2025年03月20日

気胸について、最新ガイドライン2・胸腔ドレナージ vs 針穿刺吸引法

自覚症状がなく、画像的臨床的に安定している原発性自然気胸に対しては、経過観察でも8週後の状況が非劣勢である(≒経過観察でよい)、ということでしたが、症状のある気胸に対してはいかがでしょうか。

件のガイドラインでは、症状のある原発性自然気胸に対する初期治療として、胸腔ドレナージよりも針穿刺吸引法の方が強く推奨される、とされます。ただしこれは専門知識とフォローアップのシステムを備えたセンターに対する条件付き推奨ということであり。そのまますべての本邦の医療機関に適用できるものではないことに注意が必要です。

根拠となったRCTも6件と多く、メタ解析では針穿刺がドレナージよりもLOSが2日余り短く合併症も少ない、まあ針の単回穿刺と管を入れておくドレナージでは、入院期間であったり、いろんな合併症の発生割合であったりが異なるであろうことは自明ではあります。

またどの研究もサンプルサイズの点や盲検ではないことなど、研究の妥当性について問題を抱えており、そのため確実性は低いものの(明らかに差があるため)推奨は強い、という物言いになっています。

続発性自然気胸のサブグループを検討しても、入院期間は針穿刺群が明らかに短く、成功率は高かったとのことです。


まあこちらも、そりゃそうか、という結果ですね。症状のある気胸に対して、ドレナージがよいか針穿刺吸引がよいか、についてはこれまでも確たる方針は示されておらずフニャフニャした感じでした。ただ臨床上、入院で患者さんを診るのであれば、針穿刺吸引ではエアリークがあるかどうかわからないため、細かく診るには不適かなあ、と思っていたところです。

たぶん彼方の方々は、エアリークがあろうがなかろうが、とりあえず穿刺吸引しておいて、しばらく経って再膨張しておればよし、再発(再収縮)しておれば再度穿刺吸引、という感じでやられているようですね。外来メインで、何かあればその都度受診、その時きちんと専門医が対応できる、という文化が根付いておれば、こういうやり方もありということでしょう。

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posted by 長尾大志 at 18:45 | Comment(0) | 気胸・胸水・ドレナージ