急性好酸球性肺炎(acute eosinophilic pneumonia:AEP)とは、肺内に好酸球が一気に出てきて、肺胞領域と間質(小葉辺縁)に浮腫、うっ血様所見が生じる病態です。
胸部X線やCT上、うっ血に似た広義間質の肥厚像、胸水などが特徴です。うっ血との鑑別は画像ではしばしば困難ですが、病歴、身体所見や心拡大がみられることは少ない点が鑑別のポイントになります。
肺胞内に好酸球が増えますので、気管支肺胞洗浄液の好酸球分画が増多します(好酸球分画≧25%)。初期には肺局所に好酸球が集中するので、末梢血の好酸球分画は増えないことも結構あり、そのうちに末梢血の好酸球も増えてくる、という感じです。
逆に、末梢血の好酸球が高値であれば、体内の好酸球がよっぽど増加しているということになりますので、それらしい陰影があれば好酸球性肺炎を疑う根拠になります。
特徴的な病歴として、煙草を初めて吸いはじめ、しばらく(1〜2週間)してから発症、というケースが多く報告されています。また、しばらく止めていた人が久しぶりに吸い出しても発症したりします。このあたりがなんともアレルギーっぽいですね。
診断としては、下記の項目を満たすことで診断されます。
•急速な発症で、発熱を伴う呼吸不全を来たし、
•両側びまん性のすりガラス影 + 広義間質の肥厚像、胸水があり、
•肺の好酸球増多が証明され(肺胞洗浄液で好酸球分画≧25%、または生検で肺への好酸球浸潤を証明)、
•その他の好酸球増多を来しうる肺疾患が除外できること
治療はステロイドを用います。ステロイドを用いると一気に好酸球はどこかに隠れてしまい、割とすぐに治療効果が得られます。線維化はほとんどなく、予後は良好です。
2025年03月04日
間質性肺疾患について、改めてまとめ27・その他のびまん性肺疾患 ❷急性好酸球性肺炎(AEP)
posted by 長尾大志 at 22:00
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