そういうわけで木曜日は結構あちこちでの勉強会を拝聴させて頂きました。
まず学内で行われた、平成27年度「在宅医療研修会」。
講師は弓削メディカルクリニック 院長の雨森正記先生でした。このあたりの医師で、ご存じない方は居られないと思いますが、竜王町で在宅医療に熱心に取り組まれています。また、若手の育成にも熱心で、本学からも学生〜研修医が数多く、常にお世話になっています。
講演内容としては、事前のメールでは在宅医療における大学病院の役割〜事例を中心に〜とアナウンスされていましたが、もっと実際に即した、「家に帰りたいと言われたら」というタイトルでお話し頂きました。
全国的にはなかなか在宅の看取りが進んでいない現在、竜王町は滋賀県下で最も在宅看取りに取り組まれています。在宅で看取るということ、その考え方と実際について教えて頂きました。
まず最初に「あなたは最期を迎える場所はどこがいいですか?」というような質問がありました。聴講者(医師、看護師、コメディカルスタッフ)の多くは「自宅がいい」との答え。そう、実際多くの人(患者さん)も、自宅での看取りを望んでおられる。最期の時間を自宅で過ごしたい、と思っている方が多いにもかかわらず、実際自宅での看取り、となるとハードルが高くなる理由はなんでしょうか。
いくつかのポイントをお話頂きましたが、竜王で在宅看取りが多く行われている理由は、もちろん地域に密着しておられる雨森先生の存在、地域の方々との信頼関係が大きい、そして先生以外のスタッフの方々のご努力、これは間違いありませんが、加えて、家族や本人の「家へ帰りたい、帰ってきてほしい」という意思の強さ、これも感じました。
「在宅では無理なんじゃないの?」という事例も、こちらがハードルを高くしているのだ、という観点もあり、納得できるものでした。周りの人と話し合って考えたりする時間もあり、その後具体例を挙げて実際にどのような対応をされたか、エピソード豊富にお話し頂きました。
もう、どの患者さんのエピソードも、信頼されているのがにじみ出ているんですね。27年間竜王に密着して、ずっとそこに居られる、それこそが信頼を生み、「先生に最期診てもらいたい」「先生にだったら任せられる」というご希望が後を絶たないのだな、と思いました。それで先生もno refusal policy。それは「じゃあ私も」「うちも」となるように思います。
大学の事例で言うと、ご本人やご家族が自宅での最期の時間を望まれないケース、大学がかかりつけ医、最も信頼されている医師になっているケースなどでは、難しいところも多々あるようです。地域性や患者さんと家族の関係性などもあるのかも知れない、と思うと、竜王町の方々はしあわせな家族関係を築いておられる方々が多いのではないか、そんな感想も持ちました。
往診医、訪問看護師さん次第で在宅医療の質が変わります。在宅でもいける、という口コミが在宅への以降を促すように思います。これからも頑張りましょう。
やりがいもありますが、困難なことも・・・
でも先生方と協力してがんばりたいですね。最近は都内の大学病院からの退院後の依頼も確かに増えています。大学病院の先生方にも訪問看護の力を信じてお任せいただけるよう頑張ります!
大学にいる身としては、患者さんが「家に帰りたくない」ご家族が「病院に置いておいて欲しい」と言われると、話が進まないというところがあります。 在宅に向かう機運がある地域は、やっぱり往診医や訪問看護師さんが地道に頑張っていて、住民の方々に「家に帰っても、ちゃんと診てもらえる」という認識があるんじゃないか、そんな印象を持っています。
患者は家に戻りたい人が多いのかとも思っていたのですが、そうでもない事実もあるようですね。地道にがんばり、大学の先生方にも
あそこのステーションなら大丈夫!と言っていただける事業所をめざしたいと思います。