただきましたし、スライドやハンドアウトによって「こんな風に見えるのだ」ということを実感させていただきました。その機序も色を認識する錐体の特徴によって見え方が異なるということが分かり、理解が深まりました。P型・D型色覚の人にとって見分けにくい色の組み合わせも教えていただきましたので、これも今後意識していきたいと思います。

実は少し前から、スライドを作る上でユニバーサルデザインを意識しましょう、ということで使うべき色というものを認識していたわけですが、実際にこう見えるのだということを教えていただいてその心が大変よく理解できました。色覚検査表も実際に見てみて、このように見えるのだということがよくわかりました。なんとなく知っているのと、体験するのとではずいぶんと解像度が違うのですね。

あくまで色覚の個性というのはあくまで個性であって、特別な配慮を必ずしも必要とするわけでもない、ということで、これが異常という言葉を使うと差別とかいうことになるとこれはこれでやっぱりよろしくない。ただそういう方でも認識できるような色の使い方を普段から意識する、こういったことが重要だなと思いました。

赤はわかりにくいけど朱色ならOkということは、今回見え方を教えていただくことで非常によく分かりました。このようなお話を時間通りにきっちり終わっていただいて、非常にわかりやすく、多くの事例を挙げながら学生さんに説明していただいて、この領域に関する理解が深まったと思います。岡部先生に来ていただいてお話を拝聴できる学生さんは幸せだなと思いました。岡部先生、わざわざお越しいただき、お話いただき本当にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 17:34 | Comment(0) | 日記

2024年05月29日

やさしイイ血液ガスの読み方動画、リンクいたしました〜

ずいぶん以前に作成し、ずいぶん以前にupしていた、やさしイイ血液ガスの読み方動画ですが、このたびトップページからリンクを貼りました!時代を感じる?髪型の変化はご容赦ください……。

もっと質の高い画質・音質のものはケアネットさんや学研メディカルさん、メディカ出版さんで製作しておりますので、ご興味ありましたらそちらはそちらをご覧いただければ幸いです。

やさしイイ血液ガスの読み方基礎編⇒
https://youtu.be/ifsXBBLJOls

やさしイイ血液ガスの読み方代償編⇒
https://youtu.be/ss9ft2uXA-g

注:「基礎編」最後に1箇所だけ「アシドーシス」と「アルカローシス」が逆になっているところがあります。途中までの説明をちゃ〜んと聞いていればわかるはず!見つけてみてくださいね。

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posted by 長尾大志 at 15:41 | Comment(0) | 動画置き場

2024年05月28日

出雲和菓子選手権 開催!!

先日恭しくも開催されたものの、その後いろいろあってレポートできておりませんでした、『出雲和菓子選手権』レポートさせていただきます!

今回「和菓子」ということで、レギュレーションをどうするか、協議の結果、季節的にもこれからの主役になるであろう「わらび餅」を代表とし、他に推し菓子があればそれも持ってくる、という形式で開催いたしました。

参加は頂いたお店は順番に……
・なぎら長春堂さん 
・文の助茶屋さん(こちら京都のお店ですが参考のため参加)
・福泉堂さん
・鎌倉わらび餅さん
・みまつさん(黒糖わらび餅)
・坂根屋さん(粒あんクリーム入り、ふわとろわらび餅)

です!

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それではまずは「わらび餅」の所感を順番に。

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なぎら長春堂さん 
わらび餅の王道感、ねっとりしている。もちっとして甘さ控えめ。蜜は附属しなくて、きなこオンリーで勝負していますがきっちり甘みはあります。

文の助茶屋さん
ぷるんぷるんに揺れます。含水量が多そう、水に近いです。つるんと入ります。寒天に近い感じがあります。そのものだけ味わっても甘いですが、蜜をかけると甘さが倍増、そりゃそうですね。

福泉堂さん
もっちり感ととろける感が抜群です。これまでのもの、従来よく知っているものとは違う、独特の食感ですね。なめらかに粘ります。

鎌倉わらび餅さん
もっちり感は福泉堂に似てますが、食感・風味・味がまた違う。きなこの味でしょうか。甘味が残ります。黒糖の味でしょうか?

