2016年12月02日

第88回日本呼吸器学会近畿地方会にて座長2

● Schizophyllum communeによるアレルギー性気管支肺真菌症と考えられた一例
● Schizophyllum communeによるアレルギー性気管支肺真菌症を発症した一例

同じです。イヤ違うのですが、タイトルを見ても違いが分かりませんね。どちらもSchizophyllum commune(スエヒロタケ)によるABPMです。


どちらも、胸部CTで粘液栓を認め、気管支鏡検査で得られた検体から、組織の好酸球浸潤が確認され、粘液栓からSchizophyllum communeが発育し、抗Schizophyllum commune抗体を千葉大学で調べて頂いたところ陽性であった、というところは共通しています。というか、やっぱりほぼ同じですね…。


で、特筆すべきは、どちらも割とスンナリ良くなっていること。粘液栓を除去しただけで、ICS/LABA吸入で改善している模様です。昨日のABPA症例でもスンナリ良くなっていましたが、どうもABPA、ABPMにはいくつかのsubgroupがあるように思われます。


ABPAではGreenberger-Pattersonらのグループや他のグループも、subgroupの存在を提唱していますが、まあまだしもABPAは症例の蓄積も進んでいるし、診断基準らしきものもある。困るのはアスペルギルス以外の真菌によるABPMです。今回は二例とも、おそらく「Schizophyllum communeに感作した喘息」寄りの病態であって、組織に浸潤して排除に抗真菌薬を要する病態ではないのかもしれません。中枢の気管支拡張の有無、というところがカギになるかもしれませんが…。


あと、そもそもABPMの診断基準というものは、確立されてはいないようで、ABPAの診断基準を応用して適用されていることが多いようですが、果たしてそれで妥当なのかどうか、常套文句ですが、「今後いっそうの症例を集積しまして、検討の課題とします」てなことが望まれるのではないでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 15:08 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。