高齢者では、症状が非特異的になりがち、重症感がなさそうに見えがちであるから、「軽症に違いない」と帰してしまうのはよろしくない、と言われます。
非特異的症状のみで来院されても、CTを撮って、血液検査をして…的な対処が必要であった、と振り返られる症例、いろいろと報告されています。
ここで問題となるのが、「撮れるところはいいけど、ウチの診療所にCTなんてない。あるのは車で一時間のところだけ。」「CTを撮るには船で本土まで行かなくてはならない。」など、医療アクセスがよろしくない施設での対応です。
そりゃ大都市の、ブランド研修病院であれば、検査なんて直ぐにアクセスできます。救急患者さんも多く、充分に採算がとれるでしょう。でもそんなところばかりではない。そういうところでも、積極的にCTを撮るべし、と言われてしまうと、その通りなのですが…。
・地域の貴重な救急車を搬送に使わなくてはならない。船をチャーターしなくてはならない。場合によってはドクターヘリを使わなければならない。この程度の症状で、それはアリなのか。認知症があるから、症状が表現されていないのか、高齢だからあまり連れ回すのはかわいそうなのか…?
…という、なかなか難しい判断を強いられることになるのです。
いやCTって、やっぱりよく見えますから、念のために撮影したCTで、偶々こんなのが見つかった、てな経験をすればするほど、「CT撮らずに大丈夫かな」「念のために撮っておこう」という考え方が出てきます。撮れるところはいいんですよ。撮れるところは。
でも、例えばブランド研修病院で研修を積まれた、「地域医療を支えるぞ!」とやる気に満ちた若手の先生が、地域の診療所でやって行かれるときに、検査アクセスの悪さをどう克服されるか、医療経済との折り合いをどうつけるか、それは結構重要な問題と思われます。
それでも、たぶんこれまではよかった。
これまでは、周辺にそんな立派な病院のない、地方に住んでいる、高齢者のご家族、というか子供さんたちは、阿吽の呼吸じゃありませんが、「もう歳も歳だし、そんな検査なんて…。」「そんなにやって頂かなくても…。」そのような呼吸が合った。それは地域における、ドクターのありがたみを理解し、「この地で精一杯やって頂いた。」という思いを持っておられたのであろうと思われます。
2014年09月27日
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