みまつさん(黒糖わらび餅)
粘度はあっさりしていて食べやすい。すっと溶ける感じが心地よい。単独ではなく蜜と合わせて完成形の感じがします。

坂根屋さん(粒あんクリーム入り、ふわとろわらび餅)
生地?は、みまつさんのものに似てすっと溶けます。加えて、中の粒あんクリームが一体となって、口の中で溶けてちょうど良いハーモニーになります。生地とクリームの混じり合いまで計算されて作られていると思います。

一通り味わいまして2周目、比べると、なぎら長春堂さんは固めに分類されます。福泉堂さんと鎌倉わらび餅さんを比較すると、鎌倉の方がもちっと感が強く、福泉堂は、より少し水に近い感じがありました。

結論としてはいつもの通り、優劣をつけられるものではなく好みの範疇、という感じですが、割とシンプルな「わらび餅」でもかなり味わいに違いが出るのだなあ、と大変学びが多かったです。意外に人気No.1に票が集中したのも興味深かったですね。参加してくださった5年生諸君、どうもありがとうございました!!

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お茶のポットがなくて、お鍋から酌むシステムは面白かったですね。

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また出雲ベースで毎週されている食事イベントさんから、タコライスの差し入れを頂きました!Sさん、ごちそうさまでした〜。

その後各々の推し菓子も頂きましたが、こちらは比較することなく純粋に楽しみました。ただまあ、そこそこ血糖値が上昇しており、若干苦行になっているメンバーもいたとかいなかったとか。

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posted by 長尾大志 at 16:04 | Comment(0) | 日記

2024年05月27日

日経メディカル 長尾大志の「わかりやすイイ 胸部X線写真読影 アドバンス」第11回公開されました〜

日経メディカルさんで連載中の「長尾大志の『わかりやすイイ 胸部X線写真読影 アドバンス』」、第11回が公開されました!

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/tnagaoadvance/202405/584358.html

今回は、これまでとは少し毛色を変えまして?COPDに乗っかった「白い陰影」の見え方について取り上げました!

動画もございますので、よろしければ一通りご覧いただければと思います。

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posted by 長尾大志 at 15:58 | Comment(0) | 活動報告

2024年05月26日

民間医局レジナビフェア2024 大阪、皆さんありがとうございました!!

というわけで本日、民間医局レジナビフェア2024 大阪に行ってまいりました。

往路のシャトルバスでは、幸先よく島根大卒業生の研修医諸君に再会しました。バスの中から研修についていろいろ語り合ってしまいました……確かに、卒後なあ……。

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オープンして早々に、かの徳田安春先生にご来訪いただきました!お忙しい中、誠にありがとうございました!!また是非企画をお願い申し上げます!!

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私の担当は「やさしイイ胸部画像クイズ」でした〜学生さんや研修医の先生方にチャレンジいただき、まあまあ夕方にはクタクタになりました……。

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心強い助っ人、しまねっこも参上!!さすがの人気ですぐ人が集まってきます〜〜。

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最後はツーショットも撮らせてもらいました〜中の人?ノリノリで楽しかったです!ご苦労様でした!!

さすがは民間医局レジナビフェア、多くの有力研修病院から有名な先生方が来られていたようです。個人的には獨協医科大学総合診療科の志水太郎先生、南奈良総合医療センター総合診療科の天野雅之先生、名張市立病院総合診療科の笹本浩平先生にもお久しぶりにお目にかかれて、とっても嬉しかったです〜。皆様、お声がけいただきまして誠にありがとうございました!!

