2017年05月22日

症例検討会BRONCHO8−4

入院時身体所見、まずバイタルサインですが、意識は清明で、脈拍数122bpmと頻脈です。血圧は普段は120前後のところ89/58mmHgですから低い。体温は36.5℃で診察時は発熱なし、呼吸数24回/分で頻呼吸、SpO2は95%(room air)ですから低酸素血症はあっても軽度です。


レジオネラ肺炎の可能性、ということであれば比較的徐脈に注意しますが、ここでは発熱なしで頻脈ですから、とりあえず当てはまりません。


血圧が低いのは菌血症〜敗血症の可能性。頻呼吸と軽度の低酸素からは肺の感染症、肺炎の存在を疑うことになります。頻呼吸と血圧低下は敗血症の判定にも使われようかというqSOFA(quick Sequential Organ Failure Assessment)のスコアに含まれていますから、これだけで2点=敗血症の疑いあり、ということになります。


qSOFAスコア

  • 呼吸数≧22/分

  • 意識レベルの変容

  • 収縮期血圧≦100mmHg




診察所見で目立つものは、右肺野のcoarse crackles聴取、これからも肺炎はありそう◎、となるでしょう。菌血症〜敗血症もあやしい○です。


尿路感染もあるかもしれませんが、少なくともCVA叩打痛など、積極的に示唆する所見には乏しいと言えます。肺結核も、鑑別に入れることを強く推奨するわけではありませんが、否定するものでもありません△。


ということで、次にやるべきことが決まって来ましたね。


Q:やるべきことは?

胸部X線写真、CT
肺以外の臓器障害を評価
喀痰培養、尿培養、血液培養
プロカルシトニン測定
輸液による血圧の維持


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 18:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO
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