その部分をX線が通過すると、空気があるときよりもたくさんのX線が吸収されて、その場所は白く見えるようになります。
で、例えば、あるエリアの肺胞のうち4割に水濃度の物質が溜まっていたとしましょう。
すると水濃度の箇所でX線はぐっと吸収され、空気の箇所ではあまり吸収されない。結果、そのエリアの陰影は「4割方白い」ということになるはずです。
一方、間質性肺炎があるエリアでは、びまん性に(あまねく広く)肺胞壁の浮腫・肥厚があり、そのエリア内の空気の割合が相対的に減っています。この図でしたら、4割方肺胞壁(水濃度)で6割方空気、という感じでしょう。
そのエリアでは、あまねく広くX線が4割分吸収され、結果「4割方白い」ということになるはず。
ということで、肺胞の状態がどうであっても、胸部X線写真では同じように「すりガラス影」的な濃度としてみられることがおわかり頂けるでしょう。ですから、胸部X線写真で「浸潤影」「すりガラス影」と、白いところの「白さ」を突き詰める所見をつけても詮ないことで、あまり情報としては意味がない。そういうわけで、昨今ではそのような言い方はせず、ただ白っぽい部分を「高吸収域」とか「濃度上昇域」とか総称することが多いと思います。
胸部X線写真では、白い部分そのものの性質よりも、それ以外の所見の方がモノをいうのです。例えばそのエリアが縮んでいるとか、エアブロンコグラムを伴うとか、網状影が併存しているとか。それによってある程度病変の性質を推測するのです。