- 血漿交換療法と免疫抑制薬投与が奏効したステロイド抵抗性・MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群の一例
- 肺Langerhans細胞組織球症に伴う肺高血圧症にタダラフィル、マシテンタン、ベラプロストの3剤併用が有効であった一例
- たこつぼ型心筋症を合併した喀血症例の臨床的検討
- 気管支喘息と間質性肺炎合併例の診断・経過の考察
- 両側肺動脈腫瘍の肺浸潤に対し、TBLBで悪性軟部腫瘍と診断した一例
・血漿交換療法と免疫抑制薬投与が奏効したステロイド抵抗性・MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群の一例
自己抗体系と病態というのは、関連が深いようで、ときに違ったものがでてくることがある。ANCAなんか結構多いですよね。当初はもうANCA=血管炎、と決め打ちしていたのが、最近では血管炎ではないけどANCA陽性、という病態がいろいろ報告されています。
呼吸器でしたら、間質性肺炎でANCA陽性、さてこれは血管炎があるのだろうか、という問題。現状で発症はしていないけれども将来出てくるのか、それとも…みたいな。
本症例では抗GBM抗体とMPO-ANCAの両方が陽性である肺胞出血+急速進行性糸球体腎炎に対して、当初ステロイドパルスの効果なく、血漿交換+IVCY追加にて奏効したとのことです。
この症例では診断と病態の解釈がポイントになる気がしますね。MPO-ANCA陽性のGoodpasture症候群、という位置づけをされているので、文献的考察を期待しましょう。
・肺Langerhans細胞組織球症に伴う肺高血圧症にタダラフィル、マシテンタン、ベラプロストの3剤併用が有効であった一例
肺Langerhans細胞組織球症(PLCH)に伴う肺高血圧症(PH)は、肺高血圧症臨床分類では5群(詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症)に分類され、他の肺疾患よりも高頻度にPHを合併することが知られています。
で、PLCHに合併したPHには肺血管拡張薬の有効性に議論があるところですが、本症例では3剤併用でmPAPが37⇒28mmHgと効果を認めた、ということです。
これまでの報告でも有効であった、というものもあればそうでもないというものもある。低酸素血症による血管攣縮以外に、PLCH特有の血管病変が肺動脈上昇に寄与している可能性が想定されています。メカニズムから、わかっていないことが多い疾患ですが、文献的考察も合わせてどのようにまとめられるのか、期待します。
・たこつぼ型心筋症を合併した喀血症例の臨床的検討
喀血の経過中にたこつぼ型心筋症(TTS)を合併した3例について検討されました。
TTSは心因的・身体的ストレスが契機になることも多く、中年以降の女性に多いとされています。中年以降の女性が喀血を来したら結構なストレスだと推察されますが、それ以外に、喀血がTTSを誘発する機序が考えられるかどうか。折角3例集めて頂いているので、臨床的に共通しているところやメカニズムの考察をお願いしたいと思います。
・気管支喘息と間質性肺炎合併例の診断・経過の考察
気管支喘息は人口の10%に迫ろうかという有症率ですから、かなり増えていて、様々な合併症・併存症がみられます。私の外来でも、間質性肺炎と気管支喘息の合併例ではないか、と考えられる症例が数例あり、しかしながら、診断を言い切ってしまうのになかなか困難を感じておりました。ですから、この発表には大いに期待しております。
そもそも既に片方が確定している状態で、合併をどういうきっかけで疑うのか。症状は咳・呼吸困難が共通であり、症状から疑うにはどこに気をつけるか。気管支喘息症例で胸部X線写真やCTを撮る機会は限られていると思われますが、適正なスクリーニングはどの程度のものか。クリニカルクエスチョンは尽きないところです。
・両側肺動脈腫瘍の肺浸潤に対し、TBLBで悪性軟部腫瘍と診断した一例
ご苦労されたであろう症例のご報告です。軟部腫瘍の診断は大きな組織が必要で、侵襲が大きくなることが多く、TBLBで診断出来ることは少ないのではないかと思います。