2016年10月04日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症3

間質性肺炎の分類でまず大事なことは、「原因がハッキリとあるのか、ないのか」。これによって治療ががらっと変わります。当たり前ですね。原因があるやつはそれを取り除かなくてはならない。ないやつはそうではない。


原因で有名、かつ重要なものは何といっても薬剤です。残念なことに原因となる薬剤などはどんどん増えています。あらゆるジャンルの薬の副作用に『間質性肺炎』と記載されていますし、しかも日本人には薬剤性間質性肺炎が、欧米人より桁違いに多いといわれています。今や何科の医師であっても、薬剤使用中に「これは副作用で間質性肺炎が起こったかもしれない」と気付く眼が必要なのです。


また、原因薬剤によって、起こる間質性肺炎のパターンや予後などが異なる点にも注意が必要です。ゲフィチニブ(イレッサレジスタードマーク)による間質性肺炎の予後が悪いのはすっかり有名になりましたが、ミノサイクリンのようにアッサリとステロイドで軽快するものもあり、薬剤を処方する上ではある程度特徴を知っておきたいところです。


他に医原性のものとして胸部の放射線治療による放射線肺炎。こちらは画像上の特徴、因果関係がわかりやすいことなどから診断は容易でしょう。


それから外部環境の原因で多いものとしては、鳥関連の抗原による過敏性肺炎があります。過敏性肺炎の原因としては最近では鳥(の抗原)が話題になることが多く、あとは加湿器肺や夏型過敏性肺炎のように真菌が原因のものくらいです。


職業・環境からの粉塵曝露による間質性肺炎(過敏性肺臓炎・じん肺・金属肺など)は、昔は多く見られましたが、今は防塵マスクなどのおかげでほとんど見られなくなりました。


それ以外に多いのは膠原病、血管炎と感染ですね。


膠原病の肺病変として間質性肺炎の合併は多くの症例に見られます。多くの場合ステロイドが効きますので正しく診断する必要があります。血管炎でもしばしば間質性肺炎の合併は見られ、基本的にステロイド+免疫抑制薬治療になりますので、こちらも正しい診断が必須です。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

トップページへ

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。