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posted by 長尾大志 at 21:46 | Comment(0) | 活動報告

2024年05月25日

加藤寛幸先生講義「人道支援」

先日は本学医学科・看護学科の1年生に対する「倫理プロフェッショナリズム」講義に、元国境なき医師団会長の加藤寛幸先生に島根までお越しいただきました。加藤先生は島根大学のご出身ということで、国立大学の非常に制約のある中、講義をしていただくという大変申し訳なくありがたい機会を毎年いただいております。

昨年の講義では学生さんに各々発表をしてもらうというアクティブ型でされていましたが、今年は動画であったり、先生のお話であったりを承る形が中心になりました。とはいえ、必ずしもアクティブ型でなくても、お話の内容次第では学生さんの心に響くのだなあ、と感想を眺めていて思いました。

どうしても国境なき医師団の立ち位置的にも、なさっている活動からも、やはり世界情勢 紛争であったりそういったことに関するお話が多くなります。医師、看護師といえども、医療だけではなくそういった情勢に対しても関心を持つべきであるし、全く自分には関係ないとシャットアウトしてしまうのは違うと思います。

授業後何人かの学生さんが国境なき医師団に参加したいと思っているが、どうしたらいいだろうか、みたいなことを聴きに来られていましたが、参加するしないに関わらずこういったことに関心を持っておくということは大切なことだと思いました。

本当に貴重な機会をいただきまして、加藤先生には深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます 。

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posted by 長尾大志 at 20:35 | Comment(0) | 日記

2024年05月24日

今週末、レジナビ大阪でお会いしましょう

昨日は津和野共存病院、今日は益田赤十字病院で貴重な症例を経験させていただき、たいへん学びを得ることができました。しかし、タバコはダメですよ、ホンマに。

ということで明日はいよいよ「出雲和菓子選手権」です!ご参加の皆様はよろしくお願いいたします!!わらび餅とプラスαでしたよね?

そして明日夜大阪に異動し、明後日はレジナビ大阪です!改めて書くとまあまあの移動距離ですね笑。

民間医局コネクトの方ともご挨拶できるのを楽しみにしておりますし、もし拙著の読者の方とか、ケアネットの視聴者の方とか、勉強会参加の方とか、YouTube見てますよ、という方とか、まあどなたでも、会場でお声がけいただけましたらうれしく思います。サインのご用命もお気軽にどうぞ笑。

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posted by 長尾大志 at 18:58 | Comment(0) | 日記

2024年05月23日

成人肺炎診療ガイドライン2024㊳市中肺炎で菌が検出されたときの抗菌薬❹マイコプラズマ・外来治療の場合(経口薬)

昨今忙しすぎて、細切れの更新で失礼します……。ここ数日の学びも多かったのでまた報告いたします!

さてマイコプラズマが抗原検査等で診断できたときの抗菌薬ですが、多くの場合は外来治療でしょう。

第1選択薬 ミノサイクリン
      マクロライド系薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン)
第2選択薬 レスピラトリーキノロン(ラスクフロキサシン、ガレノキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン、シタフロキサシン、トスフロキサシン)

キノロンの宣伝には「マクロライド耐性マイコプラズマが〜」みたいなことが書いてありますが、成人では耐性マイコプラズマによる治療失敗はほとんどありません。

ですので、ここはマクロライドでいいです。よほど耐性が問題になる、気になる場合でも、ミノサイクリンでOKです。マクロライド耐性マイコプラズマに肺炎におけるミノサイクリンの効果はキノロンより優れているというデータもあります(BMC Infectious Diseases. 2012: 12: 126)。

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posted by 長尾大志 at 08:50 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2024年05月22日

わかりやすイイ 胸部X線写真読影 アドバンス32 COPDに肺炎が生じたら

日経メディカルオンライン記事を動画で解説する連動企画、第32回もCOPDに肺炎が合併したときに見られる所見を紹介します⇒
https://youtu.be/ksGUANHRF2Q

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posted by 長尾大志 at 18:52 | Comment(0) | 動画置き場

2024年05月21日

わかりやすイイ 胸部X線写真読影 アドバンス31 胸部X線写真におけるCOPDの特徴的所見、肺炎が生じたら

日経メディカルオンライン記事を動画で解説する連動企画、第31回はCOPDの特徴的所見、そしてCOPDに肺炎が合併したときに起こることを紹介します⇒
https://youtu.be/vHmsXL6WbuI

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posted by 長尾大志 at 07:54 | Comment(0) | 動画置き場

