昨日参加した表記の会、教育講演は滋賀医科大学精神医学講座の助教、栗本直樹先生による
『 今日から役立つ精神科―うつ病は治る。抗不安薬、睡眠薬のホントの使い方― 』。
自分が不勉強なこともあるのだと思いますが、結構目からウロコのお話が聞けました。医師臨床教育センターの西田先生も来られていたので、イブニングセミナーで是非話をして頂くよう進言しておきました。
栗本先生にどこまで書いていいか聞けなかったので、概要だけ紹介します。
・うつ病を考えるときに、うつ病=気分が落ち込んでいる、と考えると本質を見誤る。
・うつ病には本質(制止=意欲、集中力、思考力などの低下による活動力の低下)と周辺症状(不安とか不眠とか)がある。
・本質のところをよくする根本治療は抗うつ薬、電気痙攣療法のみ。
・周辺症状に対する対症療法は抗不安薬、睡眠薬があるが、これらでは決して根本治療にならず、却って症状をマスクし治癒を遅らせることになるため、決して使わない方がいい。
・問題は根本治療である抗うつ薬が、効果発現が遅く、副作用が速やかに出てしまうこと。ちょっと副作用が出て「こりゃダメだ」と中止されてしまうと、治療にならない。対して、抗不安薬や睡眠薬は、副作用が少なく効果が直ぐに見られるので、使いやすくつい使ってしまうのが問題。
対症療法で何となく症状が良くなると、根本治療がなされなくなる。喘息の治療に通じる考え方で、非常に納得できました。
引き続き、特別講演は京都府立医科大学付属病院救急医療科/救急医療部の教授、太田凡先生による
『救急室でのあんなトラブル、こんなトラブル』。
有名な先生でいらっしゃるのですがこれまでお話を伺ったことがないので、楽しみでした。
救急をやる若い医師への心構え、トラブルに発展する事例をいろいろ例示されて教えて頂きました。なかなかここでお示しすることは出来ませんが、心に残ったこととして…
例えばコンビニ受診、軽症患者の救急車要請は医療資源の無駄遣いであり、患者、市民にそういうことを避けるよう教育はすべきだが、患者を叱責しても決してうまく行くことはない。
などなど、救急の現場ではこちらの態度、対応が何よりも重要であることを強調されました。
栗本先生、太田先生、ためになるお話をありがとうございました。
2015年02月01日
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