2017年05月23日

症例検討会BRONCHO8−5

これまでのところ、肺炎からの菌血症〜敗血症が疑われますから、次は診断確定へのステップと、治療の同時進行になります。


敗血症の場合、チンタラ診断を待っている暇はありませんから、悪寒戦慄があってqSOFA2点であれば、(これはどこでも判断可能!)直ちに血培⇒広域抗菌薬投与、輸液、循環・臓器モニター開始が必要です◎。敗血症になっているということは菌が体内でじゃんじゃん増えているわけで、20分で2倍⇒1時間で8倍に増えます。血培も抗菌薬も、1時間遅れると取り返しがつきません。A.S.A.P.=as soon as possible、であります。


胸部X線写真は肺炎の診断にはまだまだ必須だと思いますが、CTまではどうでしょうか○?△?。胸部X線写真で両側に広範な濃度上昇があったり、疑問に思われるような陰影があったりすれば、わからなくもありませんが…。


敗血症・敗血症性ショックの定義は最近新しくなりました。敗血症は以前の定義、SIRS(systemic inflammatory response syndrome)で強調されていた「炎症」よりも「臓器不全」があることが強調され、新しい定義(SOFA)では

  • 呼吸(P/F比)

  • 凝固(血小板数)

  • 肝機能(ビリルビン)

  • 循環(平均動脈圧)

  • 中枢神経(GCS)

  • 腎(クレアチニン・尿量)


を、( )内の指標を用いて評価します。ここでは急いで、肺以外の臓器障害を評価しなくてはなりません。◎


敗血症性ショックは、敗血症によって、ショック(臓器障害を来す低血圧)を起こした状態ですが、輸液やカテコラミンに反応しない低血圧に加えて、細胞障害、代謝障害を来している状態を表すと定義されました。


この細胞および代謝障害を表す指標として、乳酸値が用いられます◎。乳酸値>2mmol/L(18mg/dL)。乳酸増加による代謝性アシドーシスを代償するべく頻呼吸となり、呼吸数≧22回、となるわけですね。肺炎でも頻呼吸になるし、敗血症性ショックでも頻呼吸になるのです。


さてそれではプロカルシトニンの測定はこの場合必須でしょうか?エビデンスとしては弱いものしかありませんし、個人的には悪寒戦慄やqSOFAの方がよっぽど有用だと思っています△。


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posted by 長尾大志 at 13:59 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO
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