2015年02月24日

早わかり動脈血ガスの見かた12・代謝性アシドーシスの原因を鑑別する2・アニオンギャップ1

代謝性アシドーシスの鑑別をするにあたって、CO2以外の酸が産生されているかどうか、目星をつけるためにアニオンギャップ(Anion gap:AG)を計算します。


AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3- )} または
AG={(Na+)+(K+)}−{(Cl-)+(HCO3-)}


K+(カリウムイオン)は狭い範囲を変動するだけですので、簡便な上の式を使われることが多いと思います。


さてこのAGで何がわかるか、といいますと、普通の血液検査で直接測定できない酸(リン酸、硫酸、有機酸など)の量がわかるのです。有機酸には乳酸やケトン体など、代謝性アシドーシスの原因として重要な物質が含まれているのですが、これらは気軽には測定できません。そこでAGの出番です。


アニオン(陰イオン=マイナスイオン)ギャップとは、気軽に測定できるカチオン(陽イオン=プラスイオン)とアニオンの差。


体内の気軽に測定できるカチオンはNa+とK+、アニオンはCl-とHCO3-、というわけで、これらの差がAGなのです。なんでカチオンギャップじゃなくてアニオンというか、といいますと、カチオンはそのほとんどがNa+とK+なのに対し、アニオンはCl-とHCO3-以外にも測定できないものがいろいろ含まれているからなのです。それゆえ、


測定できるカチオン>測定できるアニオン


てことで、


AG=(測定できるカチオン)−(測定できるアニオン)
  =Na+ −(Cl- +HCO3- )


となります。正常値は12±2mmol/Lです。
ちなみに体内はほぼ中性なので、体内のカチオンとアニオンの合計はほぼ等しいハズ、というのが大前提。


で、このAGが増加するということは、測定できないアニオンが増加しているということになりますが、その測定できないアニオンの多くが、先ほどの「測定できない酸(リン酸、硫酸、有機酸など)」なのです。


これでもうおわかりと思いますが、AGが増加する=測定できない酸が増加している、ということになるのです。


酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス

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