2024年05月20日

成人肺炎診療ガイドライン2024㊲市中肺炎で菌が検出されたときの抗菌薬❸クレブシエラ属や他の腸内細菌科・入院治療の場合(注射薬)

第1選択薬 第2世代および第3世代のセフェム系薬(セフォチアム、セフトリアキソン、セフォタキシム)
     スルバクタム・アンピシリン

陰性桿菌、腸内細菌となると、順番的にはセフェムが優先される感じです。

第2選択薬 タゾバクタム・ピペラシリン
     タゾバクタム・セフトロザン

これ、ここで要るかね?とも思いますが…。

第3選択薬 カルバペネム系薬
     ニューキノロン系薬

ESBL産生株であれば、カルバペネム系以外はどれも無効ですので、カルバペネム系を使うことになります。

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posted by 長尾大志 at 18:10 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2024年05月19日

成人肺炎診療ガイドライン2024㊱市中肺炎で菌が検出されたときの抗菌薬❸クレブシエラ属や他の腸内細菌科・外来治療の場合(経口薬)

外来で、この手の菌による肺炎を治療する場面はあまりなさそうですが……ガイドラインには記載がありますので念のため取り上げます。クレブシエラ属で問題になる耐性といえばESBL(extended-spectrum β-lactamase:基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌ですが、その比率はそれほど多くありません(1〜数%)。

ただ、ESBL産生株の多くはキノロン耐性も同時に有していますので、抗菌薬選択の際には注意が必要です。できれば分離菌のその施設における薬剤感受性を確認して、薬剤を選択するのが望ましいと思われます。

第1選択薬 βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)
第2選択薬 レスピラトリーキノロン

レスピラトリーキノロンは、クレブシエラっぽくて、そこそこ重症で、どうしても外来で内服薬で治療したい場合に選択されるということでしょうか。そういう場合があるかどうかわかりませんが…。

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posted by 長尾大志 at 17:36 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2024年05月18日

民間医局レジナビフェア2024大阪 ブース企画「やさしイイ胸部X線クイズ」お知らせ

いよいよ来週に迫って参りました、標記の会ですが、ポスターができましたので共有いたします!

大阪合同フェア企画_しまね地域医療支援センター.png

ブース番号C-01、一般社団法人しまね地域医療支援センターにて、11時30分〜16時30分までの12時を除く毎時30分〜、10問出題して正解ポイント数を競います。上位の方には豪華景品が!ほしい!!

隣ではゆるキャラのしまねっこも来て愛想を振りまきます。記念撮影もできるかもしれませんね!

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posted by 長尾大志 at 16:14 | Comment(0) | 活動報告

2024年05月17日

成人肺炎診療ガイドライン2024㉟市中肺炎で菌が検出されたときの抗菌薬❷H. influenzae(インフルエンザ菌)入院治療の場合(注射薬)

入院治療の場合は注射薬メインになりますので……

第1選択薬 みんな大好きスルバクタム・アンピシリン
        ピペラシリン
第2選択薬 タゾバクタム・ピペラシリン
        第3世代セフェム系薬
第3選択薬 ここにもキノロン系薬が入っちゃってます

ガイドラインには第1選択薬にピペラシリン、第2選択薬にタゾバクタム・ピペラシリンまでも含まれてしまっています。正直H. influenzaeがわかっているのに、抗緑膿菌作用を有する薬剤は要らないんじゃないかなと思いますが……。

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posted by 長尾大志 at 10:37 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2024年05月16日

成人肺炎診療ガイドライン2024㉞市中肺炎で菌が検出されたときの抗菌薬❷H. influenzae(インフルエンザ菌)外来治療の場合(経口薬)

H. influenzaeの場合、BLNARとBLPACR(○ページ)という、2種類の耐性菌が問題になります。これらがH. influenzae全体に占める割合は地域差がありますが、決して無視できない数値になってきている(BLNARで3割、βラクタマーゼ産生株で1〜2割)ため、ここをどう考えるかがポイントになります。
まあ、感受性菌が多い地域ではこれでいいでしょう。

