
そうすると、肺胞壁内の弾性線維も破壊されるわけですから、「肺胞が縮もうとする力=弾性収縮力」が減ることになります。

呼気時には本来弾性収縮力で肺が縮む、その力で息を吐いているわけですが、縮む力がなくなると息を吐きにくくなります。そこで身体は胸郭の内肋間筋や、腹直筋をはじめとする腹壁筋を収縮させ、胸腔を陽圧にして肺を縮めようとします。しかし陽圧を掛けても肺胞は縮まず、その力は細気管支(外向きに引っ張られていない=支えが少ない)にかかってしまって細気管支をぺちゃんこに押しつぶし(=閉塞性肺障害)、呼気が却って出にくくなります。言い換えると呼気時の気道抵抗が増えるということです。

大事なことは「息を吐くのに努力を必要とする」こと。息を吐こうと頑張れば頑張るほど(=陽圧を掛ければ掛けるほど)、閉塞が強くなり呼気時の気道抵抗が増えるのです。
ただでさえ肺胞壁が破壊されることで、肺内に空気のカタマリ(気腫)が出来ているのですが、呼気が出にくくなることで不要な空気がどんどん肺内に溜まってくることになります。肺内に空気がたまると、肺はだんだんと膨張してきます(=過膨張)。これは肺が伸びやすく縮みにくい、ということを表しますので、コンプライアンスが高くなることになります。
やさしイイ血ガス・呼吸管理