通常坐位で食事をしていて誤嚥すると、食物は真下に落ちていきます。気管分岐部では分岐の角度が左右で異なり、右の方がより下向きの角度ですので落ちてきたものは右>左に落ちやすいものです。
とはいえ角度の差は確率論で、左に落ちることも多々あります。言えることは、真下=肺底部に落ちる、ということです。肺底部は下葉の底面、横隔膜の裏あたりですから、誤嚥性肺炎の典型像はそのあたりに陰影が出てくるものです。
実例をみてみましょう。まずは健常時、特に異常は見当たりません。
誤嚥性肺炎像です。左の下にぼんやりと白い陰影が見えます。
ポイントは心陰影(左4弓)とシルエットサイン陰性で、横隔膜はややぼやけているところ(シルエットサイン陽性)です。心臓に接していない(舌区ではない)、かつ横隔膜に接している(下葉である)ことがわかります。
CTを見ると確かに心臓よりずっと後ろに陰影があり、下葉の陰影であることがわかります。
ナースのための胸部X線道場