2014年08月16日

キーワード診断、デジタル診断の陥穽

昨今では、特に救急・総合診療系の領域で、臨床推論が脚光を浴びています。脚光を浴びている、という言い方もちょっと変ですが、一時の「検査偏重主義」から若い人たちが病歴や身体診察に興味を持たれるようになったのはとってもよい傾向だと思っています。


特にやっぱり、ドクターGみたいな番組、あれの影響で、総合診療を志すようになった方も多いのではないでしょうか。どんな患者さんが来てもパッパッと診断をしていくドクターGにあこがれる、その気持ちはよくわかります。私も今医学生だったら、そう思っていたでしょう。


志のある若い人たちは学生の間から勉強会を開き、大学の枠を超えて交流し、どんどん輪を広げて行かれます。著名な講師を招いて学んだり、行動力がスゴい…。でまあ、正直、スゴいなあと感心してばかりだったのです。




で、少し前に、とある先生とお話をしていたら、「ドクターG世代の中に、ちょっとイタい人が含まれている」という話をされていて、どういうことかと身を乗り出して尋ねてみました。


今の人たちはもう、生まれた頃からPCがあって、物心ついたらネットにつながっていて、学生の頃からiPadで教科書を読んで、iPhoneでラインをやっているわけです。完全にデジタル世代です。私たちのようにアナログの香りをプンプンさせていないわけです。


で、何か知らないこと、わからないことがあれば、しゅんしゅんiPadで検索して、答えを見つける。わからないことは考える、ではなく、「答えを検索する」。


そういうことに慣れてしまうと、キーワードを見たらすぐに「キーワード=疾患」となったり、当てもんみたいになっている人がいると。思考の短絡ですね。




今総合診療界隈で有名なスーパードクターの先生方は、世代的にはアナログとデジタルの移行期あたりで、まず患者さんを山ほど見て、その中で得られた経験、暗黙知を言語化してこられているのではないかと思うのです。それを人はPearlと呼ぶ。それはとても貴重な、思考手順のエキスです。


で、その「言語化されたもの」をそのまま、経験の裏打ちなしに受け取ったデジタル世代が、そこで思考の短絡化を起こしたら、これはちょっと怖いなと。うーむ。そんな風に思ったことはなかったですが、言われてみれば、思い当たる節もあるような…。

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