2015年03月06日

早わかり動脈血ガスの見かた20・P/F比

酸素化の指標はPaO2ですが、実際の症例では酸素投与を受けていたり人工呼吸をされたりしますから、それによってPaO2値は影響を受けます。同じPaO2値でも酸素をたくさん吸っている(FIO2が高い)方が状態としては悪いことになりますから、その条件をそろえた指標が必要になるのです。


そこでクリティカルケアの場面でよく使われるのがP/F比(P/F ratio)。PaO2をFIO2(%を小数換算したもの)で割ったものです。FIO2が正確にわかる、ということは、人工呼吸中であることが前提みたいなものですから、使われる場面は自ずとわかります。


       PaO2
P/F比 = ━━━━━
       FIO2


PaO2は同じでもFIO2が高くなるほどP/F比は低くなるので、よろしくない、ということになります。


例えばFIO2=0.21(大気中)で、PaO2=105TorrとするとP/F比=500、ということになります。この辺が正常値ですね。


ALI(acute lung injury:急性肺障害)やARDS(acute respiratory distress syndrome:急性呼吸窮迫症候群)の定義というか診断基準として用いられています。これらは心不全じゃないけど両側の肺野にびまん性の浸潤影が出現して呼吸状態が悪くなる、という病態を表しているのですが、最近の欧州集中治療医学会でALIという用語は使わない方向になる決定がなされたようです。


旧い診断基準

  • ALI:PaO2/FIO2<300

  • ARDS:PaO2/FIO2<200



新しい診断基準

  • 軽症ARDS:PaO2/FIO2が201〜300

  • 中等症ARDS:PaO2/FIO2が101〜200

  • 重症ARDS:PaO2/FIO2<100



PaO2/FIO2値以外の詳しい基準については、病態の説明で詳しく述べたいと思います。


やさしイイ血ガス・呼吸管理

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