特にリンパ節腫脹が問題となる肺癌の例で考えてみましょう。例えば、右の下葉に原発巣がある場合。
原発巣からのリンパ節転移は、原発巣を通るリンパ流に癌細胞が乗って、流されて漂着したリンパ節で発生します。通常は原発巣に近いリンパ節の方が漂着しやすいため、その部位に転移が起こる可能性が高いのです。
つまり、右の下葉原発であれば、リンパ節転移が起こりやすいのは@右肺門、次にA気管分岐下リンパ節で、それからB気管傍リンパ節、となる。ですからステージ分類をするときのN因子は、
- N0:所属リンパ節転移なし
- N1:同側の気管支周囲かつ/または同側肺門および肺内リンパ節転移
- N2:同側縦隔リンパ節かつ/または気管支分岐下リンパ節の転移
- N3:対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の前斜角筋、鎖骨上窩リンパ節への転移
と定められているわけです。つまり、原発巣より遠く離れたリンパ節に転移があるということは、よりステージが進んでいることを意味する、という。
ですから原発巣が右の下葉であれば、まずは右の肺門を見る。それから、気管分岐角の開大がないか、そして縦隔が腫脹していないかを見る、という感じで見ていくのです。例えば…