2016年11月30日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診断・間質性肺炎・肺線維症39・間質性肺炎の治療23・慢性期のびまん性肺疾患の取り扱い・HRCTでのパターン5

それでは、先のInconsistent UIPパターンのうち、残りの


  • 嚢胞が散在(多発、両側、蜂巣肺から離れた場所に存在)

  • びまん性のモザイクパターン/エア・トラッピング(両側、3葉以上に存在)



は、どんな疾患を想定しているのか。


嚢胞はCOPDなど嚢胞性疾患で、モザイクパターン/エア・トラッピングは閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans:BO)です。閉塞性細気管支炎(BO)は専門でない先生方にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、細気管支レベルで気管支粘膜下やその周囲組織が線維化を起こすことで、気道の狭窄・閉塞を起こす疾患です。


RAに合併したり、ウイルスなどの感染症であったり、移植後のGVHDとして発症する例が知られていますが、それ以外の背景ではあまり見かけません。ですから呼吸器専門医とそういう背景疾患をご覧になる先生方にしか馴染みがないのです。


BOは細気管支の疾患で、画像所見としては細気管支そのものの病変はCTでも描出されず、吸った空気が出にくくなることを反映して過膨張とかエア・トラッピングが見られますが、それ以外の濃度が上昇する系の陰影はあまり見られません。進行してくると細気管支よりもう少し太い気道壁の肥厚や気管支拡張などが見えてきますが、それでもすりガラス影とか蜂巣肺など、「間質性」の陰影には縁がありません。


写真はすぐには用意出来ませんでした…。


そういう意味でも間質性肺炎の範疇に入れるべきかどうかは微妙な疾患ですが、両側びまん性に病変がある、という意味で、というか、他にあまり同類の疾患がないからか、間質性肺炎に入れて論じられることが多い印象です。RAに合併するからといって間質性肺炎に含めるのも、何だかなあ、という気がしますが。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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