第1選択薬 βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)
     セフジトレン・ピボキシル

第1選択薬として、ガイドラインではセフジトレン・ピボキシルが挙げられています。第3世代セフェム系薬なので、BLNARを含めてH. influenzaeに対する感受性が良好であることを根拠に勧められていますが、バイオアベイラビリティの低さによって「高用量であれば」という但し書きが書いてあります。いわゆる「DU薬」ですね。それでも、下のキノロンを盲目的に使うよりはマシかなと思われます。

第2選択薬 レスピラトリーキノロン

レスピラトリーキノロンもBLNAR・BLPACR対策の意味合いが強く、結核問題等諸事情から、これらの耐性菌の割合が多い地域で、第1選択薬がアレルギーなどで使えず、どうしても外来治療である必要があるケースくらいでしかお勧めできません。

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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2024年05月14日

「ちいけん」主催学生企画、「地域の診療をしてみよう」

島根大学には地域医療に興味のある学生さんのためのサークル、地域医療研究会(ちいけん)があります。

このたび「ちいけん」主催、日本プライマリ・ケア連合学会・ジェネラリスト全国82大学行脚プロジェクト協賛、地域医療支援学講座・総合診療医センター・環境保健医学講座・地域医療教育学講座後援の学生企画、「地域の診療をしてみよう」が開催されますのでご案内します。

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日時:5月29日(水)18時〜
場所:医学部みらい棟4階ギャラクシー
講師:三浦太郎先生(富山市まちなか診療所)

日本プライマリ・ケア学会のHPにも掲載されています
https://www.primarycare-japan.com/assoc/activity/ac_support_angya02/?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTAAAR0_WbBq_25xXfCzYWHJsVD7xtpo6R40zYCzcr2Tu09KooVOWHjPvSJxW1I_aem_AV-Fodcq-daAiTZEhDbQZWc6ajUHDJyctq3yo07JaRtrUeGV2PIeoe3qVsVQivTe0w5Cm5NhK1OwNeBBAAvg5cni

ちなみに、三浦先生からは以下のようなメモが送られてきています↓

地域の診療をしてみよう
地域を診る 地域から人を診る
診断の元となる診療・検査は?そして治療方法は?
行政と臨床 両方に携わる医師から 地域の診療を学ぼう!

☆診る という構造
情報収集(問診・診察・検査)
↓↑
見立て(鑑別診断)

介入

介入後の検証

情報収集は 見て・聞いて・感じて
コナン・ドイルがジョセフ・ベル医師について書いた逸話の一部
「靴底の土に気づいてね。エジンバラの周辺には こんな赤土は存在しない 植物園を除いてはね だから 彼女は植物園を通って 近道したんだなと 最期に 彼女の右手の指には皮膚炎が見られる この皮膚炎はバーンティスランドの リノリウム工場の工員に独特のものなんだ」

患者さんをミクロに診る マクロに診る
その人全体 家族ごと 地域ごと

60歳のコントロールの良い脂質異常症の女性
ミクロに見れば 現在の薬をそのまま続ければ良さそう
では、介入すべき項目はないだろうか?
家族図を見ながら考える

住んでいる地域は?地域を診断する

具体と抽象
地域の特性をもとにその人を見る
地域を診断する

レバレッジポイント

温泉地の合宿アルコール問題対応

健康の社会決定因子
社会的処方

多職種連携
医師の役割 大きな傘になる
保健師との実践


これは興味深いですね!地域で診療されている方、これからされるであろう方、患者さんとのかかわりにもっと深い視点が欲しい方、地域に興味がある方、どなたでも歓迎いたします!!申し込みはポスターからお願いいたします!

