2014年10月06日

第24回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会「安全管理」セッション予習1

というわけで、例によって予習におつきあい下さい。


■ 呼吸リハビリテーションにおける脱落理由の検討

概要
呼吸リハビリテーション開始した85例中、12週終了時の評価が欠落している27例を後方視的に解析した。内訳はCOPD10例、間質性肺炎11例、肺MAC症3例、肺結核後遺症3例であった。脱落理由は他科疾患の合併が8例、自己中断7例、感染症4例、心理的要因3例、その他5例であった。


心理的要因による脱落は整形外科疾患合併と自己中断による脱落に対して、6分間歩行距離・ADL・PaO2・徒手筋力テストにおいて多重比較で統計的有意差を持って悪い結果であった。


所感
せっかくリハビリテーションを導入しても、脱落してしまったのでは元も子もありません。脱落理由はいろいろありますが、その理由を知ることで脱落を防ぐ、介入につながるような検討が望まれます。


本検討では、心理的要因による脱落は、筋力・ADL・持久力などが、整形外科疾患合併と自己中断による脱落に比べて不良な傾向があった(有意差あり)ということですが、心理的要因と自己中断を厳密に区別することはなかなか困難なようにも思われます。


しかし結果の意味するところは、体力が弱いとリハビリの負担が大きく、心理的にも負担になってしまう、ということでしょうか。整形外科疾患合併症例においては、それまで体力はあったものの、骨折などで運動自体が出来なくなったために脱落した、ということでしょうか。


標本数が少ないので統計学的検討で全てを語るのはかなり苦しいと思います。こういう場合は文献的考察を盾に、思うところ、描いたストーリーを語る、というのが順当な流れですね。当日の発表を拝見したいと思います。

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posted by 長尾大志 at 18:50 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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