近年増加しているのは結節気管支拡張型の方で、こちらの診断、および治療を考えるのに悩ましいケースがしばしばあるのです。
線維空洞型は菌量も多く、進行が早くて予後が悪いわけですから、菌の検出はより容易で診断は困難ではないでしょう。そして、診断したらすぐに治療開始、そういう意味ではあまり悩ましくはありません。まあ、効果が乏しくて悩ましい、ということはあると思いますが…。
治療は化学療法、つまり抗菌薬を使います。MACに効果がある抗菌薬としては、まずクラリスロマイシン(CAM)です。MACにCAM、うまく出来ています(何が?)。同じマクロライド系であるアジスロマイシン(AZM)もある程度効果が認められていますが、HIV感染ベースの症例で効果に差があるとの報告もあり(差がないという報告もあり)、通常はCAMが先に記載されています。
CAMだったら、一般細菌や普通の?非定型病原体に使われているところの400mg/日ではなく、その倍量の800mg/日を使うことが推奨されています。今では保険適応上もマイコバクテリウム属への投与は800mgが認められています。
胃腸障害など、副作用が生じたり、懸念されたり、という場合、量を減らさざるを得ないこともあるでしょう。体重が少ない場合に600〜400mgに減量することは結核病学会でも認められています(肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012年改訂 - 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会 日本呼吸器学会感染症・結核学術部会.Kekkaku Vol. 87, No. 2 : 83_86, 2012)し、特に高齢者の場合、まず400mg分2から開始し、600mg、800mgと増やしていくのも一法です。
呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践
2017年01月20日
呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・肺非結核性抗酸菌症の診療・(線維空洞型)MACの治療1
posted by 長尾大志 at 16:54
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| 呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践
現在大学五年生で薬学部に在籍しています。
現在私は卒業研究で「肺MAC症に対する吸入アミノグリコシド系薬の有効性」について調査しています。
論文を読む日々が続いておりますが、まだ関連する論文の絶対数もレビューも少ないといった状況です。
吸入アミノグリコシドは現在トブラマイシンなどがありますが、ぜひそういった治療に対する長尾先生のご意見を頂ければと思います。