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posted by 長尾大志 at 11:21 | Comment(0) | 日記

2024年05月13日

高齢化の進む島根県で、呼吸器疾患で苦しむ方を1人でも多く救いたい。クラウドファンディング

というわけで、呼吸器疾患で困っておられる患者さんの数に比して、
呼吸器診療をしっかり行うことのできる医師が不足している、ということで、
島根大学医学部附属病院の呼吸器内科教授、礒部先生がクラウドファンディングを立ち上げられました。
どうぞよろしくお願いいたします。

詳しくはこちら右向き三角1https://readyfor.jp/projects/shimane-isobe2024

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posted by 長尾大志 at 09:41 | Comment(0) | 日記

2024年05月12日

私のキャリアとアイドルのキャリア〜アイドルとかけて研修医と説く、その心は〜(後編)

島根大学地域医療教育学講座の長尾大志です。変なタイトルの駄文、後編です。さすがに前編からお読みいただかないと、なんのことやらちんぷんかんぷん、ただ長尾がアイドルオタクであるということしかわからないと思いますので、前編ヨロシクお願いします。

さて、皆さんが思い浮かべるアイドルの皆さん、どなたでしたか?その後のキャリアもわかっている人がいいですね。私が授業?で挙げるのは以下のような方々です(敬称略)。若干?偏りがある点はご容赦ください……。

高橋みなみ
まゆゆ(渡辺麻友)
指原莉乃
柴田阿弥
平手友梨奈
白石麻衣

満島ひかり(Folder5)
仲間由紀恵(東京パフォーマンスドール)
深田恭子(HIPS)
橋本環奈



上に挙げた皆さんの具体的なキャリアについて公の場で論説することは炎上リスクを多分に孕んでおりますので、そういうことは致しません(清く正しく静かに生きておりますもので)。でも、皆さんのキャリアを辿って頂けると、なんとなく私の申したいことがお判りいただけるのではないかと思うのです。

もちろんこれらの方々の陰には圧倒的に多くの「そうなれなかった方々」がおられることにも注意が必要です(特に芸能の世界は「努力は必ず報われる」とはいかない、運に左右される面も多々あることは間違いありません)が、今回はキャリア形成のサンプル、ということで話を進めます。あ、嵐さんについては(今はグループとして活動されていませんが)総合診療医だなあ、と考えております。研修医の期間に様々なことに挑戦され、そのまま専門にとらわれずに?活動を続けておられる、という意味で。これだけはここで述べておきます。

私が医師になった30ウン年前はキャリアプランニングなんて考えは一般的ではなく、私もご多分に漏れずキャリアについて深く考えることはありませんでした。研修先や異動、留学も、教授に指示されてその通り従って参りました。決して、

長尾=やさしイイ呼吸器の人?
 になろうと思ってプランニングしたわけではありません。

長尾=胸部X線写真の人??
 になりたかったわけでもありません。

前編でも述べた通り、元々「お医者さん」になりたくて、臨床がやりたくて医師になった身ですから、キャリアの前半はひたすら臨床を頑張って、臨床能力を高めることに注力していたのです。それが、患者さんのため、将来の医療をよりよいものにするために頑張っていたら、様々な出会いと、「経験と居場所によって解像度が上がった」結果、「こっちに行こう」という考えが生まれて今の感じになりました。

大事なことなのでもう一度。
「経験と居場所によって解像度が上がった」んです。

おそらくアイドルの皆さんも、少なからずの医師の皆さんも、こんな過程を経てキャリアを選び取っていかれているはず。若いころにはなかった知識、考え方、成長で気づいたこと、そのすべてが血となり肉となってキャリアに生かされるのです。若いころには考えていなかった道が見えてくることもあるのです。解像度が低いうちは、忙しい日々の中で「なんでこんなことしなくちゃいけないんだ」「テキトーでいいだろ」みたいになりがちなんですが、まだ多くのことが見えていないうちに与えられた仕事をしっかりと、丁寧にこなしていくことで「見えてくる」ものがあるんじゃないかな〜と思うところです。

初期研修病院についてもいろいろご相談を受けますが、大事なことは病院そのものよりも、そこでどう働くか、だと思っています。決して「ハイパー至上」「ハイポ撲滅」と思っているわけではありませんのでご留意ください。人それぞれ向き不向きがあります。健康に影響が出るような環境はよくないです。ハイパーにやっていける人はそういう施設、ハイポがいい人はそういう施設で、ご自分なりにしっかりされるといいですね。

「ハイパー」「ハイポ」では当然経験「数」は異なりますから、成長曲線はハイパーの方が当初角度が急なんですが、所詮それは初期数年での話。長い医師人生では、その後の角度の方が圧倒的に重要です。つまり、いわゆる専門を選んでからですね。

