2017年04月21日

肺野が黒くなる病態

昨今では、胸部X線写真はデジタル化されCR(Computed Radiography)写真、とも呼ばれていますが、デジタル化されて見やすく画像処理されており、フィルム時代に比べて、肺野の「黒さ」がわかりにくいことがあります。ですから概念としては、これらの病変は確かに「黒くなる」のですが、実際に画像を見た感じはそれほど黒く見えないこともあるのです。


そんなときはどう見るか。そういう病変は肺胞、肺組織の密度が少なくなっていますので、肺野末梢の血管影が細くなったり、少なくなったり、あるいはなくなったり、そういうところを見ます。まあ、それも含めて黒っぽい印象を受ける、といえばそうかもしれません。


正常の血管影(水の密度)は、肺内(ほぼ空気の密度)を、肺門を中心に放射状に、少しずつ枝分かれして細くなりながら拡がっていきます。


スライド49.JPG


立位で撮影されていれば、下肺野に行く血管は上肺野に行く血管よりも、重力によって多く血液が流れますから、太め(上の肺野に行く血管の1.5倍〜2倍くらい)に見えるといわれています。イメージとしてはこんな感じです。


スライド50.JPG


基本、同じ高さの血管は左右同じような太さだと考えてOKですから、肺野を見る時には左右の血管影に差がないか、同じ高さで比較をしながら追っていきます。


スライド51.JPG



さて明日は、第57回日本呼吸器学会学術講演会2日目です。ポスター座長のために日帰りで東京に行って参ります。いろいろ予定が入っていて、ちょっと更新する時間はないような予感がしますので、よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 18:58 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる
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