誰でも、同じ結果が得られるんだったら、楽な方がいい、まあこれはわかります。でも、結果が違うのに、楽な方を進むのはどうでしょう。そう言われると、「結果が違うんだったら、結果によるよね」と思われるでしょう…。
IGRA(interferon gamma release assay:インターフェロンガンマ放出試験)という検査があります。IGRAは一般名で、商品名としてはQuantiFERON-TB-Gold


この検査のポイントは、「採血をすれば、結核感染の有無が高精度にわかる」というもの。「採血」という、気軽な、楽な方法で、「高精度に」わかるのがミソです。そのため、割と気軽に「結核の診断法」として用いられているのが気になります。
「Tスポット陽性なので、結核と考えられます」
「クォンティフェロン陰性なので、結核は否定的です」
と、かなり短絡的に、結果と診断がリンクしてしまっていることが多いのですね。
IGRAの意味するところはあくまで、結核の「感染」です。IGRA陽性は結核菌が体内に入って感染が成立していることを意味しますが、イコール「肺結核(=発症)」ではありません。これは繰り返し強調したいところです。
IGRA陽性は、あくまで感染。肺結核の可能性はありますが、肺結核の診断は、あくまでも「喀痰・胃液・肺から結核菌を証明すること」ですから、IGRA陽性であれば、頑張って菌を証明する努力をしましょう。
特に70歳以上の高齢者の方は、戦後の結核蔓延期、菌がそこら中でまき散らされていた時期に吸い込んでしまっている可能性があり、IGRA陽性者が多いのが現状です。そうなるとIGRA陽性に診断的意義は期待出来ません。
IGRA陰性のときはどうか。IGRA陰性は、結核菌の感染がない、と考えてよい。とすると、それで結核が発症する可能性は低いと考えられます。
結論として…
・IGRA陽性であっても、肺結核とは限らない。喀痰検査、胃液培養、気管支鏡などを施行し菌の検出に努めるべし。
・IGRA陰性であれば、肺結核をさしあたり考える必要はない。
IGRAという簡便な検査だけで、結核の診断は出来ません。楽な検査ではありますが、得られるものも少ない。これは覚えておいて頂きたいと思います。
呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践
>IGRAの特異度は高く、IGRA陰性であれば、結核の可能性はあまり考えなくてよい、ということになります。
これは感度についての記述のように思いますが、いかがでしょうか?