私は初期のころは不器用だったし物分かりが悪かったので、かなり同期と比べるといろいろと劣っていたと思います。その真っただ中の時期にはやっぱり仕事が面白くなくて、休みが待ち遠しくて、どうにかして早く家に帰ろう……なんて思っていたのですが、一通り学んで出来るようになってくると、周りに頼りにされるようになってきて、やりがいが出てきて、色々なことに興味がわいてきて、頑張れるようになりました。そして教育に全集中するようになると、日中は学生さん、研修医の先生方と戯れ、夜はスライドづくりに寝食を忘れ、土日を返上してブログ更新・原稿執筆……みたいな、公私混同!?趣味と仕事の境界線がなくなってしまいましたが、ものすごく充実感を味わうことができたのです。

さてそろそろ、結論めいたことを書かねばなりません。(既に書いているのですが)将来向かう道が決まっている人は、アイドル(研修医)のうちに将来役に立つであろうことを逆算してやるもよし。決まっていない人は、与えられた仕事をしっかりと、ただし無理はしないように。アイドルの世界とは違って「努力はほぼ必ず報われ」ますよ、ってことでしょうか。

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posted by 長尾大志 at 13:44 | Comment(2) | 教育理念・メッセージ

2024年05月11日

私のキャリアとアイドルのキャリア〜アイドルとかけて研修医と説く、その心は〜(前編)

いきなり変なタイトルで恐縮です。立場柄、医学生さんにキャリアのご相談を頂くことが多く、その時に自分の経験……といっても数十年前の記憶を掘り起こしてお話をしているのですが、もちろん時代は遷れど、キャリアについてのあれこれは普遍的に通じるところもあり、参考にしていただけることもあるのかなという感触です。また色々とお話をするにつけ、個人的に感心のあるアイドルのキャリアと通底するところもあるなあ、と思うことが多々あり、その観点で話をまとめてみようかなと思いました。

まずは簡単に私の来し方を振り返ってみます。といっても、前半は普通の?臨床医として研修からの大学院、留学をさせて頂いて前任地の大学にやってきた、ここまでのところはまあそれほど特記すべきこともありませんので割愛します。ご興味のある方はそのうち学内のe-clinicで開催される海外トークセミナー?にお越しください(学内限定ですが)。学外でご興味のある方は、企画していただければフッ軽で伺います笑。

○○医大3人目の呼吸器内科スタッフと着任した私を待っておられたのは、山ほどおられた呼吸器疾患の患者さん、これまで呼吸器の教育を受ける機会のなかった医学生さん、研修医の先生方、それに地域の先生方でした。まさに「呼吸器不毛の地」という表現がピッタリの場所であることがすぐに実感され、莫大な日々の業務に忙殺されることになります。

しかしこのまま日々の業務をこなしているだけでは未来がない。今後自分がなすべきことは何か、と考えたときに、それは教育ではないかということにすぐに思い至りました。

まずは周囲の先生方に呼吸器疾患に関する知識やノウハウを知っていただいて、呼吸器疾患にも対応していただけるように。同時に学生さんや研修医の先生方に呼吸器診療の面白さを知っていただいて、1人でも多くの呼吸器内科医を育成する、それによってこれまで「適切な診療を受ける機会が得られなかった多くの呼吸器疾患患者さん」に少しでもその機会を増やすことができるようになるのではないか、と考えました。

元々臨床が大好きで、目の前の患者さんに少しでも貢献できないかと頑張ってきた自分でしたが、自分の手の及ばないところに、こんなにもたくさんの(近隣に呼吸器内科医がいないことで)困っておられる患者さんがおられるのだ、ということを知ったことで、自分がやるべきことがこの大学で教育をすることだ、と思うに至ったわけです。

そこで持っていた全リソース(主に時間)を使って、本格的に学生さんや研修医の皆さん、地域の先生方に「教える・伝える」ことを始めました。当初の数年間はフィードバックが全くなかったので、自分のやり方でいいのか答えがわからず、本当に苦しかったのですが、いろいろ質問を頂いて、それにお答えするために教科書を読んだり勉強したり……すると、いろいろつながってわかってくるんです。それがすごく面白くなって、多分初めて「面白いから勉強する」フェーズに入ってきました。やっぱり面白い(と自分が思う)話をすると、学生さんも聴いてくれるようになります。それで「呼吸器面白い」といってくれるようになりました。

思い返してみるとそもそも最初の一歩がわからないとなかなか興味もわかないし、勉強しようとか、本を読もうという気にもならない。学生〜研修医の自分がそうでした。それゆえに、そこを手助けしてほしかった、その手助けをするのが医科大学にいる教員の大事な仕事ではないかなと思うようになりました。

それでがむしゃらに頑張って創意工夫を積み重ねるわけですが、やればやるほど面白くなってきて、自分は教育に向いているのではないかという気がしたのですね。これは一つの真理ではないかと思うのですが、とことん頑張った先に、やりがい、喜び、ひいては生き甲斐が得られるのではないかということ。仮にお金があっても、とことん(喜びをもって)頑張ることのできる対象がなければ、生きがいも得られないのではなかろうか?と思う今日この頃です。

ちょっと話がそれますが、医師は「ブラック」になりにくい職業だと考えています。もちろん、過重な業務、睡眠不足、などなど、体調に影響するような、所謂ブラックといえる環境で勤めざるを得ない方々には配慮が必要かと思いますが、昨今の「働き方改革」のような行き過ぎた保護、過保護もまたやりがいを奪ってしまうのではなかろうかと思うのです。なにせ普通に「経験」をしていれば、普通は普通に医師として1人前になれるわけで、ここはなっておく方がいいでしょう。

そのうえでやりたいことが明確に決まっているなら、目標から逆算して「今やるべきこと」を全力でやるべきだし、差し当って明確な目標がなく、やりたいことがあるようなないようなケースでは、まず医師としての能力を全力で高めることに注力しておけば、その過程でやりたいこと、進むべき道は見つかるもので、プラスαの「どんな医師になる?」「どんなキャリアを歩む?」はその時考えても決して遅くはありません。
本来?の意味の「ブラック職場」は、理不尽な業務を理不尽にやらされ、やってもやってもなんの実にもならない、自身のためにならないということだと考えます。

これが例えば、
・休みの日も呼び出される⇒患者さんの「流れ」を切らすことなく体験出来る(疾患の理解に深みが)⇒上級医が不在(自分自身で判断する練習になる)
・看護師や薬剤師や技師や事務の仕事までやらされる⇒「医療」のウラまで実感出来る、他職種の立場でものを見る訓練ができる

ものは考えようで、結局臨床の世界は経験がものをいう世界という面があって、「経験」するためには、それなりの「対価」を支払う必要があるわけです。ですから一見「雑用」みたいなことをやらされる、ネガティブに見えることもやりようによっては医師としての深みに寄与する、貴重な経験になるのです。どなたかが言われていましたが、「雑にやるから雑用になる」「丁寧にやればそれは貴重な経験となる」ということです。

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いったいいつになったらアイドルが出てくるんだ!との皆様の心の声が聴こえるような聴こえないような気もしますので、今回の本題に入って参りますが、

アイドルは研修医に似ている 説を唱えたいと思います。
どういうことか。

タイトルにもある〜アイドルとかけて研修医と説く、その心は〜
何者でもない、ただ若いだけの時期である」ということです。

若い間はスキルなど何も持っていない。あるのは時間と体力だけ。持てるもの(資産)をどう使って財産(知識・経験・人脈・カネ??)を手に入れるか、若くなくなったときに何を手に入れているか。何も手に入っていなければ、その間は「ブラック」というべきでしょう。これを考えるのがキャリアプランニング、といえるかと思います。

で、この時期に何をするかによって、その後の芸能?人生が決まる。皆さんがご存じの、元アイドルの方々の事例を思い浮かべてみてください……(つづきは後編で)。

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posted by 長尾大志 at 10:23 | Comment(1) | 教育理念・メッセージ