AGが増えてくるときに増加していると考えられる酸は、乳酸、ケトン体、リン酸、メタノールなどがあります。
ということは、代謝性アシドーシスのうち、上に挙げたような、酸が増えてくる病態であるとAGが増加する、ということで、AGが増加しているかどうかは代謝性アシドーシスの原因を考える上で役立つのです。
AGが増加するものを増えている酸ごとに分類すると、以下のようになります。
- 敗血症・乳酸アシドーシス:乳酸
- 糖尿病性ケトアシドーシス:ケトン体
- 飢餓状態:ケトン体
- 尿毒症:リン酸
- 中毒:メタノールなど
逆に言いますと、代謝性アシドーシスで、AGの増加を確認したら、上の病態を鑑別していくことになります。それらの鑑別はやはり病歴、病態を確認します。いずれも病歴をきちんと聴取できれば診断、判断できるものが多いですね。
■ AGの増加を伴わない
代謝性アシドーシスではHCO3-が減少しているわけですから、AGが増加しない場合にはCl-が増加するはずです。
AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3- )}ですからね。
この場合多いのは、HCO3-が失われて相対的にCl-が増加したパターン。以下のようなことが考えられます。
下痢:消化液とともにHCO3-が失われる
尿細管アシドーシス:尿細管でのHCO3-再吸収が障害される
それ以外にはCl-を含む酸を投与しても起こりますが、数は少ないです。
酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス