2017年04月03日

大動脈弓を追う2

そして気管の走行を見ますと、右に偏位しています。○ページにある通り、気管が右に偏位している場合、その原因は


  • 左から何かが圧しているか

  • 右に何かが引っ張っているか



のどちらかです。


となると、気管の左右を見て、どちらかが白ければ、その白いところが原因で、


  • 左が白ければ、圧しているので左に腫瘤・胸水がある

  • 右が白ければ、引っ張っているので無気肺・線維化



であるとわかります。


この症例では、気管の左が白い。ということは、気管の左に何かできて、それが気管を圧している、と考えられるのです。検査の結果、小細胞肺癌と診断されました。


小細胞肺癌ですから、治療によく反応します。治療後の陰影を見てみましょう。


スライド27.JPG


矢印の部分は、治療前にはシルエットサイン陽性であった大動脈弓の上縁です。治療で腫瘤が縮小してきたことによって、見えるようになってきました。小細胞肺癌は陰影の変化が比較的早く起こるので、初学者の先生方が「陰影の変化」を掴むのに適していると言えます。


CTでも、大血管を巻き込む腫瘤に気管が圧排されている様子、そして治療後に腫瘤が縮小し、少し気管が戻っている様子がよくわかります。


治療前
スライド28.JPG


治療後
スライド29.JPG

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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる
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