2017年01月23日

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器診療・肺非結核性抗酸菌症の診療・MACの治療2

それから、抗結核薬。やはり非結核性抗酸菌、結核と性質が似ているところがあり、抗結核薬がある程度効果を現しますが、抗結核薬のうちイソニアジド(INH)はMACには効果が乏しく、使われることはありません(M.kansasiiには使われます)。


抗結核薬の中ではリファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、ストレプトマイシン(SM)・カナマイシン(KM)の効果が認められていて、標準治療に使われます。ただ、SM、KMは筋肉注射での投与となりますので、外来診療では若干ハードルが高くなり、優先順位としては少し下がります。


投与量としては、概ね肺結核の治療と同じ量です。


先に挙げた2012年の日本結核病学会・日本呼吸器学会の見解で示されている標準療法は、以下の通りです。

(表)
  • CAM 600-800mg/日(15-20mg/kg)分1または分2(800mg/日なら分2)

  • RFP 10mg/kg(最大600mg)/日 分1

  • EB 15mg/kg(最大750mgまで)/日 分1

  • SMまたはKM(各々15mg/kg以下、最大1,000mgを週2〜3回筋肉注射)は必要に応じて



つまり、CAM、RFP、EBの3剤が基本で、ある程度以上の重症例にSMを追加する、という感じです。


ちなみに米国胸部学会(ATS)/米国感染症学会(IDSA)の提言(An official ATS/IDSA statement: diagnosis, treatment, and prevention of nontuberculous mycobacterial diseases.
Griffith DE, ら Am J Respir Crit Care Med. 2007 Feb 15;175(4):367-416. )では、結節気管支拡張型であれば週3回投与(1回投与量多め)でよい、となっています。


呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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