2015年02月27日

早わかり動脈血ガスの見かた15・この症例の「呼吸状態」は悪いのか?

初診の患者さんで病態が未だ把握できていない、という場合、呼吸性の非常事態が起こっているのか、代謝性の異常事態なのか、どうやったらわかるのでしょうか。


例えば呼吸数を見る。呼吸数が増えていると、「しんどそう」ということはわかりますが、「なぜ」しんどいのかはわかりません。肺が悪くなって低O2、高CO2になりかけているから呼吸数が増えているのか、代謝性アシドーシスを代償しようとして呼吸が頑張っているのか、わからないのです。



じゃあ何を見るか。PaO2ですね。PaO2が低値であるということは、呼吸器系のトラブルがあると考えられます。


例えばpH正常で、PaCO2が低値でHCO3-も低値、というときに、呼吸性アルカローシスと代謝性アシドーシス、どちらが原因でどちらが代償なのかよくわからない、ということがあります。まあ、pH正常であれば、それほど慌てる必要はないのですが…。


その場合、PaO2が低値、A-aDO2が開大していれば、肺に障害があることがわかります。そうすると、呼吸数が増して呼吸性アルカローシスが生じ、それを代謝が代償している可能性が高い、ということになるのです。


代謝性アシドーシスを呼吸が代償している、というケースでは、肺は正常であるわけで、PaO2の低下は見られません。呼吸数はどちらが原因であっても増加して、換気量が増えているわけですが、肺に異常があってPaO2が低下すると、換気量が増えてもPaO2は良くなりません(後述)からある程度区別が出来ます。


酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス

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