1回換気量(tidal volume:TV):「換気量」とは、呼吸によって肺に出入りする空気の量です。1回の呼吸で肺に出入りする空気の量を1回換気量といいます。健康な人のおおよそのTVは、体重1 kgあたり10mL。体重60kgの人なら600mLになります。
1回換気量 (TV) = 体重 (kg) ×10 (単位:mL)
分時換気量 (minute volume:MV) :1分間に肺に出入りする空気の量のことを分時換気量といいます。単純な掛け算で求められます。
分時換気量(MV)=1回換気量(TV)×呼吸回数(1分間に12〜20回)
体重60 kgの人なら、600 ×12〜20=7200〜12000 mLとなります。一般的に「換気量」といいますと、MVのことを指します。
肺機能検査で測定する項目(ゆっくりと息を吸って吐く、安静換気肺機能検査)
最大吸気位:息をいっぱいに吸ったところの位置。
最大呼気位:息を限界まで吐いたところの位置。いうまでもないことですが、限界まで吐いても、肺の中には少し空気は残っています。ゼロにはなりません。
全肺気量(total lung capacity:TLC):最大吸気位で、肺の中に存在するすべての空気量を全肺気量といいます。肺の大きさを表します。
肺活量(vital capacity:VC):最大吸気位と最大呼気位の差を肺活量といいます。これは、肺の中に実際に出入りできる空気の量を表しますので、肺の伸び縮みがきちんとできているかがわかります。
予測値に対する肺活量(%肺活量:%VC):性・年齢・身長から求めた標準予測値VCに対する測定値の割合。80%未満は拘束性障害といい、肺が伸びる、あるいは縮むことができなくなっている状態を表します。
残気量(residual volume:RV):息をいっぱいに吐いたときに気道や肺の中に残っている空気の量を残気量といいます。これは、肺の中にあるけれども、呼吸には関係のない、「ムダな空気」の量を表します。
TLC=VC+RV という関係がありまして、
これをCOPD・肺気腫の病態に当てはめると、
•息を吐ききれない、息を吐ききったあとも空気が残る

残気量が増加 = ムダな空気が増加する
•少しずつ吐ききれない空気がたまってきて肺が伸びる

全肺気量の増加、過膨張、横隔膜平低化 = 肺が大きくなる
あわせると、「肺気腫になると、肺内にムダな空気が溜まり、肺がムダに大きくなる」と言えるかと思います。
posted by 長尾大志 at 23:22
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